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YAGPガラ2017 Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow

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YAGPのファイナルの翌日は、恒例のガラ"Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow"。

こちらは、第一部はYAGPの入賞者と、入賞していなくても注目を集めたダンサーが踊るというものです。

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"Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow"

Brady Farrar プリ・コンペティティブ部門 ホープ賞 「タリスマン」
Linyue Zao 「Room」
Avery Gay(2016年プリコンペティティブ2位、グリシコ賞)、Antonio Casalinho(2016年ジュニアグランプリ賞) 「コッペリア」グラン・パ・ド・ドゥよりコーダ 
Classical Dance Academy 「Existence」
三宅琢未 ジュニア部門1位 「白鳥の湖」ヴァリエーション
Jan Spunda シニア部門3位、ダンス・ヨーロッパ誌 傑出した芸術性賞 「Swan」
Chloe Misseldine シニア部門2位 「ドン・キホーテ」より森の女王のヴァリエーション
Diogo Do Oliviera シニア部門TOP12 「Terra」
Madison Penney ジュニア部門 グランプリ 「エスメラルダ」
Luciano Perotto シニア部門TOP12 「ラクリモーサ」
倉智太朗 シニア部門1位 「ドン・キホーテ」

この時点では入賞者が発表されていなかったのですが、三宅さんと倉智さんがここでも踊ったということで、おそらくは入賞しているのだろうと思いました。特に倉智さんはトリだったし、ここでもずば抜けたパフォーマンスを見せ、一番盛大な歓声を受けたので、グランプリかなと思ったのです。ここで登場する皆さんは、すべてさすがの実力の持ち主でした。チェコ出身でENBのスクールに留学中のJan Spundaは、瀕死の白鳥の音楽で、男性版白鳥を踊りましたが、非常に美しく表現力があって、傑出した芸術性賞を受賞したのも納得です。ファイナルでは全員古典のヴァリエーションを踊りますが、こちらのガラでは、コンテンポラリーを踊った人も4人いて、やはり今のダンサーならコンテンポラリーを踊ることができないとだめだというのを実感しました。

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また、YAGPの特別功労賞が、元バレエ・ウェストおよび元ボストン・バレエの芸術監督で、ジャクソン国際コンクールの審査委員長を務めるなど活躍したブルース・マークスに贈られました。ABTとデンマークロイヤルバレエのプリンシパルとして活躍したのち、二つの重要なカンパニーの芸術監督を務め、さらにジャクソン国際コンクールだけでなくローザンヌ国際バレエコンクールなど多くの国際コンクールの審査員を務めました。80歳の今も、振付家、教師、NEA(全米芸術基金)のパネルメンバーとして活躍しています。賞のプレゼンターは、ニーナ・アナニアシヴィリでした。ニーナは、ジャクソン国際コンクールで初めて受賞した旧ソ連出身のダンサーだったのです。まだまだ若々しいマークスは、最後に、今危機に瀕しているNEAと芸術の重要性についての感動的なスピーチを行い、ともに立ち上がり戦いましょうと訴えました。

パート1の最後はグラン・デフィレ。アンサンブル部門を含むファイナリスト全員、300人もの出場者が踊ります。ニューヨークに来てからの短い期間で全員で合わせて練習するのですが、とても壮観です。最初はシニアから、次にジュニアの子たちが登場し、真ん中で数人のダンサーが踊ったり、フィナーレは1人の小さな少女ダンサーが男性たちにリフトされます。途中で倉智太朗さんが真ん中の中の真ん中を踊っていて、流石にとてもテクニックの切れ味があるので目立ちました。


パート2は、YAGPの出身者を含む世界のスターたちによるガラ公演です。


「回転木馬」Carousel(A Dance) 振付 クリストファー・ウィールドン、音楽Richard Rodgers
タイラー・ペック、Zachary Catazaro (ニューヨークシティ・バレエ)

ウィールドン振付の「回転木馬」は、とてもミュージカル的な作品だけど、リフトもたくさん登場していて、ロマンティックなムードがある。特に後ろ方向へと駆けていって持ち上げられるなど、パートナーリングが難しい作品なのだけどそのような難しさは全く感じさせなかった。全幕作品ではないのだが、全体を観てみたい作品だ。Zachary CatazaroはYAGPの2002年、2003年のジュニア部門1位。


「ベサメ・ムーチョ」
Brittany O'Connor、Paul Barris

ボールルームダンスの世界チャンピオンによるパフォーマンスで、ヴァイオリンとピアノは生演奏。タンゴの音楽でラテン的なダンスなのだけど、ブリタニー・オコナーは片足はハイヒールでもう片足はポワントを着用して踊った。パートナーを床の上に放り投げては持ち上げるなど、かなり高難度のパートナーリングを見せてくれた。


Tous Les Jours II. 振付 マルセロ・ゴメス 
ジェイムズ・ホワイトサイド(ABT) ピアノ演奏 ジョルジュ・ヴィラドムス

本来この作品はマリインスキー・バレエのザンダー・パリッシュが踊る予定だったのだが、ビザが間に合わなくて、土壇場で降板、代わりにABTのジェイムズ・ホワイトサイドが踊った。ピアノ演奏は、エルヴェ・モローの公演「月夜に煌めくエトワール」に出演したジョルジュ・ヴィラドムス。ホワイトサイドは軽やかな跳躍をたくさん見せてくれて、技術的にも素晴らしいし恵まれた体型の持ち主であることもよくわかったけど、この作品をパリッシュでも観てみたかったなと思った。高度な技術の中に、ちょっとしたユーモアも含まれていて、ドラッグクイーンとしても活動しているホワイトサイドだと、少しあくが強い印象はあった。でもとても楽しいソロだし、ゴメスらしいチャーミングさと音楽の使い方のセンスの良さを感じさせた。


「春の水」 振付:アサフ・メッセレル 音楽:ラフマニノフ
スカイラー・ブラント、ゲイブ・ストーン・シェイヤー(ABT)

ブラント、シェイヤーともYAGPの過去の出場者。ABTのダンサーだけど、ソビエト時代の作品「春の水」に挑戦した。ダイナミックなリフトが多用される作品だ。若手のホープであるこの二人は元気いっぱいで、高度なテクニックを見せてくれた。女性ダンサーが大胆に飛び込んで行ったり、男性が中途半端な高さで相手を持ち上げながらぐるぐる回ったり、ひょいっと回りながらリフトしたりと、大変難しいパートナーリングがてんこもり。フレッシュな二人がとても良かっただけに、一番最後に男性が片手で相手を高くリフトするところを失敗して、もうすぐで落としそうになったのが残念。でも持ち直して、捌けて行くところではしっかり片手でリフトしたまま走り去って行けたので良かった。

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「白鳥の湖」 振付 デヴィッド・ドーソン 音楽:チャイコフスキー
スヴェトラーナ・ルンキナ、エヴァン・マッキー(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)

ワールド・バレエ・デーライブでスコティッシュ・バレエがリハーサルシーンを見せた、デヴィッド・ドーソン振付のコンテンポラリー版「白鳥の湖」の、2幕パ・ド・ドゥ。現代作品ではあるものの、ルンキナはポワントを履いて、チュチュではないものの白鳥を思わせる赤い宝石を胸につけたレオタードを着用(衣装デザインは、竹島由美子さん)。男性の衣装は、まるで普段着みたいであまりかっこよくはない。面白いのは、まず登場する男性ダンサーも、腕を大きく動かし、背中を反らせてまるでオデットのように踊るところ。オデットが二人いるような振付で、二人が組み合わさって円を描くようにポジションを変えながら動いていく。古典の「白鳥の湖」も絶品であるルンキナなので、チュチュでなくてもその動きは繊細でエレガント、とても高貴な印象があるとともに、現代作品も得意な彼女らしい、モダンなセンスが光っていた。二人ともポール・ド・ブラが柔らかく大きく美しく、特にルンキナの背中の表現力には魅せられた。全幕で観てみたい作品。

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くしくもスコティッシュ・バレエもニューヨークのジョイス・シアターで公演中で、関係者お互いのパフォーマンスを観られなかったのが残念。


「コート」 振付 デヴィッド・パーソンズ 音楽:ロバート・フリップ
イアン・スプリング (デヴィッド・パーソンズ・ダンス)

デヴィッド・パーソンズの代表作である「コート」。日本でも、ウラジーミル・マラーホフがこの作品を踊るのを観た方は多いと思う。ストロボの点滅の効果を使って、ダンサーがまるで宙に浮いていたり、空中を歩いているかのように見える作品だ。照明の技術を借りているとはいえ、やはりこの作品は生で観るとインパクトは絶大だし、ストロボの点滅のタイミングを合わせて高速で跳躍しなければならないダンサーの技術も素晴らしい。YAGPに出場した若いダンサーたちは、もちろんこの名作に熱狂的な歓声と拍手を贈った。


「ライト・レイン」 振付:ジェラール・アルピノ、音楽Douglas Adamz、 Russ Gauthier
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

3年前のYAGPガラでもこのペアはこの作品を踊ったはず、だけど3年間の間に、今は40代のラカッラが全然変わっていないのはすごい。エキゾチックな打楽器中心の音楽に合わせて、ラカッラがその柔軟にしなる細長い肢体をいろんな方向に伸ばしたりポーズする、官能的な作品。一つ一つの動きやポーズは完璧にコントロールされている。これはこの二人でないと踊ることができないものなのかもしれない。


「海賊」  振付:プティパ 音楽 ミンクス
タマラ・ロホ、セザール・コラレス(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

3年前のYAGPでグランプリを受賞し、3年間でENBを代表するスターに育ったセザール・コラレス。540を3連発したり、巧みにコントロールされたピルエット、強靭なばねのある身体から繰り出される超絶技巧、ガラ公演にはぴったりのダンサーだ。ENBの来日公演も「海賊」なので、日本でもきっと大喝さいを浴びることだろう。タマラ・ロホは、へそ出しの衣装だとウェストがかなり太くなってしまっていたのがわかったけど、踊りそのものは全盛期と変わらず、相変わらずの、トリプルを連発してのグランフェッテ、見事なバランス、コントロールの利いた動き。芸術監督を兼ねて意欲的なプログラムに取り組みながらも、これだけしっかりと技術を保っているのは奇跡的ともいえる。7月の来日公演が楽しみだ。

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全体的なレベルも高く、少し異分野のダンサーが出演したり、生演奏の演目もあったりで、とても楽しめたガラだった。翌日のフリオ・ボッカへのオマージュ・ガラも行きたかったし行く予定だったのだが、家庭の都合で行けなくなってしまったのが残念。観客席もとても華やかで、オルセン姉妹などのセレブレティもたくさん顔を見せていた。

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Dance Magazine誌のレビュー
http://www.dancemagazine.com/three-more-nycb-stars-are-headed-to-broadway-2365234725.html


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