http://www.roh.org.uk/productions/la-bayadere-by-natalia-makarova
PERFORMERS
Conductor Valeriy Ovsyanikov
Nikiya Sarah Lamb
Solor Thiago Soares
Gamzatti Claire Calvert
The High Brahmin Alastair Marriott
Rajah Gary Avis
Magdaveya Valentino Vucchetti
Aya Genesia Rosato
The Shades Akane Takada, Hikaru Kobayashi, Laura McCulloch
The Bronze Idol Alexander Campbell
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House
「ラ・バヤデール」2日目は、オーケストラストールズ2列目で鑑賞。この場所は足先まで見えないのであまりおすすめできない。もう少し後ろに下がったほうが見やすいと思う。
サラ・ラムのニキヤは、華奢でしなやかな身体の中に強い意志と崇高さを秘めた舞姫だった。儚さがあり、表現は繊細だがテクニックは強く、とても安定していて素晴らしい表現を見せてくれた。容姿だけでなく、アラベスクもとても美しい。大僧正の愛の告白を凛とはねつけるところにも、控えめさと強さが同居していて説得力があった。影の王国での踊りは、音楽によく寄り添っていてとてもリリカルで清らかだった。
一方、ソロルのティアゴ・ソアレスは、一言で言えば背中が硬い。サラ・ラムが柔軟性に富んでいるので余計にそれが目立ってしまう。サポートテクニックは悪くないし、ジュッテの着地も長身のわりには音はしないのだけど、全体的に丁寧さに欠けているしバレエの美しさが足りない。ただ、彼は演技派なので、1幕の逢瀬のシーンで見せる熱情や、ニキヤを失ったときの狼狽ぶりなど、ソロルの勇壮な中の情けなさや後悔の念などを演じるのは上手かった。彼は、やはりキャラクテール的な役どころで生きるダンサーだろう。
ガムザッティ役は、最近ソリストに上がったばかりで注目されている若手のクレア・カルヴァート。映画館上映の「眠れる森の美女」でリラの精を踊った彼女だ。2幕のグランフェッテなどテクニック面はもう少し磨かれると良いと思うけど、ガムザッティにふさわしいゴージャスさ、高慢さ、迫力はあるので十分役割は果たしたと言える。化粧映えするルックスで、目力も強いし、ソロルににじり寄ったり、終幕の結婚式のシーンで彼への執念を見せる演技なども達者だ。数少ない英国人バレリーナとして今後も注目されていくだろう。
影のヴァリエーションは、高田茜さん、小林ひかるさんと3人のうち2人が日本人。ひかるさんは、「マイヤリング」でラリーシュ夫人、「ラ・バヤデール」も別の日にはガムザッティを演じるなど多忙の様子だったが、きっちりと決めて円熟味のある踊りのレベルがとても高かった。第一ヴァリエーションの高田さんも、技術的に見せるところが多いこの踊りで、クラシックテクニックの強さ、ラインの美しさを見せて逸材ぶりを披露。ただ、影のヴァリエーションなのに笑みを浮かべて踊っているのは若干違和感があった。
ブロンズ・アイドルにはアレクサンダー・キャンベル。バーミンガム・ロイヤル・バレエの来日公演で素晴らしいパックを踊っていたので期待していたのだけど、前日のジェームズ・ヘイの方が良かった。跳躍が低くやや重たい感じの踊りだったので、疲れていたのかもしれない。
コール・ドはこの日は頑張っていた。パ・ダクシオンには高田茜さん、金子扶生さん、平野亮一さん。中でも金子さんの踊りは観るたびに惚れ惚れとする美しさと音楽性。まだファースト・アーティストであるにもかかわらず来シーズンにはキトリデビューする彼女からは目を離せない。ロイヤル・バレエは日本人ダンサーが本当にレベルが高い。影の王国のコール・ドも、予想していたよりは揃っていた。ただ、マカロワ版はスロープが一段しかないのが物足りない。
アラステア・マリオットの煩悩あふれる大僧正、迫力のあるギャリー・エイヴィスのラジャとキャラクテール陣は相変わらず見ごたえがある。やはりドラマティックなのがロイヤル・バレエの持ち味だ。
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