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YAGPの結果など

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今はニューヨークに滞在していて、世界最大のバレエコンクールのユースアメリカグランプリのファイナルとガラを見ていました。




YAGPの結果については、すでに多くの報道があったので、ご存知の方も多いと思います。ローザンヌコンクールで一位の二山治雄さんが見事にシニア一位に輝きましたね。

NHKのニュース(映像あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140411/t10013658521000.html

針山真実さんのブログに少し詳しいレポートが載っています。
http://mamisensei.jugem.jp/?eid=1485

実はYAGPのサイトにはまだ結果が載っていないので、Twitterからのコピペなどをソースにしました。

シニア部門
Grand Prix (Overall best in the Senior category): Cesar Corrales ノルウェイ/キューバ

1st place Haruo Niyama 日本 二山治雄
2st place Feng Hao Liang 中国
3rd place David Fernando Navarro Yudes スペイン / Blake Kessler アメリカ

1st place Juliet Doherty アメリカ
2st place Mackenzie Richter アメリカ
3rd place Madeline Woo アメリカ

ジュニア部門
Youth Grand Prix (Overall best in the Junior category): Harrison Lee オーストラリア

JR Men 1st Place. Jun Masuda 益田隼 日本
JR Men 2nd Place: Austen Acevedo アメリカ
JR Men 3rd Place: Adrian Zeisel オーストラリア and Leroy Mokgatle 南アフリカ

JR Women 1st Place: Aviva Gelfer-Mundl アメリカ
JR Women 2nd Place: Yuki Sugiura 杉浦優妃 日本
JR Women 3rd Place: Bianca Scudamore オーストラリア

アンサンブル部門
1st place Ensemble: Balletarrj Escola de Danza "Origem"

プレコンペティション部門
Pre Comp Men(9~11歳)
1st Place: Antonio Gameiro Casalinho
2nd Place: Summit Geiselman
3rd Place: Pierce Johnson

Pre Comp women (9~11歳)
1st Place: Lindy Mesmer
2nd Place: Mikaela Milic
3rd Place: Hana Yasue 安江 華

Outstanding Artistry presented by @DanceEuropeDanz Cesar Corales
Grishko Model Search Winner: Sage Humphries
Outstanding Choreographer: Zak Schlegel
Outstanding School: Orlando Ballet School

コンクールのファイナルを見た感想を少し。ファイナリストの人数もかなり多く、ファイナルの出場者の名簿なども公表されていなくて、アナウンスだけで名前、年齢、出場国が明かされます。なので、一人一人の印象はよほどのことがないと記憶に残らないのですが、日本人の出場者はみなさん、本当にレベルが高くて素晴らしいと感じました。日本は品が良くてきっちり折り目正しく踊るかたが多いのです。特にジュニアでは、芸術性が追いついてなくて曲芸っぽい人も多いのですが、そういう人は皆無。出場者全体については、女の子のジュニアでもピルエット三回転は当たり前。なので力技で3回転、4回転しちゃうけど、強引な人もいました。あと、観客も関係者や子供が多いので、大技が出るとものすごい歓声がいちいち上がります。そういう雰囲気に飲まれる方もいます。私の印象では、二山さんは、エレガンス、柔らかさ、跳躍の高さなどずば抜けていて、エカルテでバランスしたポーズの美しさにどよめきが起きました。あとやはり盛り上がったのが、グランプリのセザール・コラレス。バジルのヴァリエーション、男っぽくて魅せるコツをつかんでました。ジュニア1位の益田さんも、二山さんと同じソロルのヴァリエーションでしたが、ジュニアとは思えないほどのクオリティでした。それから、日本人の女子はプロポーション、容姿に関してはまったく西洋人に引けを取らなくなっていて見栄えがする人ばかりです。

セザール・コラレス、そしてデヴィッド・フェルナンド・ナヴァド・ジュデスはローザンヌコンクールにも出場しているから記憶されている方も多いかと思います。

ジュニアはアメリカがダントツ多くて次に日本、一方シニアはドイツなどいろんな国から出場者がいました。公開されたファイナルはジュニアからなので最年少は12歳、最年長は19歳で年齢順に演技するので、成長して行くのが見えて面白いです。

客席も大変豪華で、審査員は、セルゲイ・フィーリン始め、世界中の主なバレエ学校の校長が来ており、また翌日のガラに出場するダンサーの姿もありました。会場の熱気はすごいです。そしてプログラムを見ると、このコンクールはとにかく多くの人々の寄付で賄われているのがよくわかります。そして、世界各国で行われた予選に出場した人数の多さに、目眩がします。


8月 勅使川原三郎「睡眠 ―Sleep―」にオーレリー・デュポンが出演

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勅使川原三郎さんの新作『睡眠―Sleep―』公演が8月に行われます。

2014年8月14日~17日 東京芸術劇場プレイハウス
8月21日 愛知県芸術劇場大ホール 
8月23日 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

以前にニコラ・ル=リッシュがフランスのフィガロのインタビューで、この作品に出演すると語っていましたが、結局ニコラは出演せず、代わりにオーレリー・デュポンが出演することになったようです。

愛知公演については、チケットぴあと、愛知芸術文化センターの主催事業のところに載っています。
http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1405323

http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/index.html

8月21日(木)
大ホール ダンス 勅使川原三郎 新作
「睡眠-Sleep-」
構成・振付・美術・照明・出演:勅使川原三郎
出演:オーレリー・デュポン、佐東利穂子、勅使川原三郎 ほか
(開演:19:00)
5月25日(日)発売

料金:
S席 6,000円
A席 5,000円
B席 4,000円
(25歳以下学生 3,000円)

勅使川原三郎さんは、去年パリ・オペラ座バレエで新作「Darkness is hiding black horses」を上演し、オーレリー・デュポン、ニコラ・ル=リッシュが出演しました。来年も再び、ニコラ・ル=リッシュらとのコラボレーションが予定されているそうです。(2015年3月、藤倉大さんのオペラへの振付)

NHK BS1 国際報道で22日(火)マリインスキー・バレエの石井久美子さんが登場(日時変更)

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マリインスキー・バレエに日本人として初めて入団した石井久美子さんが、「NHK BS1 国際報道」の中で取り上げられます。

NHK BS1 国際報道2014
2014年4月17日(木) 午後10:00~午後10:50(50分)

追記:。
本日放映予定だった石井久美子さんの出演番組ですが、急遽延期となりました。

4月22日(火)午後10時よりBS1にて放映予定です。

最高峰のロシアバレエに挑む・石井久美子さん19歳ほか 
*放送内容は変更の場合があります

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2014-04-17&ch=11&eid=15703&f=3039

今週末は、バレエに関連するテレビ番組がたくさんありますので、お見逃しなく!

4/20(日)11:00〜11:54 BS-TBS
「“踊る精霊”ヤン・リーピン」〜驚異の新作「孔雀」の秘密〜
http://www.tbs.co.jp/event/ylp2014/

4/20(日)21:00〜 NHK Eテレ
「NHKバレエの饗宴2014」
http://www4.nhk.or.jp/ongakukan/
http://www.nhk-p.co.jp/concert/20140329_151331.html

4/21(月)(※4/20深夜)0:30〜4:35
BSプレミアム プレミアムシアター
マリインスキー劇場 バレエ『シンデレラ』
英国ロイヤル・バレエ『不思議の国のアリス』
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

4/28(月)(※4/27深夜)3:08〜4:40
BSプレミアム プレミアムシアター
ベジャール・バレエ団「80分間世界一周」
http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

4/10 YAGP 15th Anniversary “Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow” Gala

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YAGP(ユースアメリカグランプリ)のファイナルの後は、2つのガラ公演が行われます。YAGPの出身者をメーンに、世界中のスターダンサーが集結する公演です。1つ目の「YAGP 15th Anniversary “Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow” Gala」は、YAGPで受賞したダンサーの卵たちも観られる公演となっています。

Dance Europeのサイトで、写真をいくつか見ることができます。
http://www.danceeurope.net/gallery/yagp-stars-of-today-meet-the-stars-of-tomorrow-gala-2014


ACT I: “Stars of Tomorrow”
まずは、ジュリアード音楽院の生徒によるピアノ演奏から始まりました。それから、ポルトガルの10歳のトリオによる「人形の精」ものすごくかわいいんだけど、テクニックはしっかりしていて、男の子はちゃんとリフトもできるところが凄いです。女の子も、しっかりきっちりとピルエット3回転を軽々とこなしていました。
ジュニア女子1位のAviva Gelfer-Mundi「パキータ」 、ジュニア男子グランプリのHarrison Lee の「パリの炎」、シニア男子1位の二山治雄さん「ラ・バヤデール」、そしてシニアグランプリのセザール・コラレス「ドン・キホーテ」が演技を披露。ここでも見事だった二山さんは大きな歓声を浴びていました。シニア女性3位のMadalyn Wooはバレエシューズで「Incognito」というスタイリッシュなコンテンポラリーの作品を踊りました。

そして、凄かったのが、アンサンブル部門銀メダルのEscuela Superior de Music y Danza de Monterrey, Mexicoの「Jaime Sierra's Legion」。23人の男性ばかりの群舞なのですが、みんな並外れた身体能力の持ち主で、ずらり並んだダンサーたちの上を一人のダンサーが駆け抜けて行ってジャンプ、とか、ものすごい迫力です。かっこよかった。

間に、NYCBのサラ・マーンズとタイラー・アングルがロビンスの「In G Major」をピアノの演奏に合わせて踊ります。しっとりした作品でサラ・マーンズの音感の良さ、情感が光りました。

1部の最後はグラン・デフィレ。YAGPに出場した300人以上もの生徒たちが一つの作品を踊ります。デフィレといっても、歩くだけではなく踊る場面が多くて、真ん中でソリストが超絶技巧を披露するシーンも挿入されています。チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」の曲に合わせてCarlos dos Santos, Jrが振付けた作品。全体で合わせるリハーサルも数回しかできなかったということで、たまに振りを間違えている子がいるのはご愛嬌だけど、これだけの人数が舞台の上に乗って回転したり跳躍しているとやはり圧倒的なものを感じます。

グラン・デフィレのリハーサル映像
http://youtu.be/sN6l3-SiqTw

YAGPの紹介ビデオということで、世界中のバレエ団の芸術監督のコメント映像と、コンクール出身ダンサーたちの映像が流れました。このコンクール出身のダンサーは、世界中で活躍していて、スターダンサーも多いです。たとえば、シュツットガルト・バレエでもっと最近プリンシパルになった若手の二人、ダニエル・カマルゴとコンスタンティン・アレンは二人ともYAGPで賞をもらい、ジョン・クランコスクールへのスカラシップを得ています。ABTの団員のうち、このコンクールに参加したのは実に31人、ロイヤル・バレエには13人、NYCBは10人、オランダ国立バレエも10人(「ファースト・ポジション」に出演したミケーラ・デ・プリンスもオランダ国立バレエに入団)、などと、世界中で出身者は活躍しています。


ACT II: “Stars of Today”

それぞれの演目の上演前に、出演ダンサーや振付家のインタビュー映像が流れていて、これもまた楽しみの一つでした。

Pas de Duke – Excerpt
Choreography: Alvin Ailey
Music: Duke Ellington
Linda Celeste Sims (Alvin Ailey American Dance Theater)
Daniil Simkin (American Ballet Theatre)

アルヴィン・エイリーがミハエル・バリシニコフとジュディス・ジャミソンのために1976年に振付けられたという作品。本来はやはりアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターのアリシア・グラフ・マックが踊る予定だったのが、怪我により同じカンパニーのリンダ・セレステ・シムズが踊った。背の高い女性と背の低い男性が踊ることによっての笑いが含まれる作品なのだけど、リンダはシムキンよりは小柄なのでその辺のおかしみはなかった。男女の掛け合いが特徴的な、とてもユーモラスな作品なのだけど、シムキンは腰振りダンスなどに遠慮が見られてしまってその辺のジャジーで遊び心あるニュアンスはあまりうまく出せていなかった。カンパニーでもよくこの作品を踊っているというリンダのほうが、動きが体に入っているのは致し方ない。でも、二人とも素晴らしいテクニックの持ち主だし、シムキンの驚くほど柔らかな跳躍はたくさん観ることができた。


Being Natasha - WORLD PREMIERE
Choreography: Gemma Bond
Music: Karen LeFrak

Skylar Brandt*
Sarah Lane*
Lauren Post*
Katherine Williams*
Calvin Royal III*
Luis Ribagorda
and Gabe Stone Shayer*
(American Ballet Theatre)
Accompaniment by Eileen Moon (Cello)
and Theodore Primis (Horn)

ABTのコール・ド・バレエの女性ダンサーであるジェマ・ボンドがこのガラのために振付けた。作曲をしたKaren LeFrakも舞台に登場し、この曲に振付けるというのがコンセプトのよう。黒い衣装のダンサーたちが、何人かずつ幅広のひも状のもので繋がれながら踊るというものだったのだけど、まとまりもなく、せっかく良いダンサーを取り揃えていたのに面白くない作品だった。生演奏ではあったけど、現代的な音楽もあまりダンス向きとは思えなかった。


Solo from Manfred
Choreography: Rudolph Nureyev
Music: Peter Tchaikovsky

Mathias Heymann* (Paris Opera Ballet)

意外にもマチアス・エイマンはYAGPのコンクールに出場した経験があるのだった。オペラ座学校から出場したなんて珍しい。この「マンフレッド」は、去年のヴィシニョーワ・ガラでも踊っているので、日本のファンにもおなじみの作品。ヌレエフ特有の難しいパを含み、とても情熱的で悲劇的なソロは、今のマチアスのドラマティックな表現力や輝かしいテクニックを見せるにもピッタリの作品。


Pas de Deux from Onegin
Choreography: John Cranko
Music: Kurt-Heinz Stolze after Peter Tchaikovsky

Olga Smirnova (Bolshoi Ballet)
Evan McKie - NEW YORK DEBUT
(Stuttgart Ballet / National Ballet of Canada)

昨年夏にボリショイ・バレエが「オネーギン」を上演した際に、エヴァン・マッキーがゲスト出演して踊ったのを観て、オルガ・スミルノワが彼と共演したいと熱望し、実現したのがこのガラでの共演だった。スミルノワは落ち着いた雰囲気がありながらも若いタチヤーナで、心が揺らいでいるのが良く伝わってきて、特にオネーギンが去った後の心が乱れる雰囲気は繊細かつ表現力豊かで、彼女の新しい一面を見せた感じがする。イザベル・シアラヴォラのタチヤーナを観たときも思ったのだけど、タチヤーナ役のダンサーは、スカートの裾から見せる足の甲が美しくなければ話にならない。そういう点でも、甲の美しいスミルノワには適役だったと言える。エヴァンのオネーギンは、いつもの彼のオネーギンだけどやはり相手が若い分、こちらもより若い青年らしい情熱を出していたように見えた。初めての共演とは思えないくらい息は合っていたが、「オネーギン」って全幕で観たい作品だから、これは今後この二人の共演を改めて観たい。お客さんの喝采はスタンディングオベーションが飛び出す大きなもので、この後に登場するラカッラの「白鳥」とこれが一番盛り上がったと言えるだろう。


Ameska – WORLD PREMIERE
Choreography: Derek Hough
Music: Ameska
Costumes: Vesa Designs
Projection Design: José Parla

Misty Copeland (American Ballet Theatre)
with Paul Barris
Alexander Demkin
and Roman Kutskyy (Ballroom Guest Artists)

人気番組「Dancing with the Stars」の振付家が、ABTのミスティ・コープランドと3人の社交ダンスの人気ダンサーに振付けた作品。ラテンダンスがベースだけどミスティはポワントを履いて踊った。まだプリンシパルにはなれないミスティだが、かのプリンスが惚れ込んだだけあってスター性、華やかさは抜群で、3人の男性たちを翻弄する魅力的な女性を情熱的に演じていた。


White Swan Pas de Deux from Swan Lake
Choreography: Marius Petipa
Music: Peter Tchaikovsky

Lucia Lacarra and Marlon Dino
(Bavarian State Ballet)

このガラの白眉の一つ。ラカッラの白鳥は、見事にしなる脚、腕の繊細な表現、詩情とドラマティックさに、思わず息を呑み引き込まれてしまう。白鳥のグラン・アダージョでこれだけ饒舌でいて、それでいて彼女の心に寄り添わずにはいられないような悲劇的で限りなく美しいものを観たことがない気がする。ロシア系の白鳥とはまた別物だけど、クラシックバレエの美しさを見せて、圧倒的だった。


Millenium Skiva
Choreography: Moses Pendleton
Music: Brainbug

Nicole Loizides and Steven Ezra* (MOMIX)

銀色の全身タイツに身を包んだ男女二人のダンサーが、スキー板を履いて驚異的なバランス芸を見せる。センス・オブ・ワンダーにあふれていて、なんとも楽しい逸品。とてもコミカルなんだけど、この振付をこなすのにどれほど強靭な身体能力が必要なことなんだろう。翌日上演された作品も楽しかったし、このカンパニーMOMIXの作品はもっといろいろ観てみたいなと思った。今まで全然知らなかったアーティストのことを知ることができるのも、ガラの醍醐味である。

男性ダンサーは別の人だけど、ここに映像があるのでぜひ。
http://youtu.be/BmTt9pEkRaA


Pas de Deux from Don Quixote
Choreography: Marius Petipa
Music: Ludwig Minkus

Iana Salenko (Berlin State Ballet)
with Joseph Gatti* (Principal Guest Artist)

ガラの最後は、やはり盛り上がらなくちゃ、ということで「ドン・キホーテ」。先に踊ったセザール・コラレスのバジルも見事だったけど、やはりプロは魅せ方が違う。ジョセフ・ガッティは小柄だけどテクニシャンで、軽やかに跳躍を決めるし、特にコーダでのア・ラ・スゴンドのピルエットは一度減速したと思ったら再び加速して綺麗にフィニッシュした。ヤーナ・サレンコは、得意の長いバランスを決め、グラン・フェッテでは後半を全部ダブルにしてやはりテクニックの強さを見せた。ただ、この二人はとてもうまいのだけど意外と地味なのであった。アメリカだともう少しお祭り感があったほうが盛り上がるのかもしれない。


最後のカーテンコールには、グラン・デフィレに出演した子供たちも全員登場した。世界のスターたちと同じ舞台に立てた経験は、彼らにとってかけがえのないものだっただろう。

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5月7日発売ELLE DECORにエレオノラ・アバニャート、エルヴェ・モローが登場

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5月7日に発売されるELLE DECORに、パリ・オペラ座エトワールのエレオノラ・アバニャート、エルヴェ・モローが登場予定だそうです。メイキング写真が届きましたので、いち早くご紹介しますね。

http://www.elle.co.jp/decor
(まだ6月号の情報は掲載されていません)

パリのパレ・デ・トーキョーで撮影。8ページにわたって繰り広げられ、アルマーニをまとった二人が「牧神の午後」を思わせるポーズを取ったり、長い腕を伸ばしてリフトしたり、とメイキングを見ただけでうっとりで、どんな誌面になるのか楽しみすぎます。

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メイキング映像も短いですがこちらで

Photographer : Gonzalo Machado
Realization : Martine de Menthon assisted by Manon Sarron
Make-up Artist : Marie Duhart c/o Atomo Management
Hair Stylist : Franco Argento c/o Atomo Management
Location : Palais de Tokyo


言うまでもなく、エレオノラ・アバニャート、エルヴェ・モローは今年7月~8月の「エトワール・ガラ2014」に出演。美しい二人の踊りは今から待ちきれません。

エトワール・ガラ2014
2014年7月30日~8月3日 Bunkamuraオーチャードホール
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/14_gala/index.html

ブノワ賞のノミネート発表

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バレエ界でも最も権威のある賞の一つであるブノワ賞のノミネートが発表されました。

http://benois.theatre.ru/massmedia/news/

ノミネートされた演目については、ボリショイのサイトに載っていました。
http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/2014/2925/

Nominees of Benois de la Danse-2014:

CHOREOGRAPHERS:
PATRICK DE BANA (Vienna State Ballet), パトリック・ド・バナ  "Windspiele" to music by Tchaikovsky
FEI BO (National Ballet of China) "Bolero" by Maurice Ravel,
ALEXEY RATMANSKY (American Ballet Theatre),  アレクセイ・ラトマンスキー "Ninth Symphony""String Quartet" and "First Piano Concerto" to the music of Shostakovich, "The Tempest" to the music of Sibelius
MAURICIO WAINROT (Ballet Contemporaneo del Teatro San-Martin, Buenos Aires); "Song of the Earth" to the music of Mahler

BALLERINAS:
ASHLEY BOUDER (New York City Ballet), アシュリー・ボーダー "Symphony of the Far West" to the music of J. Kay, Choleric - " The Four Temperaments "to music by Hindemith, "Veszprem" to music B. Moretti, choreography by Bigonzetti, Cigarette - "Namuna" E. Lalo, choreography by Alexei Ratmansky
LAURA HECQUET (National Paris Opera), ローラ・エケ Princess Aurora - "Sleeping Beauty" P. Chakovsky, choreography by Rudolf Nureyev by Marius Petipa
MARIKO KIDA (Royal Swedish Ballet), 木田真理子 "Romeo and Juliet" to music by Tchaikovsky, choreography by Mats Ek
NADIA MUSIKA (Teatro Colon, Buenos Aires), Greta - "Cinderella" to the music of Johann Strauss, R. Zanella choreography
POLINA SEMIONOVA (American Ballet Theatre), ポリーナ・セミオノワ Partita" to the music of JS Bach, choreography by Twyla Tharp, "Les Sylphides" to the music of Chopin, choreography by Fokine, "Ninth Symphony" to the music of Shostakovich, choreography by Alexei Ratmansky
VICTORIA TERESHKINA (Mariinsky Theatre), ヴィクトリア・テリョーシキナ "Carmen Suite" F . Bizet - Rodion Shchedrin
LIU YU YAO (The Hong Kong Ballet); Valencia - The Merry Widow (Lehar F. / R. Hynd)

DANCERS:
TIMUR ASKEROV (Mariinsky Theatre), ティムール・アスケロフ Basile - "Don Quixote" by L. Minkus, choreography by Alexander Gorsky, Prince Desire - "Sleeping Beauty" P. Chakovsky, choreography by Marius Petipa of Konstantin Sergeyev
AUDRIC BEZARD (National Paris Opera), オドリック・ベザール Prince Desire - "Sleeping Beauty" P. Chakovsky, choreography by Rudolf Nureyev
HERMAN CORNEJO (American Ballet Theatre), エルマン・コルネホ Aminta - "Sylvia" L. Delibes, Frederick Ashton choreography, Caliban - "The Tempest" by Sibelius music, choreography by Alexei Ratmansky, "Ninth Symphony" the music of Shostakovich, choreography by Alexei Ratmansky, American Ballet Theatre, "Sherry" to the music of Debussy and others, choreographer M. Clark Theatre Signature, New York, Off-Broadway
CLAUDIO COVIELLO (La Scala), Quasimodo - "Notre Dame de Paris" by M. Jarre choreography R. Petit
NIKLAS EK (Royal Swedish Ballet), Prince Furst - "Romeo and Juliet" to music by Tchaikovsky, choreography by Ek
SHEN JIE (The Hong Kong Ballet), Pao Yew - "Dream of the red room" on the music of M. Nyman, choreographer Wang Xin Peng
JUAN PABLO LEDO (Teatro Colon, Buenos Aires).  Prince Siegfried - "Swan Lake" P. Chakovsky, Editorial P. Wright, Ballet Teatro Colon, Buenos Aires


スウェーデン王立バレエの木田真理子さんがノミネートされているのは快挙です。彼女が主演したマッツ・エック振付「ロミオとジュリエット」は間もなくDVDが発売され、来年1月にはパリのガルニエで公演が行われます。

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Tchaikovsky

C Major 2014-04-29
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http://youtu.be/ynIWouIIEAc

さて、審査員は以下の通りです。

審査員長 Yuri Grigorovich
Carla Fracci (Italy)
Ana Laguna (Sweden)
Gabriela Komlev (Mariinsky Theatre)
Agnes Letestu (France)
Madeleine Not (artistic director of the Hong Kong Ballet)
Lidia Segni (artistic director of the ballet troupe Teatro Colon in Buenos Aires Argentina)
Beverly D'Anne (head of the dance art Art Committee of New York)

いつも思うのですが、ノミネートで選ばれるダンサーの一部は、審査員と関係の深いカンパニーから選ばれているので?と思うことが多いのですよね。

アリーナ・コジョカル〈ドリーム・プロジェクト〉コジョカル出演作品ほか追加情報

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アリーナ・コジョカル〈ドリーム・プロジェクト〉のコジョカル出演作品ほか追加情報が発表されています。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/1202-cojocaru/20140418.html#001926

コジョカル出演作品

■Aプロ 7/20(日)3:00pm、7/21(月・祝)3:00pm、7/22(火)6:30pm

「リリオム」(ジョン・ノイマイヤー振付) 出演:アリーナ・コジョカル&カースティン・ユング
「白鳥の湖」第2幕(レフ・イワーノフ振付) 出演:アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー、東京バレエ団
「海賊」ディヴェルティスマン(マリウス・プティパ振付) 出演:アリーナ・コジョカル ほか全員

■Bプロ 7/25(金)6:30pm、7/26(土)3:00pm、7/27(日)3:00pm

「真夏の夜の夢」(ジョン・ノイマイヤー振付)  出演:アリーナ・コジョカル&ダヴィッド・チェンツェミエック
「レディオとジュリエット」(エドワード・クルグ振付) 出演:アリーナ・コジョカル、ダヴィッド・チェンツェミエック、ロベルト・エナシェ、オヴィデュー・マテイ・ヤンク、ルカス・キャンベル、クリスティアン・プレダ、堀内尚平


A・Bプロにルーマニア国立バレエ団のダヴィッド・チェンツェミエック(元ロイヤル・バレエのソリスト)と日高世菜さんが、Bプロにベルリン国立バレエ団のヤーナ・サレンコ、及びルーマニア国立バレエ団から5人のダンサー(「レディオとジュリエット」)が出演することが決定したとのことです。

レイディオヘッドの音楽を使用した「レイディオ&ジュリエット」はキエフ・バレエ、西オーストラリアバレエなど多くのバレエ団のレパートリーとして上演されており、いつか生で観たいと思っていた作品なので嬉しいです。スロヴェニア国立マリボール劇場のために2005年にエドワード・クルグが振付けた作品です。

日高世菜さんと吉田周平さん(吉田さんは残念ながら今回のメンバーには入っていませんね)の出演したルーマニアのテレビの映像
http://youtu.be/2EvfX-wEWLk

海外で活躍する日本人ダンサーの踊りが見られるのは嬉しいですよね。

デニス・マトヴィエンコとアナスタシア・マトヴィエンコが踊る「レイディオとジュリエット」
http://youtu.be/6uMINkADw5A

竹島由美子さん、ラリッサ・レジュニナ、ルシンダ・ダン、ダリア・クリメントヴァの引退

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今年は残念ながら引退されるバレリーナがたくさんいます。

レオタードブランドYumikoでおなじみ、ドレスデン・バレエのプリンシパル竹島由美子さん。振付家デヴィッド・ドーソンのミューズとして彼の多くの作品の初演キャストを務め、また衣装デザインの世界でも活躍している彼女。最後の舞台は、初演キャストを務めたドーソンの「ジゼル」です。4月22日が最後の舞台となります。サンフランシスコバレエスクールを卒業し、ユニバーサル・バレエ、アルバータ・バレエなどを経て13年間在籍したオランダ国立バレエではプリンシパルに。2002年にはYumikoブランドを創設して大成功を収めてきました。

http://www.semperoper.de/en/ballett/aktuell/abschiedsvorstellung-yumiko.html

こちらに、彼女のインタビューが載っています。
http://www.bellafigura.fr/2014/04/interview-yumiko-takeshima-dresden-ballet/

昨年長男を出産した竹島さん。Yumiko事業も順調でスペインの工場に30人の従業員を雇っており、NYに続きベルリンにも新しいショップを開店させたとのことです。また、ドーソン以外の振付家、フォーサイス、ラトマンスキー、ヨルマ・エロなどにも美しい衣装デザインを提供しており、衣装デザインの依頼は引きも切らないそうです。日本ではバレエコンクールの審査員の依頼などもあり、活躍の場はますます広がりそうです。


マリインスキー・バレエを経てオランダ国立バレエで活躍しているラリッサ・レジュニナは、5月20日に「Ballerina」プログラムで引退します。1969年に生まれた彼女は、マリインスキー・バレエで頭角を顕し、1989年ルジマトフと共演した「眠れる森の美女」のDVDでは可憐なオーロラを演じています。1994年にオランダ国立バレエにプリンシパルとして移籍しました。2008年には新国立劇場バレエ団の「シンデレラ」にゲスト出演しましたが、1幕で怪我をしてしまい途中降板しました。

http://balletnews.co.uk/ballerina/

さよなら公演では、彼女は「ライモンダ」のパ・ド・ディスと、ハンス・ファン・マーネン振付「The Old Man and Me」を踊ります。


オーストラリア・バレエのプリンシパル、ルシンダ・ダンは4月23日の「マノン」で引退します。世界バレエフェスティバルにも2回出演し、オーストラリア・バレエの来日公演でも活躍して素晴らしい技術、そしてカリスマ性あふれる演技力で観客を魅了した彼女。ローザンヌ国際バレエコンクールには、熊川哲也さんと同じ年に出場しました。23年間の輝かしいキャリアが終わったことを惜しむファンは多かったようです。特に来日公演の「白鳥の湖」でのロットバルト男爵夫人役で見せた演技は圧倒的でした。

http://www.dailytelegraph.com.au/entertainment/arts/lucinda-dunn-bids-a-triumphant-farewell-in-manon/story-fniv7r7y-1226874955532

ちなみに、オーストラリア・バレエの「マノン」の4月19日と22日の公演には、アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーがゲスト出演します。また、ABTが6月に上演する「マノン」では、当初予定されていたデニス・マトヴィエンコが怪我をしたため、オーストラリア・バレエのケヴィン・ジャクソンがゲスト出演します。

オーストラリア・バレエのブログにルシンダの写真がいくつか掲載されています。また、彼女の思い出について、ファンからの投稿を募集しているところが、さすがソーシャルメディアの使い方の上手いバレエ団です。
http://www.behindballet.com/lucindas-choice/


ENBのプリンシパルとして活躍してきたダリア・クリメントヴァは、今年6月22日の「ロミオとジュリエット」で引退します。プラハ国立バレエ時代を含めると25年間ものキャリアでした。もっと早く引退すると思われていた彼女は、ワディム・モンタギロフとの出会いによって素晴らしいパートナシップを発揮し、感動的な舞台をたくさん残しました。その様子は、ENBを取り上げたドキュメンタリー番組「Agony and Ecstasy」で描かれています。「アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト」でのムンタギロフとの「くるみ割り人形」、そして新国立劇場バレエ団「ジゼル」と日本での感動的な舞台も記憶に新しいところです。

ムンタギロフはロイヤル・バレエに移籍しますが、ダリア・クリメントヴァの引退公演のために「ロミオとジュリエット」にはゲスト出演します。

http://dancetabs.com/2014/02/daria-klimentova-to-retire/


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NHK国際報道「最高峰ロシアバレエに挑む 石井久美子さん」は今日10時放映

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先週ほかのニュースで流れてしまった特集が、今日放映されます。

NHK BS-1 22時より

http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/

最高峰ロシアバレエに挑む 石井久美子さん

ロシア・サンクトペテルブルグにあるマリインスキー・バレエ団に所属する石井久美子さん(19)。しなやかな体と長い手足をいかした回転技の美しさが持ち味だ。去年9月、ロシアにわたる直前の石井さんを取材し、新天地で挑戦する意気込みを紹介した。それから半年。日々の厳しいレッスンや、舞台での経験を積み重ねながら成長し続けている。約300人の団員のうち、唯一のアジア人女性として最高峰のロシアバレエに挑む石井さんの姿を追う。

ハンブルグ・バレエの2014/15シーズン/追記:ティアゴ・ボアディンの移籍

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ハンブルグ・バレエの2014/15シーズンが発表されました。

http://www.hamburgballett.de/e/index.htm

新作は、2作品。まずは「ナポリ」。ブルノンヴィル振付のをベースにして、ロイド・リギンスが、失われている2幕の振付に代わって新しい振付を追加します。
そして「ペール・ギュント」は、ノイマイヤーが1999年に振付けていますが、改訂が加えられています。音楽はアルフレッド・シュニトケ。

2004年に上演されたのが最後である「冬の旅」がレパートリーに入ってきます。来日公演でも上演された作品ですね。

ツアーは、コペンハーゲン、バーデンバーデン、ウィーン、マドリッド、ザルツブルグ、ヴェネツィアそしてオマーンのマスカットです。来日公演はやはりありませんでした。もうずいぶんと日本に来ていないので、そろそろ来日してほしいのですが。

公演カレンダーはこちらです。
http://www.hamburgballett.de/form/spielzeit_14_15.pdf
,

来シーズンのゲストプリンシパルは、アリーナ・コジョカルと、アミルカ・モレ・ゴンザレス。現ミュンヘン・バレエのKaren Azatyanが、ソリストとして入団。また、研修生の中に菅井円加さん(一昨年のローザンヌ国際コンクール一位)の名前があります。
http://www.hamburgballett.de/e/ensemble.htm

一方、来シーズンのパンフレットを見ると、現プリンシパルのアンナ・ポリカルポヴァとティアゴ・ボアディンの名前が消えています。(94ページ目)
http://www.hamburgballett.de/form/vorschau_14_15.pdf


上演作品は以下となります。

新作
Napoli or The Fisherman and his Bride 「ナポリ」
Peer Gynt 「ペール・ギュント」

リバイバル上演
Giselle 「ジゼル」
Winterreise 「冬の旅」

Death in Venice 「ヴェニスに死す」
Othello 「オテロ」
Tatiana 「タチヤーナ」
The Nutcracker 「くるみ割り人形」
Christmas Oratorio I-VI 「クリスマス・オラトリオ」
Liliom 「リリオム」
The Little Mermaid 「人魚姫」
Messiah 「メサイア」
Préludes CV 「プレリュード CV」
Romeo and Juliet 「ロミオとジュリエット」
Onegin – Choreography: John Cranko 「オネーギン」
Skakespeare Dances  As You Like It, Hamlet, VIVALDI or What you will 「シェイクスピア・ダンス」
Nijinsky Gala XLI ニジンスキー・ガラ

6月28日~7月12日 ハンブルグ・バレエ週間

ハンブルグ・バレエは上演作品がとても多いので(その分一つ一つの作品の上演回数は少なめ)、これを一つ一つ覚えて踊らなければならないダンサーは大変だろうなと思います。

追記:ティアゴ・ボアディンは、来シーズンよりNDTに移籍します。NDTの来期シーズンパンフレットに団員として写真が載っています。
https://view.publitas.com/nederlands-dans-theater/ndt-seizoen-14-15/page/12-13

サシャ・ラデツキーがABTを退団

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映画「センターステージ」にも出演したABTの人気者、サシャ・ラデツキーが退団することが発表されました。(本人のTwitterではすでに公表済み)

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=479

最後の彼の出演は、7月3日の「コッペリア」のフランツ役です。相手役はシオマラ・レイエス。

サシャ・ラデツキーはボリショイ・アカデミーで名教師ピョートル・ペストフに師事し、またキーロフ・アカデミー、スクール・オブ・アメリカン・バレエ、サンフランシスコ・バレエスクールなどで学びました。1996年にABTに入団。2003年にソリストに昇進し、シンデレラの王子はじめ主要な役を演じてきました。

2008年にはオランダ国立バレエにプリンシパルとして移籍して「ジゼル」のアルブレヒトや「ドン・キホーテ」のバジル役などを踊りましたが、その後ABTに復帰。人気が高く優れたダンサーであったのになかなか昇進の機会が得られなかったのは残念でした。

夫人であるABTのソリスト、ステラ・アブレラとともに、サシャは最近より、アンソニー・チューダー財団で振付指導者を目指して学んでいます。

また、2015年に放映されるバレエ界を舞台にしたドラマ「Flesh and Bone」に彼は出演する予定です。このドラマは、ドレスデン・バレエのサラ・ヘイが主演するほか、イリーナ・ドヴォロヴェンコなども出演。また盟友イーサン・スティーフェルが振付と監修に参加しています。

サシャ・ラデツキーは文章が上手なことでも知られており、Newsweek誌に寄稿したことがあるほか、アメリカのダンスマガジン誌などに記事を書いています。今後の彼の活躍に注目したいところです。

******
ところで、現在ABTは深刻な主演ダンサー不足に見舞われています。デヴィッド・ホールバーグがボリショイ・バレエに移籍した穴が大きく、彼もABTに出演するものの出演回数は大幅に減りました。ゲストプリンシパルのデニス・マトヴィエンコが怪我をしてしまってMETシーズンは全降板。また、コリー・スターンズも怪我で5月中まで降板します。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=475

スターンズが出演する予定だった「ドン・キホーテ」はマルセロ・ゴメスが代わりに出演。「ラ・バヤデール」は、デンマークロイヤルバレエから、アルバン・レンドルフがゲスト出演。そして「マノン」はオーストラリア・バレエのケヴィン・ジャクソンがゲスト出演します。さらに「テーマとヴァリエーション」では、NYCBのアンドリュー・ヴィエットがゲスト出演します。NYCBも隣の劇場で公演中なのに、ABTにゲストダンサーを出すとは前代未聞の事態です。

スターンズの回復時期が不明のため、まだ他に埋めなければならないと思われる穴があるのですが、ソリストで代役として今回のキャスト変更に出演するのは、ジャレッド・マシューズのみです。世界中のバレエ団に、代役のダンサーを出してほしいという依頼をABTは出しているようです。サシャ・ラデツキーのような実力のあるダンサーに主役を踊らせず、また若手ダンサーを育てるのを怠ってきたツケがまわってきたようです。

なお、METシーズンでは、マリインスキー・バレエよりウラジーミル・シクリャーロフとヴィクトリア・テリョーシキナ、ボリショイのオルガ・スミルノワが「ラ・バヤデール」にゲスト出演します。また「白鳥の湖」にはアリーナ・コジョカルがゲスト出演する予定です。

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4/11 YAGP 15th Anniversary Closing Night Celebration、セルゲイ・フィーリンのトークショー

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YAGPのガラ2日目は、コンクール出場者の出演が少な目のアニバーサリー・ガラでした。ガラが始まる前に、セルゲイ・フィーリンのトークショーがホワイエで行われたのでそれを聴きました。通訳をはさんでの30分ちょっとの短い間だったので、本当に少しだけ。フィーリンは元気そうでした。

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「YAGPの創設者であるラリッサ・サヴェリエフとはモスクワのバレエ学校で一緒だったのだが、彼女の行っていることは称賛に値する。YAGPでは、ナアリア・マカロワ、ウラジーミル・ワシーリエフらの偉大なダンサーをたたえるガラ、そして偉大な教師ピョートル・ペストフをたたえるガラを行っている。優れた教師はボリショイの歴史や伝統を支えている。偉大なダンサーは引退後教師となって、ボリショイの伝統を手から手へと伝えて行っているのだ」

「1988年にボリショイに入団した時には、マリーナ・セミョーノワが教師としていたし、私を教えてくれたのはニコライ・ファジェーチェフだった。先輩のバレリーナたちはセミョーノワの教え子たちで、彼女があまりにも偉大なので自分はたくさん頑張らなければならないと思ったのだった。まずは正しく歩いたり立ったりするところから学ばなければならなかった。できるようになったその次から、やっと踊ることを始められるのだった。ボリショイ・バレエは人生の学校でもあった。ロシアのバレエの伝統を維持する努力について、私は語りたいと思う」

「ボリショイ・バレエでは様々な振付家と仕事をしている。ボリショイには、新劇場と、歴史的な大劇場の二つがある。大劇場では、バランシンの「ジュエルズ」、クランコの「オネーギン」、ノイマイヤーの「椿姫」などを上演している。新劇場では、マッツ・エック振付の「アパートメント」、マクレガーの「クローマ」、キリアンの作品、そして今度、ジャン=クリストフ・マイヨーがボリショイのために今度振付ける「じゃじゃ馬ならし」7月に上演します。マイヨーが他のカンパニーで新作を振付けるのは今回が初めてです」

「デヴィッド・ホールバーグを入団させた理由?それは彼がハンサムだからです(笑)。冗談はさておき、彼は大変知的なダンサーなのがわかったからです」

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YAGP Fifteenth Anniversary Closing Night Celebration

こちらも、まずはジュリアード音楽院の生徒が演奏する「熊蜂の飛行」の見事な演奏から始まった。そして、シニア部門で入賞したデヴィッド・フェルナンド・ナヴァロ・ジュデスの「ドン・キホーテ」、ロック・スクールのアンサンブルによる踊りなども。

Three Preludes
Choreography: Ben Stevenson O.B.E.
Music: Sergey Rachmaninoff

Lucia Lacarra and Marlon Dino (Bavarian State Ballet)
Accompaniment by David Aladashvili (Piano)

前日の「白鳥の湖」が素晴らしかったラカッラ。今日は、ベン・スティーヴンソン振付の「3つの前奏曲」。今度、エトワール・ガラ2014でドロテ・ジルベールとオドリック・ベザールが踊る予定の作品。3つのパートに分かれており、最初のパートではバーレッスン用のバーが置いてあり、ペアがバーを隔てて踊る。やがてこの二人の心が通じ合うようになり、女性がバーの上に乗り、さらにリフトされるというとても美しいシーンがクライマックス。2つめのパートからはバーは取り去られてパ・ド・ドゥが繰り広げられる。ラフマニノフのドラマティックなピアノの演奏によって綴られる作品で、ラカッラの美しいライン、抒情性が発揮されていた。


Kübler Ross - WORLD PREMIERE
Choreography: Andrea Schermoly
Music: Antonio Vivaldi
Projection Design: Zack Bennett with Kevin Schlanser

Maria Kochetkova (San Francisco Ballet)
and Joaquin De Luz (New York City Ballet)

振付のアンドレア・シェモリーは紹介映像とカーテンコールにも登場。元ボストン・バレエ、NDTのダンサーで金髪の美しい女性。人気者のマリア・コチェトコワとホアキン・デ・ルースが踊ったのだが、作品は期待外れ。舞台の奥のスクリーンに、お花畑や、コチェコトワ、デ・ルースの顔の大写しなどが映し出されるのだが、その映像があるために舞台上の踊りそのものに集中できず、また振付自体もほとんど印象に残らなかった。素晴らしいダンサー二人の無駄遣いのようだった。映像と踊りのコラボレーションというのは、よほどのことがない限り難しい。


Wiegenlied Pas de Deux – WORLD PREMIERE
Choreography: Evan McKie
Music: Richard Strauss
Costumes: Evan McKie

Olga Smirnova (Bolshoi Ballet)
and Evan McKie – NEW YORK DEBUT
(Stuttgart Ballet / National Ballet of Canada)

前日に続き今日もボリショイのオルガ・スミルノワとエヴァン・マッキーの共演。今回はエヴァンがこのガラのために振付けた作品で、リヒャルト・シュトラウスの子守歌に振付けられたもの。会場にも来ていた彼のお母さんに捧げられた作品とのこと。自分の振付作品をこういう大きなガラで初公開するのって、どんな作品かわからないしちょっと不安だったのだが、ふたを開けてみたらとても美しい作品だった。白いドレスのスミルノワと、白いタイツのエヴァン。エヴァンがオルガを高々とリフトしてゆっくり回転させ、オルガは包み込むように腕を柔らかく動かす。歌の入った音楽、リフトを多用するといった点では、以前観た彼の作品とも共通しているものがある。二人の長い肢体、柔軟性、優しく温かい雰囲気が良く合っていて、素敵だった。


Pas de Deux from La Sylphide
Choreography: August Bournonville
Music: Herman Severin Løvenskiold

Ashley Bouder (New York City Ballet)
and Semyon Chudin (Bolshoi Ballet)

こちらも、別々のカンパニーのダンサーを組み合わせるという趣向。なかなかこういうのは観られないので面白い。アシュレー・ボーダーはシルフィードというイメージはあまりないけれども、さすがに高度なテクニックを誇るだけあって、足さばきは見事だし跳躍も軽やかでいたずらっぽい妖精の雰囲気が良く出ていた。チュージンのブルノンヴィルというのも珍しいけれども、ジェームズ役を当たり役としていたフィーリン直々の指導が実って、こちらの足さばきも鮮やかで良かった。


Light Rain
Choreography: Gerald Arpino
Music: Douglas Adamz and Russ Gauthier

Beckanne Sisk* (Ballet West)
and Fabrice Calmels (Joffrey Ballet)

去年の「マラーホフの贈り物ファイナル」でルシア・ラカッラとマーロン・ディノが踊った作品。ファブリス・キャメルズは、パリ・オペラ座学校出身で、プリンシパルとして踊っているダンサーとしては最も身長が高いとされているダンサー、2メートル近い長身の素晴らしい肉体の持ち主。この作品は、二人のダンサーが、やや単調だけど耳に残る旋律に合わせて柔軟性を生かしたポーズを取っていくというもので、つまらない作品ではないのだけどこの手のガラにはあまり向いていないし、動きがそんなにある作品でもないのであった。


Pas de Duke
Choreography: Alvin Ailey
Music: Duke Ellington
Staged by: Chaya Masazumi
Costumes: Rouben Ter-Arutunian
Lighting: Chenault Spence
Music used with the permission of G. Schirmer Inc.

Linda Sims (Alvin Ailey American Dance Theater)
and Daniil Simkin (American Ballet Theatre)

前日のガラでも踊られたこの作品、前日はダイジェストだったけれど今回は全編。それぞれがソロを踊るパートもあって、シムキンのしなやかで軽やかな跳躍をたくさん観ることができた。でもやっぱり彼の腰振りダンスには照れが感じられてしまって、同じ振付を踊るリンダのほうがずっと音楽的で、ジャジーかつダイナミックで魅力的だった。とはいえ、元はバリシニコフに振付けられたこの作品、シムキンに合っているように思えるので、これからもっと踊りこんでいけば、楽しいガラピースとして人気を博すような気がする。


Distractions – NEW YORK PREMIERE
Choreography: Justin Peck
Music: Alexander Rosenblatt

Robert Fairchild (New York City Ballet)
Taylor Stanley* (New York City Ballet)
Daniel Ulbricht (New York City Ballet)
and James Whiteside* (American Ballet Theatre)
Accompaniment by Susan Walters (Piano)

NYCBのソリストでもある新進振付家のジャスティン・ペックは最近注目されているようで、NYCBだけでなく、ミルピエのLAダンスプロジェクトなどにも作品を提供している。彼の作品を観るのは今回初めて。NYCBのダンサー3人に加えて、ABTのジェイムズ・ホワイトサイドも出演。若い男の子4人がはじけるように踊る作品で、楽しいけどただそれだけ、という感じであまりオリジナリティは感じられなかった。


TUU
Choreography: Moses Pendleton, Tim Acito, and Solveig Olsen
Music: TUU
Costumes: Phoebe Katzin
Lighting: Howell Binkley

Rebecca Rasmussen and Steven Ezra* (MOMIX)

前日のスキー板を使った作品も楽しかったのだが、この日の、小道具やギミックなしでのパ・ド・ドゥであるこの作品もとてもワクワクさせられた。これぞオリジナリティ、である。男女二人が組体操っぽくリフトをするデュエットをしたり、驚異的なバランス芸を見せたり。これだけの動きを見せるには人並み外れた強靭な身体能力が必要だろう。とくに男性のスティーヴン・エズラのサポート力は凄い。クラシックバレエの要素はあまりない振付だが美しさはある。彼はYAGPに出場した経験があるダンサーとのこと。このカンパニーの作品は面白いので、ぜひもっと色々と観てみたいと思った。
http://youtu.be/zqPNx0nauRg


OnVelvet – NEW YORK PREMIERE
Choreography: Marco Goecke
Music: Edward Elgar

Evan McKie – NEW YORK DEBUT
(Stuttgart Ballet / National Ballet of Canada)

マルコ・ゲッケが今シーズン振付けた新作。なぜかこの作品だけ、前説ビデオがなかったのだけど、設定としては、劇場でただ一人残されたダンサーの前に超自然的な何かが現われる、というストーリーなのだそう。基本的にいつものゲッケ的な動き、痙攣したり細かい動きが中心なのだが、そのようなホラーっぽい設定のため、恐れおののいたり叫んだりといった要素がある。マルコ・ゲッケって非常にヨーロッパ的でアメリカでウケるとは到底思えなかったのだが、コンクールに出場した少年少女たちはかなり喜んでいたようで、客席は盛り上がっていた。


Pas de Deux from Rubies
Choreography: George Balanchine
© The George Balanchine Trust
Music: Igor Stravinsky

Lauren Lovette* (New York City Ballet)
and Herman Cornejo (American Ballet Theatre)

このガラが開催されているDavid Koch Theatre はNYCBの本拠地ということで、バランシンの「ジュエルズ」から2演目が上演された。振付指導にあたったメリル・アシュレーのインタビュービデオも上映された。

「ルビー」を踊ったのはNYCBのローレン・ラヴェットとABTのエルマン・コルネホ。二人とも小柄だけどテクニックと音楽性に優れている。ローレン・ラヴェットはNYCBのバレリーナらしい、抜群の音感と「ルビー」らしい洒脱さをうまく出せていたし、エルマンも軽やかでシャープなステップを華麗に踊ってくれた。


Pas de Deux Diamonds
Choreography: George Balanchine
© The George Balanchine Trust
Music: Peter Tchaikovsky

Olga Smirnova and Semyon Chudin
(Bolshoi Ballet)

スミルノワとチュージンの「ダイヤモンド」は、去年のマラーホフの贈り物ファイナルでも踊られた。とても美しい二人だが、スミルノワはまるでオデットのようにこのシーンを踊り、ドラマティックさを加えていた。スミルノワ、たまに脚がアンドゥオールしていない時があるのがちょっと気になってしまうけれども、研ぎ澄まされた美しさはダイヤモンドにふさわしい。


Gopak
Choreography: Rastislav Zakharov
Music: Vasily Solovyov-Sedoi

Brooklyn Mack* (The Washington Ballet)

ヴァルナ国際コンクールで金賞を受賞したブルックリン・マックが、ものすごい跳躍力を見せてくれた。アフリカ系アメリカ人の彼だが、このウクライナ民族舞踊がとても良く似合っているのは、踊りがロシア的だから。超絶技巧なのだけど気品もある。YAGPの主催者であるゲンナディ・サヴェリエフが「ゴパック」を得意としていたため、カーテンコールでも一緒に登場した。


Two x Two
Choreography: Russell Maliphant
Music: Andy Cowton

Lucia Lacarra and Marlon Dino
(Bavarian State Ballet)

これも「マラーホフの贈り物ファイナル」でラカッラとディノが披露したマリファントの作品。ラカッラのしなやかな腕使いが映えるスリリングな作品なのだが、照明のトリックを使って残像で魅せなければならないのに、照明効果が今一つで、会場が明るすぎたため、作品の魅力が十分伝わってこなかったのが残念だった。


Pas de Trois from Le Corsaire
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

Iana Salenko (Berlin State Ballet)
with Joseph Gatti* (Principal Guest Artist)
and Brooklyn Mack* (The Washington Ballet)

ガラの最後は、盛り上げ演目、というわけで「海賊」。前日の「ドン・キホーテ」は意外と盛り上がらなかったのだが、今回はパ・ド・トロワだったので最高に客席もヒートアップした。肌の白いジョゼフ・ガッティがアリ役で、肌の黒いブルックリン・マックがコンラッドだったが、踊りの性質からいってもこの組み合わせで良かったと思う。ジョゼフ・ガッティは、コーダのピルエット・ア・ラ・スゴンドが凄かった。一度減速して止まるかと思いきや、足を下に置くことなく再び回転を始めるのだから。ちょっと見たことがない回転だった。ヤナ・サレンコも相変わらずグラン・フェッテが正確で素晴らしく、こちらではキラキラ度も高くてトリに相応しい華やかさだった。

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エヴァン・マッキーがナショナル・バレエ・オブ・カナダへ移籍

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シュツットガルト・バレエのエヴァン・マッキーが、ナショナル・バレエ・オブ・カナダに移籍することが発表されました。

Evan McKie Joins as a Principal Dancer in 2014/15 Season
http://national.ballet.ca/uploadedFiles/MediaReleases/Evan%20McKie%20Joins%20as%20a%20Principal%20Dancer%20in%202014-15%20Season.pdf

カナダのトロント生まれのエヴァンは、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの学校でも学んできました。2012年よりナショナル・バレエ・オブ・カナダのゲストプリンシパルとして「眠れる森の美女」「ジゼル」「白鳥の湖」「オネーギン」とゲスト出演をしてきて、高い評価を得ました。

今回、シュツットガルト・バレエの方からもプレスリリースは出されているようなのですが、リリースそのものは公開されていません。リリースを元にしたドイツ語の新聞記事は出ています。

http://www.zvw.de/inhalt.erster-solist-geht-nach-toronto-evan-mckie-verlaesst-stuttgarter-ballett.575e8463-d3c2-48c1-a4b0-45715432daff.html

私がエヴァン自身に伺ったこと、そしてシュツットガルト・バレエのプレスリリースに書いてあることによれば、今回の移籍は、カナダの家族の近くに住みたいという彼の希望を実現するためのものであるとのことです。今後もできることならシュツットガルト・バレエでのゲスト出演をしたいと考えているそうです。

シュツットガルト・バレエでの最後の出演は、6月3日のトリプルビルでの、ベジャール振付「さすらう若者の歌」となります。これは彼にとっても、特別な想いのある作品となったそうです。

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なお、シュツットガルト・バレエの来年秋の来日公演では「オネーギン」が予定されていますが、来日公演でぜひ日本の観客の前で「オネーギン」を踊りたいと彼は強く希望しています。もし日本の観客も彼の「オネーギン」が観たいと思っているのなら、ぜひ日本の興行元シュツットガルト・バレエの方にそう伝えてほしい、という伝言を彼から受け取りました。ぜひお願いいたします。

こちらはカナダの新聞記事
In Evan McKie, National Ballet gains a ballet superstar
http://www.thestar.com/entertainment/2014/04/27/in_evan_mckie_national_ballet_gains_a_ballet_superstar.html

ボリショイ・バレエ「マルコ・スパダ」映画館中継

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ニューヨーク滞在中に、ちょうどボリショイ・バレエの「マルコ・スパダ」の映画館中継があったので観に行きました。5月14、15日に日本でも映画館で上映されるけれども、映画館の場所が不便なうえ、都合が悪くて観に行けなさそうだったので。そして、代金もニューヨークだと20ドルと日本で観るよりちょっと安いのでした。

上映された映画館は、イースト・ヴィレッジにあるヴィレッジ・イースト・シネマズ。今どき珍しい、劇場を思わせるようなクラシックな内装の、古くて素敵な映画館。この映像が上映された一番大きいスクリーンでは、シャンデリアが下がり二階建て構造になっていました。上映前に二人のダンス評論家による解説もありました。前日のYAGPのガラで見かけたNYのバレエマニアたちが集結していたし、オルガ・スミルノワとセミョーン・チュージンはそのガラで踊るのを生で観たばかりだったのでなんだか不思議な感じでした。

http://youtu.be/jXeFr3JiN1U

Music : Daniel Francois Esprit Auber
Choreography :Pierre Lacotte

Marco Spada : David Hallberg
His daughter Angela : Evgenia Obraztsova
Marquesa Sampietri Olga Smirnova
Prince Frederci : Semyon Chudin
Count Pepinielli : Igor Tsvirko
Governor of Rome : Andrei Sitnikov

「マルコ・スパーダ」はもともとは、『パキータ』や『海賊』を振付けたことで知られる、ジョゼフ・マジリエが1857年にパリ・オペラ座で初演した作品。1981年にピエール・ラコットがこの作品をルドルフ・ヌレエフに再振付し、ローマ歌劇場バレエで上演した。ヌレエフがマルコ・スパーダ役、ギレーヌ・テスマーが彼の娘アンジェラ役、そしてミカエル・ドナールがアンジェラの恋人、フレデリッチ公爵を演じていて、これはDVD化もされている。この作品を踊った当時、ヌレエフはすでに44歳でダンサーとしての全盛期は過ぎていたものの、ヌレエフの好んだステップ、ロン・ドゥ・ジャンブ・アンレールなどが多用されていて高度な技術が必要な振付となっている。また、上映前の解説によれば、アンジェラとマルケサが競うように踊るパ・ド・ドゥが登場するのが特徴的であり、ライバル関係にあったファニー・エルスラーとマリー・タリオーニの踊りを意識したものとなっているとのことだった。

舞台はイタリア。マルコ・スパーダは貴族に化けているものの名の知られた盗賊で、彼の犯罪について農民たちは市長に苦情を申し立てている。提督であるペッピリーニ伯爵は、市長の娘である美しいマルケサと恋に落ちる。父マルコ・スパーダが盗賊であることを、娘アンジェラは知らない。ペッピリーニとマルケサは山の中で道に迷い、マルコ・スパーダの自宅で庇護される。市長の家での宴にマルコ・スパダとアンジェラは招待されるが、その宴の招待客が、お金を盗まれていることに気が付き、マルコ・スパダが犯人であることがばれてしまう。父の正体を知ったアンジェラは、盗賊の娘である自分は恋人フレデリッチ公爵とは結婚できないと打ちひしがれ、フレデリッチはマルケサと婚約すると宣言する。

一方ペッピリーニ伯爵はマルケサへの愛を誓おうと決意するが、盗賊たちが彼らを誘拐する。連隊が近づいてくることに気が付いた彼らは洞窟に避難し、通りかかったフレデリッチ公爵と市長も誘拐する。アンジェラが間をとりなして彼らを助けるが、銃声が聞こえ、アンジェラをかばおうとしたマルコ・スパーダは弾が当たって瀕死の重傷を負う。彼はアンジェラは自分の本当の娘ではないと告白し、彼女が恋人フレデリッチと結婚するようにと言い残して息を引き取る。

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ロマンティック・バレエは異国情緒のある舞台で行われるという定説通り、このバレエの舞台はイタリア、ローマ。全体的な雰囲気やストーリーは、同じラコットによる「パキータ」にも似ている。ストーリーにはあまり深みがあるわけではないが、とにかく主要キャスト5人が踊りまくる上、1幕ではアナスタシア・スタシュケヴィッチとヴャスチェスラフ・ロパーティンが演じる花嫁と花婿のパ・ド・ドゥまで登場するなど、本当にダンスシーンがてんこ盛りだ。解説にもあった、アンジェラとマルケサが競うように踊るパ・ド・ドゥも見ごたえがあり、二人のタイプの違いが明白になっている。さらに、場面転換が多く、またボリショイの素晴らしくクオリティの高いコール・ド・バレエまでたっぷりと観ることができるので、とても楽しい作品になっている。

ヌレエフのために振付けられた大変難しいステップを、ホールバーグはやすやすと踊りこなしており、ボリショイに移籍してヴェトロフに師事したことによりテクニックも大幅に向上したのを感じることができた。ボリショイらしいダイナミックさと、ラコット&ヌレエフらしい足技の冴え、そして美しいつま先。幕間にホールバーグのインタビューもあり、パリ・オペラ座学校で学んだことがこの作品を踊るうえで大いに役に立ったとも語っていた。このインタビューでは、やはり踊るのが難しい作品だったのでどうしても踊りに集中してしまって、演技の方まで気を回すのが大変だったと彼は語っていた。確かに、演技に関してはもう少し頑張ってほしかった感がある。盗賊であり、しかもアンジェラの父親であるという役なのだが、外見的には貴公子タイプのホールバーグには全く合っていない。コミカルなところも見せるのだけど、そういうところには照れも感じられてしまった。劇場で観れば演技はそこまで気にならないと思うのだけど、映画館で大写しになると演技の方もクローズアップされてしまうので悩ましいところだ。いずれにしても、彼の踊りは本当に素晴らしいので、それを観るだけでも楽しめることは請け合い。

ホールバーグ演じるマルコ・スパダの娘アンジェラ役は、エフゲーニャ・オブラスツォーワ。ロマンティックバレエを踊るのはお手の物の彼女は、1、2幕では可憐な娘、一方3幕では父が盗賊であることを受け入れ、盗賊っぽい衣装に変わっていた。踊りもエキゾチックなテイストが加わって変身しているという演じ分けが巧みだった。一方、スミルノワの演じるマルケサはお嬢様なので、気品があってエレガントな踊りで特に上半身の美しさはため息もの。競争のパ・ド・ドゥでは、確かにタリオーニとエルスラーが競い合うようだと感じられた。ただスミルノワって、たまに軸足がアンドゥオールしていないのが気になるのであった。

アンジェラの恋人フレデリッチ公爵は、セミョーン・チュージン。オブラスツォーワ、スミルノワの両方と踊る役だけども、両ペアとも、とても息が合っていてパートナーリングが上手く、また踊りの方も洗練されていた。以上、主要キャスト5人のうちの4人までもが、実のところルーツがボリショイ・バレエでないところが、現在のボリショイっぽいと感じさせられた。そんなメーンキャストの中で唯一ボリショイ・アカデミー出身のイーゴリ・ツヴィルコは気を吐いて、ボリショイのダンサーらしい男性らしさも発揮しての勇壮な踊りを見せてくれた。

http://youtu.be/Lk44bV57nuc

やはり休憩時間のインタビューで、ピエール・ラコットは、「マルコ・スパダ」という作品はオベールの音楽に敬意を払って創った作品だと語っていた。この音楽はもともとオペラのために作られたので音楽性もしっかりしており、楽しくて、イタリアらしい明るさが感じられて作品のエンターテイニングな雰囲気に大きく貢献している。

内容の深い作品ではないのだけど、豪華なキャストでたくさんの素晴らしく華やかな踊りを観ることとができる「マルコ・スパーダ」、気楽に楽しめるバレエなので、映画館で観るにはちょうど良いし、実際の舞台はきっともっと楽しめることだろう。いつかボリショイが来日公演で持ってきてくれたらいいな、と思った。

バレエDVDコレクション 51号 (マルコ・スパダ) [分冊百科] (DVD付)バレエDVDコレクション 51号 (マルコ・スパダ) [分冊百科] (DVD付)

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日本では、5月14日、15日にイオンシネマ系「シアタスカルチャー」で公開されます。
http://www.theatus-culture.com/bolshoi/movie/index.html#a7

これだけ豪華キャストで踊りが盛りだくさんの作品も珍しいので、映画館で大画面で観ると本当に楽しいですよ。

オーチャードホール25周年ガラ9月開催、吉田都&熊川哲也の共演

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今年9月3、4日にBunkamuraオーチャードホールにて、「オーチャードホール 25 周年ガラ」の開催が決定しました。

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/14_gala25th.html

この公演はBunkamura開館25周年を記念し、開館以来オーチャードホールの上演演目の軸を成すオペラ・バレエ・クラシックを総合的に構成したガラ公演です。

全体監修はオーチャードホール芸術監督である世界的バレエダンサー、熊川哲也。オーチャードホールの歴史を彩る豪華キャスト陣が一堂に会して華やかなコンサートを贈るとのことです。

クラシック界からは指揮者の広上淳一、ソプラノの森 麻季、幸田浩子、テノールの錦織 健という日本を代表する最高の芸術家が集結。オーケストラはフランチャイズ・オーケストラとして開館以来オーチャードホールを支えている東京フィルハーモニー交響楽団。そして、この特別な祝典を記念し奇跡の共演が実現します。

世界的トップダンサーとして、バレエ界をリードする日本の至宝 熊川哲也と吉田都、世界中のバレエファンが切望する 2 人の夢の共演がなんと 7 年ぶりに実現します。

そのほか、バレエ界からは才能豊かな若手ダンサーらが出演予定。熊川哲也さんが認める次世代の劇場文化を担う輝く才能をご覧いただける貴重な機会です。

【公 演 名】 Bunkamura 25 周年記念特別企画 「オーチャードホール 25 周年ガラ」

【曲目・演目】

※演目の詳細は5月下旬以降発表予定

【スタッフ】

総合監修:オーチャードホール芸術監督 熊川哲也

【出演】

指揮:広上淳一
出演:熊川哲也、吉田 都、森 麻季、幸田浩子、錦織 健ほか
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

※他の出演者の詳細は5月下旬以降発表予定

【公演日程】

2014/9/3(水)18:30開演
2014/9/4(木)18:30開演

【会場】

Bunkamuraオーチャードホール

【その他の情報】

出演者は2014年4月28日現在のものです。出演者の病気や怪我等、やむを得ない事情で変更となる場合があります。

【チケット一般発売】 2014 年 6 月予定

【お問い合わせ】 Bunkamura 03(3477)3244 <10:00~19:00> http://www.bunkamura.co.jp

【主催】
Bunkamura/TBS


熊川哲也さんと吉田都さんの7年ぶりの共演が実現するとあっては、絶対に見逃せない公演ですね。どのような演目を踊るのか、とても楽しみです。また、バレエ界からの才能豊かな若手ダンサーとは、誰になるのでしょうか。期待して詳細発表を待ちたいと思います。

K-Ballet Company のオフィシャルサイトにもお知らせは載っていました。
http://www.k-ballet.co.jp/news/view/1026


エトワール・ガラの演目変更と関係者席開放

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「エトワール・ガラ2014」は、出演者の都合により、プログラムの変更が決定しました。

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/14_gala/topics/index.html

マランダン版「牧神の午後」はニジンスキー版「牧神の午後」と変更となります。

バレエ「牧神の午後」のスタンダードとしてよく知られているニジンスキー版を上演することにより、ロビンズ版との比較をより興味深く見比べていただけるのではないかというバンジャマン・ペッシュの強い希望による変更となります。
なお、ニジンスキー版にはニンフ役としてイザベル・シアラヴォラが出演することも決定しました。ペッシュ、シアラヴォラの共演をお楽しみください。

またドーソン振付「Opus.11」が世界初演となるセバスチャン・ベルトー振付「逃げ去る女」に変更となります。
この作品は2月にオペラ座にアデューを告げたイザベル・シアラヴォラのためにベルトーが振付け、世界初演となる作品です。映像が駆使され、稀有な演技派エトワール、シアラヴォラの個性を生かした作品になる予定です。

セバスチャン・ベルトーはオペラ座のスジェです。(昨年11月のコンクールで昇進)

【Bプログラム演目変更】
「牧神の午後」
振付:ティエリー・マランダン
音楽:クロード・ドビュッシー
出演:バンジャマン・ペッシュ

「牧神の午後」
振付:ヴァーツラフ・ニジンスキー
音楽:クロード・ドビュッシー
出演:バンジャマン・ペッシュ、イザベル・シアラヴォラ 

「Opus.11」
振付:デヴィッド・ドーソン

「逃げ去る女」
振付:セバスチャン・ベルトー
音楽:Swod
出演:イザベル・シアラヴォラ&オードリック・べザール

座長のバンジャマン・ペッシュは、公演が近づいても日本のお客様により良い舞台をお届けしようと日々アイディアを練っているそうです。
開幕その日まで進化するエトワールたちをぜひ劇場で体験しましょう。


なお、関係者席が開放されたため、良席をご購入いただけるチャンスができました。購入を検討されている方、ぜひこの機会をお見逃しなく。

(※良席開放の数は公演日によって異なり、数には限りがございます。)

 ▼お電話でのご購入はこちらから
  ⇒ Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999
      (10:00~17:30 オペレーター対応)
 ▼オンラインでのチケットご購入はこちらから
  ⇒ http://my.bunkamura.co.jp/ticket/ProgramDetail/index/1407
  ◎「オンラインチケット My Bunkamura」はシステム利用料が無料です。

ロイヤル・バレエ・スクールの校長ゲイリーン・ストックが死去

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1999年よりロイヤル・バレエ・スクールの校長を務めていたゲイリーン・ストックが、がんで亡くなりました。68歳。

http://www.roh.org.uk/news/director-of-the-royal-ballet-gailene-stock-dies

1946年にオーストラリアに生まれたゲイリーンは、8歳の時にポリオにかかり、14歳の時に交通事故で大けがをしました。しかし1962年にロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスのスカラシップを受け、同年、創設されたばかりのオーストラリア・バレエに入団。ヌレエフが出演した「ドン・キホーテ」などの映像に登場しています。74年にナショナル・バレエ・オブ・カナダ、76年にロイヤル・ウィニペグ・バレエに移籍。77年にオーストラリア・バレエに復帰して、78年に娘を出産して引退。79年にオーストラリアのナショナル・シアター・バレエ・スクールの校長に就任し、オーストラリア、ニュージーランド、カナダで教師として活躍しました。98年には初のオーストラリア代表としてロイヤル・アカデミー・オブ・ダンス(RAD)の委員に就任しました。

99年に前任のメール・パークから引き継いでロイヤル・バレエ・スクールの校長に就任。彼女の功績としては、コンテンポラリーダンスとパ・ド・ドゥを重視したこと、アッパースクールに第三学年を設けて学びながらの海外のオーディションを受けやすくしたこと、スクールのツアーを増やしたこと、振付コースの拡充、プロのダンサー向けの教師コース、教師の交換プログラムを再導入したことなどが挙げられます。

彼女の任期の間、アッパースクールを2003年にコヴェントガーデンに移したこと、ホワイトロッジにあるロウワ―スクールに2200万ポンドかけて2009年に再開発を完成させたこと、そして2010年にアッパースクール用の新しい寮を建設するなどの設備の投資が行われました。また、ローザンヌ国際コンクールの審査委員長やYAGPの審査員なども務めてきました。

彼女が就任した時には卒業生の就職率は48%でしたが、最後の7年間の間に95%~100%という素晴らしい数字を達成しました。学校で愛されてきた彼女は、多くの人に悼まれています。

ロイヤル・バレエ「冬物語」映画館中継

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ロイヤル・バレエの恒例の映画館中継、今回はクリストファー・ウィールダンが手掛けた新作「冬物語」でした。

http://www.theatus-culture.com/roh/movie/

http://www.roh.org.uk/productions/the-winters-tale-by-christopher-wheeldon

Choreography Christopher Wheeldon
Music Joby Talbot
Designs Bob Crowley
Lighting design Natasha Katz
Silk Effects Designer Basil Twist
Projection Designer Daniel Brodie

LEONTES EDWARD WATSON
HERMIONE LAUREN CUTHBERTSON
PERDITA SARAH LAMB
FLORIZEL STEVEN McRAE
PAULINA ZENAIDA YANOWSKY
POLIXENES FEDERICO BONELLI

ANTIGONUS BENNET GARTSIDE
MAMILLIUS JOE PARKER
STEWARD THOMAS WHITEHEAD
FATHER SHEPHARD GARY AVIS
BROTHER CLOWN VALENTINO ZUCCHETTI
YOUNG SHEPHERDESS BEATRIZ STIX-BRUNELL

キャスト表、英文あらすじはこちら
http://static.roh.org.uk/showings/the-winters-tale-2014/en.pdf

ウィリアム・シェイクスピアの原作を、クリストファー・ウィールダンがバレエ化。この物語がバレエになったのは初めてのととだったそう。音楽は、「不思議の国のアリス」の音楽も手掛けたジョビー・タルボットに委嘱。2011年からプロダクションに入ったそうです。「アリス」と同じく、ナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作。

主要キャストにプリンシパル6人を並べた大変豪華なキャスト。シェイクスピア作品のバレエ化とあって、ロイヤル・バレエならではの演劇性の高さを表現できるダンサーを揃え、演技的にはとても見ごたえがあった。特にシチリアの王レオンテスを演じたエドワード・ワトソンは熱演。身重の妻ハーマイオーニと親友、ボヘミア王ポリクシニーズの不倫を疑い、嫉妬心や猜疑心に苛まれて狂気に陥り、息子マミリアス、そして妻を死に至らしめ、生まれたばかりの赤ん坊パーディタを捨てさせるほどの怒りを見せる。ワトソンは、表情の演技だけでなく、人並み外れた柔軟な肢体を生かして、その煩悩を歪んだ体の動きで表現して圧巻だった。フェデリコ・ボネッリ演じるポリクシニーズとのパ・ド・ドゥは二人の友情を示すように美しく、この二人の間には友情以上の感情が流れていて、それゆえに、ハーマイオーニが間に入ることによってそのバランスが崩れてしまったのではないかと思わせるものがあった。

そしてハーマイオーニとの三角関係を暗示するかのようなパ・ド・トロワも、象徴性を感じさせるものだった。レオンテスの妄想をそのまま踊りとして表現したレオンテスとハーマイオーニの妖しいパ・ド・ドゥ、それを見ながら苦悶し嫉妬心をたぎらせるワトソンの演技は、少々やり過ぎな印象はあるものの、強烈なインパクトがあった。ハーマイオーニの不倫を疑い、お腹の大きな彼女に暴力的に迫るレオンテスの姿は非常に残酷である。気高く優雅で、「あまりの美しさに嫉妬心を起こさずにはいられない」ハーマイオーニを演じたローレン・カスバートソンも好演。さらに、ハーマイオーニを庇護する家長のポーライナを演じたゼナイダ・ヤノウスキーの落ち着いて存在感があり雄弁な踊りも素晴らしかった。1幕は、バレエというよりは、ポイント、ポイントにバレエを使った演劇に近い印象があった。

しかしながら、2幕以降この作品は急速に失速してしまう。16年後、美しく成長したパーディタと、彼女に恋するフロリゼル王子を中心にボヘミアで展開するのだが、この幕では祝祭的な踊りが中心。ところが、肝心の踊りの振付の出来があまりよろしくない。羊飼いたちの牧歌的なカーニバルの群舞の構成も、ペルディータとフロリゼルのパ・ド・ドゥも印象にほとんど残らない。パ・ド・ドゥについては、マクミランの振付を引用して、それに不自然な現代的な色付けをしたもので美しくない。羊飼いたちが民族衣装的にスカートを着用しているのも、踊りの輪郭がはっきりと見えない。ウィールダンの問題は、彼の振付は起伏に乏しく、同じテンションで進んでいくため、観る側が途中から退屈してしまうことがある。静と動の使い方、余白の使い方がなくてクライマックスが続くので疲れてしまう。

そして3幕に至っては非常に短く、ポーライナとレオンテス、銅像から人間になったハーマイオーニとレオンテスのパ・ド・ドゥがあるものの、こちらもインパクトに欠ける。この「銅像が人間になっていく」という表現一つとっても、あまりにもそのまんまで、もう少し工夫ができただろうに、と感じさせた。パーディタが自分の娘だとレオンテスが気が付くときの描写もごくあっさりとしたものだった。この幕では、16年もの間ハーマイオーニをかくまい続けたポーライナの母親のような深い愛と強さを見せつけたゼナイダ・ヤノウスキーの表現力が圧倒的で、実はこの物語のカギを握っていたのはポーライナだったことを改めて印象付けるものであったが、振付としてはかなり弱いと思われる。

フロリゼル王子のスティーヴン・マックレーは軽やかで弾むような踊りを、切れ味鋭いテクニックで存分に見せてくれるし、サラ・ラムの愛らしく清らかなペルディータも魅力的だったし二人の息も良く合っている。フェデリコ・ボネッリのむせ返るような色男ぶりを見ると、これはレオンテスも妻との関係を疑ってしまうだろうなと思うし、レオンテス自体がポリクシニーズに惹かれてしまっていたのかもとも思うほどだ。キャストはこれ以上のものを望むべくないほど充実している。

1幕のシンプルな洗練とシルクの幕を上手く使った様子、2幕のおとぎ話的な世界観を感じさせる大きな木の前で色彩豊かな世界とプロダクションデザインは想像力を掻き立てるものである。2幕の羊飼いたち、そしてパーディタの衣装を除けば、衣装デザインも美しく、特に1幕でのレオンテスとポリクシニーズの長いコートの裾が翻る様子はセクシーでスタイリッシュだった。だが、あまりにも物語そのままをストレートにバレエ化し、創意工夫がない演出と振付は成功しているとは言いがたい。

もう一つの問題点は音楽。「不思議の国のアリス」も弱点は音楽にあった。一つ一つの旋律はよく聴けば魅力的だったし、珍しい楽器を使用した2幕、3幕の音楽はエキゾチックで悪くない。この楽器の演奏家たちにも衣装を着けさせて舞台上に配置したのもアイディアとしては良い。だけど、あまりにぎっしりと詰まってオーケストレーションの派手な音楽は、聴いていてとても疲れるし、振付け同様メリハリがない上に心に残る旋律がなかった。物語バレエだからライトモチーフを使えば良かったのにとも感じたし、映画の劇伴音楽的だったようにも感じられた。

そういった点で、不満はいろいろある作品ではあるが、とにかく主要キャストのダンサーたちの高い演劇性、踊りを通してキャラクターを表現する能力の高さには改めてロイヤル・バレエの底力を見た気がする。ダンサーの魅力を観るにはいい作品だった。

言葉のないバレエの世界で、物語バレエを作るというのは一筋縄ではいかないものであると実感。同じシェイクスピアの「オテロ」を見事にバレエ化したノイマイヤーの素晴らしさを改めて感じた。

幕間映像(ウィールダン、タルボット、ワトソンのインタビュー、リハーサル映像)
http://youtu.be/_FiX98Nsxxs

サラ・ラム、ウィールダンのインタビューと2幕のリハーサル映像。スティーヴン・マックレーの「宮島」Tシャツが笑えます。
http://youtu.be/CNh2kHhY29Q

パリ・オペラ座バレエ「眠れる森の美女」映画館上映

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パリ・オペラ座バレエの「眠れる森の美女」は、「パリ・オペラ座へようこそ」の映画館上映の一環として、4月に新しくオープンしたTOHOシネマズ日本橋で上映されていました。しかし早朝の上映で多くの人には見づらい時間帯でした。私も観に行くことができませんでした。

http://opera-yokoso.com/program/index.html#p02

しかし、Bunkamuraル・シネマでの上映が決定し、他3館での上映も決定したので、ようやく観に行けるかなと楽しみにしています。


Bunkamuraル・シネマ
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/14_opera/no2.html

5月24日(土)~5月30日(金)
16:10~/19:25~  2回上映


TOHOシネマズ川崎、
TOHOシネマズららぽーと横浜、
TOHOシネマズ流山おおたかの森 での上映

『眠れる森の美女』 6月27日(金)~7月3日(木)
http://parisoperamovie.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

そのほかの劇場での上映予定
http://www.eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=218

パリ・オペラ座での上演日:2013年12月16日
上映時間:2時間47分
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
キャスト:マチアス・エイマン/ミリアム・ウルド=ブラーム

La princesse Aurore/Myriam Ould-Braham
Le prince Désiré/Mathias Heymann
La princesse Florine/Valentine Colasante
L’Oiseau Bleu/François Alu

Et par ordre d’entrée en scène :

Le Roi Florestan XIV/Vincent Cordier
La Reine/Christine Peltzer
La Fée des Lilas/Marie-Solène Boulet
Carabosse/Stéphanie Romberg Première Danseuse
Catalabutte/Bruno Bouché
Variations des Fées/Héloïse Bourdon、Aubane Philbert、Léonore Baulac、Laura Hecquet、Charline Giezendanner、Sabrina Mallem、Eve Grinsztajn、Première Danseuse
Les quatre Princes/Audric Bezard、Premier Danseur、Vincent Chaillet、Premier Danseur、Florian Magnenet、Premier Danseur、Julien Meyzindi
Le Duc/Christophe Duquenne、Premier Danseur
La Comtesse/Amélie Lamoureux
Pas de cinq des « Pierres précieuses »/Aurélia Bellet、Yannick Bittencourt、Héloïse Bourdon、Laura Hecquet、Sabrina Mallem
Le Chat botté/Daniel Stokes
La Chatte blanche/Aubane Philbert

et le Corps de Ballet
de l’Opéra national de Paris

http://youtu.be/r4R4BH8yyHc

第42回ローザンヌ国際バレエコンクール 5/10放映

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第42回ローザンヌ国際バレエコンクール
日本人3人が入賞の快挙! 決選の模様をノーカット放送
【Eテレ 5月10日(土)午後2:00~4:00】

http://www.nhk.or.jp/classic-blog/500/187010.html

第1位、2位、6位に日本人が入賞し話題となった今年のコンクール、その決選の模様をノーカットで放送します。
決選には予選を通過した20人のダンサーが出場。クラシックバリエーションとコンテンポラリーバリエーションの2演目を披露します。

スタジオ解説は、スターダンサーズ・バレエ団代表の小山久美さん。ゲストとして、第1位の二山治雄さんと、第2位の前田紗江さんが登場します。

二山治雄さんの「ラ・バヤデール」
http://youtu.be/fKM7d_kFKGU

前田紗江さんの「ラ・バヤデール」第一ヴァリエーション
http://youtu.be/0nK3UkA5H74

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