今日は、ABTの「オールスター・ガラ」を観に行きました。メンバーの世代交代があったとはいえ、やはり輝けるスターの多いバレエ団だなと感じました。そして、中でもラトマンスキー振付のショスタコーヴィチ ピアノ・コンチェルトは大変面白い作品でした。ロシア表現主義を思わせる舞台デザイン、赤とシルバーを効果的に使った衣装。ラトマンスキーの振付は非常に音楽性豊かで、ショスタコーヴィッチのユニークな音楽を見事に舞踊化し、ジリアン・マーフィ、コリー・スターンズらの見事な技術も見せつつ群舞のフォーメーションも斬新で面白くて、とても素晴らしかったです。もう一度明日別キャストで観るのも楽しみです。また、演奏の方も素晴らしかったので、ショスタコーヴィッチの音楽が好きな音楽ファンも楽しめたことでしょう。
ABT常任振付家として、来日公演でも踊られた「くるみ割り人形」をはじめ、大成功を収めているラトマンスキー。彼が、2015年に「眠れる森の美女」を新たに振付けることが発表されました。
WORLD PREMIERE OF ALL-NEW PRODUCTION OF THE SLEEPING BEAUTY CHOREOGRAPHED BY ALEXEI RATMANSKY
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=468
現行のABTの「眠れる森の美女」は、2007年6月に初演されたマッケンジー版なのですが、批評家には大変受けが悪くて、有名なデザイナーを起用した衣装デザインも酷評されてきました。まだ7年しか経っていないプロダクションを新しいものに取り換えるのは、英断だと思います。某国立バレエ団も見習ってほしい姿勢ですね。
初演は、 2015年3月3日に、カリフォルニア州コスタ・メサのSegerstrom Center for the Artsで行われる予定です。衣装デザインは、1921年にレオン・バクストがバレエ・リュスのためにデザインしたものを元に、トニー賞を受賞したリチャード・ハドソンがデザインするそうです。リチャード・ハドソンは、ラトマンスキー版「くるみ割り人形」の衣装デザインも手掛けています。
ABTのパトロンであるDavid H. Koch氏による $250万ドルの寄付と、それに彼が集め、マッチングした一般の寄付で制作費は賄われるそうです。
ラトマンスキーがABTのために振付けた作品は、これで11作品目となるそうです。
私が書いた「くるみ割り人形」の英文レビューが掲載されました。瀬戸秀美さんによる美しい写真も使用されていますので、よろしければお読みください。
http://bachtrack.com/review-feb-2014-american-ballet-theatre-nutcracker-japan