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パリ・オペラ座バレエの2015/16シーズン

パリ・オペラ座の2015/16シーズンが2月4日に発表されました。

ニューヨークタイムズに速報記事が載っているので、これとTwitterの速報を併せてまとめてみます。

http://www.nytimes.com/2015/02/05/arts/international/new-leaders-at-paris-opera-unveil-an-ambitious-future.html

バンジャマン・ミルピエが芸術監督に就任して、初めてプログラミングをするシーズン。

最大のニュースは、フォーサイス・カンパニーを退団しアメリカに移ったウィリアム・フォーサイスが、2016年に新作を創り、さらに毎シーズン3か月ずつオペラ座で働き常任振付家となることです。

自身のカンパニー以外にフォーサイスが新作を創るのは、1999年以降では初めてとなります。新しくパリ・オペラ座・アカデミーという機関が設立され、ここでフォーサイスは振付家、音楽家、舞台監督や歌手を育てるトレーニングプログラムで指導を行います。

全幕の作品は3つのみ。ヌレエフ版「ラ・バヤデール」「ロミオとジュリエット」、そして現行のパトリス・バール版「ジゼル」。

その一方で、多くの新作がレパートリー入りします。実に19作品。NYCBの団員であるジャスティン・ペック(新作と、旧作 “In Creases”), ウェイン・マクレガー、ジェローム・ベルとミルピエ。そして、さらにバランシン(「テーマとヴァリエーションなど3作品)、ボリス・シャルマッツ、アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル、クリストファー・ウィールドン、ジェローム・ロビンス(Opus 19, Goldberg Variations, Other Dancesと3作品)、アレクセイ・ラトマンスキー、そしてマギー・マランの作品です。

ミルピエは、音楽の重要性を強調し、マクレガーの新作はブーレーズの“Anthème II”に振付けられたもので、この作曲家にオマージュを捧げたミックスプロで上演されると言明。 また、ジャスティン・ペックの新作はプーランクの「2台のピアノとオーケストラのための協奏曲」を使っているそうです。

彼のNYCBでの多くの新作を踊った経験が、今回のプログラミングに影響を与えているようで、確かにパリ・オペラ座というよりはNYCBとしか思えないような作品が並んでいます。NYCBのレパートリーである、ラトマンスキー振付の「セブン・ソナタ」(ABTで初演)、そしてNYCBのみならず世界中のバレエ団で踊られているクリストファー・ウィールドンの「ポリフォニア」。ラトマンスキーは2016-7シーズンにはオペラ座のために、Rシュトラウスの「Schlagobers(ホイップクリーム)」を使って全幕を振付けるそうです。

ミルピエと総裁ステファン・リスナーは、“3e Scene,” または 「サード・ステージ」というデジタルプラットフォームをパリ・オペラ座のウェブサイトに開設することも発表。作曲家、振付家、演出家、ヴィジュアルアーティスト、映画監督や作家が新作を発表できるものだそうです。

オペラとバレエをより密接にしようという意図のもとに、(そもそもミルピエを連れてきたのはリスナーであった)チャイコフスキーのオペラ「イオランタ」と「くるみ割り人形」を合わせたダブル・ビルも予定されているそうです。この「くるみ割り人形」は、アーサー・ピタ、シディ・ラルビ・シェルカウイ、リアム・スカーレット、エドゥアール・ロック、ミルピエの5人の振付家の共同作業で、ディミトリ・チェルニアコフが演出し、シェーンブルグの音楽にも焦点を当てるそうです。もともと、初演当時「イオランタ」と「くるみ割り人形」は同時上演だったという歴史的な背景があり、それに倣った上演と言えそうです。

シャルマッツによる新作がシーズンのオープニングとなり、ガルニエのパブリックエリアで、20人のダンサーが様々な20世紀バレエからのソロを踊るというものになるそうです。また、恒例のデフィレも音楽を一新し、ワーグナーの「タンホイザー」を使用。

ゲストカンパニーとしては、ENBが2016年6月21日~25日に「海賊」を上演し、さらにバットシェバ舞踊団、ローサス(2月26日~3月6日)がオペラ座で公演を行いますが、ローサスの公演はポンピドゥーセンターで行われるそうです。

また、ツアーですが、来日公演は2017年に予定されており、2018年にはアメリカへの大規模なツアーもあるそうです。毎年、フランス国内一都市への地方公演もあるそうです。


また後で加筆します。


一言でいえば、パリオペラ座をNYCBにするつもり?ということですね。オペラ座の伝統、フランスバレエの伝統はどうなってしまうのでしょう。フランス人の振付家はミルピエとマギー・マランだけ、一方でアメリカ人はフォーサイスはじめ、バランシン、ロビンス、ペック。アメリカ人ではないもののアメリカを中心に活動しているラトマンスキー、ウィールドンもその中に入れていいでしょう。ただし、フォーサイスが常任振付家として活動することや、パリ・オペラ座・アカデミーの創立は注目すべきことではないかと思います。

というわけで、時系列に上演作品をまとめて行きましょう。


オープニング・ガラ(9月24日)

デフィレ、「テーマとヴァリエーション」(バランシン、20年ぶりのリバイバル)、ミルピエの新作


「シャルマッツ振付、20人のダンサーによる20世紀作品」9月22日から10月11日まで13公演 
ガルニエのパブリックスペースにて


「バランシン、ロビンスとミルピエの夕べ」 2015年9月~10月、ガルニエで11公演

「テーマとヴァリエーション」(バランシン)「 Opus 19 / The Dreamer」(ロビンス、カンパニー初演)、ミルピエの世界初演作品


「アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケルの夕べ」2015年10月21日~11月8日、ガルニエで15公演

「Quartet No. 4」「大フーガ」「浄められた夜」,すべてカンパニー初演、ケースマイケル作品


「ラ・バヤデール」11月17日から12月31日まで、バスティーユで23公演
ヌレエフの最後の作品


「ピエール・ブーレーズの夕べ」2015年12月1日~31日、ガルニエで19公演

「ポリフォニア」(ウィールドン)、ウェイン・マクレガーの世界初演作品、「春の祭典」(ピナ・バウシュ)


「くるみ割り人形」 オペラとダンスの夕べ 2016年3月9日~4月8日

オペラ「イオランタ」とバレエ「くるみ割り人形」(アーサー・ピタ、シディ・ラルビ・シェルカウイ、リアム・スカーレット、エドゥアール・ロック、ミルピエ)


「ロミオとジュリエット」2016年3月19日~4月10日
ヌレエフ


「ラトマンスキー、バランシン、ロビンスの夕べ」 2016年3月22日~4月5日 ガルニエ

「セブン・ソナタス」(ラトマンスキー)、「デュオ・コンチェルタント」(バランシン)、「アザー・ダンシズ」(ロビンス)、「In creases」ペック


マギー・マラン 「Les Applaudissements ne se mangent」 2016日4月25日~30日、ガルニエ


「ジゼル」 5月27日~6月14日、ガルニエ
パトリス・バール


「フォーサイスの夕べ」 2016年7月4日~16日、ガルニエ

「アプロキシマート・ ソナタ」(新版)、新作、「Of Any if and」(カンパニー初演、1995年にフランクフルトバレエで初演) 3作品ともフォーサイス


ジェローム・ベルの新作、ジャスティン・ペックの新作(プーランク)と、ロビンスの「ゴールドバーグ・ヴァリエーション」、バランシンの「ブラームス・シューンベルグカルテット」も上演されます。


また、映画館中継は続きますが、オペラ作品が中心であり、バレエでの映画館中継が行われるのは、「バランシン、ロビンスとミルピエの夕べ」 と「イオランタ/くるみ割り人形」のみです。


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