昨年半ばに脚の怪我をして以来、舞台から遠ざかっていたデヴィッド・ホールバーグ。4月から7月までのABTのMETシーズンに出演する予定でしたが、残念ながら降板することになったと発表されました。昨年秋に、脚の手術を受けたのですが、まだ完全に回復していないようです。
David Hallberg Out for American Ballet Theater’s Spring Season
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2015/03/04/david-hallberg-out-for-american-ballet-theaters-spring-season/
デヴィッド・ホールバーグはMETシーズンに13公演出演する予定でしたが、すべて降板するため、「ジゼル」はウラジーミル・シクリャーロフが、そして「眠れる森の美女」と「ラ・バヤデール」はレオニード・サラファーノフが代役を務めます。サラファーノフがABTにゲスト出演するのは初めてのこととなります。
ABTはちょうどいま、カリフォルニア州コスタ・メサのSegerstrom Center for the Artsで、カンパニー設立75周年を記念した、ラトマンスキー振付による新作「眠れる森の美女」の上演中です。
Last night ABT celebrated the World Premiere of Alexei Ratmansky's new staging of #ABTSleepingBeauty@SegerstromArts! pic.twitter.com/wn91NatY3D
— AmericanBalletTheatr (@ABTBallet) 2015, 3月 4
http://www.scfta.org/events/detail.aspx?id=11607
http://www.ocregister.com/articles/beauty-653012-production-ratmansky.html
レオン・バクストがバレエ・リュスのロンドン公演のためにデザインした衣装を復元した、大変注目を集めている舞台です。素晴らしい作品だったようなので、改めてご紹介したいと思います。この「眠れる森の美女」でも、ホールバーグ不在により、キエフ・バレエからデニス・ニェダクがゲストとして出演します。
6月9日には、パロマ・ヘレーラの引退公演が、この「眠れる森の美女」で行われます。しかしホールバーグ降板により玉突きキャスト変更が発生し、彼女の相手役は現在未定となってしまいました。
http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=6/1/2015
METシーズンのゲスト・ダンサーは、シクリャーロフ、オシポワ、キム・キミン、コチェトコワ、サラファーノフ、テリョーシキナ、スミルノワ、チュージン、オブラスツォワ、ニェダク、ヌニェスと11人もいます。ヌニェス以外は全員ロシア系のダンサー(キム・キミンは韓国人ですが、マリインスキーのファースト・ソリスト)というのが、なんともいえないというか、いつの間にかロシア人ゲストにすっかり浸食されてしまったABTとなってしまいました。特に、「ラ・バヤデール」は、コルネホ、スターンズ、セオ、パールト、セミオノワ以外はすべてゲストダンサーです。
あまりにもロシア人ゲストに頼りすぎなのもいかがなものかと思われますが、カンパニーのダンサーを育てようという姿勢があまり見られない上に、広大なメトロポリタン・オペラハウスを埋めるにはネームヴァリューが必要なことがあって、痛し痒しですね。
ABTにはラトマンスキーという当代一の素晴らしい常任振付家がいるので、もっとカンパニーダンサーを引き立てるようにしてほしいなと思います。ホールバーグはボリショイと掛け持ち、ゴメスは一番人気ですが、昨年のインタビューで、「ラ・バヤデール」は体力的に厳しくてもう踊らない、と語っていました。プリンシパル候補を育てるのは喫緊の課題と思われます。
ホールバーグの怪我の早い回復を祈っています。しっかり治して、世界バレエフェスティバルで彼の元気な姿を観たいですね。
なお、ホールバーグは、4月17日のYAGPガラの時に、彼の企画 “David Hallberg Presents: Legacy,”を開催します。彼が今までのキャリアで共演してきたカンパニーのダンサーたちが出演するそうです。具体的には、マリインスキー、ボリショイ、東京バレエ団、そしてオーストラリア・バレエのダンサーとのことです。
http://yagp.org/?page_id=5119