ボリショイ・バレエ史上最年少の18歳でジゼル役を踊り、エカテリーナ・マキシモワ直伝のロシア・バレエの精緻な美を体現したプリンシパルとして活躍してきたスヴェートラナ・ルンキナ。3年前に、夫君の映画製作に関するトラブルから脅迫され、ロシアを逃れてカナダに移住していました。
ボリショイ・バレエを無給で2年間休職していた彼女ですが、ついにボリショイ劇場に対して辞表を提出したとのことで、イズベチヤ紙に語っていました。
(翻訳記事)Lunkina resigns from the Bolshoi
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2015/3/28_Lunkina_resigns_from_the_Bolshoi.html
一応まだボリショイ劇場のサイトには、プロフィールが残っています。
http://www.bolshoi.ru/en/persons/ballet/78/
彼女が語ることによれば、昨年夏にボリショイ劇場は彼女を解雇しようとしたとのことです。そしてそのような試みは今後も続くので、そのような状況で時間を無駄にしても仕方ないと。一方、ボリショイのウリン総裁は、彼女に復帰してもらおうとしていたし帰ってきたら喜んで迎え入れるつもりだったのに、交渉が上手くいかなかったと言っており、また辞表のことは聞いていないとしています。ただ、休職も4年目を認めることは難しい、もう3年以上も舞台に立っていないのに、さらに一年の休職は認められないだろうとしています。
ルンキナは自身のサイトで、何回か、ボリショイ劇場の上層部を強く批判するコメントを書いていました。2年間もの間、ボリショイから一度も連絡がなかったとのことです。
彼女の夫君ウラディスラフ・モスカリョフはカナダの市民権を得ており、二人の子供たちもカナダで生まれてカナダの市民権を持っているそうです。
この騒動については、ロシア・バレエに詳しい守るも攻めるもさんが詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。
一方で、ルンキナは、2013年にナショナル・バレエ・オブ・カナダのゲストプリンシパルとして契約し、2014年9月には正式団員として入団しました。カナダでは、「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」に主演したほか、先日まで上演されていたクリストファー・ウィールドンの「アリス」ではハートの女王、ジョン・ノイマイヤーの「ニジンスキー」ではニジンスキーの妻ロモラ、そして、ウェイン・マクレガーの「クローマ」にも出演し、非常に高い評価を得てきました。
もともと、ボリショイ・バレエで「クローマ」が上演された時、ルンキナもこの作品に出演してマクレガーに気に入られ、マクレガーがボリショイで振付ける予定だった「春の祭典」(結局実現せず)の主役を予定されていました。古典だけでなく、現代作品についても高い評価を得ているバレリーナで、カナダでも様々な新しい作品に挑戦しているようです。
ルンキナは、4月18、19日に台北で開催される台北インターナショナルスター・ガラに、エヴァン・マッキーとともに出演します。ほぼ毎年行われているこのガラ、出演者が豪華です。ほかに、スティーヴン・マックレーとサラ・ラム、ドロテ・ジルベール、倉永美沙さんとダニール・シムキン、イーゴリ・コールプらが出演します。
スヴェトラーナ・ルンキナとエヴァン・マッキーがこのガラで踊る「Mask Duet」 ダグラス・リー振付
https://youtu.be/GhSSJlgn6K8