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「バレエに生きる~パリ・オペラ座のふたり~」Une Vie de Ballets

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公開初日に映画「バレエに生きる~パリ・オペラ座のふたり~」をBunkamuraル・シネマで観てきました。

http://www.alcine-terran.com/ballet/

去年パリ・オペラ座、ガルニエの売店でDVDが売っていて買ってきちゃったのに、観る時間がなくて結局映画館に観に行ってしまったけど劇場で観られて良かった。

「ラ・シルフィード」「パキータ」「ファラオの娘」など数々のロマンティック・バレエ作品の復元を行っているピエール・ラコットと、その妻でパリ・オペラ座の元エトワールのギレーヌ・テスマー。60年のキャリア、80歳となった今も精力的に振付活動を行っているラコットと、オペラ座での指導を現役で行っているテスマーは、50年近くにわたってパートナーシップを続け、現在も仲睦まじい様子を見せている。

1951年から振付活動をおこなっているラコットと、19歳で彼に出会ったテスマーの歩みは、そのままフランスのバレエの歴史と言ってもいい。7歳でパリ・オペラ座バレエを観てその魅力に取り憑かれたラコットは、若い頃から振り付けを始め、オペラ座に入団してプルミエに昇進した後振付に本格的に取り掛かろうとするも当時の芸術監督セルジュ・リファールに潰されそうになって、結局オペラ座を去って振付家への道を進む。一方、テスマーはコンセルヴァトゥールを卒業後マルキ・ド・クエヴァスバレエ団(ヌレエフが亡命後参加したバレエ団)を経て、ラコットが立ち上げた団員12人のバレエ団で活動し、世界中の舞台で踊るのだが、ラコット振付の「ラ・シルフィード」での成功によってパリ・オペラ座のエトワールとして迎えられるという異例のキャリアをたどる。ふたりとも、生粋のパリ・オペラ座団員ではなかったという点がとてもユニークだ。

貴重な映像をたくさん観ることができる。ダンサーをしていた頃のラコットは大変な二枚目で魅力的な踊り手だった。テスマーが踊った「声」はエディット・ピアフへのオマージュを捧げた作品で、彼女の歌声が使われており映画仕立て。「ハムレット」では、演技力にも大変優れているテスマーの美しいオフィーリアを観ることができる。ラコット振り付けではないが「コッペリア」と「海賊」では、テスマーの高度なテクニックに驚かされる。そして二人の名前を一躍高めた「ラ・シルフィード」では、テスマーの魅力とともに、ミカエル・ドナールのダンスール・ノーブルぶりも。ラコットがダンサーとしての引退公演で踊った「パピヨン」は、ドミニク・カルフーニが相手役として指名された。「盗賊の娘(マルコ・スパーダ」では、テスマーがヌレエフと踊る姿が見られる(これはDVD化されている)。ほかに、ラコットが影響を受けたというイヴェット・ショヴィレがルドルフ・ヌレエフと「ジゼル」を踊った映像も。

時代が一気に新しくなって21世紀に。ボリショイ劇場での「ファラオの娘」、マリインスキーでの「オンディーヌ」(オブラスツォーワとサラファーノフ」、そしてパリ・オペラ座での「パキータ」(オーレリ・デュポンとマニュエル・ルグリ、アニエス・ルテステュとジョゼ・マルティネス)。この作品でリュドミラ・パリエロとマチュー・ガニオをリハーサルで指導するテスマーの様子も見られる。そして東京のエトワール・ガラで上演された「メリー・ウィドウ」(マリ=アニエス・ジロとマチュー・ガニオ)、「三銃士」(ドロテ・ジルベール、バンジャマン・ペッシュ、マチアス・エイマン、マリ=アニエス・ジロ)の本番とリハーサル映像も。

若かりし頃のテスマーは容姿が美しいだけでなく、脚のラインもきれいでバランシンにも気に入られたというのも納得してしまう。昔の人にしてはプロポーションが実に均整が取れているのだ。そして何よりも心を打つのが、2人はお互いへの愛ゆえに、高め合おうという高い理想を持ってバレエに打ち込んだこと。「いつもお互いを驚かせ、決して失望させないこと。だからこそ愛し合う2人がここまで続いてきたの」(テスマー)。この2人がいたことは、バレエ界にとって幸いなことであり、彼らの愛がフランスバレエを今の形にしたと言ってもいいほどだ。

ラコットの復元作品については、正直に言うと作品としてどれもが面白いものではない。しかしながら、過去の遺産を現代へと伝えていくという重要な役割をラコットは担っており、しかもテスマーというミューズがいたことでそれは実現したのであった。さらに、彼らの活躍はパリ・オペラ座に留まるものではなく、世界中で踊ったという点も見逃せない。テスマーが引退した後も、ラコットの作品はオペラ座だけでなく、ボリショイやマリインスキーなどで踊られることになって、バレエのグローバル化の流れがひしひしと感じられる。

過去の貴重な映像を沢山見ることができる反面、近年の映像があまり画質が良くないことが少々残念ではあったけど、フランスのバレエのみならず世界のバレエの歴史と現在を知る上では見逃せない映画であり、大河ドラマの趣もある作品だ。

監督は、「マチュー・ガニオ&カルフーニ 〜2人のエトワール〜」アニエス・ルテステュ/美のエトワール」を撮ったマレーネ・イヨネスコ。

(以下、この映画でも登場する映像)

マルコ・スパダ あるいは盗賊の娘 (全3幕) ローマ歌劇場バレエ 1982 [DVD] [Import]マルコ・スパダ あるいは盗賊の娘 (全3幕) ローマ歌劇場バレエ 1982 [DVD] [Import]
ピエール・ラコット(振付) ルドルフ・ヌレエフ ギレーヌ・テスマー ルシア・コロニャート アルベルト・ヴェンチュラ(指揮) ローマ歌劇場管弦楽団

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ワーナー・マイカル・シネマズで英国ロイヤル・バレエの舞台映像を上映

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全国に60劇場を展開するワーナー・マイカル・シネマズが、映画以外のコンテンツ作品を上映する「シアタス」で、英国ロイヤル・バレエ団の『白鳥の湖』や『マノン』など、最新8公演を全国の劇場で上映することが決定した。国内においてシリーズで上映するのは初めてだということです。

http://www.theatus-culture.com/

10月24日(水)には不朽の名作『白鳥の湖』を英国ロイヤル・オペラハウス(コヴェント・ガーデン王立歌劇場)から衛星中継します。
以降、『くるみ割り人形』『不思議の国のアリス』を衛星中継するほか、『マノン』『ジゼル』『ロミオとジュリエット』など、これまでに収録した国内未公開作品(一部を除く)の公演映像を全国の劇場で来年の5月まで上映するとのことです。


2012年10月24日(水)上映
SWAN LAKE
「白鳥の湖」(全4幕)中継

【出演】王女オデット:ゼナイダ・ヤノウスキー
王子ジークフリート:ネヘミア・キッシュ
他 英国ロイヤル・バレエ団

【原振付】マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
【振付】フレデリック・アシュトン、デビッド・ビントレー
【演出】アンソニー・ダウエル
【音楽】ピョートル・チャイコフスキー
【美術】ヨランダ・ゾンアーベント
【演奏】コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団


2012年11月14日(水)上映
MANON
「マノン」(全3幕)収録
<2006年度収録>

【出演】マノン:タマラ・ロホ
デ・グリュー:カルロス・アコスタ
レスコー:ホセ・マルタン
他 英国ロイヤル・バレエ団

2012年12月14日(金)上映
THE NUTCRACKER
「くるみ割り人形」(全2幕)中継

【出演】こんぺい糖の精:ロベルタ・マルケス
王子:スティーヴン・マックレー
他 英国ロイヤル・バレエ団


2013年1月23日(水)上映
GISELLE
「ジゼル」(全2幕)プティパ版収録
<2011年1月収録>

【出演】ジゼル:マリアネラ・ヌニェス
アルブレヒト:ルパート・ペネファーザー
ヒラリオン:ベネット・ガートサイト
他 英国ロイヤル・バレエ団

2013年2月20日(水)上映
ROMEO AND JULIET
「ロミオとジュリエット」(全3幕)
収録
<2012年3月収録>

【出演】ロミオ:フェデリコ・ボネッリ
ジュリエット:ローレン・カスバートソン
他 英国ロイヤル・バレエ団


2013年3月29日(金)上映
ALICE’S ADVENTURES IN WONDERLAND
「不思議の国のアリス」(全3幕)
中継

【出演】未定
他 英国ロイヤル・バレエ団

2013年4月10日(水)上映
THE SLEEPING BEAUTY
「眠れる森の美女」(プロローグ付き・全3幕)
収録
<2011年12月収録>

【出演】オーロラ姫:ローレン・カスバートン
フロリムント王子:セルゲイ・ポルーニン
他 英国ロイヤル・バレエ団


2013年5月22日(水)上映
LA FILLE MAL GARDÉE
「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」(全2幕)
収録

<2012年3月収録>
【出演】シモーヌ:フィリップ・モスレー
リーズ:ロベルタ・マルケス
コーラス:スティーヴン・マックレー
他 英国ロイヤル・バレエ団


楽しみですね!

イングリッシュ・ナショナル・バレエの2013年スプリングシーズン

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タマラ・ロホが芸術監督に就任したイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)が、2013年スプリングシーズンを発表しました。

プレスリリース(PDF)
http://www.ballet.org.uk/user_content/files/Site%20files/Tamara%20Rojo%20Season%20Launch%20Pack%20and%20Release%2024%20Sept

「Ecstasy and Death」と題されたトリプル・ビルは、イリ・キリアンの「小さな死 Petite Mort」(カンパニー初演)、ローラン・プティの「若者と死 Le Jeune Homme et la Mort」(ニコラ・ル・リッシュがゲスト出演!)そしてハロルド・ランダーの「エチュード Etudes」を上演。
London Coliseum 18-21 April 2013

「A Tribute To Rudolf Nureyev」と題されたトリプル・ビルでは、ヌレエフの生誕75周年および没後20年を記念して、ミハイル・フォーキン振付の「ペトルーシュカ Petrushka」(ヌレエフはこの役を1963年に初めて踊った)、ヌレエフのために振り付けられた、モーリス・ベジャール振付の「さすらう若者の歌 Song of a Wayfarer」、そしてヌレエフ振付の「ライモンダ Raymonda」3幕を上演。
London Coliseum 25-27 July 2013

「My First Cinderella」は3歳以上の子供向けの「シンデレラ」の新作。ENBのアソシエイト・アーティストであるジョージ・ウィリアムソンが振付。
28 March – 26 May 2013
Peacock Theatre, London


なお、2012年秋シーズンの上演作品は以下のとおりです。

The Sleeping Beauty「眠れる森の美女」ケネス・マクミラン振付
17 October – 2 March 2013, National Tour 
初日はタマラ・ロホがワディム・ムンタギロフと踊ります。

The Nutcracker「くるみ割り人形」ウェイン・イーグリング振付
22 – 25 November, Southampton Mayflower
12 December – 5 January 2013, London Coliseum
初日はダリア・クリメントヴァがワディム・ムンタギロフと踊ります。また、タマラ・ロホも久しぶりに金平糖の精を踊る予定となっているとのことです。

Swan Lake Choreographer – Derek Deane 「白鳥の湖」デレク・ディーン振付
Royal Albert Hall 2013
12-23 June, 2013


なお、スタッフとして、タマラ・ロホが芸術監督を務めるほか、副芸術監督にはキューバ国立バレエで活躍してきたロイパ・アラウホ、主席レペティトゥールにはロイヤル・バレエで今年間で現役で活躍してきたホセ・マルティン、バレエ・ミストレスには中国国立バレエほかでバレエ・ミストレスを務めてきたHua Fang Zhangが就任すると発表されました。

第13回 世界バレエフェスティバル、BSプレミアムシアターでの放映演目

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第13回 世界バレエフェスティバル、BSプレミアムシアターでの放映演目が、NHKクラシック トピックスでアップされていました。

http://www.nhk.or.jp/classic-blog/100/132574.html

第13回 世界バレエフェスティバル
世界のトップスター 夢の競演 全26演目一挙放送

放送: 10月15日 午前0:00~5:16 [BSプレミアム] プレミアムシアター

放送演目
Aプログラム
1 「モペイ」
振付: M.ゲッケ
ダンサー: フリーデマン・フォーゲル

2 「幻想~『白鳥の湖』のように」から第1幕のパ・ド・ドゥ」
振付: J.ノイマイヤー
ダンサー: エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

3 「ドリーブ組曲」
振付: J.マルティネス
ダンサー: 上野 水香 マシュー・ゴールディング

4 「扉は必ず...」
振付: J.キリアン
ダンサー: オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

5 「海賊」
振付: M.プティパ
ダンサー: ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

6 「瀕死の白鳥」
振付: M.フォーキン
ダンサー: ウリヤーナ・ロパートキナ

7 「ディスタント・クライズ」
振付: E.リャン
ダンサー: スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

8 「パガニーニ」
振付: M.ゴメス
ダンサー: マルセロ・ゴメス

9 「ラ・シルフィード」第2幕から
振付: J.コボー(ブルノンヴィル版に基づく)
ダンサー: タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

10 「ブレルとバルバラ」
振付: M.ベジャール
ダンサー: エリザベット・ロス ジル・ロマン

11 「カンタータ」(世界初演)
振付: N.ドゥアト
ダンサー: ディアナ・ヴィシニョーワ ウラディーミル・マラーホフ

12 「ドン・キホーテ」
振付: M.プティパ
ダンサー: オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

Bプログラム
13 「パルシファル」
振付: M.ベジャール
ダンサー: カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

14 「タイス」(マ・パヴロワより)
振付: R.プティ
ダンサー: 上野 水香 マシュー・ゴールディング

15 「エフィ」
振付: M.ゲッケ
ダンサー: マライン・ラドメーカー

16 「ライモンダ」
振付: M.プティパ
ダンサー: タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

17 「ロメオとジュリエット」から バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付: K.マクミラン
ダンサー: アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

18 「ウィズアウト・ワーズ」
振付: N.ドゥアト
ダンサー: オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

19 「椿姫」から 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付: J.ノイマイヤー
ダンサー: アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

20 「ラ・シルフィード」第2幕から
振付: P.ラコット
ダンサー: エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ 東京バレエ団

21 「マーラー交響曲第5番」から"アダージェット"
振付: J.ノイマイヤー
ダンサー: エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

22 「シェエラザード」
振付: M.フォーキン
ダンサー: ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

23 「海賊」
振付: M.プティパ
ダンサー: ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

24 「ル・パルク」
振付: A.プレルジョカージュ
ダンサー: ディアナ・ヴィシニョーワ ウラディーミル・マラーホフ

25 「コール・ペルドゥート」
振付: N.ドゥアト
ダンサー: スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

26 「ドン・キホーテ」
振付: M.プティパ
ダンサー: ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
 指揮: ポール・コネリー (Aプロ)
     ワレリー・オブジャニコフ (Bプロ)

2012年8月3日、14日 東京文化会館

* 著作権の都合により放送できない上演演目がございます。あらかじめご了承ください。

********
放映が決定された当初から、クランコ、バランシン、ロビンスの作品は放映が難しいと思われていたわけですが、そのほか、ビゴンゼッティの「セレナータ」と、ラトマンスキーの「明るい小川」の放映がカットされてしまってとても残念です。

クランコの「ロミオとジュリエット」「オネーギン」に出演したマリア・アイシュヴァルト、バランシンの「ジュエルズ」に出演したジョゼ・マルティネス、そしてロビンスの「アザー・ダンス」に出演したジョシュア・オファルトの3人の出番がまるまる無くなってしまったのは悲しいですね。特に全プログラムに出演したアイシュヴァルトが観られないのは、彼女のパフォーマンスが素晴らしかっただけに残念なことです。

しかしながら、5時間にもわたって世界バレエフェスティバルの映像を観ることができるのは幸せというもの。被災地では映画館でも上映される予定とのことなので、バレエがみなさんを勇気づけることになるでしょう。

ダンスマガジン2012年11月号

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世界バレエフェスティバル特集号であるダンスマガジン2012年11月号。瀬戸秀美さんによる美しい舞台写真が紙面を多く飾っています。特に冒頭の「ライモンダ」のタマラ・ロホとスティーヴン・マックレーの決めポーズが素敵。それから「アザー・ダンス」のオーレリー・デュポンとジョシュア・オファルトもいいですね。「マノン」のアリーナ・コジョカルは可愛い!マリア・アイシュヴァルトとマライン・ラドマーカーの「椿姫」はドラマティック。個人的には、全プログラムを通じてとても素晴らしいパフォーマンスを見せたオレシア・ノーヴィコワが小さな写真1枚だけだったのがちょっと残念ですが、どの写真も本当にクオリティが高くて、ページをめくっているだけで至福を感じてしまいます。

インタビューも、スヴェトラーナ・ザハロワ、マルセロ・ゴメス、スティーヴン・マックレー、ステファン・ビュリヨン、ジル・ロマンとある上に、ミラノ・スカラ座バレエの来年の来日公演の宣伝ですがアリーナ・コジョカルとフリーデマン・フォーゲル、ポリーナ・セミオノワとイーゴリ・ゼレンスキーの対談、「稽古場のダンサーたち」ではダニール・シムキンも。

何より一番読み応えがあったのは、「ダンスマガジン・インタビュー」でのオーレリー・デュポンのインタビュー。アメリカで過ごした子供時代。オペラ座学校時代のクロード・ベッシーとの確執。ピナ・バウシュの「春の祭典」との出会いと受けた啓示。ロビンスなどコレオグラファーとの話、音楽について、そしてパートナーについて。最後に、2年半後に控えている引退について。引退は2015年1月頃で、ジョシュア・オファルトと「マノン」を踊る予定だそうです。

バレエフェス以外には、小林紀子バレエシアターが日本で初演した「アナスタシア」について大きく取り上げているのと、ストリートダンス世界大会R-16の記事が面白かったです。大変充実した号だと言えるでしょう。


シュツットガルト・バレエのエヴァン・マッキーが、世界バレエフェスティバルについて書いた記事。4ページにも渡るもので、巻末には英語の原文も掲載されています。ダンサーの視点から観た「世界バレエフェスティバル」のレポートは大変興味深く、彼がいかに知性溢れていて表現についても豊かな語彙を持っている人であるのかがよくわかるのですが、翻訳には意訳しすぎての疑問点が多いのです。
(お断りしておきますが、私自身もプロの翻訳家ではありません。翻訳の学校に通ったことはありますが。従って、もしかしたら解釈に誤りがあるかもしれません。ご指摘があったらコメントでお寄せください)

特に後半、「全演目を通しても特によかったものについて述べようとすると、細部の印象が際立っていることに思い至る」となっているところが、原文は"It is the details that made the next performances I am about to mention my favorite moments of all the programs"となっています。つまり、批評家の視点ではなく、一観客としての視点で彼は「自分が気に入った、楽しいと思った演目について」書こうとしているわけですが、この翻訳の文体を読むと、いかにも評論家が書いているような、絶対的評価を前提とした文章になってしまっています。”よかった”と”楽しんだ”では意味が違います。

また、気になった点をいくつか挙げてみたいと思います。
「ドン・キホーテ」(サレンコ、シムキン)
"We are going to do it our way and hope you like it"が「だったらどう踊るのがベストか、練り上げたのがこれです。こういうのもいいでしょ?」と訳されています。「自分たちのやり方でやってみるけど、気に入ってくれたら嬉しい」という方が正しいと思います。「練り上げる」というのは、ニュアンスが違うものと感じられてしまいます。

「海賊」(セミオノワとゼレンスキー、上野とゴールディング)
「セミオノワとゼレンスキー、二人の『海賊』は端正で華やか、別プログラムでは上野水香とマシュー・ゴールディングもこれを踊ったが、そちらと比べても興奮度という点では上だった」とありますが、原文では"Semionova and Zelensky also completed a clean and showy Corsaire along with another version by Mizuka Ueno and Matthew Golding that had the audience relatively excited"とあり、上野/ゴールディング組の方が相対的に観客が興奮していたというのが本来の原文の意図で、逆の意味に翻訳されてしまっているのがわかります。

「ラ・シルフィード」(ロホ、マックレー)
原文は"...making the image alive to a whole audience the way it might have not since the great era of Fracci or Evdokimova"となっていますが、訳では「これは偉大なるフラッチやエフドキモワ以来のことだ」としています。フラッチやエフドキモワの偉大なる時代で起きたであろうやりかたで、というのが正しいわけで、正確性に欠けています。エヴァンは年齢から言っても当然フラッチやエフドキモワをリアルタイムでは見ていないわけですから。

「ラ・シルフィード」(オブラスツォワ、ガニオ)
"In my opinion she is one of the most professional ballerinas today"を、「現在最もプロ意識の高いバレリーナと言えるのではないか」としていますが、professional とプロ意識が高い、はまったく違うわけではないのですがニュアンスが違うように感じられます。プロ意識を英語にすると、pride of a professionalとか、 professionalismというのが一般的なのではないでしょうか。

「アザー・ダンス」(デュポン、オファルト)
"She is in a definition of a ballerina in how she approaches every step"を「オーレリのステップへのアプローチは、バレリーナならかくあるべしと思わせるものであり」と訳しています。「すべてのステップへのアプローチ」とするのが正解だと思われます。「一つ一つ=すべて」という部分がこの文章では重要なのです。

ブシェ、ボアディン
「ノイマイヤー流の”語り”」と訳していますが、原文は"Neumeier style of story telling”となっています。語りというよりは、物語を語る、としたほうが正確です。”語り”でも間違いではありませんが、”物語ること”がノイマイヤー作品の本質だと思われますので、本質が曖昧になってしまいます。


それと、文体については、前述したように、これは評論ではなく、あくまでも公演を楽しんだ一観客であるダンサーの観劇記であるのですから、もっと原文のチャーミングで純粋に楽しんでいる部分を再現すべきだったと思います。そういう意味で、評論家として名高い長野由紀さんによって翻訳されるのではなく、職業的な翻訳家に翻訳したほうが良い訳になったのではないかと考えられます。

しかしながら、現役のトップダンサーが観た世界バレエフェスティバルについての、網羅性の高い観劇記を掲載するという趣向は大変面白いものであったし、エヴァンがとても文章が達者でウィットに富んでいることもあって、大変よい企画だったと言えます。巻末に原文を掲載したことで、原文のニュアンスも併せて楽しむことができました。

DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2012年 11月号 [雑誌]DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2012年 11月号 [雑誌]

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9/28, 30 東京バレエ団「オネーギン」 The Tokyo Ballet Onegin

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ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディーター・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

東京文化会館(東京)

オネーギン:エヴァン・マッキー Evan McKie
レンスキー:アレクサンドル・ザイツェフ Alexander Zaitsev
タチヤーナ:吉岡美佳 Mika Yoshioka
オリガ:小出領子 Reiko Koide
ラーリナ夫人:矢島まい 
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:高岸直樹


エヴァン・マッキーは役を自分に引き寄せるダンサーである。彼はオネーギンそのものに同一化し、オネーギンの人物像を練り上げるのではなく自分の個人の感情を役の中にこめて演じているので、演技がとても細かく自然に感じられるし、それぞれの舞台においても、毎回少しずつ違う自分の気持ちに従っているため、観るたびに異なった表現ができて”役を生き”ている。オネーギンという複雑な人物の変遷、彼の人生を観客は追体験できるのだ。しかも、パートナー毎に毎回違ったオネーギン像を彼は見せてくれる。今まで彼がパートナーを務めたバレリーナ6人全員との組み合わせを観たが、それぞれが全部異なるケミストリーがあった。そして30日の公演では、彼の熱情が吉岡美佳さんに驚くべき変化をもたらしたのだった。

2年半前にエヴァンのオネーギン・デビューを観たときには、1幕ではなんと人の良さそうなオネーギンだろうと思った。今回の彼は、とても慇懃で礼儀作法はきちんとしているものの、とても空虚で虚栄心の強い、自分にしか関心を持たない人物だ。1曲目のソロで、自分の視界からタチヤーナの存在を消して行って、自分ひとりの世界に溺れるがごとく、ナルシスティックな姿。一分の隙もなく、指先からつま先のすみずみまで行き届いた動き。一つ一つの動作が磨き抜かれており、都会の垢抜けた紳士としてこの田舎町で際立っているというか、ほかの人々を見下ろすような長身で黒衣の彼はとても異質で浮き上がっている。彼を包んでいる空気自体がひんやりとしていて別物のようだ。研ぎ澄まされていて、ナイフのように冷ややかで尖った存在の高等遊民、そんなオネーギン。一方、田舎の少女にしては洗練されていてお嬢さんぽいが、物静かな吉岡さんのタチヤーナはあこがれをこめた視線で遠くから少し恥ずかしそうに彼を見つめ続ける。

鏡のパ・ド・ドゥでは、長い腕で弧を描き悪魔的な微笑みを浮かべながらオネーギンは出てくる。このシーンでのオネーギン、クール悪魔ヴァージョンと優しい悪魔ヴァージョンの二通りあると思うのだが、今日のエヴァンは、いつになく優しげなオネーギンで、甘い微笑みを浮かべてタチヤーナの夢を体現した。後ろ脚が垂直に突き刺さるほど高く上がるアントルラッセ、美しく伸びたジュテと無音の着地。恋心に高揚するタチヤーナを包み込むようにサポートし、疾走感を保ちながらいくつもの跳躍へと導く。いつもはお姫様キャラの吉岡さんも、ここでは笑顔を花開かせたドリーミーな少女で、オネーギンの腕の中で奔放に舞っている。長身のエヴァンにサポートされると驚くばかりの高さに舞い上がる吉岡タチヤーナは、柔らかい背中を生かしたアラベスクで歓びを全身で表し、多幸感に酔いしれる。タチヤーナが甘い余韻に浸っている間に、また長い腕を手招きするように振りながら、スタイリッシュに鏡の中へと消えていくオネーギン。

タチヤーナの名前の日の宴では、オネーギンはあからさまに退屈していて、欠伸などみせている。部屋の隅で黒い染みのようになってエレガントにトランプ遊びに興じるオネーギンは、こんなつまらない田舎にいることに飽き飽きしている。タチヤーナがしきりに自分のことを気にしているから、苛立ちが募り、ついには彼女からの手紙をビリビリに破いてしまう。礼儀を損なわないように丁寧に接しているし、恋に恋していないで現実を見ろと言いたげな彼なのだけど、タチヤーナにとっては心が二つに割れてしまったかのようだ。この日のオネーギンは、この上なく美しいが憐れで悲しい男だ。小娘相手に苛立っている自分のことが心の奥底では嫌で嫌で仕方ないのに、虚勢を張ってクールに振舞っている。本当はタチヤーナと同じように、繊細で壊れやすく孤独な魂を持っているのに。机をバンと叩き立ち上がる姿にも、タチヤーナに苛立っているだけでなく、自分自身に対してもナルシズムと表裏一体の嫌悪感を抱いていることがわかって、観ている側としても辛くなる。なんという哀しいエゴイスト。隙がなく美しく洗練されていればいるほど、このオネーギンはより一層哀しく見えるのだ。

オネーギンの中のふさぎの虫は黙っていることができなかった。再び悪魔の微笑みを浮かべて、オルガの手を取って戯れる。楽しそうにオルガを弄んで有頂天にさせる彼だが、本当はこんな退屈しのぎのゲームなどすべきではないということをわかっていた。純朴なレンスキーを激怒させて決闘を申し込ませる事態にまでなるとは、さすがの彼も予想ができなかったようだが。

決闘に向かうオネーギンは、すでに敗者の気配を濃厚に漂わせている。マントから取り出した銃を見ておののき、自分の退屈しのぎのゲームがこんな事態をもたらしてしまったことを激しく後悔している。彼の銃弾にレンスキーが斃れると、タチヤーナの射るような視線に耐え切れず、自責の念とともに愕然とするオネーギンの姿があまりにも哀れだ。この決闘に勝者はいない。すべての者が傷ついた、そんな痛切な幕切れだった。

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「エフゲニー・オネーギン」(イリヤ・レーピン)

3幕のエヴァンは、28日の方が白髪が目立っていた感じだ。年月は経たものの、相変わらず美しい立ち姿のオネーギンだが、この数年の間、彼がどんな地獄をくぐり抜けてきたのかが浮かび上がってくるようなやつれ方。耳を隠して美しく変貌した貴婦人タチヤーナを見つめる瞳は、まるでタチヤーナは彼自身の人生における最後の希望として見ているようだ。それなのにグレーミンと踊ったタチヤーナは、去り際にもほとんどまともにオネーギンの姿を見ようともしない。

最後の手紙のパ・ド・ドゥ。28日に観た吉岡さんは、一度ポワントが落ちた他はきれいに踊れていたものの、とても頑なでオネーギンに最後まで心を許そうとしない、とても冷たいタチヤーナに感じられた。激しいオネーギンの求愛に対しても心揺れることなく、最初から彼を拒絶する気持ちが固まっていたように見えた。だが、30日は一転して、彼女は自分の中の理性と戦い葛藤して揺れ動く様を表情ではなく肉体で表現した。迷いに迷った末に決断を下しオネーギンを追い出すものの、終生その選択を悔やんで生きただろうと思わせるほどの嘆きと苦悩を感じさせて、大熱演だった。この劇的な変化はまるで魔法のよう。

その演技を引き出したのが、自己の存在意義のすべてを賭けて、つまづいてしまった人生を立て直す唯一の光としてのタチヤーナへ、直球の想いをぶつけるエヴァンのオネーギンだった。愛だけじゃない、彼女は失ってしまった彼の誇りをも象徴している。ここでの彼の表現は若々しい。人生の辛酸をなめてきたのは伝わってくるが、タチヤーナに再会して彼の心は彼女と出会った頃の若さや魅力を取り戻していた。彼の踊りからは台詞が聞こえる。そしてすべての虚飾を剥ぎ取った裸の感情が奔流となって流れ出る。涙を流しながらタチヤーナの背後から迫り、ついにはタチヤーナの気持ちがこちらを向いて勝利を確信した彼は、彼女の目を見て微笑むのだ。だから、突然タチヤーナが彼の前に手紙を突き出し、それを破り捨てるとき、彼女の取った行動に彼は心底驚き慌てる。歓喜から絶望の底に突き落とされたオネーギンは、我を捨ててすがりつくも紳士としての気品を保ちながら走り去り、タチヤーナは慟哭する。この最後の表現、激しく泣き叫ぶ人もいれば、じっと耐え抜き正しい選択をしたと自分に言い聞かせるタチヤーナもいる。吉岡さんは、それほど激烈な嘆きは見せなかったものの、降り積もる雪のような哀しみを見せて、タチヤーナがオネーギンのことを愛していたことを表現した。カーテンコールで役から抜けきらず立ち尽くしている姿が忘れがたい。

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追記:ところで、先日まで開催されていたレーピン展には、「決闘」という作品が出展されていたが、これが思いっきり「オネーギン」の決闘シーンを思わせるものであった。この展覧会には出品されていないが、レーピンの作品には題名も「エフゲニー・オネーギン」というものもある。レーピンは、この他にも決闘をモチーフとした作品をいくつか残している。

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「決闘」(イリヤ・レーピン)

ABTの2013年METシーズン

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ABTの2013年METシーズンが発表されていました。
(まだプレスリリースはオフィシャルサイトには掲載されていませんが、Ballet Alertフォーラムに載っています)

ニューヨーク・タイムズの記事
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2012/10/10/american-ballet-theater-announces-spring-season/

各日のキャストも発表されています。(一部未定有り)
http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=5/1/2013

2013年METシーズンの目玉としては、ラトマンスキーがショスタコーヴィチの曲を使って振りつけた世界初演作品が二つあること。ラトマンスキーは、ショスタコーヴィチ3部作として3作品を新たに振り付けるワケですが、第一弾(交響曲9番)は秋のシティセンターシーズンで世界初演されます。交響曲1番と弦楽のための室内交響曲(Op. 110a)にそれぞれ振りつけられた作品と併せての3部作が、5月31日に初演され、4公演を予定しています。

カンパニー初演としては、フレデリック・アシュトンの「田園の出来事」が5月21日に上演されます(4公演を予定)。

また「海賊」はプロダクションを一新したものを上演(6月4日~)。

ほかの作品としては、5月14日~「オネーギン」、5月21日~「田園の出来事」の他「汝が瞳に乾杯」(マーク・モリス振付)「シンフォニー・インC」の同時上演、5月24日~「ドン・キホーテ」、6月10日~「ロミオとジュリエット」、6月17日~「白鳥の湖」、6月24日~「シルヴィア」、7月1日~「眠れる森の美女」。

ゲストとしては、アリーナ・コジョカルとENBのワディム・ムンタギロフが出演。コジョカルは「白鳥の湖」「眠れる森の美女」に、ムンタギロフは「眠れる森の美女」に出演予定。なんだかコジョカルが、決して得意ではないと思われる「白鳥の湖」を踊るのが意外なのですが、でもエルマン・コルネホが、やっとジークフリート・デビューを彼女を相手に果たせるのは良かったと思います。

ダニール・シムキンが先シーズンの「白鳥の湖」に続き、「眠れる森の美女」でも王子役を演じるので、サポートの訓練中なのかな、って思っちゃいました。それ以外のソリストが、新しく昇進したアレクサンダー・ハムーディとシムキン要員のサラ・レーン以外はあまりチャンスを与えられていないのが残念です。シカゴでの「ジゼル」でジゼル役デビューした加治屋百合子さんがとても好評だったのですが、今回は「ジゼル」の上演はないのですよね。今のところ、「白鳥の湖」一公演がキャスト未定になっているのですが、これに誰が入るのかが興味深いところです。

大柄なポリーナ・セミオノワがマクミランのジュリエット役を演じるのがちょっと意外です。「オネーギン」のタチヤーナ役もですが(ベルリン国立バレエやシュツットガルト・バレエでのゲストで一応踊っていますけどね)。イリーナ・ドヴォロヴェンコの出演予定が「オネーギン」だけだったり、ジュリー・ケントも「オネーギン」と「ロミオとジュリエット」だけでとても少ないので、今後彼女たちを観る機会があるのかちょっと心配になってしまいます。

10/15 BSフジプライムニュースにて『世界的プリマ森下洋子 バレエ歴61年の軌跡 現役続ける原動力とは』

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10月15日(月) BSフジのプライムニュースにて『世界的プリマ森下洋子 バレエ歴61年の軌跡 現役続ける原動力とは』が放送されます。放送時間は夜20:00~21:54。生放送の番組です。

http://www.bsfuji.tv/primenews/schedule/index.html#MonTheme

今年の高松宮殿下記念世界文化賞、その演劇・映像部門は日本を代表する国際的プリマバレリーナ、森下洋子氏に贈られる事が決まった。この高松宮殿下記念世界文化賞は、1988年の創設以来、「全人類の財産である芸術の創造者たちに感謝と敬意を捧げ、永遠に讃える」ことを基本理念とし、全世界の芸術家の中から国際的に著しい業績をあげた人々を厳選、授与されてきたものだ。
 今回受賞が決まった森下氏は3歳の時からバレエに取り組み続け、26歳でバレエ界屈指のコンクールであるヴァルナ国際バレエ・コンクールで、日本人バレリーナとして初めて金賞を手にするなど、国際的に知られる芸術家だ。
 バレエを始めて61年になる今も、現役のプリマバレリーナとして世界の第一線で大舞台に立ち続ける森下氏だが、同時にバレエという芸術を通じた国際社会との文化交流の第一人者でもある。そんな森下氏の原動力とは何なのか? 世界に挑み続けてきた日々とは、どのようなものであったのか? 芸術を通じた国際交流で何を得、何を育んできたのか?
 日本人として国際社会に挑んだ先駆者である森下氏に、今求められる国際社会との向き合い方、日本の未来へのヒントをきく。


世界文化賞を受賞した森下洋子さんのインタビューシリースが、産経新聞に掲載されています。

世界文化賞受賞 プリマの軌跡(上)バレエダンサー・森下洋子 日本人だから、日本でやる
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121009/ent12100903100000-n1.htm

世界文化賞受賞 プリマの軌跡(中)バレエダンサー・森下洋子 人々に夢や希望、感謝、そして愛
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121010/ent12101004040000-n1.htm

「ガリーナ・ウラノワ(1910~98年)。ステップが見えないくらい、音と一緒になる。『踊るとは、技を見せることではない』と来日時に、教えていただきました。

という言葉がとても印象的です。

世界文化賞受賞 プリマの軌跡(下)バレエダンサー・森下洋子
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121011/ent12101103140000-n1.htm

「全部踊り中心。それが幸せなんですもの。こうやって生きていられるというのはみんなが支えてくれるおかげ。ほかに何もいらないから、“犠牲”にしたものなどありません。必要ないですから。」

61年間もトップで活動し続けている森下さんの言葉には、重みがあります。

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パリ・オペラ座バレエ「天井桟敷の人々」日本公演キャスト発表

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パリ・オペラ座バレエの来日公演「天井桟敷の人々」の日毎キャストがようやく発表されていました。

http://parisopera.jp/cast.html

名古屋公演
5月25日(土)18:30
バチスト:マチュー・ガニオ
ガランス:イザベル・シアラヴォラ 
5月26日(日)13:00
  バチスト:ステファン・ビュリオン
ガランス:アニエス・ルテステュ

東京公演
5月30日(木)19:00
バチスト:マチュー・ガニオ
       ガランス:イザベル・シアラヴォラ 
5月31日(金)18:30
  バチスト:ステファン・ビュリオン
        ガランス:アニエス・ルテステュ
  6月 1日(土)13:00 
バチスト:マチュー・ガニオ
       ガランス:イザベル・シアラヴォラ 
6月 1日(土)18:00
  バチスト:ステファン・ビュリオン
       ガランス:アニエス・ルテステュ

※最終的な出演者は当日発表とさせていただきます。病気・怪我等、やむを得ない事情により出演者は変更となる場合があります。 予めご了承ください。


チケット発売開始前にはキャストが発表されていませんでしたが、今チケットスペースオンラインを見たら、相当売れていますね。さすがはパリ・オペラ座ブランドと言うべきか。

新国立劇場バレエ団「ジゼル」のキャスト

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新国立劇場からメールでお知らせが来ており、新国立劇場バレエ団2013年2月公演「ジゼル」のキャストが発表されていました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000285.html

【2/17(日)2:00・24(日)2:00】
ジゼル:長田佳世
アルベルト:菅野英男

【2/20(水)7:00・22日(金)7:00】
ジゼル:ダリア・クリメントヴァ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
アルベルト:ワディム・ムンタギロフ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

【2/23(土)2:00】
ジゼル:米沢 唯
アルベルト:厚地康雄

今年2月の「アリーナ・コジョカル・ドリームプロジェクト」への出演が好評だったENBのダリア・クリメントヴァ、ワディム・ムンタギロフがゲスト出演。新国立劇場も、この人気ペアを呼んでくるとは頑張りましたね!特にワディム・ムンタギロフはABTのメトシーズンへのゲスト出演も好評で、来シーズンも出演予定の新星です。

さて、気になるのが、現在の新国立劇場の看板バレリーナ、小野絢子さんの出演予定がないこと。彼女、ジゼル役が似合いそうなのに、と思っていたのですが、ちょうどこの時期、バーミンガム・ロイヤル・バレエで「アラジン」が初演されるのでした(2月15日~)。もちろん、これは現段階では推測に過ぎないのですが、もしそうだったとしたら嬉しいことです。

http://www.brb.org.uk/masque/index.htm?act=WhatsOn&urn=23785&tsk=show

新国立劇場バレエ団2013/2014シーズンバレエ 注目の2公演先行発表

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新国立劇場バレエ団が来年1月下旬に予定している2013/2014シーズンラインアップ発表に先駆けて、注目の2公演が先行発表されました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000298.html

2013年11月公演
  
~ディアギレフ×ストラヴィンスキー 豪華トリプル・ビル~

「火の鳥」   
振付:ミハイル・フォーキン  
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
「アポロ」   
振付:ジョージ・バランシン  
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 
「結婚」
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ  
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

現代バレエの礎を築いたバレエ・リュス(ロシアバレエ団)の創設者ディアギレフと、20世紀を代表する作曲家の一人であるストラヴィンスキーの二人によって生み出された作品によるトリプル・ビル。「アポロ」と「結婚」は新国立劇場では初演。「結婚」は以前東京バレエ団で上演されたことがあったはずですが、このニジンスカの傑作は大好きですし、音楽も素晴らしいので大期待!

2014年4月公演
 
~日本初演を含む、ビントレー振付作品2本立て~
 
「Faster」 <日本初演>
振付:デヴィッド・ビントレー  
音楽:マシュー・ハインドソン
「カルミナ・ブラーナ」   
振付:デヴィッド・ビントレー  
音楽:カール・オルフ

「カルミナ・ブラーナ」は2005年と2010年に新国立劇場バレエ団で上演されて話題となり、一躍日本でのビントレーの名前を挙げた作品。そして、ロンドン・オリンピックにインスピレーションを得て今年6月に初演されたばかりのホヤホヤの新作が早くも日本で観られるのは、本当に嬉しいことです。
http://www.brb.org.uk/masque/index.htm?act=Production&urn=21907&srn=21906&showpart=yes
The Arts Desk による批評
http://www.theartsdesk.com/dance/grand-tour-faster-dream-birmingham-royal-ballet-birmingham-hippodrome

10/24 ロイヤル・バレエ「白鳥の湖」映画館中継

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ロイヤル・バレエの公演映像を映画館で上映する「シアタス・カルチャー」、第一弾の「白鳥の湖」の上映に行ってきた。友達と一緒に観るということで、港北ニュータウンのワーナーマイカル港北にて。

http://www.theatus-culture.com/

開映前に吉田都さんのミニトークショーがあったので、簡単に内容を紹介。花束贈呈とかマスコミ向け写真撮影タイムなどがあったので実質的には15分程度だった。

都さんがバレエ団に入って初めてオデット・オディールを踊ったのは20歳の時。そしてロイヤルに移籍して最初に踊ったのもこのダウエル版白鳥だったとのこと。初めて白鳥を踊った時はキャストされていなくてけが人が出たので代役として踊り、ピーター・ライトが教えてくれた。振り返ってみるとその時はただ振りをなぞって踊った。数多くの白鳥をサドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ)では踊らせてもらえた。

マイムのところが都さんにとっては難しくて、王子様と会話するようにするのが大変だったため、オデットと王子の出会いの場面はみっちりと教えてもらった。最初の頃は白鳥の方が表現が難しく感じた。出会いの時には怯えて恐怖を見せていたのが、だんだん王子へと心を許していく過程を見せるのが難しかったが、何十年も踊っているうちに感情表現が変わっていった。黒鳥は子供の頃からコンクールで踊っていた。演じ分けは踊りがいがあり、若い時は王子様を誘惑していたが、踊っていくうちに、オディールはオデットと同じように王子への愛があったというふうに変わって行き、根底では二つのキャラクターに共通するものがあったと感じるようになった。

ロイヤル・バレエ学校時代、都さんは3幕の王妃のおつきの役で立っていたので毎晩違うオディールを見ていて、違うダンサーの違う演じ方に驚いて勉強させてもらった。バレエ団に入ってからも「白鳥の湖」のコール・ドを踊った。白鳥、眠りは全部の役を踊り込んでいるので、それが自分の表現につながっていった。
映画館でバレエを観る楽しみについて。都さんが主演した「オンディーヌ」も生中継された。ロイヤル・バレエのダンサーは端から端まで役柄に入り込んで演じているので、映画館で見るとまた違った楽しみ方ができるとのこと。

********

さて本編。前日10月23日に上演された舞台を、時差の関係で生中継は難しいため翌24日に映画館で上映するという趣向。本編の前と休憩時間には、ミニ・ドキュメンタリーと舞台裏の映像もつけて上映された。振付のアンソニー・ダウエル、主演のゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュ、バレエ・マスターでロットバルト役のギャリー・エイヴィスらのインタビュー、主演の二人のリハーサル映像など。2回目の休憩後には、白鳥の湖のコール・ドの大変さについて、コール・ドのサビーナ・ウェストコームらのインタビューもあって大変興味深かった。これらの映像は、ロイヤル・オペラハウスの公式YouTubeにアップされている。

ゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュのリハーサルとインタビュー

コール・ド・バレエのドキュメンタリー

最終幕について(ギャリー・エイヴィス、ゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュのインタビュー)

2幕で数秒間の音声や映像の途切れがあったほかは、不具合もなく、音質も良かった。画質は、最近のハイビジョン放送を見慣れている目からすると若干落ちるところはあったけど十分。映画館の大画面であるため迫力、臨場感はあるし、生の舞台を見ている時には見られないクローズアップもあって(その点は好き嫌いが分かれるかもしれないが)、映画を見ているように大変面白く見ることができた。都さんが述べていたように、ロイヤル・バレエのダンサーは演技力があるため脇役一人ひとりまで演技しているので、とてもドラマティックに感じた。

オデット/オディール ゼナイダ・ヤノウスキー
ジークフリート王子 ネヘミア・キッシュ
ロットバルト ギャリー・エイヴィス
女王 エリザベス・マクゴリアン
家庭教師 アレイステア・マリオット
ベンノ ヴァレリー・ヒストリフ
パ・ド・トロワ チェ・ユフィ(崔由姫)、ヘレン・クロフォード、アレクサンダー・キャンベル
小さな4羽の白鳥 エリザベス・ハロッズ、ミーガン・グレース・ヒンキス、エマ・マグワイア、サビーナ・ウェストコーム
大きな2羽の白鳥 小林ひかる、イツァール・メンディツァバル
スペイン ヨハネス・ステパテク、平野亮一、イツァール・メンディツァバル、ディードル・チャプマン
ナポリ ラウラ・モレーラ、リカルド・セルヴェラ
チャルダッシュ ベネット・ガートサイド、?
マズルカ トーマス・ホワイトヘッド、蔵健太、シアン・マーフィほか
(キャスト表はこちら


ロイヤル・バレエの現プロダクションは、アンソニー・ダウエル版、衣装と舞台装置はヨランダ・ソナベントによるもの。1幕、3幕の衣装はたいへん手が込んでいて時代設定も19世紀という雰囲気があって素敵なのだが、大きく賛否が分かれるのが白鳥コール・ドの長いチュチュである。ロマンティック・チュチュのような薄く透ける素材でもないため、群舞の脚が隠れてしまって、コール・ドを観る楽しみの半分位奪われてしまうのがつくづく残念。K-Balletの「白鳥の湖」も同じくヨランダ・ソナベントの衣装で同様に丈の長いチュチュなのだ。体型をごまかせるというメリットはあるのだが。

オデット/オディール役のゼナイダ・ヤノウスキーは、長身であるため今までパートナーが限られており、過去にはケネス・グレーヴやロベルト・ボッレなどの長身の男性ゲストを呼んで「白鳥の湖」を踊ってきた。去年からやはり長身のネヘミア・キッシュが移籍してきたために、ゲストを呼ばなくて済むようになったのは彼女にとってラッキー。その彼女のオデットだが、背が高いだけでなく上半身ががっしりしているため、また美人なのだが男顔ということもあり彼女の表現自身はとても女らしくて情感があるのにどうしてもごつく見えてしまう。脚が長くて細くてとても美しく、身体能力もしっかりとしているし、何より長身であることもあってほかの白鳥たちとかくっきりと際立つ女王様的な要素はあるのだが、鳥ではなくてひとりの女性というふうに見えるオデットだった。マイム含めて演技はドラマティックでしっかりと物語を紡いでいける実力があるのだけど、持って生まれた体格と、ポール・ド・ブラの堅さは致し方ない。

王子役のネヘミア・キッシュは長身だが、ゼナイダがポワントで立つと彼よりも背が高くなる。育ちの良いボンボン的な王子で、いかにも人が良さそうだしオディールにも簡単に騙せてしまうのがよくわかる感じ。恋愛など意識したことは一度もなかったのに、オデットに出会ってあっさりと恋に落ちてしまうのが伝わってきた。パートナーリングはとても上手くて大きなゼナイダを軽々と持ち上げていたし、二人の心が通じ合っているのが感じられていたのは良かった。踊りはところどころいっぱいいっぱいのところがあって3幕のグラン・パ・ド・ドゥのフィニッシュの着地が滑ったように見えたけど、作品の世界観を伝えるところはうまくいっていたと思う。

ゼナイダのオディールは、邪悪さはあまりなくて、高貴さと華で圧倒するタイプ。長い手足をうまく生かして踊りも大きく、またたいへん美しいので存在感は強い。グランフェッテはちょっと不安定で32回転は回りきれなかったが、これもそんなに大きな傷にはなっていなかった。そして4幕、オデットと王子が出ているシーンは短いのだけどその中に、悲劇性が感じられて二人が湖に身を投げるエンディングも説得力があった。

もうひとりの主役は、ものすごく強烈な存在感のロットバルトを演じたギャリー・エイヴィス。この版では邪悪な梟という設定であるため、2幕と4幕はボロのような衣装をまとっているのだが、マイムがキメキメで切れ味鮮やか、4幕では実はオデットを彼が愛しているという設定のため、必死で王子に彼女を奪われないように戦う場面で思わず彼に肩入れしてしまったりして。そして3幕では、モヒカンにピアス、まるでパンクロッカーのような出で立ちで登場して、この扮装の似合うことといったら。カッコよすぎる。来日公演の「白鳥の湖」は、ギャリーがロットバルト役で出演する日を観たいと思ったのだった。カーテンコールでロットバルト役にブーイングするのは英米ではお約束のようだが、そのブーイングすらも嬉しそうな彼、実に鮮烈なカリスマ性があった。

パ・ド・トロワでは、ユフィちゃんの優雅さ、音楽性、上品さに思わず目が惹きつけられてしまった。もう一人のヘレン・クロフォードは華奢なユフィちゃんと並ぶと明らかにごつくて踊りも冴えず引き立て役に。センターを踊ったアレクサンダー・キャンベルは跳躍力があって元気いっぱい。1幕では、王子の友人役が平野亮一さん、蔵健太さん、ブライアン・マロリーと大変豪華な面々なのだが、酔っ払って倒れこむ平野さんの演技が楽しめた。女王役のエリザベス・マクゴリアンの華やかな美しさにはうっとり。

3幕の民族舞踊では、なんといってもナポリのラウラ・モレーラとリカルド・セルヴェラの素晴らしさに舌を巻く。ここだけ、フレデリック・アシュトンが振りつけたそうだが、特に女性のポワントワークが難しく、それをきっちりと踊るラウラの実力に恐れ入った。ロットバルトの手下という設定のスペインは、平野さん、ヨハネスともキメキメでかっこよかった。チャルダッシュのベネット・ガートサイドも良かった。

白鳥の群舞は、ロイヤルなのであまり揃っていないけど、でも気になるほどの不揃い加減ではない。体型については、あの丈の長い衣装なのでわかりにくいが、今は美しいダンサーが多くなったのではと思った。群舞の中には、金子扶生さんや、「アリス」で主役に抜擢されているベアトリス・スティクス・ブルネルもいた。2羽の白鳥は、小林ひかるさんとイツァール・メンディツァバルの踊りが異質であまり揃っていない。小林さんは優雅でたおやかな踊りなのだが、イツァールは大きくてダイナミック。タイプが似通っている二人にしたほうが良かったのでは、と思った。

ロシア的な一糸乱れぬ、体型の美しいコール・ドによるひたすら美しく精神性の高いバレエ、とは全く別物だが、ロイヤルらしいドラマティックさのあるこの「白鳥の湖」は、大変楽しく観ることができた。来日公演も楽しみである。

また、今後の「シアタス・カルチャー」でのロイヤル・バレエの中継もとても楽しみ。このライブ感を堪能できるなら、3000円払って観る価値があった。特に中継の「くるみ割り人形」「不思議の国のアリス」は必見であると感じた。

こちらは、同じプロダクションだが、マリアネラ・ヌニエスとティアゴ・ソアレス主演の「白鳥の湖」。1幕パ・ド・トロワのチェ・ユフィ、ラウラ・モレーラ、スティーヴン・マックレーがとにかく素晴らしい。

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東京・春・音楽祭でパトリック・ド・バナ新作xウィーン国立バレエ

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東京・春・音楽祭2013年のサイトを見ていたら、バレエ公演があることが判明。しかも、

東京春祭のStravinsky vol.2
ストラヴィンスキー・ザ・バレエ
~ド・バナの《アポロ》、ベジャールの《春の祭典》

というなかなかの豪華版。パトリック・ド・バナ振付の新作「アポロ」が上演されるそうです。それも、ウィーン国立バレエのダンサーによるものだとのこと。東京バレエ団の「春の祭典」は東京都交響楽団の演奏によるものということで、こちらも期待できそうです。

http://www.tokyo-harusai.com/program/page_1337.html

■日時・会場
4.14 [日] 15:00開演(14:00開場)
東京文化会館 大ホール

■曲目・出演
《アポロ》
  振付:パトリック・ド・バナ(新作)
  音楽:ストラヴィンスキー(《ミューズを率いるアポロ》)
  舞台美術:アラン・ラガルド
  衣装:ステファニー・バウエル
  バレエ:ウィーン国立バレエ団のメンバー
  演奏:長岡京室内アンサンブル
《春の祭典》
  振付:モーリス・ベジャール
  音楽:ストラヴィンスキー
  バレエ:東京バレエ団
  演奏:東京都交響楽団
  指揮:ジェームズ・ジャッド

チケットについて
【発売日】2012年11月25日(日)10:00~
【料金】S:¥10,000 A:¥8,000 B:¥6,000 C:¥5,000 D:¥4,000 E:¥3,000
    U-25チケット:¥2,000


ここでは紹介しそびれたのですが、2013年4月には<マニュエル・ルグリの新しき世界III>が上演されるので、その直前に行われる公演と考えたほうが良さそうなのでしょうか。こちらの概要は以下の通り。

<マニュエル・ルグリの新しき世界III>

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/renew/20134iii.html#001615

◎公演日程:
<Aプロ>
4月17日(水)/4月18日(火)
<Bプロ>
4月20日(土)/4月21日(日)

◎会場:ゆうぽうとホール

◎予定される出演者:
 マニュエル・ルグリ(ウィーン国立バレエ団 芸術監督)
 
 シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ)
 オレリー・デュポン(パリ・オペラ座バレエ団)*Bプロのみ出演
 パトリック・ド・バナ
 デヴィッド・ホールバーグ(ボリショイ・バレエ/アメリカン・バレエ・シアター)
 アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

 ※そのほかの出演者は後日発表

ひょっとして上記バナ新作にはマニュエル・ルグリが出るなんてこともあるのでしょうか?なくても客席でお姿は見られるかもしれませんね。そして「マニュエル・ルグリの新しき世界」の後日発表のダンサーは、ウィーン国立バレエ所属の人の可能性が高そうですね。

アメリカの新聞に載った日本のバレエ界の現状

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日本のバレエ界の現状について、アメリカ、ピッツバーグの新聞に載った記事がとても興味深かったのでご紹介します。

Japanese ballet dancers embracing Pittsburgh
http://www.post-gazette.com/stories/ae/theater-dance/japanese-ballet-dancers-embracing-pittsburgh-659561/

ペンシルバニア州にあるピッツバーグ・バレエ・シアターのカンパニーには現在3人の日本人ダンサーがいますが、付属のバレエ学校のサマースクールには、20人もの日本人が学び、学校公演でも主要な役柄を踊っています。このバレエスクールの共同芸術監督であるデニス・マーシャル氏が、日本のバレエ・コンクールジャパン・グランプリの審査員を務めていることもあって、日本人留学生が多いそうです。

デニス・マーシャルとジャパン・グランプリの芸術監督であるマーティン・フリードマンが長年の友人だそうです。マーティン・フリードマンは、ワシントンのキーロフ・アカデミーの芸術監督であるとともに、2005年に旭日小綬賞受賞を受賞するなど日本のバレエ界の発展に貢献してきました。フリードマン氏は27年間のあいだに100回近くも日本を訪問しており、流暢な日本語でレッスンを行うことができるそうです。

ジャパン・グランプリは10年前に開設されました。「日本人の審査員の多くは、細かいところに目を取られてしまいがちだけど、バレエはインターナショナルな芸術であり、私たちは参加者の本質的な才能、音楽性、そしてプロポーションに注目しています」とのこと。昨年は600人もの参加者がこのコンクールにエントリーしたそうで、日本の伝統文化ではないのにこんなにも多くの生徒がいることに驚いたそうです。

日本では1980年代以来バレエの人気が爆発的に拡大し、1万5千校ものバレエ教室があり、100以上のコンクールが開催され、また大スターが人気を呼び世界バレエフェスティバルは2週間に渡って開催されています。Kバレエを率いる熊川哲也のような日本人のスターもいるけど、彼が怪我をして出演できなくなった時には、チケットはタダ同然で取引されていました。

日本ではおよそ10のプロのカンパニーがあるものの、特に女性のコール・ドのダンサーはほぼ報酬を受け取ることができないのが現状です。フリードマン氏によれば、「彼女たちは自分でチケットを売らなければならず、たくさん売ることができれば大きな役を得ることができます」とのこと。そのため、女性ダンサーは教える経験がほとんどないままにバレエ教室を開きます。多くの場合、コンクリートの床の狭い稽古場で、天井が低いためリフトの練習もままなりません。フリードマン氏によればポワントの練習もできないため、7歳といった低い年齢の子供たちは難しいバリエーションをポワントクラスも受けないままYouTubeで見て練習するそうです。

日本のバレエ教室は、何時間にも渡る発表会を開き、全幕も上演するために男性ダンサーにとっては良い収入になるそうです。バレエの衣装を制作しているアトリエヨシノの吉野勝恵氏は億万長者なのだそうです。バレエ教室の数が多いため、良い生徒を集めるためには外国人の教師を招聘したり、高い参加費を払ってコンクールに参加させるとのことです。「有象無象の外国人がお金のために、日本に来て振りつけたり教えたりしています」とフリードマン氏。

それでも優秀な生徒は頭角を現し、コンクールの実績を活用してビザを獲得し、きちんと報酬が支払われる仕事を目指して海外へと流出します。ピッツバーグ・バレエ・シアターのアプレンティス(見習い)でも、公演に出演すれば報酬と貴重な経験が得られます。日本ではプロの公演の「くるみ割り人形」に出演するのに100万円も払わなければならないのに。

フリードマン氏によれば、キーロフ・アカデミーの生徒を全員日本人にすることだって可能であり、ジャパン・グランプリを利用してピッツバーグ・バレエ・シアターのスカラシップを毎年2,3人分用意しているそうです。このコンクールは、そのままサマースクールの受講オーディションも兼ねているそうです。

この夏、ピッツバーグ・バレエ・シアターのサマースクールを受講した18人の日本人の生徒の中には、何人かの男の子もいました。12歳の男の子は、昨年の東日本大震災で家を津波に流されたとのことだけど、「今は大丈夫」とのこと。

「日本人の生徒は、悪魔のように真面目に学びます。彼らはバレエに身を捧げており、それは彼らの血の中に流れている勤勉さ、そして家庭環境や学校で身につけたものです。彼らは脇目もふらず、ダンサーになりたいと真剣に考えています」とフリードマン氏。

この記事は、バレエ雑誌Pointeのブログでも紹介されています。
http://pointemagazine.com/blogs/japan/japans-perplexing-relationship-ballet

リアム・スカーレットがロイヤル・バレエのアーティスト・イン・レジデンスに

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ロイヤル・バレエのファースト・アーティストで、若手の振付家としても活躍しているリアム・スカーレットが、ロイヤル・バレエのアーティスト・イン・レジデンスに就任し、振付に専念することになりました。

http://www.roh.org.uk/news/liam-scarlett-appointed-royal-ballet-artist-in-residence

リアム・スカーレットは明日英国初演を迎える「Vicera」を振り付けています(マイアミ・シティ・バレエで初演)。また、「Asphodel Meadows」、「Sweet Violets」、「アスフォデルの花畑」、そして「アリーナ・コジョカル・ドリーム・プロジェクト」で上演された「ラリナ・ワルツ」や「英国ロイヤル・エレガンスの夕べ」での「 リーベストゥラウム」などの作品で知られています。中でも、「Sweet Violets」は彼の初めての物語バレエということでも注目されました。

まだ26歳の彼はダンサーとしても注目されておりましたが、「白鳥の湖」への出演をもってダンサーを引退することになります。アブストラクトな作品から、ドラマ性を感じさせる作品、そして物語バレエまで幅広い作風を持った彼は、今後の英国バレエを背負って立つ存在になると期待されています。

******
さて、英国バレエといえば、デヴィッド・ビントレー。彼の「シルヴィア」が現在新国立劇場バレエ団で上演されています。私は3キャスト見ましたが、とてもウィットが効いてユーモラスなところもたくさんありながら、最後にはじーんと感動的にまとめられていて、実に面白い作品でした。現代でのすれ違う恋人たちが、古代ギリシャにタイムスリップする設定を巧みに使っていて、馬鹿馬鹿しいストーリーにも真実味があります。とっても高度なテクニックを駆使したパ・ド・ドゥや、ディアナ率いるニンフたちの群舞と踊りを見ているだけでも飽きません。さらに、片足義足の海賊が踊りまくったり、様々な古典作品のパロディも登場していて楽しい作品です。新国立劇場のダンサーたちのレベルの、主役から群舞に至るまでの驚くべきレベルの高さにも目を見張りました。本当はちゃんとした感想をすぐ書かなければ、と思ったのですが時間がなく来週になってから書きます。明日が最終日ですが、観て絶対損はありませんので、まだの方はぜひご覧になってください!明日のキャスト、米沢唯さんの凄いテクニックには驚嘆です。
http://nnttballet.info/2012sylvia/


パリ・オペラ座バレエ昇進コンクールの結果

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パリ・オペラ座バレエ昇進コンクールが女性ダンサーは11月8日、男性ダンサーは11月9日に行われ、結果が発表されました。

女性ダンサー
http://www.operadeparis.fr/actualites/Resultats-du-Concours-du-Ballet-artistes-femmes

Première Danseuse(1枠)
- Valentine COLASANTE 

2. Amandine Albisson
3. Aurélia Bellet
4. Héloïse Bourdon
5. Laura Hecquet
6. Sarah Kora Dayanova


Sujets (3枠)
- Marine GANIO
- Eléonore GUERINEAU
- Pauline VERDUSEN

4. Laurène Lévy
5. Charlotte Ranson
6. Letizia Galloni


Coryphées (3枠)
- Sae Eun PARK
- Emilie HASBOUN
- Marion BARBEAU

4. Léonore Baulac
5. Gwennaelle Vauthier
6. Jennifer Visocchi

コンクールを観た現地在住の友人の話なども併せて印象を少し。

コリフェに昇格した3人のうち、韓国出身のパク・セウンはオランダ国立バレエのソリストの地位を蹴って外部入団試験で見事合格したばかり。圧倒していたようです。スジェに昇格したマリンヌ・ガニオはマチュー・ガニオの妹で、このコンクールでも大変出来が良かったようです。エレオノール・ゲリノーは「スーパーバレエレッスン」にも出演していましたね。
問題は、プルミエールで、昇格を決めたヴァランティヌ・コラサンテって誰それ?と現地在住の人でも思ったくらい影の薄いダンサーであることです。ソリストの役柄も、「ラ・バヤデール」で影の第2ヴァリエーションを踊ったことがあるくらいです。すでに主役を何回も踊っていて、今月中旬から始まる「ドン・キホーテ」でもキトリを踊るマチルド・フルステはランクにも入っておらず、しかしコンクールを見た人の話では絶好調ではなかったにしても、悪くない出来だったようです。ニキヤ役をすでに踊っているエロイーズ・ブルドン、評価の高いサラ・コラ・ダヤノヴァやローラ・エケなども押しのけて、なぜコラサンテになったのかは試験を見ていた人にとっても大きな謎となっているようです。


男性ダンサー
http://www.operadeparis.fr/actualites/Resultats-du-concours-du-ballet-artistes-hommes

Premier Danseur (1枠)
- Audric BEZARD

2. Pierre-Arthur Raveau
3. Fabien Révillion
4. Allister Madin
5. Yannick Bittencourt
6. Marc Moreau

Sujets (2枠)
- François ALU
- Yann CHAILLOUX

3. Maxime Thomas
4. Axel Ibot
5. Alexandre Gasse
6. Mathieu Botto

Coryphées (2枠)
- Jérémy-Loup QUER
- Mathieu CONTAT

3. Germain Louvet
4. Hugo Marchand
5. Alexandre Labrot
6. Florent Melac

男子の方は順当と言っていい結果となりました。課題演目であるヌレエフ版「眠れる森の美女」のヴァリエーションを完璧に踊ることができたのは、オドリック・ベザール一人だったとのことです。「ドン・キホーテ」でバジル役にキャスティングされているピエール・アルチュール・ラヴォーは惜しかったですね。スジェに昇格したフランソワ・アリュは今年のカルポー賞受賞者で、ブロンズ・アイドルなどを踊っています。(ダンスキューブにインタビューも載っています)

彩の国さいたま芸術劇場でのバットシェバ舞踊団「Sadeh21」

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今週の木曜日からマリインスキー・バレエの来日公演が始まるなど、今週、来週にかけては東京では怒涛の公演ラッシュとなります。
自分のスケジュールを見ても、15日のマリインスキー・バレエの「ラ・バヤデール」、22日と23日はマリインスキー・バレエの「アンナ・カレーニナ」、24日はバットシェバ舞踊団の「Sadeh21」、25日はダニール・シムキンのガラ「インテンシオ」、26日はまたマリインスキーの「バヤデール」と、連日の舞台通いで、ついていけるのか、って感じなのです。本当は同時期にインバル・ピントの公演もあるのに、観たいけどどうしても日程が合わなくて観られなさそうです。

実はこの中でも、特に楽しみなのがバットシェバ舞踊団の「Sadeh21」です。前回の来日公演の「MAX」も大変面白い作品でした。今回の作品も、紹介映像を見ると、ダンサーの高度なテクニックも然ることながら動きもとても力強く個性的で、期待が高まります。今までオハッド・ナハリンの振付作品を観て面白くなかったことは一度もないので、とても楽しみです。

http://youtu.be/8-gf9ppbw2Y

公演名:バットシェバ舞踊団『Sadeh21-サデ21』
日時: 2012年11月23日(金・祝) 開演 15:00 、24日(土) 開演 15:00
会場: 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
振付: オハッド・ナハリン
出演: バットシェバ舞踊団

http://saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/d1123.html

また、今回オハッド・ナハリン直々による「GAGAピープル」も開催されます。振付家オハッド・ナハリンが考案した動きのテクニック『GAGA(ガガ)』。ナハリン自身のリハビリテーションのために考案した「動く喜び」を実感するための運動です。 前回開催された時に参加したのですが、とにかくいろいろな既成概念を取り払うことができて、とっても楽しかったです。

2012年11月23日(金・祝)17:30~18:30
※受付開始:17:00~
彩の国さいたま芸術劇場 大練習室(地下2階)
参加費:3,500円
申込み締切:2012年11月19日(月)※定員に達し次第締切
E-mail/office@gaga-japan.org [担当:GAGA/JAPAN すがはら]

http://saf.or.jp/info_archive/info_121121_event_ohad.html

現在、バットシェバ舞踊団のジュニア・カンパニーであるバットシェバ・アンサンブルは英国ツアー中です。反イスラエルのボイコット運動でキャンセルされてしまった公演もあったようですが、政治と文化は切り離して考えて欲しいものですよね。
公演評
http://www.whatsonstage.com/reviews/theatre/london/E8831351937559/Batsheva+Dance+Company+-+Deca+Dance+(Tour+-+Salford).html

アメリカのダンスマガジン誌でも特集記事が掲載されています。
http://www.dancemagazine.com/issues/February-2012/Inside-batsheva

さて、オハッド・ナハリンの作品は、世界中のバレエ団で上演されており、今年2月のユニバーサル・バレエで「マイナス7」が踊られた他、来年1月の新国立劇場での浜田・貞松バレエ団公演でも「DANCE」が踊られることになっています。現在、ドレスデン・バレエでも「マイナス16」が上演されており、この作品の冒頭のソロはイリ・ブネニチェクが踊ったそうです。

ドレスデン・バレエで「マイナス16」の振付指導を行った稲尾芳文さんのインタビュー動画

国立東京博物館 中国王朝の至宝展

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東京国立博物館で開催されている、「中国王朝の至宝展」のブロガー特別招待会があったので、行ってきました。

http://china-ocho.jp/

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最古の王朝である夏(紀元前2000年)から南宋(1200年)までのあいだの、中国歴代の王朝の都・中心地域に焦点を当て、それぞれの地域の特質が凝縮された代表的な文物を対比しながら展示するという手法によって、中国文化の核心に迫るという展覧会。国宝級の「一級文物」が60%を占めるという大変ゴージャスな企画です。近年になって出土したばかりの文物もあるというから凄い。(写真は主催者の許可を得て撮影しています)

Chugokuouchou

第一章 王朝の曙 蜀、夏・殷
夏・殷の時代といえば、日本ではまだ縄文時代だというのに、すでに高度な文明が発達していたことに驚く。中原にあった殷はバラエティに富んだ文化があり、酒器が大変多くて地下に宝物がザクザク埋まっていたとのこと。残念ながら文字は残っていない。一方、同じ時期四川にあった蜀時代の、黄金の仮面。実際にはごく小さいのだけど、金を薄く巧みに加工したもの。人の顔があるものは作らないというこの時代の原則に反する、大変珍しいものであるとのこと。蜀では、人の姿をした神や各種の動物を崇める文化があったとのこと。蜀やそのあとの楚の文明については、教科書には載っていないため知らない人が多い(当然私も知らなかった)

第二章 群雄の輝き 楚、斉・魯

春秋戦国時代。楚は謎に包まれている国で近年存在が確認された南方の強国、この時代の「羽人」は、鳳凰の上に一本足でおかっぱ頭、嘴と尾羽のあるの謎の人物が立っている摩訶不思議な像。一体何のために作られたのかも謎のアイテムである。

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一方、斉、魯は孔子の故郷であり、当時の文化の最先端であった。

第三章 初めての統一王朝 秦、漢

ようやくおなじみの秦、漢が登場。秦の始皇帝は絶対権力を持っていたが故に、反乱が起きて秦の時代は15年しか続かなかった。一方、漢は400年も続く大帝国で安定した時代が続き、被害アジアに渡って大きな影響力を持った。始皇帝陵には、6000体もの兵士や馬の人形が埋められていた兵馬俑坑があり、一つ一つが顔の表情も違っている。ここに展示されている跪射俑(1999年出土)も、身長180センチと等身大で髪の毛の一本一本まで細かく描かれていて、表情も生き生きとしている。

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(この写真ではわかりにくいけど、実物はすごく大きいです)

なにやらでっかい大蛇

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一方、漢では身長60センチと小柄だが優雅な女性の姿をしている女性俑が副葬品として葬られていた。

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第四章 南北の拮抗 南朝、北朝

北朝は中国の原型であるのに対して、南朝は漢の貴族文化を継承している。北は石なのに対して、南は陶磁器のものが残されている。仏教が入り込んできたのもこの時期。また、東アジア最古のカットダイヤモンドなどの宝飾品も残されている。

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第五章 世界帝国の出現 長安と洛陽

唐王朝は、遣唐使などの往来があり、日本と最も結び付きが深い王朝だった。色鮮やかな三彩が出現したり、螺鈿が登場したり、今までの色彩感覚とは違ったものが登場した。立体表現が実にリアルで、美人観も変化している。女性像がとても豊満である。西洋にも通じる世界的な文化が唐文化である。また、渋い青磁が出現した。これは伝統文化への回帰を示している。

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第六章 近世の胎動 遼、宋

契丹族という北方民族の遼は、神を祀る行為自体をクローズアップしている北方文化の国。銀製の仮面は、よく見ると眉毛やまつげまで描き込まれている。金、銀が大好きでお経も銀で作ってしまうほど。また、唐三彩も遼が作ると、狩りの時の水袋に唐三彩の色を施すなど、独特のものへと進化させている。

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特別出品

阿育王塔 (北宋時代)

南京市で2008年に出土した新発見の黄金の仏塔で、世紀の大発見と呼ばれている。この種の遺品の中では最大のもの。これだけの装飾をかけたものはないという華麗な一品で、精緻な彫刻が施され文字も刻まれている。中国でも南京市博物館から外には出したことがないという、大変貴重な文物。このゴージャスさには思わず圧倒された。

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駆け足ではあったが、東京国立博物館 学芸企画部長 松本伸之氏によるギャラリートークのおかげで、文化を対比する楽しみを味わいながら観ることができた。古代の人々の暮らしに思いを馳せ、彼らの精神史や感性を知ることができたのはとても貴重な経験だった。今回の展覧会は、ひとつの博物館から借りてきたわけではなく、中国全土各都市の博物館へ出向いて交渉して借りてきたという。日中関係の微妙な時期に、これだけの国宝級の逸品を一同に観ることができるのは大変な幸せでした。

会期:2012年10月10日(水)~12月24日(月・休)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
http://www.tnm.jp/
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで開館。10月20日(土)は21:00まで開館)
休館日:月曜日 ※ただし12月24日(月・休)は開館
主催:東京国立博物館、中国文物交流中心、NHK、NHKプロモーション、毎日新聞社、朝日新聞社
後援:外務省、中国国家文物局、中国大使館
協賛:信越化学工業、大日本印刷、三井住友海上
協力:全日本空輸、東京中国文化センター

《巡回先》
神戸市立博物館 2013年2月2日(土)~4月7日(日)
名古屋市博物館 2013年4月24日(水)~6月23日(日)
九州国立博物館 2013年7月9日(火)~9月16日(月・祝)

映画「アンナ・カレーニナ」のダンスシーン振付はシディ・ラルビ・シェルカウイ

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ジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ主演の映画「アンナ・カレーニナ」が11月16日にアメリカで公開されましたが、この映画のダンスシーンの振付を、シディ・ラルビ・シェルカウイが行っていることが話題になっています。

http://londondance.com/articles/news/anna-karenina-sidi-larbi-cherkaoui/

監督のジョー・ライトは、「映画は時間と動きについてのものなのだから、動きについてもっときちんと考えるべきではないか?」と考えて、特に映画内でヴロンスキーとアンナが踊る社交ダンスの演出を重視したとのことです。

予告編

映画の中でも特に重要なシーンは、アンナ・カレーニナが、後に恋人となるヴロンスキー(アーロン・テイラー・ジョンソン)と初めて出会う舞踏会の場面となっています。

シェルカウイは、「観客の目を導いて集中させ、そして別のところへと逸らせることは全く新しい経験だった。ここまでのレベルにおいてのこんなチャンスは初めてのことだった」「ライトは、ワルツを再構築する自由を与えてくれ、腕や手の動きをより多く使う自分自身のスタイルでアプローチすることができた。彼が僕のやることは気に入ってくれるとわかっていたから、俳優たちが、このダンスを知っているかのように流れの中に入れるように教えることはとてもエキサイティングだった、そしてそれは、その時に行われたものに基づいたものだったんだ」と語っています。

この映画では、「TeZukA」に出演したダニエル・プロイエットや、マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズで活躍しているアーロン・シルズ、ミカエラ・メッツァなどのダンサーも参加しています。

キーラ・ナイトレイはこう語っています。「私はダンサーではないし、ダンスは私を表現する手段ではありません。でも単に「私たちはダンスを学びました」だけではここでやったことは語りきれません。セットで行われたことも、ダンスのことも、そして動きのことも、すべて『ラルビ的』に行われました。」「舞踏会のシーンを撮影することは素晴らしい経験でした。ラルビは全く新しいレベルへと持っていきました。これらのダンスの順序をこなすのには何週間も何週間もかかり、私の膝や腰も疲れ切りましたが、おそらくとても美しいのではないかと思ってます。このシーンは私、そしてアーロンのキャラクターの多くの部分を占めています。彼は白い衣装で、私は黒い衣装で、まるで陰陽のようでした」


この映画を観た、アメリカのダンスマガジン誌の記事によれば、この映画自体ほとんどのシーンが古いロシアの劇場で展開されているとのこと。黒子が舞台装置を動かし、登場人物は舞台奥の舞台装置にある扉から出ていき、街の人々も舞台の上を歩いているなど。ジョー・ライト監督はこの映画を舞台仕立てにすることにより、登場人物たちは隠された主題、礼儀正しい半分の真実、そして嘘を秘めていて、お互いに向かって演技をしているという事実に注意を向けさせ用としているという意図を持っているかのように思われるそうです。

シディ・ラルビ・シェルカウイの振付は同誌では「動きによる書道」とも評されており、舞踏会のシーンだけでなく、シーンの動きやキャラクター相互の動きなどに対しても、予想外の効果を上げているとのこと。カメラは、握られた手やパーティ客の凍りついた劇的なシーンや肘の意外な接触などに執着した動きを見せており、この映画をよく見ると体の動きに小さな宝石のような美しさがあるそうです。映画と踊りのシームレスな融合に興奮を覚えた、と同誌では結んでいます。

http://dancemagazine.com/blogs/admin-admin/4780

シネマトゥデイの記事
http://www.cinematoday.jp/page/N0047629

映画内でヴロンスキーとアンナが踊る社交ダンスの演出について(ジョー・ライトは)「あのダンスは、振り付け師シディ・ラルビ・シェルカウイによるものだ。彼はモダンダンス界では世界的な人物で、オランダにダンスカンパニーを持っている。彼とは、いろいろなブロッキング(舞台上の立ち位置と動く方向)を試しながら、感情表現できるダンスを共に試してみたんだ。当然、俳優とのダンス・リハーサルもかなりこなすことになったよ」と話した通り、このダンスが原作を知らぬ観客さえも、おそらく魅了することになるだろう。

同じ原作をアレクセイ・ラトマンスキーが振りつけた「アンナ・カレーニナ」は、マリインスキー・バレエの来日公演で11月22日、23日と上演されます。映画の公開は来年3月予定だそうですが、映画の予習を兼ねて観るのもいいかもしれませんね。

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ミハイロフスキー・バレエ「白鳥の湖」の中継

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ミハイロフスキー・バレエの「白鳥の湖」が日本時間今日の0時から生中継されていました。マリインスキー祭りでバタバタしていてこちらにはお知らせができなかったのですが、現時点ではアーカイブ映像をフルで見ることができます。

http://paraclassics.com/ru/mikhailovsky-theatre-swan-lake-tchaikovsky-ekaterina-borchenko/

主演はエカテリーナ・ボルチェンコとヴィクトル・レデベフ。振付はゴールスキー/メッセレル版です。この映像を観ると、このカンパニーのクオリティは大変高いことを改めて実感しますね。

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