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「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」

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ボリショイ・バレエで2013年に起こったセルゲイ・フィーリン芸術監督の硫酸襲撃事件と、その後の顛末を描いたドキュメンタリー映画。

http://bolshoi-babylon.jp/

この映画は、硫酸襲撃事件の真相については、ほとんど迫っていない。犯人として逮捕され現在服役中のパーヴェル・ドミトリチェンコについての扱いは小さいし、結局真実は闇の中、として放置されている。それよりも、この事件が起きた背景に何があったか、そして事件後ボリショイはどうなったか、ということが中心になっている。

衝撃的なのは、この事件の被害者であるセルゲイ・フィーリンについての同情的な描写はほぼないことである。ボリショイの大スターだったフィーリンは、引退後モスクワ音楽劇場バレエ団の芸術監督となり、そして数年後に古巣ボリショイに、芸術監督として帰ってくる。団員時代は親しくしていた元同僚たちが打って変わって冷淡になってしまったと語っていた。事件後、彼のために公演を捧げます、と舞台上でザハロワが宣言する場面はあったものの。

フィーリンの苦境に輪をかけたのが、モスクワ音楽劇場の総裁だったウラジーミル・ウリンがボリショイの総裁となったことである。襲撃事件による混乱の責任を取って、前任のイクサーノフが退任。ウリンは、クレムリンに呼び出されてプーチンとも会談するが、劇場への干渉はきっぱりと断るなど、非常に有能でやり手だ。その彼が、フィーリンとの関係は、「ビジネスだ」と2回、冷たく言い放つ。モスクワ音楽劇場時代に、フィーリンがバレエ団の芸術監督を退任してボリショイに移ってきたことを不快に思っていることも明言していた。

ボリショイは、魑魅魍魎うごめく魔界のようである。ウリンがボリショイの総裁を引き受けると話した時、彼の妻は一晩中泣いてやめてくださいと懇願したとのこと。政治家や評議員が何人も登場し、ボリショイ・バレエには政治の影が色濃く落ちている。

フィーリンが、なぜ団員の間からこんなにも疎まれてしまったのかの具体的な理由は、途中まで描かれていない。ABTから移籍したデヴィッド・ホールバーグと彼が話すシーンは挿入されていて、それとなく匂わされているのだが。ハンサムで日本でも人気が高い元スターダンサーに、何があったのか。

後半になって、マリーヤ・アラーシュがインタビューで明かす。フィーリンが外部から多くのダンサーたちを連れてきて重用したこと。「私たちより下手な人たちが優遇されるようになったのよ」と。アラーシュは、楽屋に飾った娘の写真を見ながら、ダンサーは厳しい職業なので、娘はダンサーにはしたくないと語る。(彼女の夫君も、ボリショイのキャラクター・ダンサー、アレクセイ・ロパーレヴィッチ)

一方で、ドミトリチェンコが犯人だとは思えないともアラーシュは語る。彼は労働組合のリーダーで、ダンサーの権利のために戦っていた立派な人だったと。彼の無実を訴える嘆願書には、100人以上のダンサーたちの署名が集まった。バレエ団内では、あきらかに、反フィーリン派と、親フィーリン派の二つに分断されていた。フィーリンは、そんなドミトリチェンコのことを、こんな卑劣な犯罪に手を染める彼は人間ではない、と断罪する。

フィーリンと対立していて、事件の黒幕ではないかと噂されていたニコライ・ツィスカリーゼ。事件後彼の契約は打ち切られる。「私が人を連れてバレエ団内を歩くと、彼らは驚く。歩くだけでみんな私に対して拍手するから」と誇らしげだ。ドミトリチェンコの恋人で、事件の引き金とも言われたアンジェリーナ・ヴォロンツォーワは、ツィスカリーゼの教え子だった。

そして決定的にフィーリンは団員たちの前で屈辱を味わう。ウリンが音楽監督の交代を発表し、団員たちと話し合いたいと語った時、フィーリンは、バレエ団内にピラティスの機械を導入することを提案する。だが、団員たちはその提案を一笑に付し、ウリンも、あからさまに彼の提案を無視する。フィーリンがピラティスの重要性を訴えても聴く耳を持たないで彼の言葉をさえぎるほどだ。
(※ピラティスは、けが予防及びリハビリに役立ち、英国ロイヤル・バレエを始め、実際には多くのバレエ団で取り入れられている)

フィーリンの最後の言葉が悲しい。「襲撃事件がなかったとしても、ボリショイの芸術監督は引き受けるべきではなかった」

そしてナレーションで、追い討ちのように「ボリショイはフィーリンとの契約を更新しないことを発表した」と締めくくられる。


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このように影の部分もある一方で、もちろん光もある。ロンドン公演の舞台上で、アキレス腱を切断する大怪我を負ってしまったマリーヤ・アレクサンドロワ。長い怪我からの復帰に向けて「白鳥の湖」のリハーサルを重ねるが、教師に酷評される始末。ボリショイを代表するスター・バレリーナの彼女でさえ、すっかり自信を失い、舞台に復帰するのが怖くて仕方ない。「一番怖いのは、踊れなくなること」勝気そうに見える彼女が弱音を吐く様子も見せる。しかし、彼女にとってボリショイとは、神であり、信仰である。事件があって劇場が揺らいでも、彼女はボリショイを信じている。「アパートメント」でようやく復帰を果たした時の晴れやかなガッツポーズには、胸が熱くなる。

ファースト・ソリストのアナスタシア・メシコーワは、離婚して一人で小さな息子を育てている。朝早く起きて息子を学校に送り出し、生活は楽ではない。一生懸命頑張っているのに、思うように役はつかない。子供時代からの夢だったボリショイ。ファンからの花束は届かない。息子の誕生日、彼を楽屋に呼ぶが会うのは一週間ぶり。「ロスト・イリュージョン」でスポットライトを浴びてグランフェッテを踊る母を舞台袖から観る息子、のはずだったけど現実には彼はスマホゲームに夢中で母の姿を観ていない。それでも、彼女は懸命に踊り続けるのだった。このようにダンサーの人間としての一面を描いたことは良かった。

バレエ団の根底を揺るがすような大事件が起きても、舞台は毎晩上演され続ける、そんな芸術の強さを描いた作品ではある。しかし、どうしても光よりも闇の部分が強調された編集となっており、特にフィーリンの独白で終わるので、後味は良くない。

また、取り上げられたインタビューでも、フィーリンに同情する言葉が一つも聴けなかったのは、ドキュメンタリーとしても片面的であって、詰めが甘いのではないかと感じた。フィーリンがほかのバレエ団から連れてきたダンサー、例えばホールバーグ、オブラスツォーワ、チュージンなどのインタビューがあればもっと良かったのではないかと感じた。とにかく深みがないドキュメンタリーである。ボリショイの舞台裏が覗けたり、アレクサンドロワの苦闘中から復帰までの姿が見られ、ダンサーやスタッフの率直な話が聴けるので大変興味深いのではあるが。

そして、何より、ボリショイの偉大な芸術の素晴らしさに対する敬意が足りない作品だと感じられてしまった。バレエのシーンやリハーサルのシーンも少ない。ロシア人がボリショイ・バレエに寄せる熱狂的な愛情は、こんなものではない。いかにも、ロシア人ではない、英国のドキュメンタリー作家が作った映画である。ウリンからも、ついぞボリショイの芸術を称えるような言葉も聞かれなくて、良くも悪くも彼はビジネスマンなのであり、政治家であることを実感させられた。

近日中に発表されるフィーリンの後任は、果たして誰になることだろうか。

マリーヤ・アレクサンドロワのインタビュー記事(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11982838.html


ユニクロのCMにウェイン・マクレガーが出演

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ユニクロのCM「アウターウェア アウターは、あなただ。篇B」に、振付家のウェイン・マクレガーが出演しています。

ウェイン・マクレガー本人が、あの独特の、まるで骨がないような動きを見せてくれるので楽しいですね。


そしてもう一つ、「アウターウェア アウターは、あなただ。篇D」には、ウェイン・マクレガーのカンパニー、ランダムダンスの高瀬譜希子さんが出演しています。「ロケットのように動く」とCM中でも言われていますね。

高瀬譜希子さんは、レイディオヘッドのトム・ヨークとAtoms For Peaceのプロモーションビデオで踊っています。(こちらも、ウェイン・マクレガー振付)

ユニクロは以前ポリーナ・セミオノワが大々的にジーンズのCMに出演したり、菅井円加さん、その前には藤井美帆さん、本島美和さんなども出演していたりしたので、クリエーターでバレエ/ダンス好きの方がいらっしゃるんでしょうね。

ウェイン・マクレガーがロイヤル・バレエに振付けた「レイヴン・ガール」の予告編もアップされています。サスペンス映画のような仕上がり。

スターダンサーズ・バレエ団「オール・チューダー・プログラム」

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スターダンサーズ・バレエ団「オール・チューダー・プログラム」
2015年9月26日(土曜日)14時開演
テアトロ・ジーリオ・ショウワ

スターダンサーズバレエ団ブログ掲載の、舞台写真
http://www.sdballet.com/blog/?p=243

スターダンサーズバレエ団と、振付家アンソニー・チューダーには非常に深い縁がある。スターダンサーズバレエ団の創設者、太刀川瑠璃子さんが、1965年に「スターダンサーズによるアンソニー・チューダー特別公演」を行っているのだ。これがきっかけで、1966年にスターダンサーズバレエ団という組織がスタートしたのである。以来、自前の振付家による作品の上演、古典作品、そしてフォーサイス、バランシンなどの現代作品と並行して、チューダーの作品はこのバレエ団の大切なレパートリーとして上演され続けたのである。

今回は、アンソニー・チューダー財団より、元ABTのアマンダ・マッケローとジョン・ガードナー夫妻が振付指導に携わった。マッケローと少しお話をさせていただく機会があったが、チューダーは日本での仕事をとりわけ愛していて、「あまり幸せではなかった人だったけど、日本では彼は幸せだったそうです」との話を聞かせていただいた。また、晩年彼は仏教の影響を受けて、庵を作ってそこに住んでいたのだそう。麻薬中毒でぼろぼろになっていたゲルシー・カークランドが立ち直ることができたのも、チューダー作品のおかげだった。彼女は「葉は色あせて」の初演キャストである。

スターダンサーズバレエ団が大切に守り抜いてきたレパートリーを、バレエ団創立50周年を記念してのオールチューダープログラムとして上演するのは本当に素晴らしいことだ。商業ベースに乗りにくい作品を、設立当初の「スターダンサーズによる公演」のコンセプト同様、外部からの豪華ゲストを招くことで観客動員も図った。「リラの園」、「火の柱」という二つのドラマティックバレエを中心に、小品やパ・ド・ドゥを交えたプログラム構成も上手い。


「Continuo」
林ゆりえ、松本実湖、酒井優、加地暢文、安西健塁、渡辺大地

パッヘルベルの「カノン」を使用した、プロットレスの作品。この音楽を聴くとどうしてもイリ・ブベニチェクの「ル・スフル・ド・レスプリ」を思い出してしまうのだけど、こちらは3組の男女によって踊られる。リフトを多用していて、軽やかで音楽的な作品。3人の女性ダンサーは非常に美しい。ここの課題は男性ダンサー。


「リラの園」
カロライン:島添亮子(小林紀子バレエシアター)
その愛人:吉瀬智弘
カロラインの婚約者:横内国弘
彼の過去の女:佐藤万里絵
友だちと親戚:西原友衣菜、金子紗也、谷川実奈美、池尻奈央、大野大輔、宮司知英、川島治、友杉洋之

ショーソンの「神曲」に振付けられた、チューダー26歳の時の作品。ヴァイオリンのソロが非常に美しい(髙木和弘さん演奏)。お互いに別の人を想っている4人の登場人物の心理描写を中心にしたドラマティックバレエで、ここですでに独特のチューダー節というか、心の揺らぎを繊細に動きで見せる表現が観られる。マクミランのように大きなリフトでダイナミックに表すのではなくて、視線とか、手、首、パ・ド・ブレ、エポールマンなどの細やかな動きが中心。カロライン役の島添さんはさすがの演技力で、結婚を前に恋人の前で揺れ動く心境を体現していた。チューダーの振付は、また人物の配置が非常に面白くて、コンテンポラリーではないのに構築的というか立体的でドラマ性を際立たせていた。過去の女・佐藤万里絵さんの艶やかさも素敵だった。


「小さな即興曲」
鈴木優,加地暢文
ピアノ 蛭崎あゆみ

シューマンの「子供の情景」に振付けられた愛らしい小品。雨の午後の子供たちの情景が描かれている。大きな布をマント代わりに使ったり、雨避けにしたり、さらには小さく巻いて赤ちゃんのおくるみのようにしたり。鈴木優さん、加地暢文さんとも、新国立劇場バレエ研修所出身の若い二人。特に華奢な鈴木さんのラインの美しさが目を惹いた。


「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ(日本初演)
林ゆりえ,吉瀬智弘

マッケローに聞いたところ、実はこの1幕ものの「ロミオとジュリエット」は完全な形では残っておらず、この作品を復元するために、ノーテーション(舞踊譜)や映像の断片を探しているのだとのこと。フレデリック・ディーリアス作曲の1943年の作品で、実は初日に振付が完成せず、完成版が披露されたのは初日の4日後だったそう。最初はサルバドール・ダリに振付を依頼する予定だったが意見が合わなかったとパンフレットに書いてある。原題は「The Tragedy of Romeo and Juliet」とあるように、二人の悲劇に焦点を当てている。パ・ド・ドゥでも、ほとんど上演されたことがないため、非常に貴重な日本初演となった。

この場面は、ティボルトを殺してしまい追放されたロミオと、ジュリエットの別れの朝のシーン。短いけれども濃密で悲痛で、特に林さんの演技力の高さを感じた。


「葉は色あせて」よりパ・ド・ドゥ
吉田都,山本隆之(新国立劇場バレエ団)

昨年のNBAバレエ団での全編上演も記憶に新しい作品。アマンダ・マッケローとジョン・ガードナーが踊ったパ・ド・ドゥは、ABTの「ABTスターの饗宴」のDVDにも収められている。ドヴォルザークの美しい旋律(「弦楽四重奏のための『糸杉』」ほか)に載せてのパ・ド・ドゥは情感豊かで、具体的なストーリーはないものの交わす目線も印象的。吉田都さんは、音楽に寄り添うように、歌うように軽やかに踊り、美しい曲線を繰り広げていく。山本さんはサポートが中心。非常にサポートが複雑な作品であるため、さすがのサポート達人の山本さんをもってしても、スムーズにいかない場面はあった。もう少しリハーサル時間が必要だったのかもしれない。いずれにしても、秋という季節にぴったりの、全編が素晴らしい作品なので、全体で観たかったと感じた。もちろん、上演時間(32分)もあるので今回はそれは難しいだろうけど、また次の機会に。

「火の柱」
姉:天木真那美
ヘイガー:本島美和(新国立劇場バレエ団)
妹:西原友衣菜
友だち:山本隆之(新国立劇場バレエ団)
向かいの家から出てきた男:吉瀬智弘
若い恋人たち:松坂理里子,木原萌花、窪田希菜,横澤真悠子,鈴木就子,川島治,安西健塁,愛澤佑樹
愛人たち:金子沙也,荒原愛,久保田小百合,横内国弘、渡辺大地,宮司知英
老嬢:岩崎祥子、坂井萌美

こちらの作品は、2003年にABTで上演されたのを2公演観ている。ヘイガー役にアマンダ・マッケローとジリアン・マーフィ―、友達にイーサン・スティーフェルとアンヘル・コレーラ、妹にシオマラ・レイエス、向かいの家から出てきた男にマルセロ・ゴメス。今にして思えば大変豪華なキャストだった。

1942年の作品で、女性が抑圧されていた時代、オールドミスの厳格な姉と奔放な妹に挟まれ、姉のようなになることを恐れ鬱屈した毎日を送るヘイガーの心理を中心に描いている。ひそかに想っている男性に愛を告白できず、いかがわしい家に出入りする男に衝動的に身を任せてしまい、後ろ指をさされてしまうヘイガー。この難しい役を演じたのは、本島美和さん。もともと演技力に定評のある本島さんは、内に情熱と欲望を抱えながらもそれを表に出せない鬱々した気持ちで日々を過ごし、そして周りに拒絶されてしまう女性の性を体現するような踊りで、見事だった。(新国立劇場バレエ団も、彼女のような大人のダンサーが表現力を発揮できるような演目をもっと上演すればよいのに) 軽薄な妹役を演じた西原さんも、軽やかでとても良かった。もう少し姉役が怖いというかギスギスした女性に演じられていたほうが、この時代の抑圧的で保守的な気分が出てリアリティが出たのではないかと思うが。

それにして、この作品の振付はユニークだ。4組の若い恋人たち、向かいの家のいかがわしい人々といった群舞の配置もさることながら、主要登場人物、とくに3姉妹の感情表現の見せ方も独特である。身を任せてしまった男に再びヘイガーが迫るものの、冷たく拒絶されてしまうところの容赦なさ。人間の暗部を視線や手の使い方などのちょっとしたしぐさ、そして振付で見せてしまうチューダーって凄いと感じた。シェーンブルグの「浄夜」のテーマのように、最後にヘイガーは、想いを寄せていた男性によって救われ、魂も浄化される。ラスト、舞台奥に配置された夜の森を歩く人々のシルエットも、趣があって余韻を残す。

非常に優れたプログラムで、よくまとまった公演だった。派手さのないチューダー作品は、日本では興行的には難しいのかもしれないけれども、引き続き、大切なレパートリーとして上演され続けてほしいと願う。

「リラの園」収録

ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター 「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか [DVD]ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター 「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか [DVD]

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早稲田大学演劇博物館「Who Dance ? 振付のアクチュアリティ」展開催

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早稲田大学坪内博士記念演劇博物館では、10月1日より、企画展「Who Dance ? 振付のアクチュアリティ」を開催中です。

http://www.waseda.jp/enpaku/ex/3628/

「コレオグラフィ/振付」という概念は、17世紀末にフランスで誕生して以来、変化し続けています。その変化は、同時代の美学やテクノロジーなど私たちの考え方や感性を左右する社会的条件と無縁ではありません。
本展では、ダンスの歴史を振り返りつつ、「身体」「空間」「テクノロジー」という3つの観点から21世紀以降のコンテンポラリーダンスの実践に焦点を当て、私たちの生きる現代に特有の「コレオグラフィ/振付」とは何かを考えます。

展示構成

第1部:踊る身体の多様化—誰が踊る?
現代の振付/コレオグラフィは身体に架せられてきた「美」の基準を解除しながら、老若男女、いかなる身体も魅力的であることを示す視座を提供しているのではないか? 第1部では「身体」に焦点を当て、現代のダンスの舞台においては、多様な身体が観客の眼差しの前に現れていることを検証する。

≪紹介作家≫
アオキ裕キ(ソケリッサ)、川村美紀子、さいたまゴールド・シアター×瀬山亜津咲、ボリス・シャルマッツ、ジェローム・ベル、室伏鴻(Ko&Edge Co.)

第2部:踊り場の生成―どこで踊る?
現在、ダンスは劇場空間に限らず、様々な空間で展開されている。さらに振付の対象は観客にも及び、祝祭的な踊りの場が生み出すこともある。第2部では踊りの「空間」に焦点を当て、「振付」が身体感覚や経験の共有を可能にする空間を生成している例について検証する。

≪紹介作家≫
伊藤キム、伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)、レミ・エリティエ、近藤良平(コンドルズ)、田中泯、ウィリアム・フォーサイス、ロジェ・ベルナット

第3部:遍在するダンスー誰もが踊る?
テクノロジーの発達は、ダンスにも変化を及ぼしている。第3部では「テクノロジー」に焦点を当て、モーションキャプチャ技術やプロジェクションマッピングがダンスに応用された例や、21世紀以降に出現したSNSや動画投稿サイトの出現によって振付が遂げた変容について検証する。

≪紹介作家≫
ELEVENPLAY、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル(ローザス)、コンタクト・ゴンゾ、Perfume Global Site Project、ウィリアム・フォーサイス×日本女子体育大学、フラッシュモブ、他


映像作品上映コーナー
ダンスの公演記録映像やダンスを題材とした長編の映像作品を紹介します。プログラムは後日発表します。

サシャ・ヴァルツ、レミ・エリティエ、ボリス・シャルマッツ、田中泯、ジェローム・ベル、室伏鴻(Ko&Edge Co.) 他


コンタクト・ゴンゾ「訓練されていない素人のための振付コンセプト001/重さと動きについての習作」
コンタクト・ゴンゾによる、本展のために構成されたプロジェクト。「訓練されていない素人のための振付コンセプト001/重さと動きについての習作」のスコア(指示書)をもとに、世界中のダンサーが再演を試みます。


会期:2015年10月1日(木)〜2016年1月31日(日)
休館日:10月21日、11月6日、11月18日、12月16日、2015年12月23日〜2016年1月5日、1月10日~12日
会場:2階 企画展示室
入場無料

非常に貴重な上演映像もたくさん観られるということで、ぜひとも行ってみたい企画展です。

ハンブルグ・バレエ2016年3月日本公演

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ハンブルク・バレエ団2016年日本公演の概要が発表されています。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/2016-2.html#002253

「リリオム─回転木馬」 プロローグ付全7場(休憩1回)

3月4日(金) 6:30p.m. 
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月5日(土) 2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月6日(日) 2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル

カーステン・ユング、アリーナ・コジョカル、そして作曲のミシェル・ルグランが「リリオム」でブノワ賞に輝いています。


ガラ公演 〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉

「椿姫」より、「マーラー交響曲第3番」より、「マタイ受難曲」より、「ニジンスキー」より、「くるみ割り人形」より(予定)

演出・語り:ジョン・ノイマイヤー  出演:アリーナ・コジョカル、及びカンパニー総出演

3月8日(火) 6:30p.m.  
3月9日(水) 6:30p.m.  


「真夏の夜の夢」 プロローグ付全2幕(休憩1回)

3月11日(金) 6:30p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス/オベロン:エドウィン・レヴァツォフ 
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ 
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス

3月12日(土) 2:00p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:アリーナ・コジョカル シーシアス/オベロン:カーステン・ユング 
ヘレナ:レスリー・ヘイルマン デミトリアス:カレン・アザチャン 
ハーミア:フロレンシア・チネラート ライサンダー:ヤコポ・ベルッシ

3月13日(日) 2:00p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス/オベロン:エドウィン・レヴァツォフ 
ヘレナ:カロリーナ・アグエロ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ 
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス


※記載の配役は2015年10月1日現在の予定。カンパニーの都合等で変更になる場合があります。正式な配役は公演当日に発表。


■会場:東京文化会館(上野)

■演奏:
「リリオム」は北ドイツ放送協会ビッグバンド、及び特別録音による音源を使用
〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉は特別録音による音源を使用
「真夏の夜の夢」は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


■入場料:
S=¥23,000 A=¥20,000 B=¥17,000 C=¥14,000 D=¥11,000  E=¥8,000 

■発売日:
11月29日(日) 10:00a.m.より一斉発売開始!

特別協賛:公益財団法人稲盛財団
主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社

ジョン・ノイマイヤーが京都賞を受賞したため、稲盛財団が特別協賛に入っていますね。

ワールド・バレエ・デー2015

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10月1日のワールド・バレエ・デー、皆さま楽しまれたことでしょうか?

http://worldballetday.com/

今年はオーストラリア・バレエ、ボリショイ・バレエ、ロイヤル・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、サンフランシスコ・バレエに加えて、その他のカンパニーも映像などで参加して、多彩な催しとなりました。私もこの日は仕事がなかったので、オーストラリア・バレエからナショナル・バレエ・オブ・カナダまで、(途中で食事したりお風呂入ったりしながら)18時間も見続けて、楽しいながらもぐったり、の一日でした。

オーストラリア・バレエは、マッカリスター版「眠れる森の美女」のリハーサル、そしてStephen Baynesという振付家の作品のリハーサルが見ごたえがありました。「眠れる森の美女」は青い鳥がチェングゥ・グォ、フロリナ王女が近藤亜香さん、そして妖精の一人に久保田美和子さん、オーロラにラナ・ジョーンズ、王子にケヴィン・ジャクソンで、皆、非常に素晴らしかったです。特にチェングゥ・グォの跳躍とブリゼ・ボレは凄い。オーストラリア・バレエは、カンパニーのピアニストも素晴らしいです。

ボリショイ・バレエは、「ボリショイ・バビロン」にも出演していたボリス・アキモフ指導によるクラスレッスンが素晴らしく、またラトマンスキー振付「ロシアン・シーズン」の振付指導も興味深かったです。アレクサンドロワ、クリサノワ、チュージン、ロヂキン、ニクーリナ、シプーリナなどのスターのクラスレッスンは眼福でしたし、ボリショイのダンサーたちの身体能力には目を見張りました。しかしフィーリンの姿は影も形もないのが気になりました。また、モンテカルロ・バレエ、そしてNDTのポール・ライトフットのSkype参加、さらにはモスクワ音楽劇場バレエから「白鳥の湖」(ソーモワ、ポルーニン主演)の映像なども。

ロイヤル・バレエは、ローレン・カスバートソンとフェデリコ・ボネッリの「ロミオとジュリエット」のドレスリハーサル、崔由姫さんとアレクサンダー・キャンベルの「二羽の鳩」のリハーサル、新星マシュー・ボールが踊る、アコスタ振付「カルメン」のエスカミーリョのリハーサルが観られて楽しかったです。平野亮一さんのマクレガー「レイヴン・ガール」、ラウラ・モレーラのリアム・スカーレット「Viscera」も見ごたえありました。また、この枠の中で登場したENBのアクラム・カーン振付「DUST」(高橋絵里奈さん、ジェームズ・ストリーター)、ノーザン・バレエのデヴィッド・ニクソン振付「嵐が丘」、スコティッシュ・バレエのデヴィッド・ドーソン振付「白鳥の湖」の振付指導も面白かった。特にドーソン本人が指導した「白鳥の湖」は美しくもユニークな作品でした。デヴィッド・ビントレー、タマラ・ロホら英国のカンパニーの芸術監督たちによる対談、パーキンソン病患者へのバレエの取り組みなども紹介されました。

アクラム・カーン振付「DUST」

ドーソン振付「白鳥の湖」

ナショナル・バレエ・オブ・カナダは、モントリオールでの旅公演。スヴェトラーナ・ルンキナのクラスレッスンの模様が観られたのが良かったです。また、ゲッケの「薔薇の精」マクレガーの「クローマ」のゲネプロを見ることができました。ルンキナ、エヴァン・マッキーの主役ペアを始め精鋭のキャストで、「クローマ」という作品の複雑でスリリングなところをたっぷり堪能。途中、ボストン・バレエとABTの映像も紹介され、ボストン・バレエでは倉永美沙さんの「くるみ割り人形」そして「パ・ド・カトル」、ABTではマルセロ・ゴメス、ジェフリー・シリオらのインタビューが登場しました。

さすがにサンフランシスコ・バレエのパートではもう寝なければならなくて観られなかったのですが、今回のワールド・バレエ・デーの映像は、BBCがホストする特設サイトで30日間、全部のアーカイブを残してくれます。見逃した方も大丈夫。さらに、抜粋は各カンパニーの公式YouTubeにもアップロードされます。

オーストラリア・バレエの全編

ロイヤル・バレエの全編

踊っている映像や写真を世界中から募集したものをまとめた動画Dance Anywhere Challenge も、楽しいですね。

ハンブルグ・バレエ「タチヤーナ」、11/23 NHK-BSプレミアムで放映

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ジョン・ノイマイヤーは、アレクサンドル・プーシキンの韻文詩「エフゲニー・オネーギン」をもとに、タチヤーナを主人公にしてバレエを振付けました。それが「タチヤーナ」です。

ジョン・クランコの「オネーギン」とストーリーはほぼ同じなれども、表現はかなり違っている作品で、音楽は、「人魚姫」の音楽も作曲したレーラ・アウヘルバッハ。ハンブルグ・バレエは、昨年は、「オネーギン」と「タチヤーナ」の両作品を上演していました。モスクワ音楽劇場バレエとの共同制作品であるため、モスクワ音楽劇場では、ディアナ・ヴィシニョーワがタチヤーナ役を演じました。

http://www.hamburgballett.de/e/_tatjana.htm

この「タチヤーナ」が早くも収録され、NHK-BSプレミアム「プレミアムシアター」で放映されます。
http://www.nhk.or.jp/bs/lineup/pdf/bsp_nextmonth.pdf

11月23日(月)午前0:10~ (日曜日の深夜です)

ハンブルグ・バレエ「タチヤーナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レラ・アウアーバッハ
出演:エレーヌ・ブーシェ、
    エドヴィン・レヴォゾフ、
    レスリー・ハイルマン、
    アレクサンドル・トルーシュ、
    カールステン・ユング

ちょうどジョン・ノイマイヤーの京都賞授賞式の後であり、また既報の通り3月には来日公演も予定されているので、ちょうど良いタイミングです。


なお、この「タチヤーナ」の放送に引き続き、再放送ですが、ロイヤル・バレエの「アシュトン・セレブレーション」も放映されます。

ロイヤル・バレエ「アシュトン・セレブレーション」
曲目:(M1)ラ・ヴァルス(ラヴェル)
    (M2)マルグリットとアルマンほか
    (フランツ・リスト)
出演:(M1)小林ひかる、平野亮一、
    サマンサ・レイン ほか
    (M2)タマラ・ロホ、
    セルゲイ・ポルーニン ほか
     英国ロイヤル・バレエ団
振付:フレデリック・アシュトン
管弦楽:コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮:エマニュエル・プラッソン


また、11月9日(月)の「プレミアムシアター」では、モンテカルロ・バレエの「LAC」の再放送もあります。

モナコ公国モンテカルロ・バレエ
「LAC~白鳥の湖~」

音楽:バレエ音楽「白鳥の湖」
    (チャイコフスキー作曲)
出演:ベルニス・コピエテルス、
    アニヤ・ベーレント、
    エープリル・バール、
    ステファン・ボルゴン、
    モンテカルロ・バレエ団
振付:ジャン・クリストフ・マイヨー


今週末10月5日(月)0:00~には、バレエではありませんが、プレミアムステージで新国立劇場での公演、
「かがみのかなたはたなかのなかに」が放映されます。

「かがみのかなたはたなかのなかに」
出演:首藤康之、長塚圭史、
    松たか子、近藤良平
作:長塚圭史
音楽:近藤良平

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10/4 バットシェバ舞踊団「DECADANCE-デカダンス」

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振付家オハッド・ナハリン率いるバットシェバ舞踊団。今回の公演「DECADANCE - デカダンス」は、ナハリンの代表的な作品のハイライトシーンをつなげた、いわばナハリン・グレイテスト・ヒッツ。

http://dance-yokohama.jp/eventprogram/decadance/

「DECADANCE」というタイトルの上演は、今ちょうどニューヨークでも公演中のジュニア・カンパニー、バットシェバ・アンサンブルも行っているのだが、微妙に上演作品が違っている。「DECADANCE」は、毎回少しずつ上演する作品を入れ替えているようだ。

今回上演された「DECADANCE」は、以下の作品からの抜粋。
Z/na (1995),
Anaphase (1993)
Mabul (1992)
Naharin's Virus (2001),
Zachacha (1998),
Sadeh21 (2011),
Telophaza (2006),
Three (2005),
MAX (2007)

世界中のバレエ団で上演されている、あまりにも有名な「アナフェイズ」(「マイナス16」、というタイトルの方が知られているかもしれない。半円形にずらり並べられた椅子に座ったダンサーたちが、一枚ずつ服を脱いでいく)から始まる、めくるめくナハリン・ワールド。

(こちらはスペイン国立ダンスカンパニーの「マイナス16」映像)

CND, Minus 16 from COMPAÑIA NACIONAL DE DANZA on Vimeo.

構成が巧みで一つの流れをしっかり作っているので、つぎはぎ感、寄せ集め感はない。ナハリンの作品の多くには、テーマ性やコンセプトがあったり、政治的なメッセージの隠喩も感じられたりするのだが、今回はこれらのコンテクストや物語性はすべてはぎ取られ、純粋なダンスとしての動きとして観ることになった。

そうすると、作品の中に、意味などなくてもダンスの動きだけでも十分魅せることができる、それだけの力量がある振付家ということを実感できた。「アナフェイズ」はもちろん、「MAX」、「テロファーザ」、「SADEH21」など自分が観てきた最近の作品が、メッセージ性を取り払われ、コラージュされているのを観るのも面白いし、同時に、それらの作品を観たときの自分の感情を反芻しながら観ることもできる。コンテクストが取り去られていると、振付の妙味や独自性、ダンサーたちの並外れた能力を改めて感じることができた。

中でも「SADEH21」は衝撃的な作品だっただけに、あの強烈すぎるメッセージがなくても、ダンス作品として本当に凄いんだな、と実感した。決して難解ではなく、ダンスなんてほとんど見たことない人でも楽しめるのがナハリン作品。それでいて、音楽や声の使い方も心憎いばかりにオリジナリティがあり、様々なアイディアにあふれている。男性同士のセンシュアルなタンゴ、デュオ、パ・ド・トロワなど組み合わせは自在だし、3グループに分かれて順番に様々なインプロヴィゼーションを披露する「スリー」は、ユーモラスなところもあり、なんじゃこりゃと思うけど、めちゃめちゃ面白い。

これはこれで非常に楽しいし、ダンスそのものが持つ力を存分に堪能できて最高なんだけど、ナハリンの一つの作品というのもやはり観たい、という気持ちもある。しかしダンスの魅力を幅広く新しい観客に提示するということでは、「DECADANCE」はとても有効だったのではないかと思った。

そして改めて驚かされるのがダンサーたちの身体能力の凄さ。恐るべき強靭さ、しなやかさ、身体性、肉体の存在感の強さ。男性同士でも軽々~とリフトしたりコンタクトしたり。どれだけダンサーたちは体幹が強いんだろう。これもGAGAメソッドのたまものなのだろう。数字を数えながら、それに対応していく動きをダンサーが見せていくところは、何回観ても凄い。一体どうやって動きを身体に覚えさせているのか。跳びかかろうとする獣のように野性的で柔軟、身の詰まった肉体の彼らの動きを見ていると、ああ、生きているんだな、という実感を呼び覚まされる。だからこそ、「アナフェイズ」では観客を舞台上に上げて踊らせるという趣向があるんだな、と感じた。だって、自分たちだって突き動かされて踊りたくなるもの。

GAGAメソッドのワークショップ、3年前にさいまたで受けたけど、また受けたい。
(なお、愛知公演、北九州公演に付随して、それぞれバットシェバ舞踊団ダンサーによるGAGAワークショップが実施される)
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/decadance/index2.html
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/entry/2015/0928gaga.html

SADEH21

2015年10月7日(水) 19:00開演 愛知県芸術劇場大ホール 
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/decadance/
2015年10月11日(日) 14:00開演 北九州芸術劇場
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2015/1011bat.html


「トップランナー 金森穣(2003年放映)」10/11再放送

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Noismの芸術監督で振付家の金森穣。日本のダンス界をけん引する彼が、Noism設立前の2003年に出演した番組「トップランナー」。多くのリクエストに応えて、このたび再放送が決定しました。

Noism設立メンバーである井関佐和子さん(現・副芸術監督)と、島地保武さんも出演しています。

NHK Eテレ
2015年10月11日(日) 午前0:00~午前0:45(45分) *土曜深夜
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2015-10-10&ch=31&eid=13985&f=1662

金森穣(かなもりじょう)。17歳でヨーロッパへ渡り、バレエ界の巨匠モーリス・ベジャール、イリ・キリアンに師事。2001年よりフリーで活躍。世界的評価を受けている。2003年にスウェーデン国立エーテボリ・バレエで新作「SIDE IN/SIDE OUT」を発表。番組では当時の新作の映像やワークショップを紹介しながら、スタジオトークによる金森流「演出振付」「ダンス」を伝えていく。


NHKハートネット ブレイクスルー File.38 “唯一無二”になる ―ダンサー・大前光市―

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もう放映が終わってしまった番組のご紹介で恐縮なのですが、とても良い番組だったのでご紹介します。

9月28日に放映された(10月5日再放送)NHKEテレのハートネット ブレイクスルー File.38では、ダンサーの大前光市さんを取り上げていました。

http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2015-09/28.html

大前さんは、23歳の時、入団オーディション前日に酒酔い運転の車にはねられて左脚を切断する大けがを負いました。ダンスの仕事を失い、アルバイトをしても人と同じようには動けないのですぐにクビになってしまう。絶望の淵にあった彼が、義足を外して踊ったことが転機となり、「怖いものはなくなった」。この身体でしか表現できないことをしようと自分なりのダンスを見せるために文字通り血のにじむ努力をします。バレエのクラスに初心者に交じって通い、体操、アクロバットなどダンスに役立つものに取り組みます。

なかでも印象的だったのが、彼の師の一人である、舞踊家佐藤典子さんの言葉。「人間は生まれながらに定められた自分の台本を持つ。それは変えられない。でもだからこそ、その台本を自分らしく演じきらなくては」。佐藤さんの娘さんもバレエを踊っていましたが、20代の若さで骨肉腫を発症して脚を切断。そののち亡くなってしまいます。亡くなった娘さんに、大前さんの姿を重ねているようでした。そして大前さんは、この身体だからこそできるダンスを踊ろうと決意します。

表現を磨くために、大前さんは、新国立劇場バレエ団のマイレン・トレウバエフの指導も仰ぎ、彼の作品「SWAN」をリハーサルする様子も番組では登場していました。義足をつけて「パリの炎」のヴァリエーションも踊るというガッツ。義足を普通より長いものにして、その義足を軸足にして踊るダンスも見せます。発表会で踊ったピエロも非常に魅力的なものでした。

大前さんは、ダンス集団Alphactに参加しています。
http://www.alphact.jp/artist/omae/

パリ・オペラ座バレエ団の公演でも踊ったことがあるバレエ・ダンサーの大柴拓磨さんら、様々なジャンルのダンサーたちによるこのユニットは、なかの国際ダンスコンペティション創作部門に大柴さんの作品「Login」で出場しました。結果は2位。

片脚で踊っているから凄いとか、そういうことではなくて、純粋にダンスとして素晴らしく心を打たれる踊りをするダンサーだと見ていて思いました。大柴さんが、大前さんをAlphactに誘った理由もそこ、彼のダンスを見て素晴らしいダンサーだと思って、よく見たら脚が片方なかった、ということだったそうです。大前さん、純粋にダンスを踊るのが今は楽しくて仕方ないように見えて、こちらもとても胸が熱くなりました。思わず背筋を正さなくては、と思うほどに。

大前さんのブログ
http://ameblo.jp/shinka0927/

大前さんは、11月10日(火曜日)19時開演でダンス公演を東京、練馬で行います。普段は関西で活動している大前さんの踊りを観る機会です。
http://taichokouen.blogspot.jp/2015/09/normal-0-0-2-false-false-false-en-us-ja.html?m=1

第4回 Dance Creation Award 2014で審査員特別賞を受賞した『目覚めよと叫ぶ声が聞える』
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/4-dance-creation-award-2014.html

「白鳥の湖」初演の失われていた資料が発見

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1877年の「白鳥の湖」の初演(ボリショイ劇場)については、未だ謎に包まれている部分があります。しかし、火曜日にモスクワで行われたカンファレスで、最近になって発見された資料が、この初演についてのいくつかのヒントとなりそうです。

Discoveries Clear the Mists From the Original ‘Swan Lake’
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2015/10/06/discoveries-clear-the-mists-from-the-original-swan-lake/

現在多くの「白鳥の湖」は、1895年にマリインスキー劇場で初演された、プティパ/イワーノフ版に基づいています。この版は、チャイコフスキーが亡くなった後に振付けられたもので、リッカルド・ドリゴが編曲したものです。1877年ボリショイ劇場における初演は、ジュリウス・ライジンガーによって振付けられていますが、不評だったとのことで、まだ判明していない部分が多い作品です。

モスクワの芸術研究所のリサーチャーであるSergey Konaevは、この初演版「白鳥の湖」についてのいくつかの疑問を解くカギをいくつか発見しました。その中には、ドリゴ編曲によって変えられてしまったスコア、リブレット(台本)の著者、そしてキャスト、衣装についてのヒントがありました。

彼が発見した資料の中には、失われていたと思われていたヴァイオリンのリハーサルのスコア、それぞれのオーケストラ・リハーサルのメモが書かれたヴィオラのパート譜、そして劇場と製作部門の経理帳簿を含んだ重要な経理記録がありました。(この中で、「白鳥の湖」というタイトルは、チャイコフスキーが作曲する前の1875年に記述が現れています)

これらの発見によって、いくつかの問題とされてきた点が明確になったと、プリンストン大学の音楽教授であるサイモン・モリソンはメールで述べています。「これでシナリオの著者、初演を予定されていたバレリーナ、そしてオリジナルの衣装とデザインの特徴も判明しました。これらの事項は、今までは学者たちの推測に基づいていましたが、重要なソースは未入手だったのです」

これらの記録を分析した結果、この作品にかかわっていると考えられていたものの、裏付けがなかった、ボリショイ劇場の役員であったVladimir Begichevによってリブレットは書かれたことが証明されました。また、初演のバレリーナは、リハーサルには参加したものの降板したLydia Geitenであったこともわかりました。彼女は、チャイコフスキーのスコアに反対したために降板したようです。Konaev氏によれば、彼女はチャイコフスキーの音楽が退屈だったため、彼の最初のバレエを踊ることを拒否したという彼女の言明が、新しい資料によって証明されたそうです。また、今回の資料によって、1880年にボリショイ劇場で行われた改訂版にも光を当てたとのことです。

新しく発見された資料は、研究者、バレエファン、そしてチャイコフスキーのファンにとって大変興味深いものでしょう。長年、初演版は洪水で終わる悲劇的なものであったと知られています。Konaev氏によれば、今回発見された資料により、チャイコフスキーは最後の大嵐でのプロダクションの詳細部分に特に強い関心を持っていたとのことが判明したそうです。

********
様々なバージョンが生み出されてきた「白鳥の湖」。ロシアのクラスノヤルスクク国立オペラ・バレエ劇場では、昨年10月に、初演版に準拠した「白鳥の湖」が上演されました。(セルゲイ・ボブロフ振付)

また、近年、初演に準拠した「眠れる森の美女」や「パキータ」を再振付してきたアレクセイ・ラトマンスキーは、チューリッヒ・バレエにおいて、「白鳥の湖」の再振付を行います。(ミラノ・スカラ座バレエとの共同制作)初演は、2016年2月6日。

http://www.opernhaus.ch/en/activity/detail/-5a44b0b735/

Dance Magazineのラトマンスキーについての記事
http://dancemagazine.com/inside-dm/bringing-the-past-alive/
チューリッヒ・バレエでの「白鳥の湖」は、ステパノフの舞踊譜に基づくものになるそうです。

ウリヤーナ・ロパートキナのイェール大学でのレクチャー&パフォーマンス、ネット中継

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現代最高のバレリーナの一人であるウリヤーナ・ロパートキナ(マリインスキー・バレエ)。その彼女が、イェール大学の音楽学部に招かれ、10月13日~15日の3日間、レクチャーとパフォーマンスを行います。

http://news.yale.edu/2015/10/06/yale-school-music-presents-prima-ballerina-performance-and-conversation

http://music-tickets.yale.edu/single/eventDetail.aspx?p=15128

これらのレクチャーとパフォーマンスはすべて無料で(ただし観覧の申し込みは必要)、インターネットで生中継されます。(ストリーミングのサイトはこちら

10月13日(火曜)16時にには、レクチャーとデモンストレーションが行われます。ロパートキナは、バレエダンサーのキャリアにかかわる技術的な問題やトピックについて話します。質疑応答も行われます。

15日(木曜)12:30には、イェール大学のダンス研究所のディレクターEmily Coatesと、音楽学部長のRobert Blockerと対談します。

そして14日(水)19:30からは、ロパートキナがアンドレイ・エルマコフと共演してパフォーマンスを行います。「ロシア・バレエの3つの伝説」と題された公演は、アンナ・パヴロワ、ガリーナ・ウラノワ、そしてマイヤ・プリセツカヤのロシア3大バレリーナへのトリビュートとなります。3人のバレリーナの映像も上映されます。

ロパートキナが踊るのは、「白鳥の湖」のルースカヤ、「ショピニアーナ」のワルツ、メッセレル振付の「メロディ」、そしてローラン・プティ振付「薔薇の死」。そして締めくくりには、パヴロワ始め3人の偉大なバレリーナたちも踊った「瀕死の白鳥」が踊られます。

イェール大学がある米国コネチカット州と日本の時差は14時間です。14日の公演は、日本では15日の朝9:30となるので、仕事の時間に重なりそうですが、頑張れば観られそうですね。

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Noismの「カルメン」再演と、平田オリザ脚本新作「ラ・バヤデール」

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精力的な活動を続ける、金森穣さん率いるNoism。

Noism設立10周年の記念作品として2014年に上演し多くの話題を呼んだNoism1&Noism2合同公演、劇的舞踊『カルメン』が再演されます。

Noism1×Noism2 劇的舞踊『カルメン』再演 
演出振付:金森穣
音楽:G. ビゼー《カルメン》 オーケストラ版&組曲版&交響曲版より
衣裳:Eatable of Many Orders
家具:近藤正樹
映像:遠藤龍
出演:Noism1 & Noism2、奥野晃士(SPAC- 静岡県舞台芸術センター)

【新潟公演】※公演情報ページはこちら
2016年 1/29(金)19:00、30(土)17:00、31(日)15:00
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館≪劇場≫
 
【神奈川公演】※公演情報ページはこちら
2016年 2/19(金)19:00、20(土)17:00、21(日)15:00
KAAT神奈川芸術劇場≪ホール≫
 
チケット
11/14(土)一般発売開始
11/12(木)N-PAC mate(りゅーとぴあ友の会)&KAme(かながわメンバーズ)先行発売

http://noism.jp/news_1007_carmen/

とてもドラマティックでパワフルな舞台でした。再演でどのようにバージョンアップされるのでしょうか。


そしてもう一つ、Noismの来年の公演情報が。なんと、劇作家の平田オリザさんが、『ラ・バヤデール』を翻案して新作を書き下ろします。平田オリザさんのブログの昨年のエントリでも、このことに触れていました。

劇的舞踊『ラ・バヤデール − 東洋の幻』(仮)
http://noism.jp/npe/la-bayadere_niigata/

Noism1×Noism2

演出振付:金森穣
脚本:平田オリザ
空間:田根剛(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
衣裳:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
出演:Noism1 & Noism2、ゲスト俳優(SPAC − 静岡県舞台芸術センター)

日時
新潟公演:2016/6/17(金)- 19(日)
神奈川公演:2016/7/1(金)- 3(日)予定
兵庫公演:2016/7/8(金)- 9(土)予定
愛知公演:2016/7/16(土)予定
静岡公演調整中

会場
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉 ほか


古典バレエの『ラ・バヤデール』を平田さんと金森さんがどのように翻案するのか、今から楽しみで仕方ありません。

ミスティ・コープランドのドキュメンタリー映画と、ヨーヨ・マとの共演

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ABTで初のアフリカ系アメリカ人プリンシパルとなった、ミスティ・コープランド。彼女の生い立ちから今までを追ったドキュメンタリー映画「A Ballerina’s Tale」が10月14日に全米で封切られ、またオンデマンドでもリリースされます。

http://www.huffingtonpost.com/entry/misty-copeland-documentary_56153872e4b021e856d30330

映画の予告編

その公開に先駆けて、ミスティはいろいろなメディアに登場しています。CBSの人気番組「レイト・ナイト・ウィズ・スティーヴン・コルベア」では、チェリストのヨーヨー・マと共演して、マルセロ・ゴメスが振付けた作品を踊りました。

番組では、トークもしています。

TIME誌のサイトでは、この時に踊ったゴメスの作品は、どんな音楽でもミスティはぴったり合わせることができる、という面白い動画が紹介されています。
http://time.com/4066214/misty-copeland-dance-secret/

「人々は、私が黒人であるという事実のほか、胸が大きい、筋肉質であるということという事実に基づいて判断していると私は思っています。でも、クラシック・バレエの世界には変化が求められています、この芸術は滅びようとしていると人々は考えているからです。変化がなければ、バレエは進化しないし存在し続けることができません。変化は起きなくてはならないのです」
映画は、ミスティの貧しい生い立ち、バレエを始めたのは13歳という遅いスタート、キャリアをもうすぐで終わらせるところだった大きな怪我との戦い、そして世間の偏見といったところを描いています。


New York Timesの記事によれば、2年前のテレビのパーソナリティ主催のパーティで、怪我から回復する途中だった彼女は映画監督のネルソン・ジョージに出会ったとのことです。ネルソン・ジョージはヒップホップやアフリカ系アメリカン・カルチャーについての映画で知られている存在でした。「彼女は、バリシニコフ以来のバレエ界のポップスターになると確信していたよ」

http://www.nytimes.com/2015/10/11/arts/dance/misty-copeland-on-pushing-ballets-boundaries.html

この記事の中での、二人の間の会話は興味深いものです。

Q この映画はどのような作品ですか?

ジョージ 「この映画は、伝記ではなくて、危機に直面している瞬間のアーティストを捉えたものなのです」

コープランド 「そして、バレエ界における多様性の欠如、アフリカ系アメリカ人のバレリーナが少ないことについて、詳しく語っているのです。これが、最初から私が求めていたことです」

Q あなたは、自分が黒人のバレリーナであるという事実を強調しているということについて、キャリア的に後悔したことはありませんか?

コープランド 「全くありません。それは必要なことだったのです。過去のダンサーたちもそのことについて話してきましたが、私のようなプラットフォームによりものではなくて、それは大きな違いです。私が黒人であることは私の一部であり、私の人生とそこでの苦闘における経験の一部です。今までの道のりは簡単なものではなくて、その理由の多くは、私がアフリカ系アメリカ人であり、私たちの多くはそのためにいろんな経験をしてきました。私が一定の知名度を得たり成功したことは、偶然のことではないし、黒人であることは今でも私の一部です。私が今プリンシパルになれたことで、そのことが消えてなくなるわけではありません」

ジョージ 「もし、彼女が『私はちょっと黒人の血が入っていて、こういう人です』という態度だったら、人々は、そうか、彼女は単にゲームに参加しているだけだと思うでしょう。でも、彼女にとってはゲームではなかったのです。黒人であるという点が重要だという事実から彼女は逃げませんでした。もし、彼女が自分の血を受け入れて大事にしていなかったら、そのことはここまで重視されなかったことでしょう」

Q この映画の中で、ABTの前エグゼクティブ・ディレクター、レイチェル・ムーアのような人々が、あなたはもっと集中すべきことがあると感じていたのがわかります。同じようにあなたは感じていましたか?

コープランド 「この映画が撮影され始めた時、私は体重を落とすようにと言われていました。私は、道に迷っていて、何に集中すればいいのかわからなくなっていました。どのように自分を扱うべきかわからなくなっていました。誰も私を導いてくれなかったし、仕事の時も、ここが私のいるべき場所だと思えなくなってきて、漂い始めていました。多くのダンサーがこのような経験をしています。私たちは大人になっていません。バレエに集中していてばかりいたので、大人になるための技術を得られていませんでした」

ジョージ 「彼女の物語は、並外れた枠組みの中での、ありふれたものです。これはすべてのダンサーに起こりえることです。怪我をする可能性、『私はプリンシパルになれるのかしら?』という不安。でも、ここで人種問題が出てくると、すべてのことがより厳しい賭けになっていきます。そしてこの映画は、そのことを扱っているのです。『彼女は今怪我をしてしまいました。これは、どんなダンサーでも経験することです』。その通りです。でも、その側面においては、ありふれた話なのです」

Q クラスレッスンの時、フラストレーションを見せていますね。「どうしてこの映画を撮影することに同意したのか?」と思いませんでしたか?

コープランド 「いえ、私はそのように感じませんでした。彼がそこにいたからではなく、その時に、フラストレーションがあるプロセスだったのです。Steps(NYのオープンクラスのスタジオ)の端に座って、何日も泣いていました。何が起きるかわからなかったからです。それは無理だ、と思いました」

ジョージ 「この映画は最もハッピーと思える終わり方をしますが、そのように終わるという保証は、その時はなかったんです」

*******
プリンスとの共演、再生回数933万回を記録したアンダーアーマーのCMへの出演、TIME誌の表紙、そしてABTのプリンシパルへの昇格と映画の公開。ミスティ・コープランドは間違いなく知名度では全米でナンバーワンのバレリーナとなったようです。今までバレエを観たことがなかった層や、若い人たちが劇場に詰めかけるようになって、彼女が出演する日のチケットはソールドアウトになっているようです。メジャーなメディアにバレリーナがたくさん露出することは素晴らしいことですし、人種の壁を越えて努力したことも素晴らしい功績です。

ただ、ミスティを一人のバレエダンサーとして見たときには、まだ技術的に物足りない部分や、まだ自分のものにできない役柄があることも否めません。とはいえ、まだ彼女はプリンシパルに昇格したばかり。これからどのように成長していき、実力も歴史に残るようなバレリーナになっていく過程を見守っていければと思います。

彩の国さいたま芸術劇場 ボワヴァン/ウバン/ラリュー『En Piste-アン・ピスト』

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彩の国さいたま芸術劇場で、11月6日、7日に、フランスの3人の振付家ボワヴァン、ウバン、ラリューによる『En Piste-アン・ピスト』が上演されます。

http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/3052

1980年代のフランス・ダンス界を席巻したヌーヴェル・ダンスの流れで活躍した
3人の現代ダンス振付家をフランスより迎えてお届けする本作。
レオ・フェレやセルジュ・ゲンスブール、エディット・ピアフなど、1968年~80年代のフランスを映し出すシャンソン16曲にのせ、
“アラ還”世代の3人の振付家が、手話のようなダンススタイル「シャンソン・ドゥ・ジェスト」で、
革命的であった当時に今の時代を重ね合わせて踊ります。

作品全体の映像を見せていただいたのですが、これがポップでキュートなところもあればユーモラスなところもあり、そして辛辣だったり、しんみりするところまでバラエティに富んでいて、とても面白い作品に仕上がっているんですよね。彼らが青春時代だったころが、ポスト5月革命の時代だったわけで、それらの時代へのノスタルジーとともに、かなり政治的な意味合いも込められたりしている側面もあります。人生経験を重ねた彼らならではの深みと、メッセージ性、エモーションが伝わってきました。パスカル・ウバンの美しい腕使いによる手話を使った動きなども印象的ですが、しっかりとした表現力豊かなダンスも観られるし、シャンソンの歌声、歌詞とも絶妙な結びつきが感じられて、かえって新鮮な感じすらします。

伝説的な振付家である3人による、この素敵なパフォーマンスが観られるのは本当に貴重な機会です。

ボワヴァン/ウバン/ラリュー『En Piste-アン・ピスト』
2015年11月6日(金)19:00開演/7日(土)15:00開演
彩の国さいたま芸術劇場
構成・振付・出演:ドミニク・ボワヴァン(リヨン・オペラ座バレエに『くるみ割り人形』)、パスカル・ウバン、ダニエル・ラリュー(94年~2002年トゥール国立振付センター芸術監督、。89年『風の薔薇』(関内ホール)と96年『デルタ』(神奈川県民ホール)にて来日)
音楽:バルバラ、レオ・フェレ、セルジュ・ゲンスブール、ジャック・ブレル、エディット・ピアフ他

料金
(税込) 一般4000円、メンバーズ3600円、U25 2000円


【チケット取扱い】
■SAFチケットセンター
・電話 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)
 ※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。
・SAFチケットオンライン http://www.ticket.ne.jp/saf/

■プレイガイド
・イープラス http://eplus.jp
・チケットぴあ http://t.pia.jp
 0570-02-9999(音声自動認識/Pコード:445-686)
・ローソンチケット http://l-tike.com/
 0570-000-407(オペレーター対応)
 0570-084-003(Lコード:36567)

【お問い合わせ先】
SAFチケットセンター 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)


ボリショイ・バレエの「ジゼル」生中継中

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10月11日はボリショイ・バレエの「ジゼル」の中継です。現在中継中です。

今まで、ボリショイの生中継は、YouTubeではジオブロックされていましたが、今日の公演は普通に視聴できています。

https://www.youtube.com/watch?v=Emt57z3CE3c

ジゼルにスヴェトラーナ・ザハロワ、アルブレヒトにセルゲイ・ポルーニン、ミルタにエカテリーナ・シプリーナです。ハンス(ヒラリオン)はデニス・サヴィン、ペザントはダリア・ホフロワとイーゴリ・ツヴィルコ。
http://bolshoi.ru/performances/41/roles/#20151011180000

映画館での中継も行われています。(日本での劇場公開は未定)

追記
録画もしばらくは観られるようです。(観られなくなっていたらごめんなさい) モバイルやスマホではだめみたいです。私はChromeブラウザで観ています。
http://www.youtube.com/watch?v=Emt57z3CE3c

NHK-BS 10/17 Her Story「フィリピン 伝説のバレリーナ」

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NHK-BSのドキュメンタリー番組「Her Story」で、10月17日(土)深夜に「フィリピン 伝説のバレリーナ」という番組を放送します。

http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2015-10-17&ch=11&eid=18830&f=etc

2015年10月18日(日) 午前3:00~午前3:20(20分) 

ロシアの名門マリインスキーバレエ団で史上初の外国人ソリストに登用されたフィリピン人バレリーナ、リサ・マクハ・エリザルデ(Lisa Macuja-Elizalde)。
母国に戻ってから、バレエ・マニラを創立、まだまだ、認知度の低いバレエ文化の普及に努めている。
また、次世代のダンサーを育成するために下部組織としてバレエ学校も設立。
才能ある子どもには奨学金制度を設けて教えている。
そのプロジェクトから、スラム街でスカウトされ、プロバレリーナとなり、貧困を抜け出した少女も育っている。スラム街で生まれ育ち、両親とともにゴミ拾いをしていたジェッサ・バロテだ。
リサが、なぜ、バレリーナとして成功できたのか?
その秘密と、若い才能を発掘して、未来のバレエダンサーを育てる現場を取材する。ジェッサらが出演する記念公演の舞台裏に密着し、リサの夢を描く。


この番組の英語版は、9月30日にすでに放映されており、こちらのNHKのサイトでオンデマンドで視聴できます。
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/herstory/201509120600/

リサ・マクハ・エリザルデについては、今年の一月にバレエ・マニラを訪ねた鈴木晶氏のブログで詳しく書いてあります。フィリピンのバレエ事情が分かって非常に興味深いです。
http://shosbar.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31

リサ・マクハ・エリザルデは、ワガノワ・アカデミーでナタリア・ドゥシンスカヤに師事しトップの成績で卒業しました。マリインスキー・バレエ初の外国人ソリストで、マリインスキーでの主役も「ドン・キホーテ」「くるみ割り人形」「ジゼル」などを踊っているほか、様々なコンクールでの受賞歴もあります。

フィリピン出身のバレリーナと言えば、ABTのプリンシパルに最近昇進したステラ・アブレラ(アメリカ国籍)がよく知られています。また、ボストン・バレエからABTに今年移籍したジェフリー・シリオも、フィリピン系アメリカ人です。

マニュエル・ルグリが、ウィーン国立バレエ芸術監督の契約を2020年まで延長

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ウィーン国立バレエの芸術監督(およびウィーン・フォルクスオーパー・バレエの芸術監督)を2010/11シーズンより務めているマニュエル・ルグリ。現在の契約は2017年まででしたが、このたび、2020年8月31日まで延長されることが発表されました。

http://diepresse.com/home/kultur/klassik/4844322/StaatsballettDirektor-Manuel-Legris-verlaengert-bis-2020

この任期は、ウィーン国立歌劇場総裁のドミニク・マイヤーの2期目の任期と同一となります。

「マニュエル・ルグリは、ウィーンをバレエの都市にしました。彼のリーダーシップの下で、ウィーン国立バレエは、オーストリアだけでなく国際的に成功し、非常に高い評価を誇っています」と木曜日にマイヤーはプレスリリースでルグリのことを評価しました。また、フォルクスオーパーの総裁ロバート・マイヤーも、「マニュエル・ルグリはフォルクスオーパーでも成功し続けることを嬉しく思います」と語っています。

「劇場内、および運営陣による貴重な支援を感じ、そして観客も熱狂してくれています。さらに5年間、私のカンパニーと共に歩めること、そして多くのエキサイティングなプロジェクトを導入することができることを喜ばしく思います」とルグリは語っています。

ウィーン国立バレエは新しいシーズンも始まり、来年3月には、ルグリ振付による新作「海賊」も上演されます。

7月に行われた沖縄公演、私も観に行きましたが、ティエリー・マランダンの作品など、バラエティに富んだ演目も楽しかったですし、カンパニーのクオリティの高さも実感しました。ルグリの就任により、カンパニーの存在感はますます大きくなっています。

なお、ウィーン国立バレエでは、日本人のピアニスト、滝澤志野さんが活躍しています。滝澤さんを取り上げた記事が読売新聞に掲載されています。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/special/feature/CO006040/20151006-OYT8T50129.html

滝澤さんは、レッスンやリハーサルでの演奏だけでなく、バレエ公演での演奏もしています。ウィーン国立バレエの演奏は、ウィーン・フィルが演奏していますので、非常にクオリティが高いわけですが、その中で滝澤さんが頑張っているのは嬉しいことですね。また、橋本清香さん、木本全優さんの日本人ソリストも、たびたび主演するなど奮闘しています。

「白鳥の湖」初演についての発見続き

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10月7日に投稿した「白鳥の湖」初演失われていた資料が発見の続報について、New York Timesで記事が載ったので、ご紹介します。

※私は専門家ではないので、へぇ~と思ったことをメモ程度にまとめているため、あまり細かい突っ込みはご遠慮いただければと思います…。

http://www.nytimes.com/2015/10/14/arts/dance/swan-lake-discoveries-allow-for-a-deeper-dive-into-its-history.html

併せて、今回の発見をまとめた書籍がボリショイ劇場より発行されました。この書籍についての説明の動画(ボリショイ劇場のYouTube)がありますが、この動画に映し出されている本と解説も大変興味深いものです。

(この映像の中で、Sergei Konaev,氏は、当時バレエのリハーサルは2艇のヴァイオリンの演奏によって行われていて、チャイコフスキーはリハーサルを観るのを楽しんでいたと母親に語っていたと話しています)

前回の記事をおさらいつつ、今回のいきさつについて書いてみます。モスコワの芸術研究所の主席研究員であるSergei Konaev,氏が、ボリショイの古い建物で様々な発見をしました。1876年のリハーサルスコアが発見され、その中には、オリジナルの衣装、キャスト、その他の記述があったのです。これは、先週モスクワで行われたシンポジウムで発表されました。

そのシンポジウムに参加した音楽学の研究者でプリンストン大学の教授であるサイモン・モリソン氏(ボリショイバレエの歴史について研究)が、今回の発見について報告しています。

「セットや衣装の完全で正しい描写を与えてくれ、また何十もの演出のキューや指示、そして最後の洪水についての新しい詳細を教えてくれました。モスクワ帝室劇場のバレエマスター、Vladimir Petrovich Begichevがこのバレエのシナリオの作者であると解明しました。ライジンガーによる1877年のオリジナル初演においては、スコアはオリジナルの順番で演奏されていたということを確認しました。そして初演する予定だったバレリーナの名前が、チャイコフスキーが敬意を抱いていたプリマ・バレリーナの Lidiya Geytenであることも判明しました。彼女は、この音楽は自分のためのものではないと判断して降板するまで、このバレエのリハーサルに参加していました。また、1880年における、モスクワでの2回目の上演(Joseph Peter Hansen.演出)についても多くのことが話されました」

ライジンガ―も、Joseph Peter Hansenも、振付についてはさほど素晴らしいものではなくて、チャイコフスキーは主に、モスクワの舞台美術家Karl Valtsによる見事な舞台美術効果について熱狂したようです。Valtsもチャイコフスキーの音楽は素晴らしいと感じていたとのことです。Valtsは、自伝でこのように語っています。

「嵐のシーンでは、湖は堤防を越えて決壊し、洪水で舞台を埋めました。チャイコフスキーは、我々は本物の渦潮を再現し、湖を囲んでいる木の枝も折れて水の中に落ち、波にさらわれるべきだと主張しました」


この終幕の洪水は、「白鳥の湖」の1895年以降の多くの上演において省かれているものの一つです。(注:ヌレエフ版、クランコ版など洪水が出てくる演出はいくつかはあります)この大団円に物語に向っているということを、われわれに思い出させます。

1877年のスコアの最大の疑問は、いわゆる「黒鳥のパ・ド・ドゥ」と呼ばれているシーンにあります。ここの音楽は、チャイコフスキーは本来1幕で、王子ジークフリートがまだオディールにもオデットにも出会っていないところの場面のために書きました。チャイコフスキーは、3幕でオディールが踊った音楽はどの曲だったのでしょうか。

リハーサルのスコアにより、ジークフリートは、「村人1」とだけ表現されている若い女性と1幕のパ・ド・ドゥを踊ったことが判明しています。しかしこの女性は、この場面にのみ登場します。

オディールについては、3幕の舞踏会に現れるや否や、スコアではパ・ド・シスとしている複雑な踊りの組曲に参加します。新しい発見により、ライジンガーは、この組曲の最も驚くべき一曲、美しく悲痛なアンダンテ・コン・モートを使っていることが判明しました。これが悲劇的なクライマックスを導くと、バレエのスケールが宇宙的であると感じます。もし、この曲を、チャイコフスキーがもともとはオディールの踊りのために作ったと考えると、彼女のイメージが一変します。この音楽は、オデットのために書かれた曲同様、胸を刺すような、運命に翻弄される様子を描いているように聞こえます。

そして民族舞踊が続き、クライマックスの5曲目は、ジプシータイプのヴァイオリンソロを前面に出したルースカヤです。1877年においては、衣装を替えたオディールが、この曲を踊るために現れ、この音楽に合わせて踊ったオディールによってジークフリートは完全に誘惑されます。

この「白鳥の湖」のデータの集積を完全に吸収し検証するには時間がかかると思われます。新しい発見によって、このバレエの謎が解明されるというよりは、より迷宮の中に入り込むことになるでしょう。1877年のスコアを使って「白鳥の湖」を上演するという努力の成果は、現代においては、ブルメイステルによる1953年のモスクワでのプロダクションに現れています。しかしながら、今回の成果により、チャイコフスキーの本来の意図を舞台化するという試みの話はすでに浮上しています。

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「白鳥の湖」のアンダンテ・コン・モートが、本来はオディールに使われていた曲だったということは非常に興味深いものです。この美しい音楽は、「白鳥の湖」の演出においてはいろんなシーンに使われています。4幕の悲しみに沈む白鳥たちに使われることもあれば、2幕冒頭の王子のソロでも使われることがあります。さらには、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」では、王子が母の愛を求めてすがりつくシーンで印象深く使われていました。つまりは、チャイコフスキーは、オディールも非常に悲劇的な背景をもつ存在であると描きたかったのかもしれません。

音楽の順番が比較的チャイコフスキーの原典に近いブルメイステル版の「白鳥の湖」は、来年2月に東京バレエ団でも上演されます。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-561.html

NBS WEBチケット先行販売:10月16日(金)9:00p.m.~10月22日(木)6:00p.m.
 [座席選択・対象S~D席]

一斉前売開始:10月31日(土)10:00a.m.~

お問い合わせ・お申込み
 NBSチケットセンター 03-3791-8888

ABTの2016年METシーズンのキャスト

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ABTの来年春のMETシーズンのキャストがメトロポリタン歌劇場のサイトで発表されています。

http://www.metopera.org/calendar#/all-events?year=2016&month=4

5月9日、12日 「シルヴィア」 マーフィ、ゴメス、ホワイトサイド
5月10日、14日昼 「シルヴィア」 セミオノワ、ボッレ、スターンズ
5月11日 14日夜 「シルヴィア」 ボイルストン、レンドルフ、シムキン
5月13日 「シルヴィア」 コチェトコワ、コルネホ、シムキン

5月16日 ガラ

5月17日、21日夜 ショスタコーヴィッチ3部作(ラトマンスキー)
コルネホ、ゴメス、セミオノワ、未定、コチェトコワ、シムキン、マーフィー、スターンズ

5月18日昼、19日 ラトマンスキーの新作、セブン・ソナタ、「火の鳥」
パールト、コルネホ、ゴラック、レーン、ホーヴェン、セオ、コープランド、レンドルフ、未定、アブレラ
5月18日夜、21日昼 ラトマンスキーの新作、セブン・ソナタ、「火の鳥」
アブレラ、パリス、スコット、ロイヤル、未定、シェフチェンコ、ボイルストン、ゴメス、ザービン、パールト

5月20日、23日 ショスタコーヴィッチ3部作(ラトマンスキー)
ボッレ、シリオ、パールト、ホワイトサイド、ロイヤル、シェイヤー、シェフチェンコ

5月24日、27日 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 ボイルストン、レンドルフ
5月25日昼、28日夜 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 マーフィ、スターンズ
5月25日夜、28日昼 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 コープランド、コルネホ
5月26日、29日 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 アブレラ、未定

5月31日、6月2日 「海賊」 コチェトコワ、コルネホ、レーン、シリオ、シムキン
6月1日昼、4日夜 「海賊」 パールト、スターンズ、トゥッシャー、ホワイトサイド、アン
6月1日夜、4日昼 「海賊」 マーフィ、レンドルフ、アブレラ、シムキン、シェイヤー
6月3日 「海賊」 セオ、ホワイトサイド、コープランド、未定、レンドルフ

6月6日、9日 「金鶏」(ラトマンスキー) パールト、ブラント
6月7日、10日 「金鶏」(ラトマンスキー) アブレラ、トレナリー
6月8日昼、11日夜 「金鶏」(ラトマンスキー) セオ、レーン
6月8日夜、11日昼 「金鶏」(ラトマンスキー) コープランド、コチェトコワ

6月13日、18日昼 「白鳥の湖」 セミオノワ、ゴメス
6月14日 「白鳥の湖」 ボイルストン、レンドルフ
6月15日昼 「白鳥の湖」 コープランド、シムキン 
6月15日夜 「白鳥の湖」 パールト、ホワイトサイド
6月16日 「白鳥の湖」 セオ、ボッレ
6月17日昼 「白鳥の湖」 マーフィ、スターンズ
6月18日夜 「白鳥の湖」 コチェトコワ、コルネホ

6月20日 「ロミオとジュリエット」 セオ、スターンズ
6月21日、25日夜 「ロミオとジュリエット」 ヴィシニョーワ、ゴメス
6月22日昼 「ロミオとジュリエット」 ボイルストン、未定
6月22日夜 「ロミオとジュリエット」 マーフィ、未定
6月23日 「ロミオとジュリエット」 フェリ、コルネホ
6月24日 「ロミオとジュリエット」 セミオノワ、ボッレ
6月25日昼 「ロミオとジュリエット」 コープランド、未定

6月27日、7月2日昼 「眠れる森の美女」 ボイルストン、ゴラック
6月28日 「眠れる森の美女」 マーフィ、スターンズ
6月29日昼 「眠れる森の美女」 トレナリー、ホワイトサイド
6月29日夜、7月2日夜 「眠れる森の美女」 セオ、未定
6月30日 「眠れる森の美女」 アブレラ、ゴメス
7月1日 「眠れる森の美女」 レーン、コルネホ

全幕作品7本、そしてトリプルビル2本、さらにはガラと2か月弱の期間にギュッと詰まって大変なスケジュールのMETシーズンです。

2015年はとにかくロシア系のゲストが多かったのですが、今年はなんとロシアンゲストは0です。ゲストダンサーは現在のところ、「ロミオとジュリエット」1公演に出演するアレッサンドラ・フェリのみ。ABTとしては画期的と言えます。コチェトコワ、レンドルフ、シリオが移籍で加入し、アブレラ、コープランドがプリンシパルに昇進しました。また、ソリストに昇格したばかりのカサンドラ・トレナリーが「眠れる森の美女」に主演します。

一方で、現在のところ、デヴィッド・ホールバーグの出演予定がありません。ボリショイ・バレエとの出演の調整、そしてけがの回復の具合を待って、未定の枠に入ってくるのではないかと思われます。(「ラ・フィユ・マル・ガルデ」、「ロミオとジュリエット」、「眠れる森の美女」に男性ダンサーが未定の日程があります)また、ヴィシニョーワの出演予定が「ロミオとジュリエット」2公演のみと極端に少なくなっています。

例年、過酷なスケジュールのMETシーズンはけが人が続出して、外部のダンサーの助けを借りる羽目になっていますが、とりあえず今回は内部ダンサー中心のキャストが組めたので、今年ほどの深刻な事態にならないと思われます。(ならないでほしいですね)

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