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ロイヤル・バレエの元プリンシパル、デヴィッド・ドリュー逝去

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ロイヤル・バレエで56年間も活躍してきた偉大なダンサーで教師だったデヴィッド・ドリューが亡くなりました。77歳でした。

http://dancetabs.com/2015/10/obituary-david-drew-royal-ballet-principal-with-the-company-56-years/

彼の長いキャリアの出発点には、タマラ・カルサヴィナ、ブロニスラヴァ・ニジンスカ、リディア・ロポコワ、レオニード・マシーン、ジョージ・バランシン、アリシア・マルコワ、セルゲイ・グリゴエフなどバレエ・リュスで活躍したダンサーや振付家たちがおり、彼らの薫陶をドリューは受けてきました。一方で、アリーナ・コジョカル、マリアネラ・ヌニェス、クリストファー・ウィールドン、デヴィッド・ドーソンなどのダンサー、振付家たちも教え、バレエの継承に力を注いできました。

「ロミオとジュリエット」キャピュレット公を演じたときのカーテンコール

1938年に生まれ、1954年にサドラーズ・ウェルズ・バレエ(現在のロイヤル・バレエ)に入団したドリューは、最初の出演作はレオニード・マシーンの「三角帽子」だったようです。マシーンが出演した映画「赤い靴」でのマシーンに魅せられてドリューはバレエの世界に入りました。もっとも有名な役の一つは、DVD化されているマクミラン振付「ロミオとジュリエット」(アレッサンドラ・フェリ主演)でのティボルトですが、他にも、たとえばニジンスカ振付「結婚」の上演の際に彼女の振付を再現したところなども映像に収められています。

1961年にソリストに、1974年にプリンシパルとなったドリューは、その後プリンシパル・キャラタクター・アーティストとなり、2003年に引退したのちも、ゲストとして立ち役でロイヤル・バレエの舞台に立ち続けました。最後の舞台は2011年の「ジゼル」でした。その後、病気のために舞台には立たなくなりましたが、モニカ・メイソン前芸術監督は、彼の代表的な役柄の一つである「ロミオとジュリエット」のキャピュレット公としての出演を待ち望んでいました。

ドリューは高い演技力が評価されていたダンサーで、アンソニー・チューダーの「Shadowplay」の初演キャストであり、ビントレーの「シラノ」ではデ・ギッシュ役を初演しました。マクミラン作品では、「マノン」の看守役を初演したほか(アンソニー・ダウエル主演「マノン」のDVDにも登場)、ムッシュGM役も演じていました。「マイヤリング」ではベイ・ミドルトン役を初演し、そして皇帝フランツ・ヨーゼフを演じました。また、マクミランの「ディファレント・ドラマ―」でのサディスティックなキャプテン役は彼のお気に入りの役でした。

キャピュレット公の他、「ロミオとジュリエット」ではマキューシオとティボルト、「ジゼル」ではウィルフリードとヒラリオン、「ハムレット」ではレアティーズとポロニアスを演じました。ロイヤル・バレエならではのドラマティックな役柄に魂を感じさせることで彼は良く知られていました。「火の鳥」のカースチェイ、「ペトルーシュカ」のショーマン、「白鳥の湖」ではロットバルト、アシュトンの「シンデレラ」では長姉、「マルグリットとアルマン」の父などを演じています。(彼の「火の鳥」のカスチェイ役は、ロイヤル・バレエ「火の鳥/結婚」のDVDに収められています)

アシュトン「シンデレラ」のアグリー・シスターズを演じるデヴィッド・ドリュー

また、デヴィッド・ドリューは、40年以上、ロイヤル・バレエの労働組合の代表として活躍し、それらの功績を称えられて大英帝国勲章(MBE)を受章しました。カンパニーの年金制度の創設にも関わり、労働条件の向上に務めました。ロイヤル・オペラハウスが改装工事をされた時には、リハーサル設備や追加の公演場所の必要性を強調し、その結果、Cloreスタジオとリンバリー・シアターが開設されました。

ロイヤル・バレエスクールでは卒業学年のパ・ド・ドゥクラスを担当しました。彼の生徒の中には、アレッサンドラ・フェリ、ダーシー・バッセル、サラ・ウィルドーなどがいました。また振付クラスでの指導に誇りを持っており、このクラスではマシュー・ハート、ポール・ライトフットなどが学びました。

ロイヤル・バレエスクールでパ・ド・ドゥクラスを指導するデヴィッド・ドリュー。(BBCのドキュメンタリー、「ダンサー」「バレリーナ」より)

デヴィッド・ドリューは振付の分野でも活躍して、6作品バレエ作品を振付けたほか、ミュージカルも何本も振付けています。中でも「カンタベリ物語」はロンドンで5年間上演され、ブロードウェイでも上演されました。また、バレエ作品のシナリオも書き、その中で「三銃士」はデヴィッド・ニクソンがノーザン・バレエのために振付け、エストニア国立バレエでも上演されています。ロイヤル・バレエで最近も上演された「レイヴン・ガール」は、ドリューが原作者オードリー・ニッフェンガーを振付家のウェイン・マクレガーに紹介したことから実現しました。

さらに近年においては、ドリューは失われたバレエ作品を再上演することにエネルギーと時間を割いていました。ロバート・ベルプマン振付の「Miracle in the Gorbals」(最後に上演されたのは1958年)を再上演するために2年をかけて調査を行っていました。

ロイヤル・バレエに長年貢献してきた彼の死を、多くのロイヤル・バレエのダンサーや元ダンサー、教師たちが悼んでいます。ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」の昨日の公演では、芸術監督ケヴィン・オヘアが公演をデヴィッド・ドリューにささげました。


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エルヴェ・モローのレペットでのイベント

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パリ・オペラ座のエトワール、エルヴェ・モローが、「月夜に煌めくエトワール」公演のリハーサルとプロモーションのために来日中です。

レペット銀座店でファンを集めてのイベントがありました。とても素敵な店内において少人数で、大変和やかな雰囲気でした。 すらりと背が高く長身のエルヴェ、足元はレペットの白いZiziの靴でした。

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バレエを始めたきっかけは、二人の兄が柔道、テニスをやっていて5歳からスポーツしないといけなくて、子供達が踊っている作品を見てバレエやりたいと思ったとのことです。

レペットとの縁は、ボルドーのバレエ学校の時代にグレーのタイツ、バレエシューズ地元の店を通して注文していました。パリ・オペラ座学校に入ってからもガルニエ近くの店に通ったそうです。

日本には何回来たか数えていないけど初めて来たのは学校の14歳の時。仕事が忙しくなかなか時間がないけど、観光のためだけにも是非来てみたいとのことです。

今回の「月夜に煌めくエトワール」公演は、「まず皆さんに観て頂けるのが嬉しい。パーソナルな願いから生まれ僕が好きなアーティストとコラボレーションしました。初演の作品が観られるのは良いチャンスです。すでにニューヨークで上演した自作Lunaもネオクラシックの作品で好評で、エトワールガラで踊ったイリ・ブベニチェクの「月の光」、そして中村恩恵さんと創った「ツクヨミ」、さらにパトリック・ド・バナ作品ではマチュー・ガニオと踊る作品を見せられるのを嬉しく思います」とのことです。

質問タイム

Q オーレリーがオペラ座引退した後誰と踊りますか?
もちろんパリ・オペラ座の他のダンサーとも踊ることになるけど、オペラ座の外でオーレリーと踊りたいと思います。

Q何故そんなに背が高いのですか?
実は小さな頃は背が低く、オペラ座学校でも心配されて病院で診察されました。一年留年しているのですが、小柄過ぎて次の学年でやるリフトができないと判断されたからです。しかし運よく、17歳の時に急に背が伸びました。

Q.今後どんな振付家の作品を踊りたいですか?
今回の「月夜に煌めくエトワール」公演で好きな振付家と仕事をしたので、しばらくはあまり新しい人と仕事をしたいは思ってないけど、結局踊れなかった「大地の歌」を振りつけたノイマイヤーとはまた仕事したいです。

Q 以前にベジャールの「ボレロ」を踊る予定になっていましたが、その後どうなりましたか?
「ボレロ」はボルドー時代に観て、自分が固まってしまうほど感動した作品。ダンスの世界に入ったきっかけの作品で、現役を終えるまでには一度は踊りたいです。

Q.バレエダンサーとして必要なものは何ですか?
大切なのは情熱を持つこと、踊ることに情熱を持てること。心も身体もダンスに向けること、夢を持つことが大事。

Q 日本人の女性ダンサーと踊ったことはありますか?
ないのですが、パリ・オペラ座学校にいるミオという面白い子がいるのでいつか踊る機会があればいいと思います。他の日本人女性ダンサー、例えば東京バレエ団のダンサーとも踊る機会があればいいなと。今回、公演のために作品を創ってくれた中村恩恵さんは、以前にも仕事をしたことがあり、情熱を感じる人です。

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大変爽やかで、気配りもあり微笑みを絶やさないエルヴェは、本当に素敵でした。そして、今回世界初演となる2作品、パトリック・ド・バナによるマチュー・ガニオとのデュオ作品、そして中村恩恵さんの創作「ツクヨミ」とも、順調にクリエーションが進んでいるとのことです。

日本だけの特別バージョンとなった、「月夜に煌めくエトワール」楽しみですね。チケットも非常に良く売れているようです。

「月夜に煌めくエトワール」公演サイト
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/16_stars/index.html

公演日程
2016/1/10(日)18:00開演
2016/1/11(月・祝)15:00開演

会場
Bunkamuraオーチャードホール

エルヴェ・モローのレペットでの「月夜に煌めくエトワール」イベント

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パリ・オペラ座のエトワール、エルヴェ・モローが、「月夜に煌めくエトワール」公演のリハーサルとプロモーションのために来日中です。

レペット銀座店でファンを集めてのイベントがありました。とても素敵な店内において少人数で、大変和やかな雰囲気でした。 すらりと背が高く長身のエルヴェ、足元はレペットの白いZiziの靴でした。

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バレエを始めたきっかけは、二人の兄が柔道、テニスをやっていて5歳からスポーツしないといけなくて、子供達が踊っている作品を見てバレエやりたいと思ったとのことです。

レペットとの縁は、ボルドーのバレエ学校の時代にグレーのタイツ、バレエシューズ地元の店を通して注文していました。パリ・オペラ座学校に入ってからもガルニエ近くの店に通ったそうです。

日本には何回来たか数えていないけど初めて来たのは学校の14歳の時。仕事が忙しくなかなか時間がないけど、観光のためだけにも是非来てみたいとのことです。

今回の「月夜に煌めくエトワール」公演は、「まず皆さんに観て頂けるのが嬉しい。パーソナルな願いから生まれ僕が好きなアーティストとコラボレーションしました。初演の作品が観られるのは良いチャンスです。すでにニューヨークで上演した自作Lunaもネオクラシックの作品で好評で、エトワールガラで踊ったイリ・ブベニチェクの「月の光」、そして中村恩恵さんと創った「ツクヨミ」、さらにパトリック・ド・バナ作品ではマチュー・ガニオと踊る作品を見せられるのを嬉しく思います」とのことです。

質問タイム

Q オーレリーがオペラ座引退した後誰と踊りますか?
もちろんパリ・オペラ座の他のダンサーとも踊ることになるけど、オペラ座の外でオーレリーと踊りたいと思います。

Q何故そんなに背が高いのですか?
実は小さな頃は背が低く、オペラ座学校でも心配されて病院で診察されました。一年留年しているのですが、小柄過ぎて次の学年でやるリフトができないと判断されたからです。しかし運よく、17歳の時に急に背が伸びました。

Q.今後どんな振付家の作品を踊りたいですか?
今回の「月夜に煌めくエトワール」公演で好きな振付家と仕事をしたので、しばらくはあまり新しい人と仕事をしたいは思ってないけど、結局踊れなかった「大地の歌」を振りつけたノイマイヤーとはまた仕事したいです。

Q 以前にベジャールの「ボレロ」を踊る予定になっていましたが、その後どうなりましたか?
「ボレロ」はボルドー時代に観て、自分が固まってしまうほど感動した作品。ダンスの世界に入ったきっかけの作品で、現役を終えるまでには一度は踊りたいです。

Q.バレエダンサーとして必要なものは何ですか?
大切なのは情熱を持つこと、踊ることに情熱を持てること。心も身体もダンスに向けること、夢を持つことが大事。

Q 日本人の女性ダンサーと踊ったことはありますか?
ないのですが、パリ・オペラ座学校にいるミオという面白い子がいるのでいつか踊る機会があればいいと思います。他の日本人女性ダンサー、例えば東京バレエ団のダンサーとも踊る機会があればいいなと。今回、公演のために作品を創ってくれた中村恩恵さんは、以前にも仕事をしたことがあり、情熱を感じる人です。

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大変爽やかで、気配りもあり微笑みを絶やさないエルヴェは、本当に素敵でした。そして、今回世界初演となる2作品、パトリック・ド・バナによるマチュー・ガニオとのデュオ作品、そして中村恩恵さんの創作「ツクヨミ」とも、順調にクリエーションが進んでいるとのことです。

日本だけの特別バージョンとなった、「月夜に煌めくエトワール」楽しみですね。チケットも非常に良く売れているようです。

「月夜に煌めくエトワール」公演サイト
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/16_stars/index.html

公演日程
2016/1/10(日)18:00開演
2016/1/11(月・祝)15:00開演

会場
Bunkamuraオーチャードホール


愛知県芸術劇場公演(コンサートホールでの開催)
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/etoile/

2016年1月13日(水) 19:00開演

Noismの「カルメン」再演と、平田オリザ脚本新作「ラ・バヤデール」

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精力的な活動を続ける、金森穣さん率いるNoism。

Noism設立10周年の記念作品として2014年に上演し多くの話題を呼んだNoism1&Noism2合同公演、劇的舞踊『カルメン』が再演されます。

Noism1×Noism2 劇的舞踊『カルメン』再演 
演出振付:金森穣
音楽:G. ビゼー《カルメン》 オーケストラ版&組曲版&交響曲版より
衣裳:Eatable of Many Orders
家具:近藤正樹
映像:遠藤龍
出演:Noism1 & Noism2、奥野晃士(SPAC- 静岡県舞台芸術センター)

【新潟公演】※公演情報ページはこちら
2016年 1/29(金)19:00、30(土)17:00、31(日)15:00
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館≪劇場≫
 
【神奈川公演】※公演情報ページはこちら
2016年 2/19(金)19:00、20(土)17:00、21(日)15:00
KAAT神奈川芸術劇場≪ホール≫
 
チケット
11/14(土)一般発売開始
11/12(木)N-PAC mate(りゅーとぴあ友の会)&KAme(かながわメンバーズ)先行発売

http://noism.jp/news_1007_carmen/

とてもドラマティックでパワフルな舞台でした。再演でどのようにバージョンアップされるのでしょうか。


そしてもう一つ、Noismの来年の公演情報が。なんと、劇作家の平田オリザさんが、『ラ・バヤデール』を翻案して新作を書き下ろします。平田オリザさんのブログの昨年のエントリでも、このことに触れていました。

劇的舞踊『ラ・バヤデール − 東洋の幻』(仮)
http://noism.jp/npe/la-bayadere_niigata/

Noism1×Noism2

演出振付:金森穣
脚本:平田オリザ
空間:田根剛(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
衣裳:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
出演:Noism1 & Noism2、ゲスト俳優(SPAC − 静岡県舞台芸術センター)

日時
新潟公演:2016/6/17(金)- 19(日)
神奈川公演:2016/7/1(金)- 3(日)予定
兵庫公演:2016/7/8(金)- 9(土)予定
愛知公演:2016/7/16(土)予定
静岡公演調整中

会場
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉 ほか


古典バレエの『ラ・バヤデール』を平田さんと金森さんがどのように翻案するのか、今から楽しみで仕方ありません。

悲劇のバレリーナ、タナキル・ル・クラークの伝記映画製作へ

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ジョージ・バランシン、ジェローム・ロビンスという20世紀では最も重要な振付家のミューズであり、バランシンの4番目にして最後の妻だったタナキル・ル・クラーク。

長身で美貌に恵まれたタナキルは、15歳でニューヨークシティバレエに入団。バランシンの「シンフォニー・イン・C」「ラ・ヴァルス」「ウェスタン・シンフォニー」「コンチェルト・バロッコ」、そしてロビンスの「牧神の午後」の初演キャストでした。しかし26歳の時にツアー先のデンマークでポリオに侵され、脚が不自由となりダンサー生命を絶たれます。献身的にバランシンは看病するものの、やがて二人は離婚。しかしバランシン、そしてロビンスとの友情は生涯続き、タナキルは、ダンス・シアター・オブ・ハーレムの教師として活躍し、71歳まで一人で強く生きました。

タナキル・ル・クラークの生涯については「Afternoon of A Faun」という長編ドキュメンタリー映画が制作され、DVDにもなっています。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2014/01/post-55d1.html

そのタナキルの伝記映画が、米ワインスタイン・カンパニーによって製作されることが明らかになっています。

http://eiga.com/news/20151020/19/

http://www.tracking-board.com/exclusive-the-weinstein-company-developing-biopic-about-ballerina-tanaquil-le-clercq/

タイトル未定の伝記映画のスタッフ、キャストは現在のところ未定だそうです。ワインスタイン・カンパニーは、ミラマックスを創業した映画業界の実力者、ハーヴェイ・ワインスタインとボブ・ワインスタイン兄弟が設立した独立系映画会社で、クエンティン・タランティーノやスティーヴン・フリアーズ監督らの映画を製作しています。最近では、数学者アラン・チューリングの伝記映画「イミテーションゲーム」(ベネディクト・カンパーバッチ主演)を製作。この映画はアカデミー賞の脚色賞に輝いています。

まだスタッフやキャストは未定ですが、美貌でも知られた伝説的なバレリーナの伝記映画ということで、誰が主演するのか、バランシンやロビンスを演じるのは誰なのか、非常に興味深いところですね。今回の映画は、特に50年代のバレリーナとしての短すぎる絶頂期、そしてバランシン、ロビンスとの三角関係を中心として描いているとのことです。

タナキル・ル・クラークとジャン・ダンボワーズが踊る「牧神の午後」


なお、タナキル・ル・クラークの生涯を、小説という形で発表した「ミスター・Bの女神 バランシン、最後の妻の告白」(ヴァーレー・オコナー著、鵺子訳)が出版されています。バランシンの他の妻たちと違って、タナキル・ル・クラークは自伝を書きませんでした。そのため、彼女の人生については、詳細がわからない点があります。この本は小説ではありますが、丹念なリサーチを行って限りなく真実に近い内容となっております。書評を書こうと思ってなかなかご紹介できませんでしたので、改めて記事を書きたいと思っています。彼女の人生の戦い、病に負けなかった強さ、バレエやバランシンに対する深い終生の愛が感じられて、とても感動的な一冊となっています。(僭越ですが、この書籍の「ダンスマガジン」誌広告に推薦文を寄せさせていただきました)

ミスター・Bの女神―バランシン、最後の妻の告白ミスター・Bの女神―バランシン、最後の妻の告白
ヴァーレー オコナー Varley O’Connor

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笹本龍史さんが山崎広太さん振付「OQ」でベッシー賞を受賞

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ニューヨークにおけるダンスやパフォーマンスの先鋭的な達成に贈られる、第31回ベッシー賞の授賞式が10月19日にアポロ・シアターでありました。ニューヨークのショービジネスにおいては重要な賞の一つです。

プレゼンターの一人として、マルセロ・ゴメスも登壇しています。司会は、元NYCBプリンシパルのジョック・ソト。
https://instagram.com/p/9CqJmnCuWw/

受賞者の一覧はこちらです。
http://www.dance.nyc/partner-resources/the-bessies/news

バレエ関係の受賞者としては、

傑出したプロダクション
ジャスティン・ペック 
『Rodeo: Four Dance Episodes』NYCB(ニューヨークシティバレエ)

傑出したリバイバル作品
アレクセイ・ラトマンスキー
『眠れる森の美女』 ABT(アメリカン・バレエ・シアター)

パフォーマンスにおける継続的な功績
アマール・ラマサール NYCB(ニューヨークシティバレエ)

また、傑出したパフォーマンス (Outstanding Performance)で、
笹本龍史
『OQ』 山崎広太振付、ジャパンソサエティ

が受賞しています。

受賞理由は
「並外れて素晴らしいダンサーたちのダンスの宮殿の中でも傑出した存在感と高い芸術性。流れるような奔流の中での現代的な感覚と、深くしみ込んだ”ロックとポップ”の感覚が結合した、終わることのない動きの流れ」


**********
山崎広太さんは、2007年にBAMハーベイ・シアターでの『Fagaala』で受賞しています。また、勅使川原三郎さんも、同年にリンカーンセンターでの『Bones in Pages』で受賞するなど、過去にも日本人の受賞者はいました。

『オーキュー(OQ)』のストーリーは、平安時代に始まったとされる宮中の歌詠みの会「歌会」と、鎌倉時代から興った「連歌」に着想を得て作られた作品で、「おうきゅう(王宮)」の雅やかな空気、野中で連綿する歌詠みの宇宙観を、山崎が繊細かつダイナミックな身体表現を以て再現していくというものだそうです。北米でツアーが行われていたようです。
http://www.dailysunny.com/2015/05/29/ev0529-9/


笹本龍史さんは、「舞台 死刑執行中脱獄進行中」に出演する予定です。

森山未來主演,長谷川寧演出にて、「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる漫画家 荒木飛呂彦氏の短編作品、初の舞台化です。

◇東京公演11/20(金)~29(日)天王洲 銀河劇場
◇12月 仙台、広島、札幌、富山、大阪ツアー
http://ssds-st.com/
元Noismの宮河愛一郎さんも出演しています。

シルヴィ・ギエムのラスト公演 「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」に出演

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現在、高松宮殿下記念世界文化賞(演劇・映像部門)の授賞式で来日中のシルヴィ・ギエム。(今日が授賞式)

2015年限りでの引退を表明しているシルヴィ・ギエムが、テレビ東京系で毎年、新年のカウントダウンを生中継している「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」に出演し、代表作の「ボレロ」とともにカウントダウンすることが決定しました。12月31日、まさに日本でのラストステージが、この「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」となります。

21回目を迎える今回は、彼女の代表作品でもある「ボレロ」でカウントダウンを行い、2015年のフィナーレとともに、ダンサーとしての活動に幕を下ろすことになりますね。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/2015/10/_2015-2016.html

◆番組概要
「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」
 放送:2015年12月31日(木)23:30~1月1日(金)00:45
テレビ東京系6局ネット、BSジャパン
 カウントダウン曲:「ボレロ」(モーリス・ラヴェル作曲/モーリス・ベジャール振付)

【出演】
 指揮:大友直人
 バレエ:シルヴィ・ギエム
 ソプラノ:小川里美
 バリトン:与那城敬
 ヴァイオリン:成田達輝
 ヴァイオリン:山根一仁

 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 バレエ:東京バレエ団

 司会:宮本亜門、松丸友紀(テレビ東京アナウンサー)


◆公演情報
 公演日時:2015年12月31日(木) 21:30会場/22:00開演
 会場:Bunkamuraオーチャードホール
 チケット一般発売:2015年12月6日(日)10:00~
 チケット料金:後日発表
 主催:テレビ東京
 特別協賛:東急グループ
 企画制作:Bunkamura


◆お問い合わせ先
【番組に関して】
 テレビ東京(代表)03-5470-7777

【公演内容やチケット情報に関して】
 テレビ東京 事業部 03-3435-7000 <平日11:00~17:00>
 Bunkamura 03-3477-3244 <10:00~19:00>


12月30日の神奈川県民ホールの「シルヴィ・ギエム ファイナル」のチケットが取れてほっとしていたら、最後にこんな隠し玉があったんですね。東急ジルベスタ―コンサートはテレビ中継もあるので、多くの人が観られますね。注目の舞台なので、いっそのこと世界にもネット中継したら素晴らしいと思うのですが。

第27回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者による合同記者会見の映像
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00306225.html

世界文化賞 演劇・映像部門受賞のシルヴィ・ギエム氏が来日(ニュース映像)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00306098.html

「世界文化賞」に5人 東京で記者会見
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151021/k10010276591000.html

このうち、演劇・映像部門で選ばれたフランスの世界的バレエダンサー、シルヴィ・ギエムさんは、会見で「東京は自分が若いころ国際的に活動する出発点となった場所です。その日本で受賞できたことに感動しています」と喜びを語りました。 ギエムさんは東日本大震災が発生した際に、被災した人たちを勇気づけたいと福島県や岩手県でバレエを披露しました。ことし12月の公演を最後に引退することを表明しているギエムさんは「私はバレエを通じて訪れた場所やそこで出会った人たちを愛してきました。そのことが評価されたのだと思います」と述べました。

高松宮殿下記念世界文化賞 演劇・映像部門 シルヴィ・ギエムさん
http://www.sankei.com/life/news/151018/lif1510180019-n1.html

シルヴィ・ギエム氏(演劇・映像部門)「愛したから、という理由で賞をいただけた」
http://www.sankei.com/entertainments/news/151020/ent1510200010-n1.html

今までの受賞者の名前を見て感銘を受けました。バレエを始めてこれまで私は何をしてきたか、問い直しました。私は愛しただけ。自分がしていることを愛しました。している場所を愛して、誰のためにしているか、その人を愛した。謙虚な気持ちでいただきます。ただ単に「愛したから」という理由で賞をもらえた気がします。ただ、この世界でそれは美しいこと、必要なことだと思います。愛することは必要、なすべきことをするために、社会や文化のために。文化は社会の一部、そのために愛することは必要です。貢献の一部分を、愛することで行ってきたと思います。

チャコット主催「バレエ・プリンセス」公演、出演者オーディション開催

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チャコットは、バレエ鑑賞普及啓発の一助となすことを目的としたバレエ公演「バレエ・プリンセス〜バレエの世界のお姫様たち〜」を、2016年3月31日に開催します。

http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/princess/index.html


「バレエ・プリンセス」は、世界中で愛されているメルヘンより、お姫様の登場する代表的な三つの作品(三大プリンセス物語)で構成。プロローグに「白雪姫」、第一部にバレエ作品としても大人気の「シンデレラ」(第二幕)、第二部にクラシック・バレエの代名詞とも言われる「眠れる森の美女」(第三幕)を上演します。白雪姫、シンデレラ、そしてオーロラ姫という“バレエの世界のお姫様たち”が響宴し、バレエの名作がハイライトでご鑑賞もいただけるクラシック・バレエの魅力が満載な公演です。

演出・振付を手掛けるのは、2014年第46回舞踊批評家協会新人賞を受賞した伊藤範子さん(谷桃子バレエ団)。趣旨に賛同した、新国立劇場バレエ団の米沢唯さんをはじめとする日本を代表するトップダンサー、次代のスターダンサーら豪華キャスト陣が作品で共演します。バレエファンはもちろんのこと、大人からお子様までバレエをはじめてご覧になる方にも存分にお楽しみいただける舞台を届けるとのことです。

また、公演の出演者(子役、女性ダンサー)オーディションを開催するとのことです。


< 公演概要 >

公演日・会場
2016年3月31日(木) 新宿文化センター

構成
プロローグ「白雪姫」 / 第1部「シンデレラ」(第二幕) / 第2部「眠れる森の美女」(第三幕) / エピローグ

演出・振付
伊藤範子(一般財団法人谷桃子バレエ団/2014年第46回舞踊批評家協会新人賞受賞)
※ 受賞理由: 『ホフマンの恋』の演出・振付でみせた、オペラの世界を舞踊として再構築する創作の可能性と丁寧でレベルの高い表現に対して

バレエミストレス:林かおり / 眠れる森の美女 マズルカ監修:鈴木未央

主な出演者
オーロラ姫: 米沢唯 (新国立劇場バレエ団プリンシパル)
リラの精: 長田佳世 (新国立劇場バレエ団プリンシパル)
白 雪 姫: 木村優里 (新国立劇場バレエ団ソリスト)
  *
王子(シンデレラ): 橋本直樹
王子(眠れる森の美女):浅田良和

※公演情報、チケット情報等詳細は、12月上旬頃に発表予定
主催 チャコット株式会社

オーディションの詳細はこちらです。(PDF)
http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/princess/ballet%20princess_audition.pdf

日本のトップダンサー主演による夢の舞台が観られるほか、バレリーナを目指す女の子たちにとっては、憧れのスターと共演するチャンスでもありますね。こういう一流の公演でのバレエとの出会いによって、バレエの素晴らしさ、美しさを知る子供たちもたくさん出てくるのではないかと思います。


ボリショイ・バレエ in シネマSeason 2015 – 2016 上映決定

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ボリショイ・バレエの映画館上映も決定して、発表されています。

ボリショイ・バレエ in シネマSeason 2015 – 2016
http://bolshoi-cinema.jp/

プレスリリース
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000366.000003481.html

11月11日(水)を皮切りに全5作品、全国の映画館にそれぞれ1日限定配信とのことです。

≪上映作品および日時≫

2015年11月11日(水)19:30~ 『ジゼル』 (スヴェトラーナ・ザハロワ、セルゲイ・ポルーニン主演、10月11日に現地で中継)
 

2015年12月16日(水)19:30~ 『くるみ割り人形』

 
2016年1月13日(水) 19:30~ 『椿姫』

 
2016年2月17日(水) 19:30~ 『じゃじゃ馬ならし』


 2016年4月20日(水) 19:30~ 『ドン・キホーテ』

上映される映画館のリストは、こちらにあります。
http://bolshoi-cinema.jp/venuelist.html 

≪料金≫ 全席指定 3,000円(税込)

≪一般チケット発売≫
『ジゼル』 2015年 10月24日(土) 15:00 ~ 2015年 11月10日(火) 12:00
◎イープラス:http://eplus.jp/bolshoi-cinema201511/(PC、モバイル共通)

または、全国のファミリーマート店内のFamiポートにて
◎チケットぴあ:http://w.pia.jp/t/bolshoi-giselle/ (PC、モバイル共通)
または、全国のセブン-イレブン店内の端末「マルチコピー機」、全国のサークルK・サンクス店内の端末「Kステーション」、チケットぴあの店舗にて販売

The Bolshoi Ballet Season 2015-16 公式サイト
http://www.pathelive.com/international

現地で中継される演目全部ではありませんが、傑作、マイヨー振付「じゃじゃ馬馴らし」も観ることができるのは嬉しいですね。(1日だけなのは少し残念ですが)

10/24 カンパニー マリー・シュイナール 『春の祭典』『アンリ・ミショーのムーヴマン』

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6年ぶりの来日公演となる、カナダはモントリオールを本拠地とするカンパニー マリー・シュイナール。「春の祭典」と「アンリ・ミショーのムーブマン」の2作品を引っ提げての公演。

http://www.kaat.jp/d/cmc


『春の祭典』  Le Sacre du printemps
http://www.mariechouinard.com/le-sacre-du-printemps-111.html

コンセプト・振付・芸術監督:Marie Chouinard
音楽:Igor Stravinsky, The Rite of Spring, 1913
照明:Marie Chouinard
衣装:Vandal
プロップ:Zaven Paré
メイク:Jacques-Lee Pelletier
ウィグ:Daniel Éthier

「春の祭典」は今までも様々な振付家によって創られている作品だが、シュイナールは、物語性を完全にはぎ取って、音楽の持つ衝動を振付にした。10人のダンサーが出演するが、ユニゾンとなった群舞はほとんどなく、暗い舞台の上でスポットライトの丸い光の中でソロを踊るダンサーたちの踊りが中心となる。群舞のシーンでも、一人一人のダンサーが異なった動きをしているので、荒々しい印象だ。

舞台の中心にスポットライトが当たり、そこに浮かびあがる女性ダンサー。上半身は乳房をむき出しにして、下半身は黒いショートパンツ。髪を、まるで角を思わせるようないくつかのお団子に結い、目の周りは赤く塗った独特のメイク。激しい動きで、非常に身体能力が高いのがわかる。左右に一つずつ、同じようにピンスポットが当たり、その中に一人ずつダンサーが。10人全員が舞台の上にいる時も、一人一人がこのピンスポットの円の中にいて、球形のカプセルに閉じ込められて踊っているように見える。

長いトゲトゲを思わせる板を手首、肘など身体にたくさん取りつけている女性ダンサーふたりの絡み合いは、妖艶だけど同時に闘争的にも見える。この長いトゲを全員が手首につけて踊るシーンでは、彼らはまるで牛の群れにも、鹿にも見える。(そういえば、ベジャールは鹿の交尾の映像を見て「春の祭典」を振付けたとのことだった) 

男性ダンサーのソロは、グランジュッテで舞台を横切ったり、何回も飛び上がってみたり。マッチョな男性が多い。地面を小刻みに踏みつけるダンサーたち。ペアになってお互いににらみ合い身をくねらせて対峙しながらポーズするダンサーたち。この力強い音楽に触発された動物たちの、解き放たれた野生の生命力、その鼓動を感じさせる。ダンサーたちはしっかりとしたクラシックの技術を持っているし、しなやかでよくコントロールされた動きを見せてくれる。だが、振付そのものは混沌としながらもほかの誰にも似ていないオリジナリティが感じられて、クラクラするほど刺激的だった。

『アンリ・ミショーのムーヴマン』HENRI MICHAUX : MOUVEMENTS
http://www.mariechouinard.com/henri-michaux-351.html

振付・芸術監督:Marie Chouinard

音楽:Louis Dufort
照明:Marie Chouinard
舞台美術:Marie Chouinard
音響:Edward Freedman
衣装: Marie Chouinard
ヘアスタイル:Marie Chouinard
声:Marcel Sabourin
テキスト・画:Henri Michaux Mouvements (Édition Gallimard, 1951)より

2011年8月、ウィーンのImPulsTanzフェスティバルで初演。シュイナールは、アンリ・ミショーの「ムーヴマン」という、黒インクで描かれた64ページにわたるデッサンと15ページの詩が書かれた本に触発されてこの作品を振付けた。このデッサンと詩の両方を合わせた振付として、背景に映写された一つ一つのデッサンを黒衣のダンサーが舞台の上で表現するという作品。

一見単純な発想に思えるが、単に画像の形をなぞるのではなく、ポーズをとるだけではなくそのインクの染みのような形を一人一人のダンサーがダンスとして表現するし、それがスピーディーに次の画像に切り替わるので、ものすごい表現力と瞬発的な身体能力が必要となる。最初は、一人のダンサーがソロとして表現してかわるがわる次のダンサーが出てくるのだが、動きによってはそれが二人となって、スクリーンの上に映し出された、ロールシャハテストのような複雑な形状を模倣する。こんな風にこの形を再現するんだ!という新鮮な発見があって楽しい。白いスクリーンに黒い画像、白いリノリュームを貼っただけの舞台にぴったりとした黒衣のダンサーが踊るだけというモノクロームの舞台なのに、すごく多彩な感じだ。まさに床の上にも絵を描いていくという感じ。

激しくリズムを刻む、ノイズのような音楽がずっと続いているのだけど、途中で、一人の女性ダンサー(「春の祭典」でも最初のソロを踊ったキャロル・プリヤー)がリノリュームの下にマイクを持って潜り込み、まるで怒鳴るようにミショーの詩を朗読する。朗読の間も、ダンサーたちは画像模倣ダンスを続けている。そのうちこの詩朗読パートは終了し、画像模倣は続けられているけれども、これが群舞へと変化ていく。動きはユニゾンだが、しなやかでスピード感があり力強い。「そんなバカな!」と思えるような形もダンスで作っちゃうのだから、シュイナールという人は天才というか、変態というか。

最後のパートで舞台上は暗転し、真っ暗な舞台の上、ピンスポットの光の中で男女ペアがパ・ド・ドゥを踊っている間、ストロボが点滅し、残像を残しながら超高速で男性が女性をリフトして操っているように目の錯覚が起きる。このパ・ド・ドゥも、やがて3人となり、人数が増えていく。脳みそがシャッフルされるような、熱くて興奮させられるパフォーマンスだった。シンプルな発想の中から、誰にも真似できない独創性を発揮して、実に楽しいパフォーマンスだった。

今回、シュイナール本人は、この後に続く高知と金沢でのパフォーマンスで3時間にもわたるソロを踊るとのことで、その準備のために横浜公演には来られなかった。もともと、シュイナールはソロのダンサー/振付家として出発した人である。カンパニーと、シュイナールのソロの両方が観られる高知と金沢の観客が羨ましい。しかし、今回この公演が観られて本当に良かった。


高知公演
日程:2015年10月31日(土)開場18:30 開演19:00
*終演後アフタートーク有(モデレーター:石井達朗/舞踊評論家)
上演時間:100分(「春の祭典」35分、休憩20分、「アンリ・ミショーのムーブマン」35分)
会場:高知県立美術館ホール
http://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/contents/hall/hall_event/hall_events2015/Marie/hall_event15marie.html

ソロ公演
「イン・ミュージアム」 IN MUSEUM
日程:2015年11月1日(日)開場13:00 開演13:30 (上演時間:180分)
会場:高知県立美術館1階 県民ギャラリー
入場無料/出入自由


金沢公演
【日時】2015年11月7日(土) 18:00開演(17:30開場)
【会場】金沢市文化ホール
【演目】『春の祭典』『アンリ・ミショーのムーヴマン』
    ※終演後にマリー・シュイナールによるアフタートークを行います。
http://www.kanazawa-arts.or.jp/event/2239

イン・ミュージアム IN MUSEUM / カンパニー マリー・シュイナール ソロ公演
2015年11月8日(日)13:00〜16:00
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=1784
会場:
金沢21世紀美術館 交流ゾーン
料金:無料


ボリショイ・バレエの芸術監督に、マハール・ワジーエフが就任決定

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ボリショイ・バレエの現芸術監督セルゲイ・フィーリンが契約を更新せず、来年3月で退任するため、次期芸術監督がまもなく決定されることになっていました。

そして本日、後任の芸術監督が発表されました。

ボリショイ公式サイトの発表
http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/appointment/5016/

元マリインスキー・バレエ、現ミラノ・スカラ座バレエ芸術監督のマハール・ワジーエフが、来年3月18日より、ボリショイ・バレエの芸術監督に就任すると、ウラジーミル・ウリン総裁が発表しました。

現在54歳のワジーエフは、1979年にワガノワ・アカデミーを卒業してマリインスキー・バレエに入団。1989年にマリインスキー・バレエのプリンシパルとなりました。1995年4月から2008年の3月までマリインスキー・バレエの芸術監督でした。ゲルギエフ総裁との不協和音からマリインスキー・バレエを離れた彼は、2008年から現在までミラノ・スカラ座の芸術監督を務め、「ライモンダ」の復元版の上演、ABTと共同でラトマンスキー版「眠れる森の美女」を新制作するなど、芸術上の成果を上げていました。

ワジーエフは、最近ミラノ・スカラ座の芸術監督の契約を更新したばかりでしたが、総裁のアレクサンダー・ペレイラと契約について話し合うつもりだと語っています。

ロイター通信の記事(英語)
http://www.reuters.com/article/2015/10/26/us-russia-bolshoi-idUSKCN0SK1JU20151026

イズベチヤ紙の記事(ロシア語)
http://izvestia.ru/news/593989

なお、ウリンが以前インタビューで語ったところによれば、ボリショイ・バレエの新芸術監督の仕事は、今までフィーリンが担っていた権限より狭められて、総裁に従属して、主に管理的な業務となってしまうとのことです。ミラノ・スカラ座では、自由にやりたいことができて、しかも成果を上げていたワジーエフでした。が、ボリショイでの新しい仕事は、いわばマリインスキー・バレエで彼が総裁ゲルギエフに口出しをされていたことの繰り返しになってしまう可能性もあります。


このニュースが発表される前にアップされていた、イスミーン・ブラウン氏の記事
http://www.ismeneb.com/blogs-list/151025-why-urin-is-glad-to-get-shot-of-filin.html

フィーリンも引き続きボリショイ・バレエで仕事を続け、2016年夏に予定されているボリショイ・バレエのロンドンツアーの責任者の任を負い、またボリショイにおける新作振付のプログラム担当もするそうです。ボリショイの中からも新しい振付家を育てるプログラムです。(ただし、モスクワの観客は保守的で、フィーリンが導入したエック、マクレガー、ウィールドン、マイヨーなどの作品は任期がなく、また政治家たちの受けも良くなかったため、本当にこんなことができるのか、という疑問も上がっているようです)

また、実はウラジーミル・ウリンの総裁としての任期もあと2年半しか残っていないため、新しい芸術監督がその間にできることは限られているのではないかと考えられているようです。


そして、イスミーン・ブラウン氏の新しい記事。次期芸術監督就任発表された直後に、タチアナ・クズネツォワ氏がワジーエフに行ったインタビューの翻訳を基にしています。
http://ismeneb.com/blogs-list/151026-makhar-vaziev-appointed-bolshoi-ballet-head.html

どうやら、ボリショイ・バレエの芸術監督の仕事は、言われていたように管理的な業務のみに限定されるということはなくて、ワジーエフは腕を振るえる環境にいられるようです。ワジーエフは5年契約を結ぶとのことなので、ウリンの契約が切れる2018年以降も留任するとのこと。スカラ座と同様の芸術監督としての役割を果たせるようです。

ワジーエフはこれからの3~4か月の間は移行期間として、スカラ座での責任ある仕事を少しずつ減らしていくとのことで、その間に、フィーリンは芸術監督としての最後のシーズンを完遂することができ、ボリショイでの新作振付担当という業務への移行を果たせるということのようです。実はワジーエフの好みというのは、それほどフィーリンと違っているわけではなく、ラトマンスキー、バランシン、フォーサイスといった20~21世紀の振付家を好んでスカラ座で上演してきました。ロシア人の観客の一部には、海外の振付家の作品にて意向を示す向きがあるため、まずはそれと闘わなくてはならないと思われます。

特にワジーエフは、19世紀の古典バレエの復元について熱意を示しています。現在、チューリッヒ・バレエとミラノ・スカラ座は共同制作で、ラトマンスキーによる復元版「白鳥の湖」に取り組んでいます。(チューリッヒでの上演が先ですが、スカラ座では6月に初演予定) ワジーエフはマリインスキー・バレエ時代、15年ほど前に、「眠れる森の美女」と「ラ・バヤデール」の復元に取り組み、評判は良かったもののすぐに上演されなくなってしまいました。ボリショイで引き続き、このように古典作品の復元に取り組むのではないかと期待する向きもあります。

「愛と哀しみのボレロ デジタル・リマスター版」首藤康之トークショー

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10月17日より11月13日まで、恵比寿ガーデンシネマにて、「愛と哀しみのボレロ デジタル・リマスター版」が公開されています。

http://mermaidfilms.co.jp/bolero/

1981年に製作された『愛と哀しみのボレロ』(クロード・ルルーシュ監督)は、戦争に翻弄され引き裂かれた4組の家族の半世紀を描いた大河ドラマ。ルドルフ・ヌレエフ、エディット・ピアフ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラーという実在の芸術家たちをモチーフにした登場人物たちが、最後にパリのエッフェル塔の下トロカデロ広場に集結する大団円までをドラマティックに描いています。親子を同じ俳優が演じているため、わかりにくくなってしまうところもところどころありますが、ナチス・ドイツのもたらした悲劇の重さが改めて伝わってきました。強制収容所に連行される途中で子供を手放してしまった母親が、戦後もいつまでも子供を探し続ける姿を観ると、胸がつぶれそうな思いがします。

なんといっても圧巻なのが、ジョルジュ・ドンの踊り。あまりにも有名なラストのベジャール振付「ボレロ」ももちろんですが、途中で登場する、パリ・オペラ座という設定の場所でのダンス(明らかにガルニエではありませんが)が凄まじい。力強く、まさに舞踊の神というべき強烈な存在感を見せてくれます。映画の歴史に残るような見事な名作ですが、中でも、このジョルジュ・ドンの鮮烈な踊りを大スクリーンで観るためだけでも、映画館で観る価値のある映画です。

21世紀の今となっても、世界中で紛争が絶えません。また安保法制が可決されてしまった今の情勢においてこの映画を観ることは、非常に重要なことなのではないかと思います。戦争の恐ろしさともたらされる悲劇、平和の尊さについても今一度考えることができました。


さて、公開初日には、首藤康之さんのトークショーがありました。この映画の中の『ボレロ』のシーンを、今までに何千回と見たという首藤さんが、熱く語りつつ、興味深いエピソードをいくつも披露してくれました。

この映画の中でリズムは衣装を着ていますが今は上半身裸、という話から。ベジャールに衣装を依頼された三宅一生さんが、「ダンサーは肉体そのものがいちばん美しい」と言ったことから上半身裸になったそうで、首藤さんも初めてボレロを観たときは着衣だったそうです。

ドンの踊りは性別を超えているという見解は多くの人が持っています。「ドンさんが踊ることによって、性を超えて、男も女も関係ない、人間としての踊りになっていった」と首藤さんも語りましたが、実はベジャールは、リズムを女性ダンサーたちに踊らせようとしたこともあったそうです。それがしっくりいかなかったので、男性のリズムに戻したそうですが、実は私、この映画「愛と哀しみのボレロ」クライマックスでのボレロを観ながら、リズムを女性ダンサーたちが踊ったらそれは面白いだろうな、と感じたのでした。首藤さんも、女性ダンサーたちの中で踊ってみたいと言ってました。「ボレロ」のメロディは男性も女性も踊っていますが、振付を替えずに同じ踊りで男性も女性も踊る作品というのは非常に珍しいと首藤さんは言います。シンプルな形が多いからそれができるのではと。

かつて首藤さんが「M」を踊った時、ベジャールが首藤さんの手を取って、いい手をしているねと話しかけたそうです。手の角度を直角にできるかと首藤さんに聞いたそうです。ボレロが踊れるように直角にできるようにしてくださいと。93年7月にそれを言われ、2か月半必死に練習したとのこと。10月のヨーロッパツアーで初めて踊った時には、ベジャールに、手が直角になっていたねと褒められたそうです。しかしベジャール曰く、ドンはいくら言っても、手を直角にすることができなかったとのことです。「ドンもできなかった」とすごく褒めていただいた、と思い出を語りました。

「ボレロはドンが絶対無二」だと首藤さん。ベジャールはダンサーによって言うことを変えているそうです。たとえばボレロは背の高いダンサーしか踊ってはいけないという暗黙の了解があるのですが、首藤さんは身長173cmと小柄でした。ベジャールは柔軟な考え方の持ち主だったようです。

メロディとリズムの関係も非常に興味深く、リズムがあってのメロディだと首藤さんは考えています。しかし必ずしもアイコンタクトがなくても、リズムとコミュニケーションはとれるし大丈夫だとも。たとえばシルヴィ・ギエムはすごくリズムをよく見ているし目線を送るそうですが。アイコンタクトをしなくても、リズムの空気が伝わってくるし乗せられているのがわかるそうです。ベジャールは、「ずっとそこに立って熱を感じなさい」と言い、スポットライトが当たると熱が走り血液に伝わると言っていたのですが、首藤さんはなかなかその光の熱は感じられなくて、少し苦労したとも。

ベジャールの大半の作品の主題は「愛と死」で、「ボレロ」は「海」がもうひとつの大きなテーマです。初演を踊ったのはデュスカ・シフニオスという女性ダンサー。ベルギー、オステンドの海から彼女が浮かび上がっていくところを見て、ベジャールが「ボレロ」を思いついたそうです。海から出てくる神聖なものを表現したいと。海から生まれて海に還っていくような。

ラヴェルも実は、海沿いでこの曲を作曲したそうです。1930年代に、フランスの避暑地でピアニストにリズムを叩いてもらって作曲したとのことです。ラヴェルとベジャールの逸話もユニークで、一度だけ、モンテカルロのカジノで出会ったそうです。ラヴェルは気難しい人で、会話もほとんどなかったそうですが、ベジャールが「カジノで賭けたことはありますか?」と聞くと、ボレロで儲けたときに一度だけ、とラヴェルは答えたそうです。実は、ボレロという曲名も、当初は「ファンダンゴ」という曲名だったそうですし、「ボレロ」も最初はラヴェルの曲ではなく、映画「日曜日はダメよ」の音楽に振付けたそうですがそれではあまりにも音楽に合いすぎていたので、ラヴェルにしたそうです。

この映画は、第二次世界大戦とその後の激動の時代を描いた作品。バレエも、この映画のように社会的、歴史的なな背景と切っても切り離せません、と首藤さん。ベジャールは、プティパの弟子の人にマルセイユでバレエを習いました。またバランシンとは、スザンヌ・ファレルを通じてつながっています。ベジャールは、女性が踊るボレロの中では、ファレルが踊ったものが最高だったと言っていたそうです。はるか昔の人であっても実は意外に近い存在で、歴史を感じながらバレエを観ていくと面白い。世界が広がっていくのが楽しいし遠いところでこういうつながりがあるとワクワクします、と首藤さんは語りました。

「愛と哀しみのボレロ」はぼくの歴史の教科書のような作品です、と首藤さんは映画に対する思い入れを語りました。最後に一つ思い出として、一つのエピソードを披露しました。「春の祭典」を踊った時、これは鹿の交尾の映画にインスパイアされた作品なのだそうですが、ベジャールは、実際の鹿の交尾を描いた壁画の前で踊ることを考えたそうです。湿度などの関係で、壁画にダメージを与えてしまうためにそれは実現しませんでしたが、このようにユニークな発想をするのがベジャールという人だったと。


YEBISU GARDEN CINEMAにて10月17日(土)~11月13日(金)4週間限定上映
10/26(月)〜30(金)は①11:00②14:40③18:30 の3回上映となります。
http://www.unitedcinemas.jp/yebisu/film.php?movie=4910

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ミラノ・スカラ座バレエのエトワール・ガラ 10/30ネット中継

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現芸術監督のマハール・ワジーエフがボリショイ・バレエの芸術監督に就任することに決まり、大騒ぎ中のミラノ・スカラ座バレエ。(もちろん、後任のめどは立っていません。ワジーエフは多額の違約金を払わされる可能性もあります)

そのミラノ・スカラ座バレエですが、10月30日(金)に、GALA DES ÉTOILESというガラを開催します。

http://www.teatroallascala.org/it/stagione/2014-2015/balletto/gala-des-etoiles.html

スカラ座のエトワールであるスヴェトラーナ・ザハロワ、ロベルト・ボッレ、マッシモ・ムッルを始め、マリア・アイシュヴァルト、イワン・ワシーリエフ、ルシア・ラカッラ、レオニード・サラファーノフ、アリーナ・ソーモワ、ポリーナ・セミオノワなど出演者は大変豪華です。 ロシア系ダンサーが多いのは、さすが元マリインスキー・バレエ芸術監督ワジーエフの人脈ですね。

このガラが、スカラ座公式サイト、およびスカラ座のYouTube公式チャンネルで生中継されます。ただし、夜8時からというスタートのため、日本時間では深夜3時からとちょっと辛い時間です。(イタリアは10月末までサマータイムなので日本との時差は7時間)

イタリアではテレビ中継、映画館上映もされるそうです。そして、インターネット中継は、テレビと同じ映像ではなくて、舞台袖からの映像なのだそうです。映画館でやるということは、もしかしたらDVDも出るのかもしれません。


Gala des Étoiles
Lucia Lacarra – Marlon Dino Light Rain – Pas de deux 「ライト・レイン」
Choreography by Gerald Arpino
Music by Douglas Adams and Russ Gauthier

Melissa Hamilton – Claudio Coviello Manon – Pas de deux – Act I 「マノン」1幕パ・ド・ドゥ
Choreography by Kenneth MacMillan
Music by Jules Massenet

Maria Eichwald – Mick Zeni La rose malade 「薔薇の死」
Choreography by Roland Petit
Music by Gustav Mahler

Alina Somova – Leonid Sarafanov Grand Pas Classique 「グラン・パ・クラシック」
Choreography by Victor Gsovsky
Music by Daniel-François Auber

Polina Semionova – Roberto Bolle Carmen – Pas de deux 「カルメン」
Choreography by Roland Petit
Music by Georges Bizet

Svetlana Zakharova La morte del cigno 「瀕死の白鳥」
Choreography by Mikhail Fokin
Music by Camille Saint-Saëns

Nicoletta Manni – Ivan Vasiliev Don Quixote 「ドン・キホーテ」
Grand Pas de deux, Act III
Choreography by Marius Petipa
Music by Ludwig Minkus

Lucia Lacarra – Marlon Dino Three Preludes 「3つのプレリュード」
Choreography by Ben Stevenson
Music by Sergei Rachmaninov
Piano Roberto Cominati

Maria Eichwald – Massimo Murru  Romeo and Giulietta – Balcony Pas de deux 「ロミオとジュリエット」
Choreography by Kenneth MacMillan
Music by Sergei Prokofiev

Maria Vinogradova – Ivan Vasiliev Spartacus – Pas de deux 「スパルタクス」
Choreography by Yuri Grigorovich
Music by Aram Khachaturian

Roberto Bolle Prototype 「プロトタイプ」
Concept and choreography Massimiliano Volpini
Original music by Piero Salvatori produced by Fausto Dasè
Visual effects and video editing Avantgarde Numerique e Xchanges Vfx Design

Svetlana Zakharova – Leonid Sarafanov Le Corsaire – Pas de deux 「海賊」
Choreography by Marius Petipa
Music by Riccardo Drigo

こちらに紹介記事があります。
http://www.gramilano.com/2015/10/full-programme-of-la-scalas-gala-des-etoiles-30-and-31-october/

10/30 吉田都さん出演「日本舞踊×オーケストラ」、11/3ギエム出演「世界文化賞授賞式」

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ギリギリのお知らせになってしまいましたが、吉田都さんが出演した「日本舞踊×オーケストラ」が本日NHK Eテレで放映されます。

10月30日(金)夜 午後10:00~午後11:00 NHK Eテレ

にっぽんの芸能「日本舞踊×オーケストラ」(2)

http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&ch=31&date=2015-10-30&eid=26041&f=1830

オーケストラの生演奏に乗せて日本舞踊家が踊る「日本舞踊×オーケストラ」公演の2回目。今回は日本を代表するバレエダンサー吉田都が出演する。バレエとしても人気のラヴェル「ボレロ」を男性舞踊家たちと共に踊る。宝塚出身の女優・麻実れいが花柳流家元・花柳壽輔と共演した幻想的な舞台「パピヨン」、バレエ作品をもとにドラマチックな舞踊に仕上げた「ライラックガーデン」(藤間蘭黄、水木佑歌ほか)

「ライラックガーデン」
「詩曲」エルネスト・ショーソン:作曲
(指揮)園田 隆一郎、(演奏)東京フィルハーモニー交響楽団、(ヴァイオリン)三浦 章宏
(15分00秒)
~東京文化会館大ホール~

「パピヨン」
「“夜想曲”Ⅰ雲、Ⅲシレーヌ」クロード・ドビュッシー:作曲
(指揮)園田 隆一郎、(演奏)東京フィルハーモニー交響楽団、(合唱)新国立劇場合唱団、(合唱指揮)河原 哲也
(18分00秒)
~東京文化会館大ホール~

「ボレロ」
モーリス・ラヴェル:作曲
(指揮)園田 隆一郎、(演奏)東京フィルハーモニー交響楽団
(16分00秒)
~東京文化会館大ホール~

吉田都さんが踊る「ボレロ」ももちろん楽しみですが、「ライラックガーデン」は、チューダーの「リラの園」を基にした作品なんですね。

******

また、先日行われた第27回高松宮殿下記念世界文化賞授賞式の模様が、フジテレビで放映されます。もちろん、受賞者の中には演劇・映像部門のシルヴィ・ギエムもいます。

11月3日(火) 24:25~24:55 放送 フジテレビ

「第27回高松宮殿下記念世界文化賞授賞式」

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/sekaibunka/index.html

▽ポップから絵画へ…瀬戸内寂聴が語る横尾忠則
▽天才バレリーナと福島の少女…その意外な関係
▽何と牛乳&花粉から彫刻の謎
▽軍事政権下で映画を作った若者たち

ギエムと福島の少女のエピソードは、フジテレビのニュースでも少し流れましたがとても感動的でした。もう一度観られるのが嬉しいです。

第16回英国ナショナル・ダンス・アワードのノミネート

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第16回英国ナショナル・ダンス・アワードのノミネートが発表されていました。2014年9月1日から2015年8月31日までの間に英国で行われた公演が対象で、400ものノミネートから絞り込まれたものです。Dance Section of the Critics’ Circleという50人の批評家からなる団体が選びました。受賞者は2016年1月25日に発表されます。

http://dancetabs.com/2015/10/2015-national-dance-awards-announcement-of-nominations/

ガーディアン紙の記事
http://www.theguardian.com/stage/dance-blog/2015/oct/29/national-dance-awards-2015-nominations

シルヴィ・ギエム、アレッサンドラ・フェリとベテラン女性ダンサーのノミネートが目を引きます。また、私はあまりよく知らないのですが、フラメンコ系のアーティストもかなりノミネートされています。フラメンコの革命児として話題のイスラエル・ガルバンは来年のあいちトリエンナーレで来日します。アイスダンスのアーティスト(LE PATIN LIBRE)がノミネートされたのはこの賞では初めてなのだそうです。

ロイヤル・バレエのマシュー・ボールは、2部門にノミネートされている英国人若手ダンサーで、ファースト・アーティストながら「ロミオとジュリエット」でロミオ役を演じるなど、今大変注目を集めています。ほとんどが英国のカンパニーのアーティストがノミネートされる中、マリインスキー・バレエのロンドン公演で活躍したキミン・キムのノミネートも目を引きますね。

DANCING TIMES AWARD FOR BEST MALE DANCER  最優秀男性ダンサー

Tobias BATLEY (NORTHERN BALLET) トビアス・バトリー(ノーザン・バレエ)
Israel GALVÁN (COMPAÑÍA ISRAEL GALVÁN) イスラエル・ガルヴァン
Steven McRAE (THE ROYAL BALLET) スティーヴン・マックレー (ロイヤル・バレエ)
Vadim MUNTAGIROV (THE ROYAL BALLET) ワディム・ムンタギロフ (ロイヤル・バレエ)
Edward WATSON (THE ROYAL BALLET) エドワード・ワトソン (ロイヤル・バレエ)
 

GRISHKO AWARD FOR BEST FEMALE DANCER  最優秀女性ダンサー

Alina COJOCARU (ENGLISH NATIONAL BALLET) アリーナ・コジョカル(ENB)
Alessandra FERRI (Guest with THE ROYAL BALLET) アレッサンドラ・フェリ (ロイヤル・バレエのゲスト)
Sylvie GUILLEM (LIFE IN PROGRESS TOUR) シルヴィ・ギエム
Rocío MOLINA (COMPAÑÍA ROCÍO MOLINA) ロシオ・モリーナ
Marianela NUÑEZ (THE ROYAL BALLET) マリアネラ・ヌニェス (ロイヤル・バレエ)
 

STEF STEFANOU AWARD FOR OUTSTANDING COMPANY 傑出したカンパニー

CANDOCO DANCE COMPANY CANDOCO DANCE COMPANY
ENGLISH NATIONAL BALLET イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)
MATTHEW BOURNE’S NEW ADVENTURES  マシュー・ボーンのニューアドベンチャーズ
NORTHERN BALLET  ノーザン・バレエ
 

BEST INDEPENDENT COMPANY 最優秀インディペンデント・カンパニー 

2FACED DANCE
BALLET CYMRU  
COMPANY CHAMELEON
ROSIE KAY DANCE COMPANY
SHOBANA JEYASINGH DANCE COMPANY
 

BEST CLASSICAL CHOREOGRAPHY 最優秀古典振付賞

Paco PEÑA, Fernando ROMERO, Angel MUÑOZ, Charo ESPINO & Carmen RIVAS (‘FLAMENCURA’ for PACO PEÑA COMPANY) パコ・ペーニャ・カンパニー

David BINTLEY (‘THE KING DANCES’ for BIRMINGHAM ROYAL BALLET) デヴィッド・ビントレー (バーミンガム・ロイヤル・バレエ 「The Kings Dances」)

Wayne McGREGOR (‘WOOLF WORKS’ for THE ROYAL BALLET) ウェイン・マクレガー (ロイヤル・バレエ「ウルフ・ワークス」)

Liam SCARLETT (‘AGE OF ANXIETY’ for THE ROYAL BALLET) リアム・スカーレット (ロイヤル・バレエ「エイジ・オブ・アンザイエティ)

Kenneth TINDALL (‘THE ARCHITECT’ for NORTHERN BALLET) ケネス・ティンダル (ノーザン・バレエ「The Architect」)
 

BEST MODERN CHOREOGRAPHY 最優秀現代振付賞

Mark BALDWIN (‘DARK ARTERIES’ for RAMBERT)

Ben DUKE (‘PARADISE LOST [lies unopened beside me]’ for LOST DOG)

Rosie KAY (‘5 SOLDIERS’ for ROSIE KAY DANCE COMPANY)

LE PATIN LIBRE (‘VERTICAL INFLUENCES’ for LE PATIN LIBRE) (カナダのアイスダンスグループ)

Crystal PITE (‘POLARIS’ for SADLER’S WELLS) クリスタル・パイト
 

EMERGING ARTIST AWARD  新人アーティスト賞

Avatâra AYUSO (Choreographer & Performer, AVA DANCE/ SHOBANA JEYASINGH DANCE COMPANY)振付家、パフォーマー

Matthew BALL (Dancer – THE ROYAL BALLET) マシュー・ボール(ロイヤル・バレエ、ダンサー)

Cesar CORRALES (Dancer – ENGLISH NATIONAL BALLET) セザール・コラレス(ENB ダンサー)

Carlos PONS GUERRA (Choreographer – DENADA DANCE THEATRE) 振付家

Kenneth TINDALL (Freelance Choreographer) 振付家
 

OUTSTANDING FEMALE PERFORMANCE (CLASSICAL) 傑出した女性クラシックバレエダンサー

Lauren CUTHBERTSON (in ‘SONG OF THE EARTH’ for THE ROYAL BALLET) ローレン・カスバートソン (ロイヤル・バレエ「大地の歌」)

Alessandra FERRI (in ‘WOOLF WORKS’ for THE ROYAL BALLET) アレッサンドラ・フェリ (ロイヤル・バレエ「ウルフ・ワークス」)

Francesca HAYWARD (in the title role as ‘MANON’ for THE ROYAL BALLET) フランチェスカ・ヘイワード (ロイヤル・バレエ「マノン」マノン役)

Laura MORERA (as Lise in ‘LA FILLE MAL GARDÉE’ for THE ROYAL BALLET) ラウラ・モレーラ (ロイヤル・バレエ「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」リーズ役)

Eve MUTSO (as Blanche DuBois in ‘A STREETCAR NAMED DESIRE’ for SCOTTISH BALLET) Eve MUTSO (スコティッシュ・バレエ「欲望という名の電車」のブランチ・デュボワ役)
 

OUTSTANDING MALE PERFORMANCE (CLASSICAL)傑出した男性クラシックバレエダンサー

Matthew BALL (as Lensky in ‘ONEGIN’ for THE ROYAL BALLET) マシュー・ボール (ロイヤル・バレエ「オネーギン」レンスキー役)

William BRACEWELL (as Le Roi Soleil in ‘THE KING DANCES’ for BIRMINGHAM ROYAL BALLET) ウィリアム・ブレイスフウェル (バーミンガムロイヤル・バレエ「THE KING DANCES」の太陽王役)

Erik CAVALLARI (as Stanley Kowalski in ‘A STREETCAR NAMED DESIRE’ for SCOTTISH BALLET) エリック・カバラッリ (スコティッシュ・バレエ「欲望という名の電車」のスタンリー・コワルスキー役)

KIMIN KIM (as Siegfried in ‘SWAN LAKE’ for ST PETERSBURG BALLET THEATRE) キミン・キム (マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」ジークフリート役)

Vadim MUNTAGIROV (in ‘SYMPHONIC VARIATIONS’ for THE ROYAL BALLET) ワディム・ムンタギロフ (ロイヤル・バレエ「シンフォニック・ヴァリエーションズ)
 

OUTSTANDING FEMALE PERFORMANCE (MODERN) 傑出した女性モダン・ダンサー

Sylvie GUILLEM (in ‘LIFE IN PROGRESS’) シルヴィ・ギエム (「ライフ・イン・プログレス」)

Rocío MOLINA (in ‘BOSQUE ARDORA’) 

Nancy NERANTZI (as Marie in ‘BURNING’ for RICHARD ALSTON DANCE COMPANY)

Zizi STRALLEN (as Lana in ‘THE CAR MAN’ for MATTHEW BOURNE’S NEW ADVENTURES)  ジジ・ストラーレン (マシュー・ボーン「欲望という名の電車」のラナ役)
 

OUTSTANDING MALE PERFORMANCE (MODERN) 傑出した男性モダンダンサー

Ben DUKE (in ‘PARADISE LOST [lies unopened beside me] for LOST DOG)

Isráel GALVAN (in ‘TOROBAKA’) イスラエル・ガルバン (「TOROBAKA」)

IGOR AND MORENO (for ‘IDIOT-SYNCRACY’)

Dominic NORTH (in the title role as ‘EDWARD SCISSORHANDS’ for MATTHEW BOURNE’s NEW ADVENTURES) ドミニク・ノース (マシュー・ボーン「シザーハンズ」のシザーハンズ役)

Liam RIDDICK (as Franz Liszt in ‘BURNING’ for RICHARD ALSTON DANCE COMPANY)
 


10/30、10/31新国立劇場バレエ団「ホフマン物語」

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新国立劇場バレエ団の2015/2016シーズンは、ピーター・ダレル振付の『ホフマン物語』で開幕しました。3キャストそれぞれを観る予定ですが、まずは、最初の2キャストを観ての感想。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/hoffmann/

1972年スコティッシュ・バレエで初演された、およそ43年前の作品。スコティッシュ・バレエだけでなく、ABTなどでも上演されてきた作品とはいえ、なぜ今この作品を上演するのか、という意義は見えにくかった。作品として傑作とは言い難い。物語バレエだけどクラシック・バレエの技術をふんだんに使ったシーンもあり、わかりやすいストーリー、美しいプロダクションデザインと、観客が観て楽しい作品ではあった。ソリストの見せ場もあり、ダンサーにとっても演技力を培う訓練になるという点では、カンパニーにとってのメリットが多い作品でもある。

ホフマン役って相当な演技派でないとリアリティーを出すのが難しい。プロローグとエピローグのラ・ステラを入れると4人の女性との恋愛を経ても、ホフマンは人間としての成長はほとんど見られず、最後は老けてしょぼくれているだけの人物なのだ。しかも冴えない初老の男なのに美人オペラ歌手の彼女がいるわ、楽しい飲み友達がいるわ、あんまり哀れに見えなかったりする。ファーストキャストの福岡さんは、踊りの技術は流石に素晴らしいけれども、老け姿があまりにも年老いて魅力がなく、存在感が薄かった。セカンドキャストの菅野さんの方が、悲哀を感じさせながらもくたびれた中に魅力も内包し、ホフマンという存在に説得力を見せてくれたように感じられた。

各場面ごとにホフマンに付きまとう存在、リンドルフ伯爵/スパランザーニ/ドクター・ミラクル/悪魔ダーパテュートと4役のマイレンが圧倒的。まるで彼が主役のようですっかり主役を食ってしまった。それぞれのキャラクターが考え抜かれているし、醸し出す禍々しさのオーラが強く演劇的で、遠い席までしっかりと届く演技。スパランザーニ役の時の突き抜けたユーモラスさ加減も楽しかった。これほどまでに、彼がホフマンに執着するのはなぜなのだろう。ホフマンが次々と美女に恋する話だけど、悪魔が手を替え品を替えて登場するように、一種の地獄めぐり譚のように思えた。「兵士の物語」にストーリーが似ているようにも感じられる。幕切れに救いがなく、しかもあっさりとしているので拍子抜けしてしまうのが少し残念。

4役セカンドキャストの貝川さんは、全く別の役作りで見せてくれた。マイレンほどの強烈さはないけど、独特の不気味さがあって、他の登場人物からは少し浮いているような非現実的な存在に見えた。

「ホフマン物語」は、4人の主要な女性人物がいるのだが、それをトップのプリマ級で揃えられるのはさすが新国立劇場バレエ団と言うべきだろう。特にファーストキャストは隙がなくほぼ完璧だった。

「コッペリア」がモチーフのオリンピア役。人形振りが非常に上手かったけど人間の少女のような愛らしさを奥田さんは感じさせた。長田さんは人形の中にある人間性や哀しみも感じさせて奥行きがあった。オリンピアは、人形のようなカクカクした動きの中にも、6番ポジションでの細かいパ・ド・ブレ、プレパレーションやプリエなしからのシソンヌといった高度なテクニックを見せなければならない、非常に難しい役で、二人とも素晴らしかった。

2幕は、音楽家志望のホフマンと、病弱な少女アントニアとの恋物語。ドクターミラクルの魔法で幻想を抱いたアントニアが、バレリーナとして踊る。儚げな小野さんが、バレリーナに変身したとたん、踊ることへの情熱で輝きだし、幻影ならではの透明感、哀しみの影を漂わせながらも、女王の風格でめくるめくようなクラシック・バレエを踊る。しなやかなポール・ド・ブラ、揺るぎのない完璧なクラシックラインと歌うような音楽性で、プリマかくあるべしという姿を見せてくれた。ここでは颯爽としている福岡さんも好サポートを見せた。セカンドキャスト、米沢さんのクラシックテクニックは強靭で、甲乙つけがたい素晴らしさなのだが、小野さんと比較すると少し元気すぎて、あまり病弱に見えないので、踊った後突然苦しみだして死んでしまうのが不思議に思えてしまった。

2度の恋に破れて信仰生活に入ったホフマン。衣装に十字架つけているのに、なぜ悪魔の怪しげなサロンに出入りするのだろうか。そこは半裸の男女が入り乱れるオリエンタル風味の愛欲の世界。現れた高級娼婦ジュリエッタが彼の心の隙間に入り込み誘惑する。米沢さんはここでは妖艶さを発揮しているのだけど、色香の中にも健康的で明るい部分があるところが米沢さんならではの人物造形。悪魔と一緒にホフマンを挑発する姿は、まんまオディールである。一方本島さんのジュリエッタは、より蠱惑的で暗黒面を感じさせる誘惑者となっており、その美貌も相俟ってはまり役だった。

また、第4のヒロインとして登場するのが、オペラ歌手のラ・ステラ。本島さんの圧倒的な女優オーラ、スターの輝き、演技力がフルに発揮された。セカンドの堀口さんも美しいが、まだそこまでのカリスマ性はない。リンドルフ伯爵の策略にはめられてしまうラ・ステラのお付きの人役、今村さんは、マイレンの濃い演技にも負けない心理描写が巧みだった。

踊るシーンもふんだんに用意されているこの作品、大きな見せ場は、プロローグでのホフマンの友人トリオ。ファーストキャストの福田・八幡・奥村トリオはさすがにテクニシャンぞろいで、中でも奥村さんのつま先の美しさが目を惹いた。またセカンドの原・小野寺・木下も健闘。ザルツブルグから入団した木下さんの鮮やかな技術はこれから注目されるだろう。1幕のスパランザーニの召使、小口・高橋および八幡・福田もコミカルで弾むような踊り、芸達者さが発揮された。

2幕の「ライモンダ」的クラシックバレエのシーンでの、コール・ドの統一感、隙のない美しさに、改めてこのバレエ団のクオリティの高さを実感した。


3つの幕とプロローグ、エピローグで構成されるこの作品、それぞれの幕が全く毛色が違うのは面白い。プロローグとエピローグは「マノン」の一幕序盤のような英国ドラマティックバレエ、一幕は「コッペリア」(このパートは、ホフマンの「砂男」がもとになっているので当然なのだが)、二幕は「ライモンダ」的なクラシック・バレエ、三幕は「シェヘラザード」と白鳥の湖」の黒鳥のシーンを思わせるけど、もっとゴシックで吸血鬼も出てきそう。ごった煮的で統一感はないのだが、バラエティに富んでいて飽きることはない。

今回デザインから新しくしたプロダクション。前田文子さんによる衣装は凝っていて非常に美しいが、3幕のオリエンタル&ヴァインパイヤ映画的怪しげモード、特に男性のファラオのようなパンツ一丁は一体誰の趣味なのだろうか?(目の保養になったが)。光の魔術師、沢田祐二さんによる照明が非常に美しく、特に2幕で、後ろにかかっている透明の幕に当たるブルー、グリーンの光の加減には見とれてしまう。モノトーンのチュチュに光が当たって色が変わる様子も魅惑的だ。手のかかった素晴らしいプロダクションなので、今後も再演で使用してほしいものである。

この作品を観て、やはり新国立劇場バレエ団の課題は演技力と感じた。マイレンや小野さん、本島さんのように非常に達者な人もいるし、プロローグのモブシーンやウェイトレス、友人たち、一幕の客人たち、3幕の魔窟とそれぞれ、一人一人が作品の中の人物として生きようとして頑張ってるのは感じられる。ただこのような演劇的バレエやるには全体の演技アンサンブルが弱いので、舞台全体から伝わってくるものが少し薄い。演技力を必要とするこの作品の上演を重ねることで、向上してくれたらと思う。

ロイヤル・バレエなどの海外バレエ団ではキャラクターアーティストが充実していて、ベテランや立ち役専門の人がアンサンブルに深みを与えている。予算的に厳しいのかもだが、そういう人がいると芝居にも厚みが出る。若くて体型も均一の人たちが老けメイクをしても限界がある。満足度の高い舞台を作るなら、そのあたりも今後充実させていってほしいし、経験豊富だったり演技力があるキャラクターダンサーがいると、他の若いダンサーにとっても手本となる。いくら古典がお客さんが入るからと言って、さすがに一シーズン全部古典バレエを上演させるわけにはいかないし、古典にもキャラクターロールはあるのだから。

10/30 (金)
ホフマン:福岡雄大
オリンピア:長田佳世
アントニア:小野絢子
ジュリエッタ:米沢唯

リンドルフ/スパランザーニ/ドクターミラクル/ダーパテュート:マイレン・トレウバエフ
ラ・ステラ:本島美和
ラ・ステラのお付き:今村美由起
ホフマンの友人(ルーサー):福田圭吾,(ナサーニエル):八幡顕光、(ハーマン):奥村康祐
ウェイトレス:五月女遥,奥田花純、柴山紗帆
スパランザーニの召使い:小口邦明、高橋一輝

幻影たち
寺田亜沙子、堀口純、丸尾孝子、奥村康祐、井澤駿、小柴富久修


芸人たち
寺田亜沙子、堀口純、貝川鐵夫、林田翔平

指揮:ポール・マーフィー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

10/31 (土)昼
ホフマン:菅野英男
オリンピア:奥田花純
アントニア:米沢唯
ジュリエッタ:本島美和

リンドルフ/スパランザーニ/ドクターミラクル/ダーパテュート:貝川鐵夫
ラ・ステラ:堀口純
ラ・ステラのお付き フルフォード佳林
ホフマンの友人(ルーサー):原健太、(ナサーニエル):小野寺雄、(ハーマン):木下嘉人
ウェイトレス:五月女遥,広瀬碧、飯野萌子
スパランザーニの召使い:八幡顕光、福田圭吾

幻影たち
寺田亜沙子、木村優里、細田千晶、池田武志、小柴富久修、林田翔平

芸人たち
丸尾孝子、益田裕子、輪島拓也、林田翔平

「赤い靴」のマイケル・パウエル監督、モイラ・シアラー主演の映画「ホフマン物語」。大傑作バレエ映画です。

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ローザンヌ国際バレエコンクール2016の出場者発表

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ローザンヌ国際バレエコンクール2016の出場者が発表されました。

http://www.prixdelausanne.org/candidates-selected-for-the-2016-prix-de-lausanne/

トータルで292人の応募があり、映像審査によって71人に絞り込まれました。このほか、南米での予選で3人が選ばれています。

日本人は87人が応募して本選出場は12人。応募人数が突出して多いです。本選出場が一番多いのが韓国の13人、次いで12人の日本とオーストラリアです。

http://www.prixdelausanne.org/wp-content/uploads/2015/11/nombcand16.pdf


予選通過者のリスト
http://www.prixdelausanne.org/wp-content/uploads/2015/11/Selected-candidates-2016-Liste.pdf

日本人の予選通過者のリストは以下となります。

Shintaro Akana 赤名進太郎 Japan  K-BALLET SCHOOL
Kanon Kimura 木村 楓音 Japan  Ayako Hattori Ballet Class
Mina Matsumoto  Japan  Kayoko Ono Ballet School
Nanaka MIzuhara  水原菜々花 Japan  Etoile Ballet School
Kyo Masuda 増田 響 Japan  K.Classic Ballet Studio
Rina Murakami 村上莉菜 Japan  Reiko Yamamoto Ballet School
Junnosuke Nakamura 中村 淳之介 Japan  Acri-Horimoto Ballet Academy
Taisuke Nakao 中尾太亮 Japan  Staatliche Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Mannheim
Minagi Negishi 根岸美凪 Japan  Y's Dance Company
Yume Okano  岡野祐女 Japan  John Cranko Schule
Ruika Yokoyama 横山瑠華 Japan  National Conservatory Dance School
Erina Yoshie 吉江絵璃奈 Japan  Ayako Hattori Ballet Class

皆さんの健闘を祈ります。


なお、2016年のローザンヌ国際コンクールの審査員も発表されています。
http://www.prixdelausanne.org/fr/collaborateurs-artistiques-2016/

審査委員長 
Julio Bocca President
Director of the Ballet Nacional Sodre, Montevideo, Uruguay, Star of the American Ballet Theater
フリオ・ボッカ ウルグアイ国立バレエ芸術監督、元ABTプリンシパル

審査員
January BROECKZ Director of Ballett-Akademie an der Hochschule für Musik und Theater München Winner of Lausanne 1979 Price 
ヤン・ブロエックス  ドイツ国立ミュンヘン音楽大学バレエアカデミー監督、1979年ローザンヌ国際コンクール受賞

Lucinda DUNN Star of the Australian Ballet Winner of the Prix de Lausanne 1989
ルシンダ・ダン 元オーストラリア・バレエ プリンシパル、1989年ローザンヌ国際コンクール受賞

Viviana DURANTE Star of the Royal Ballet Winner of the Prix de Lausanne 1984
ヴィヴィアナ・デュランテ 元ロイヤル・バレエ プリンシパル、1984年ローザンヌ国際コンクール受賞

Marcelo GOMES Star of the American Ballet Theater Lausanne 1996 Laureate
マルセロ・ゴメス ABTプリンシパル、1996年ローザンヌ国際コンクール受賞

Luca MASALA Director of the Academy Princesse Grace, Monaco
ルカ・マサラ プリンセス・グレース・アカデミー校長

Elisabeth PLATEL Director of the School of the Opéra National de Paris
エリザベット・プラテル パリ・オペラ座学校校長

Shelly POWER Director of the School of Houston Ballet
シェリー・パワー ヒューストン・バレエ学校校長

ZHAO Ruheng Chairperson of China Dancers Association, former artistic director of the National Ballet of China
ジャオ・ルヘン 中国ダンサー協会会長、中国国立バレエ元芸術監督

レペトゥール(教師)

クラシック・ヴァリエーション
Cynthia HARVEY  Star of the American Ballet Theater Professor and invited coach
シンシア・ハーヴェイ 元ABTプリンシパル

Patrick ARMAND  Deputy Director, San Francisco Ballet School, USA Lausanne prize winner in 1980
パトリック・アルモン サンフランシスコバレエスクール副校長、1980年ローザンヌ国際コンクール受賞

コンテンポラリー・ヴァリエーション

Goyo MONTERO Director and choreographer of the State Ballet Nuernberg, Germany Lausanne prize winner in 1994
ゴヨ・モンテロ ニュルンベルグ州立バレエ芸術監督、振付家

Pompea SANTORO Artistic Director of Eko International Dance Project, Italy
ポンペア・サントロ イタリア、Eko国際ダンスプロジェクト芸術監督

Macha DAUDEL Assistant choreographer Mauro Bigonzetti
マーシャ・ダウデル マウロ・ビゴンゼッティ振付助手


なお、2015年のローザンヌ国際コンクールのネットワーキングフォーラムの結果が少し前に発表されています。ファイナリストとならなくても、良いカンパニーやスクールのオファーを得ることができた人も多いです。
http://www.prixdelausanne.org/fr/resultats-du-networking-forum-2015/

日本からだと、大塚卓さんがハンブルグ・バレエ学校の2年間のスカラシップ、柴田 実樹さんがアントワープ・ロイヤル・バレエ・スクールに1年間、そして 山西 美那さんはカンヌ・ロゼラ・ハイタワースクールでの1年間のスカラシップを獲得しています。

パリ・オペラ座バレエ昇進コンクール、オニール八菜さんがプルミエールに昇進

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11月3日にパリ・オペラ座バレエの昇進コンクールの女性部門が行われました。

今年は、各ヒエラルキーの試験が終わった後、すぐに結果が発表されるという形式となっています。

注目のプルミエールの枠は二つ。

<プルミエール>

オニール八菜さんと、レオノール・ボーラックが昇進しました。

オニールさんは「ライモンダ」の2幕のヴァリエーション、ボーラックはロビンスの「アザー・ダンス」第1ヴァリエーションを踊りました。

プルミエールへの昇進試験は、パク・セウン、エロイーズ・ブルドンなど有力候補が並ぶ激戦。特に、パリ・オペラ座バレエファンの間では、「白鳥の湖」「ラ・バヤデール」など多くの古典バレエに主演しているブルドンの評価も非常に高かったので、彼女が昇進できなかったのは残念でした。

その中でのオニールさんの昇進は喜ばしい限りです。オニールさんは、「ラ・バヤデール」の初日でガムザッティ役を踊る予定です。エトワールに任命される日も遠くないと思われます。

レオノール・ボーラックは、バンジャマン・ミルピエ芸術監督に気に入られている一人で、最近たくさんの役に付いているダンサーです。

課題曲 ジェローム・ロビンス「四季」春のヴァリエーション

(順位。出典:ダンソマニ
Sujets

1. Hannah O'NEILL  ヌレエフ「ライモンダ」の2幕のヴァリエーション
2. Léonore BAULAC  ロビンス「アザー・ダンス」第1ヴァリエーション
3. Héloïse BOURDON  ロビンス「アザー・ダンス」第2ヴァリエーション
4. Sae Eun PARK  ロビンス「アザー・ダンス」第2ヴァリエーション
5. Charline GIEZENDANNER  ヌレエフ「ロミオとジュリエット」1幕ヴァリエーション
6. Eléonore GUERINEAU  リファール「ミラージュ」オンブル


<スジェ>

マリオン・バルボーイダ・ヴィキンコスキファニー・ゴルスリディ・ヴァレイレスの4人がスジェに昇進しました。

この中で異色なのは、フィンランド出身(オペラ座団員初のフィンランド人)のイダ・ヴィキンコスキ。2013年入団なので非常に早く昇進していると言えます。「ラ・バヤデール」ではやはりガムザッティ役を踊る予定です。(マリオン・バルボーもガムザッティ役の予定)

「ラ・フィユ・マル・ガルデ」に主演し有力視されていたレティツィア・ガローニが昇進しなかったのが意外と捉えられているようです。

課題曲 ヌレエフ「ライモンダ」ピチカート

Coryphées :

1) Marion BARBEAU   ヌレエフ「眠れる森の美女」幻影のヴァリエーション
2) Ida VIIKINKOSKI   ワガノワ「ディアナとアクティオン」
3) Fanny GORSE   バランシン「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
4) Lydie VAREILHES  ロビンス「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」グリーンのヴァリエーション
5) Letizia GALLONI   ヌレエフ「ラ・バヤデール」2幕ニキヤのヴァリエーション
6) Aubane PHILBERT  フォーサイス「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」


<コリフェ>

ロクサーヌ・ストイヤノフキャサリン・ヒギンスソフィー・マヨーレイラ・ディラックアリス・カトネの5人がコリフェに昇進しました。

この中で、キャサリン・ヒギンズは2013年にYAGPに出場し、2012年にはローザンヌ国際コンクールに出場したアメリカ人。アントワープ・ロイヤル・バレエスクール出身で2014年にオペラ座の短期契約団員となり、今年、外部コンクールから入団しています。
アリス・カトネは、DVD「パリ・オペラ座エトワール マチュー・ガニオのノーブル・バレエ・クラス」に出演しているのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

課題曲 グソフスキー「グラン・パ・クラシック」

Quadrilles :

1) Roxane STOJANOV   ロビンス「四季」秋のヴァリエーション
2) Katherine HIGGINS   ロビンス「四季」秋のヴァリエーション
3) Sophie MAYOUX   バランシン「フー・ケアーズ?」
4) Leïla DHILAC   バランシン「ジュエルズ」よりエメラルド
5) Alice CATONNET   ロビンス「四季」春のヴァリエーション
6) Julia COGAN   バランシン「ジュエルズ」よりエメラルド


このように結果を見ていると、オニール八菜さん、イダ・ヴィキンコスキ、キャサリン・ヒギンスと外国人の台頭が目立ちます。パリ・オペラ座バレエの多様化を推進しているミルピエの好みもかなり反映されているような感じがします。

また、上位ランキングのダンサーたちの踊ったヴァリエーション、多くがロビンスやバランシンであるというのも、いかにもミルピエを意識した選曲だと感じられます。

パリ・オペラ座エトワール マチュー・ガニオのノーブル・バレエ・クラス [DVD]パリ・オペラ座エトワール マチュー・ガニオのノーブル・バレエ・クラス [DVD]

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男子の昇進試験は11月6日となります。

黄金のマスク賞ノミネート発表

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ロシアの舞台芸術界で最も権威のある黄金のマスク賞のノミネートが発表されていました。

http://www.goldenmask.ru/fest.php?year=22&area=169

舞台芸術全般(演劇、オペラ、バレエ)の幅広い賞なので、バレエ/ダンスのみ紹介します。

BALLET/BEST PRODUCTION  (バレエ優秀作品)

STEP LIGHTLY /Carefully proceed エカテリンブルグ劇場
UP & DOWN ボリス・エイフマン・バレエ
ZEITGEIST  セルゲイ・ダニラン・プロジェクト(アルダニ・アーティスト)
「現代の英雄」 ボリショイ劇場
CURTAIN エカテリンブルグ劇場
When the Snow is Falling ペルミ劇場
Minos  バレエ・モスクワ
「モーツァルトとサリエリ」 セルゲイ・ダニラン・プロジェクト(アルダニ・アーティスト)
Orang. Conditionally Killed, ペルミ劇場
Le Pas d'Acier, サラトフ劇場
「タチヤーナ」 モスクワ音楽劇場
「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 エカテリンブルグ劇場


BALLET CONTEMPORARY DANCE / BEST ballet master and choreographer (バレエ・コンテンポラリー ベストバレエマスター/振付家)

Juanjo Arques 「Minos」 バレエ・モスクワ
セルゲイ・ヴィハレフ 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 エカテリンブルグ劇場
ダグラス・リー  "When the snow was falling" ペルミ劇場
アレクセイ・ミロシニチェンコ "Monk. Conditionally Killed" ペルミ劇場
ジョン・ノイマイヤー 「タチヤーナ」 モスクワ音楽劇場
Alexander Pepeliaev, "Cafe Idiot"バレエ・モスクワ
Olga Pona, "Date", チェリャビンスク劇場
ユーリ・ポソホフ 「現代の英雄」 ボリショイ劇場
ヴャチェスラフ・サモドゥーロフ, "Curtain" エカテリンブルグ劇場
キリル・シモノフ "Le Pas d'Acier" サラトフ劇場
Oleg Stepanov, Alexei Torgunakov "Vsechtoyamogubyt" Dance Company "Air"クラスノダール劇場


BALLET CONTEMPORARY DANCE / BEST ACTRESS (最優秀女性ダンサー)

マリーヤ・アレクサンドロワ "Curtain" エカテリンブルグ劇場
Lyubov' ANDREYEVA   「UP & DOWN」 ボリス・エイフマン・バレエ
ディアナ・ヴィシニョーワ 「タチヤーナ」 モスクワ音楽劇場
Elena Vorobyov, 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 エカテリンブルグ劇場
Natalia de FROBERVIL (Domracheva), Masha Funtikovna, 「Orang. Conditionally Killed」ペルミ劇場
ナタリア・オシポワ 「ZEITGEIST」 セルゲイ・ダニラン・プロジェクト(アルダニ・アーティスト)
オルガ・スミルノワ「現代の英雄」 ボリショイ劇場
エカテリーナ・シプーリナ 「現代の英雄」 ボリショイ劇場


BALLET CONTEMPORARY DANCE / BEST ACTOR (最優秀男性ダンサー)

Vladimir Varnava 「モーツァルトとサリエリ」 セルゲイ・ダニラン・プロジェクト(アルダニ・アーティスト)
イワン・ワシーリエフ 「モーツァルトとサリエリ」 セルゲイ・ダニラン・プロジェクト(アルダニ・アーティスト)
オレグ・ガビーシェフ 「UP & DOWN」 ボリス・エイフマン・バレエ
ウラディスラフ・ラントラートフ 「現代の英雄」 ボリショイ劇場
ヴャチェスラフ・ロパーチン 「現代の英雄」 ボリショイ劇場
Sergey Mershin "Monk.""Conditionally killed"ペルミ劇場
Victor Mekhanoshin 「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 エカテリンブルグ劇場
デニス・サヴィン 「現代の英雄」 ボリショイ劇場
ドミトリー・ソボレフスキー 「タチヤーナ」 モスクワ音楽劇場


ボリショイ・バレエの「現代の英雄」の出演者たちが多くのノミネートを受けていますね。(そしてマリインスキー・バレエ、ミハイロフスキー・バレエからのノミネートは無し)

振付家については、オランダ国立バレエのJuanjo Arques、元シュツットガルト・バレエのダグラス・リー、そしてジョン・ノイマイヤー、ロシア人でも西側で活躍したヴャチェスラフ・サモドゥーロフやユーリ・ポソホフの名前が目立ちます。「Zeitgeist」は、ナタリア・オシポワのためにロイヤル・バレエのアラステア・マリオットが振付けた作品です。

ロシア人振付家がたくさん出てくるのはまだこれからかもしれません。アレクセイ・ミロシニチェンコは、アンドレイ・メルクリエフが踊った「アダージョ」、ヴィクトリア・テリョーシキナ、アレクサンドル・セルゲーエフがボリショイ・マリインスキー合同ガラで踊った「タンゴ」を振付けています。またキリル・シモノフは、マリインスキー・バレエの奇抜な「くるみ割り人形」(サラファーノフ主演でDVD化されています)を振付けています。

ワタリウムで開催のJR映像作品展、NYCB出演の映像も

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『24fps ― JRの映像 展』が、11月8日から東京・神宮前のワタリウム美術館で開催されます。
http://www.watarium.co.jp/exhibition/

フランスに生まれ、現在はパリとニューヨークを拠点に活動するJR。弾圧や貧困、差別のもとで暮らす人々を世界各地で撮影し、巨大な写真を現地の人々と共に建物の外壁や通りに貼る活動を展開しています。

JRは2014年に、ニューヨークシティバレエのAnnual Art Series.とコラボレーションを行いました。

http://www.nycballet.com/Season-Tickets/NYCB-ART-SERIES/NYCB-Art-Series-2014.aspx

JRは、2014年1月23日、2月7日、13日に、NYCBの本拠地であるリンカーンセンターのデヴィッド・H・コッチシアターのプロムナードの床に、NYCBの実物大のダンサーたちの写真を使って巨大な眼を描き、そして劇場の窓にも写真を貼りました。この時の公演は、すべての席が29ドルという安い値段で販売されました。

JR arranges dancers for new york city ballet art series from designboom on Vimeo.

また、2014年4月29日には、JRは、NYCBとコラボレーションして、リル・バックをゲストダンサーに迎え、「Les Bosquets」を振付けています。この作品は、彼の最初のアートプロジェクト「Portrait of a Generation」と、2005年にフランスで起きた暴動ににインスパイアされています。「Les Bosquets」は6回デヴィッド・H・コッチシアターで上演されました。
http://www.nycballet.com/ballets/l/new-woodkid-jr.aspx

http://www.jr-art.net/projects/ballet-les-bosquets-at-nycb

LES BOSQUETS - OFFICIAL TEASER - JR from SOCIAL ANIMALS on Vimeo.

今回、このワタリウムの展覧会で観ることができるのが、「Les Bosquets」(レボスケ)です。

レボスケ 2015年公開 17分21秒 Les Bosquets

ニューヨーク・シティ・バレエのダンサーたちがJRのデザインした水玉のタイツを身にまとい踊り続けます。
クラッシックなバレエの研ぎすまされた美しい動きがコンクリートの荒々しい場所に動いています。
このフィルムは、2005年パリ郊外で勃発し、JR自身も体験した暴動事件がベースになっています。
ハイセンスな表現が光り、JRの新しい魅力を予感する近作映像です。

メイキング映像

Making Of "Les Bosquets" The Story of Ladj Ly by JR, Film by Vincent Lorca from SOCIAL ANIMALS on Vimeo.

前回の展覧会から2年半あまり、JRの活動はスピードとスケールをさらにアップさせ世界中を駆け巡っています。
各地で勃発する暴動、なくならない貧困など現代社会の歪みのような場所や出来事の影には、翻弄される沢山の人々がいます。
JRはそうした人たちの姿を作品として発表し、世界に発信します。
今回の展覧会は最近発表された映像作品を紹介し、最新のJRの表現をご覧いただきます。

『24fps ― JRの映像 展』では、若者の暴動や移民をテーマに昨年から今年にかけて制作された映像作品と関連作品を展示。上映される映像作品は、1892年から1952年までアメリカへの移民の入り口だったエリス島をモチーフに、移民として島に来たが、入国が認められずに幽霊になった男を主人公にしたロバート・デ・ニーロ主演の『エリス Ellis』、「2005年パリ郊外暴動事件」をテーマにニューヨークシティバレエ団が制作したパフォーマンスをもとにした『レボスケ Les Bosquets』、女性のいないフランスのル・アーブル港の港湾労働者と共に、女性の目の写真をコンテナに貼り付けるプロジェクトを映像化した『リヴァージュ Rivages』の3作品となる。


『24fps ― JRの映像 展』

2015年11月8日(日)~11月29日(日)
会場:東京都 神宮前 ワタリウム美術館
時間:11:00~19:00(水曜は21:00まで)
休館日:月曜(11月23日は開館)
料金:
大人1,000円 学生800円 小・中学生500円 70歳以上700円
ペア券 大人1,600円 学生1,200円

なお、JR本人が来場してのトーク付プレミア上映があります。

日時:2015年11月7日(土)17:30-19:00
場所:ワタリウム美術館
出演:JR+エリイ(チン↑ポム)+原野 守弘
(申し込み方法はワタリウムのサイトへ)

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