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パリ・オペラ座バレエのアンヌ・テレサ・ド・ケースマケルプロのネット中継

パリ・オペラ座バレエのアンヌ・テレサ・ド・ケースマケルプログラムが、昨日arteでネット中継されました。

こちらの中継ですが、今のところジオブロックされておらず、普通にアーカイブで観ることができます。

http://concert.arte.tv/fr/soiree-anne-teresa-de-keersmaeker-lopera-de-paris

10月27日の公演の舞台です。

https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet/anne-teresa-de-keersmaeker

Quartet No. 4  「弦楽四重奏4番」 Béla Bartók

Sae Eun Park
Juliette Hilaire
Charlotte Ranson
Laura Bachman

Die grosse Fuge 「大フーガ」 Ludwig van Beethoven Great Fugue op.133

Alice Renavand
Stéphane Bullion
Karl Paquette
Vincent Chaillet
Florian Magnenet
Nicolas Paul
Adrien Couvez
Alexandre Gasse

Verklärte Nacht 「浄められた夜」 Arnold Schönberg Transfigured Night op. 4, version for string orchestra

Samantha  Émilie Cozette
Cynthia  Marie-Agnès Gillot
Marion B  Leonora Baulac
Johanne  Letizia Galloni
Sarah  Séverine Westermann
Anne  Katherine Higgins
Marion L  Emilie Hasboun
Suman  Alice Catonnet
Cosi  Alexandre Gasse
Olivier  Karl Paquette 
Brice  Stéphane Bullion
Marc  Florian Magnenet
Osman  Takeru Coste
Micha  Nicolas Paul


予告編


ケースマイケルのインタビューやローザスがこの作品を踊る映像


パリ・オペラ座バレエ昇進コンクール、ユーゴー・マルシャンがプルミエに昇進

11月6日にパリ・オペラ座バレエの昇進コンクールの男性部門が行われました。


<プルミエ>

プルミエに昇進したのは、ユーゴー・マルシャン。2011年入団。昨年ヴァルナ国際コンクールで銅メダル受賞、「くるみ割り人形」と「マノン」に主演して高い評価を得ました。今年は将来有望な24歳以下の若いダンサーに贈られるカルポーダンス賞も受賞しており、最有力とみられていました。フランスのバレエ雑誌Danseの今月号の表紙も飾っています。間違いなく、次世代のスターとなることでしょう。

課題曲はバランシン「シルヴィア」のヴァリエーション

順位 (ダンソマニより)

1. Hugo Marchand - プルミエに昇進 ロビンス振付「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」ブラウンのヴァリエーション
2. Fabien Révillion
3. Germain Louvet
4. Marc Moreau
5. Florimond Lorieux
6. Sébastien Bertaud

ユーゴー・マルシャンのインタビュー記事
http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-paris/paris1504c.html

カルポー賞受賞の記事
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/2015carpeaux.html

有力出場者のヤニック・ビトンクールが欠場し、アリステル・マディンがコンクール中に負傷するというアクシデントもあったようです。


<スジェ>

スジェには、ジェレミー・ルー・ケールが昇進しました。2013年入団と若いジェレミーも、2014年のヴァルナ国際コンクールで銅賞を受賞しています。コリフェ時代より、「パキータ」に主演したりして頭角を現している一人です。コリフェのダンサーでコンクールに参加したのは6人だけでした。

課題曲は、ラコット振付「ラ・シルフィード」1幕ジェームズのヴァリエーション

順位 (ダンソマニより)

1. Jérémy-Loup Quer - Promu プルミエに昇進 プティパ振付「エスメラルダ」ヴァリエーション
2. Hugo Vigliotti
3. Antoine Kirscher
4. Florent Mélac
5. Yvon Demol
6. Mickaël Lafon


<コリフェ>

コリフェに昇進したのは、ポール・マルケ(2014年入団)とパブロ・レガサ(2013年入団)です。日本人とドイツ人のハーフであるタケル・コストさんは惜しくも3位でした。

課題曲はヌレエフ「眠れる森の美女」2幕のヴァリエーション。

1. Paul Marque - Promu  コリフェに昇進 ヌレエフ振付「白鳥の湖」ジークフリート3幕のヴァリエーション
2. Pablo Legasa - Promu  コリフェに昇進 ラコット振付「ラ・シルフィード」ジェームズ2幕のヴァリエーション
3. Takeru Coste
4. Axel Magliano
5. Cyril Chokroun
6. Antonio Conforti.

皆さん、おめでとうございます。

DVD「ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 」とイベント開催

「ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間]というDVDが、新書館から11月25日に発売されます。Amazon.co.jp限定盤。

http://amzn.to/1MPnfbk

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【Amazon.co.jp限定盤】ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 [DVD]
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新書館 2015-11-25
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約280年の歴史を誇るロシアの名門、ワガノワ・バレエ・アカデミー。
数千人の希望者から約60名を選び出す入学審査、緻密な教育内容、妥協のない進級試験――
生徒たちの成長の8年間をカメラで追い続けた、ワガノワ史上初のドキュメンタリー。
ニジンスキー、パブロワ、バリシニコフ、ロパートキナ、ザハーロワなど数々のスターを輩出してきたバレエ学校のすべてがここに!
本編のほか、特典映像として創設275周年コンサートの抜粋を収録。
さらにAmazon.co.jp限定盤には、本編の生徒たちが踊る「『パキータ』よりマズルカ」を追加収録。

ということで、大変貴重な映像です。(上記Amazonページの左側には、わかりにくいですが予告編映像へのリンクがあります)ワガノワアカデミー設立275周年記念コンサートというのは、2013年に行われたもので、こちらのロパートキナとエルマコフの「薔薇の死」も踊られた公演でしょうか。

(エルマコフのYTチャンネルより)

「この商品は、ご注文を受けてからオンデマンド(DVD-R)で製造されています」とあるように、オンデマンド盤です。


こちらを予約して応募された先着40名には、マリインスキー・バレエのアーティストを招いてのイベントに参加できるとのことです。ちょうどマリインスキー・バレエが来日公演中ですからね。(応募方法の詳細は、上記商品ページをご覧ください)

『ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間』 DVD発売記念トークショー&先行試写会 ワガノワ・バレエ・アカデミー出身で、現在マリインスキー・バレエで活躍中のダンサーが登壇するトークショーと、 当該ドキュメンタリーDVDの先行試写会イベントの開催が決定! Amazon.co.jpにてご予約の上、ご応募いただいたお客様から、先着で40組80名様をご招待します。

○対象商品:
【Amazon.co.jp限定盤】ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 
○開催日:2015年11月23日(月・祝)
○時間:16:00開場16:30開演(18:30終了予定)
○会場:東京都渋谷区・代官山 入場:無料
○応募先:新書館(発売元)
イベント内容:
・ワガノワ・バレエ・アカデミー出身のマリインスキー・バレエ所属ダンサーのトークショー
・「ワガノワ・バレエ・アカデミー~バレエに選ばれた子供たちの8年間」先行試写会(本編を上映)


なお、マリインスキー・バレエでは、11/29(日)午後、大注目のザンダー・パリッシュのトーク&サイン会がフェアリーにて開催決定しているそうです。詳細は http://fairynet.co.jpにて近日発表するとのことです。


マリインスキー・バレエ来日公演
http://www.japanarts.co.jp/mb2015/


また、マリインスキー・バレエのDVDが相次いで発売されます。

マリインスキー・バレエ 「ラ・バヤデール」ヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジミール・シャクリャローフ 主演
11月25日発売予定
http://amzn.to/1MPqkrN

マリインスキー・バレエ 「アンナ・カレーニナ」ウリヤーナ・ロパートキナ、アンドレイ・エルマコフ主演、ラトマンスキー振付
12月15日発売予定
http://amzn.to/1MPqsYf

マリインスキーバレエ「眠れる森の美女」 アリーナ・ソーモワ、ウラジミール・シャクリャローフ、クリスティーナ・シャプラン、イーゴリ・コルプ出演 ゲルギエフ指揮
2016年3月16日発売予定
http://amzn.to/1Hkvk5s

ジャパンアーツ オールスター・ガラ 開催概要

2016年7月に開催される、ジャパンアーツ主催の「オールスター・ガラ」の概要がジャパンアーツのサイトに発表されていました。

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Allstargala

http://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=390&lang=1

オールスター・ガラ

日時
<<プログラムA>>
2016年07月23日(土) 14時開演 東京文化会館
2:00p.m. Saturday, July 23 Tokyo Bunka Kaikan
 
2016年07月26日(火) 18時30分開演 東京文化会館
6:30p.m. Tuesday, July 26 Tokyo Bunka Kaikan
 
<<プログラムB>>
2016年07月24日(日) 14時開演 東京文化会館
2:00p.m. Sunday, July 24 Tokyo Bunka Kaikan
 
2016年07月27日(水) 18時30分開演 東京文化会館
6:30p.m. Wednesday, July 27 Tokyo Bunka Kaikan
 
出演者
芸術監督:アレクセイ・ラトマンスキー
指揮:アクレセイ・バクラン
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【出演予定ダンサー】
ニーナ・アナニアシヴィリ
アレッサンドラ・フェリ
スヴェトラーナ・ザハーロワ
マルセロ・ゴメス
エルマン・コルネホ


マリインスキー・バレエ所属ダンサーなど決定次第発表予定!

S ¥27,000 ¥26,000
A ¥21,600 ¥20,600
B ¥16,200 ¥15,200
C ¥12,900 ¥11,900
D ¥7,500 ¥6,800

<チケット発売予定>

① 11月22日(日) 10:00a.m.~発売  夢倶楽部ネット会員 

② 11月23日(月・祝) 10:00a.m.~発売  夢倶楽部会員 

③ 12月9日(水) 10:00a.m.~発売  ジャパン・アーツぴあネット会員 

④ 12月12日(土) 10:00a.m.~発売  一般

復帰後初の日本の舞台へのお目見えとなるアレッサンドラ・フェリはじめ、大変豪華な公演ですが、チケット代は世界バレエフェスティバルよりも高いです。バレエフェス並みのゴージャスな追加出演者を期待したいところです。

芸術監督に、アレクセイ・ラトマンスキーの名前がありますので、ガラの内容はかなり期待できそうで、もちろんとても楽しみです。

Crystal Balletのバレエ動画サービス

以前に、スティーヴン・マックレー、サラ・ラム、ワディム・ムンタギロフ、アリーナ・コジョカルら人気ダンサーが出演したバレエ動画「Genesis」がiTunesで提供された際にご紹介したのが、Crystal Ballet

http://crystalballet.com/

元ロイヤル・バレエのダンサーであるヘンリー・セント・クレアが設立したサービスです。高品質のバレエ映像を、PCだけでなく、モバイルなどでも視聴できるように製作し、ダウンロード販売してきました。

iTunesで販売された、「Genesis」の動画第一弾、スティーヴン・マックレーとサラ・ラムが出演した映像、そして第二弾、ワディム・ムンタギロフとダリア・クリメントヴァが出演した映像は、iTunesのビデオチャートで1位を記録するというヒットとなりました。

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Homectabest

また、ナショナル・バレエ・オブ・カナダのプリンシパル、ギョーム・コテと組み、グレタ・ホジキンソンが踊る彼の振付作品を映像化して映画祭で上映するという企画も行いました。

そのCrystal Balletは次なるプロジェクトとして、月額制でバレエ映像をどんどん提供していくというサービスの提供も開始しました。

http://crystalballet.com/index.php/all-videos

「Genesis」全編はもちろんのこと、新たに、オリジナルのドキュメンタリー映像と、バレエのハウツー動画を現在は視聴することができます。すべて、モバイルデバイスにも対応しています。

無料で視聴できるサンプル動画
http://crystalballet.com/index.php/all-videos?typeofvideo=9

こちらの動画を見せていただきました。ドキュメンタリーは、ロイヤル・バレエの期待の若手ソリスト、オリヴィア・カウリーが今までの道のりと、バレリーナの一日について語る「Ballerina」と、ロイヤル・バレエの振付家兼プリンシパル・キャラクター・アーティストのウィル・タケット(クーパー主演「兵士の物語」などを振付)の「Choreographer」です。

オリヴィア・カウリーは、「牧神の午後」(ロビンス)、「セレナーデ」、「クローマ」「レイヴン・ガール」などで主役を踊っている、大変美しいバレリーナでロイヤル一の美女と言ってもいいほどです。彼女の写真を使ったマグネットがロイヤル・オペラハウスの売店で売られているほど。ファッションセンスも抜群で、ファッションを中心とした自身のブログでは、彼女や、ロイヤルの同僚のオン/オフのファッションをたくさんの写真で楽しめます。
http://www.ballet.style/

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Oliviacowley_ballerina_

華やかそうに見えるオリヴィアですが、実は子供時代には言語障害を持っていて特別学級で学んでいたという側面もあり、そのような障害を苦労して克服してバレリーナとして成功した道のり、そして主役も群舞も踊るソリストの生活についてこのドキュメンタリーで語っています。

また、ハウツービデオも大変クオリティが高いものです。Crystal Balletは、映像作品の制作を行う傍らで、主に大人向けのバレエクラスも運営しています。ロイヤル・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエの現役ダンサーや元ダンサーが指導するクラスは、大変人気が高いものです。ブルノンヴィル作品をマスターするワークショップなども主催しています。
http://crystalballet.com/index.php//classes

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Howtograndbattementdemo

ハウツービデオでは、ロイヤル・バレエの新進ソリスト、ヤスミン・ナグディマルセリーノ・サンベが美しいお手本を見せてくれます。愛らしいヤスミンは、先だって「ロミオとジュリエット」でジュリエット役を演じて、非常に高い評価を得ました。マルセリーノは、YAGPで1位、モスクワ国際バレエコンクールで銀メダルという実績があり、「ロミオとジュリエット」のマキューシオ役などで活躍しています。

ヤスミンとマルセリーノが見せるお手本(時には対比するための悪い例も)とともに、ヘンリー・セント・クレアがそれぞれのパのコツや注意点などを細かく解説してくれます。プリエから始まり、タンデュ、ロン・ドゥ・ジャンブ、フォンデュ、フラッペ、グラン・バットマン、デヴェロッペ、エカルテ、アラベスク、ピルエット(アンドゥオール、アン・デダン、4番から、5番から)、ソテ、アッサンブレ、トゥール・ザン・レール、ブリゼ・ボレ、アントルシャ・シスとお手本を見せてくれて、スローモーションも観ることができます。

もちろん、映像はこれだけでなく、今後も続々追加される予定です。ハウツービデオがたくさん追加されるほか、Crystal Balletのために振付けられ、ここでしか観ることができない作品(ロイヤル・バレエ他の人気ダンサーが出演)が数本待機中です。ドキュメンタリー映像も追加されます。


Crystal Balletは、BBCやTime紙、そしてバレエ雑誌Pointeでも紹介されました。特にロイヤル・バレエのファンには、ぜひおすすめしたいサービスです。

Crystal Ballet は月額7ポンド、または年会費75ポンドです。クレジットカードでの支払いとなります。動画が視聴できるだけでなく、Crystal Balletのクラスを受講できる受講券、Genesisの出演者のサイン入り写真、会員向けの公演招待の抽選などもプレゼントされます。
http://crystalballet.com/index.php/subscribe

さらに、こちらのサイトをご覧の方に割引があります。 "CHRISTMAS10"というコードを入力すると、10%の割引が受けられます。クリスマスのご自身へのご褒美にいかがでしょうか。

ボリショイ・バレエの2016年夏ロンドン公演発表

ボリショイ・バレエは、2016年夏のロンドン公演の概要を発表しました。ロイヤル・オペラハウスでの公演となります。

http://www.dancing-times.co.uk/news/item/1875-bolshoi_summer_london_2016

7月25日~28日 「ドン・キホーテ」
7月30日~8月2日 「白鳥の湖」
8月3、4日 「じゃじゃ馬馴らし」(マイヨー振付)
8月5、6日 「パリの炎」(ラトマンスキー振付)
8月11日~13日 「海賊」

出演予定ダンサーは、ゲストアーティストとして出演予定のナタリア・オシポワ、マリーヤ・アレクサンドロワ、エカテリーナ・クリサノワ、オルガ・スミルノワ、スヴェトラーナ・ザハロワ、セミョーン・チュージン、デヴィッド・ホールバーグ、デニス・ロヂキン、ウラディスラフ・ラントラートフ、ルスラン・スクヴォルツォフ他です。


オシポワは、このロンドン公演の他、来年2月以降は大幅にボリショイ・バレエへの出演を増やすことが報じられています。
http://tass.ru/kultura/2403155

オシポワは、2月にリバイバルされる「ドン・キホーテ」他、「ジゼル」、「ラ・シルフィード」、「ラ・バヤデール」、「海賊」、「オネーギン」などに出演するとのことです。また、6月には、ロンドンのサドラーズ・ウェルズで、セルゲイ・ポルーニンと共に現代作品を踊ることも発表されています。


ボリショイに話を戻すと、このロンドン公演には、3月でボリショイ・バレエの芸術監督を辞任するセルゲイ・フィーリンを責任者とするというオファーをボリショイ側は出したとのことですが、まだフィーリンがこの仕事を引き受けるかどうかは不明です。後任のワジーエフ次期芸術監督就任後初のロンドン公演となります。

ボリショイのロンドン公演はちょうど夏休み時期なので、日本から観に行く方も多いのではないでしょうか?チケットはすぐに売り切れるようですので、確保はお早めに。(まだチケットなどの詳細は発表されていません)

なお、ジャパンアーツの「オールスター・ガラ」(7月23日~27日)と少し時期が重なりますが、オールスターガラにはザハロワが出演することが発表されています。ザハロワはロンドンの「ドン・キホーテ」には出演しないということになりますね。

ミハイロフスキー・バレエとマリインスキー・バレエの来日公演キャスト変更

バレエ公演にはキャスト変更がつきものですが、ミハイロフスキー・バレエとマリインスキー・バレエの来日公演のキャスト変更が発表になっていました。

「ミハイロフスキー劇場バレエ 〜旧レニングラード国立バレエ〜」 出演者変更のお知らせ
http://www.koransha.com/news/news_20151110.html

出演を予定しておりましたエカテリーナ・ボルチェンコが劇場の都合により来日することができなくなりました。また、ポリーナ・セミオノワが1月6日、9日のみの出演となり、10日の「白鳥の湖」には出演することができなくなりました。これに伴いまして、キャスト出演日を変更させていただきます。

1月2日「新春特別バレエ」にルジマトフ。
3日、9日「白鳥の湖」、6日「ジゼル」にサラファーノフ。
2日「新春特別バレエ」、5日「ローレンシア」、10日「白鳥の湖」にペレン。
8日「海賊」、11日「白鳥の湖」にヴォロンツォーワが出演いたします。


1/2(土)新春特別バレエ 
「くるみ割り人形」 : クリギナ ⇒ ヴォロンツォーワ
ヤフニューク ⇒ レベデフ
「白鳥の湖」 : ソボレワ
レベデフ ⇒ ルジマトフ
「ローレンシア」 : ヴォロンツォーワ ⇒ ペレン
ワシリーエフ

1/3(日)白鳥の湖 
ペレン
レベデフ ⇒ サラファーノフ

1/5(火)ローレンシア 
ヴォロンツォーワ ⇒ ペレン
ワシリーエフ

1/6(水)ジゼル
セミオノワ
レベデフ ⇒ サラファーノフ

1/8(金)海賊
ボルチェンコ ⇒ ヴォロンツォーワ
サラファーノフ、ルジマトフ

1/9(土)白鳥の湖
セミオノワ
レベデフ ⇒ サラファーノフ

1/10(日)白鳥の湖
セミオノワ ⇒ ペレン
サラファーノフ ⇒ レベデフ

1/11(月・祝)白鳥の湖
ボルチェンコ ⇒ ヴォロンツォーワ
レベデフ

なんと、全9公演のうち8公演でキャスト変更です。劇場の都合でキャスト変更が起きるのは仕方がありませんが、予定通り来られているダンサーの出番が玉突き変更になるのは、正直勘弁してほしいです。キャスト目当てに、発売早々からチケットを買っている人も多いわけで。こういうことが起きると、直前までチケットを買わない買い控えが起きてしまいますよね。

そしてマリインスキー・バレエのキャスト変更です。

https://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1623

【キャスト変更のお知らせ】マリインスキー・バレエ(11月11日現在)

マリインスキー・バレエのアリーナ・ソーモワ、ヤナ・セーリナは、劇場の都合により日本公演に参加せず、エカテリーナ・コンダウーロワ、マリーヤ・シリンキナが来日するとの連絡がありました。 これに伴い【マリインスキー・バレエ2015年日本公演】のキャストを一部変更させていただきます。 お客様におかれましては、なにとぞご了承いただきますようお願い申し上げます。


■11月22日(日) 大阪フェスティバルホール 「ロミオとジュリエット」
<ジュリエット役>アリーナ・ソーモワ → マリーヤ・シリンキナ

■11月26日(木) 文京シビックホール 「ジュエルズ」
 [エメラルド] ヤナ・セーリナ → ヴィクトリア・クラスノクツカヤ
 [ルビー] エカテリーナ・チェブキナ → エカテリーナ・コンダウーロワ

■11月28日(土) 東京文化会館 「愛の伝説」
<シリン役> アリーナ・ソーモワ → マリーヤ・シリンキナ

■11月30日(月) 東京文化会館 「ロミオとジュリエット」
<ジュリエット役> アリーナ・ソーモワ → マリーヤ・シリンキナ

■12月4日(金) 東京文化会館 「白鳥の湖」
<オデット・オディール役>アリーナ・ソーモワ → ヴィクトリア・テリョーシキナ

■12月6日(日)東京文化会館 「白鳥の湖」
<オデット・オディール役> ヴィクトリア・テリョーシキナ → エカテリーナ・コンダウーロワ

こちらも、玉突きキャスト変更が発生していますが、コンダウーロワが怪我から回復して出演してくれるのは良かったです。(本来出演予定の日程に出演することになりますね)

なお、こちらの記事によると、ナタリア・マカロワの誕生日を祝うため、マカロワが12月2日の「ロミオとジュリエット」公演に来るとのことです。
「当劇場は日本で一緒にお祝いをするため、マカロワ氏を招いた。東京で合流する。マカロワ氏のお気に入りの演目の一つである『ロミオとジュリエット』を、クリスティーナ・シャプランとティムール・アスケロフが踊る」とファテエフ団長代行。
http://jp.rbth.com/arts/2015/11/09/538601

11/10 大前光市公演「わたしのブレイクスルー」

NHKの番組「ブレイクスルー File.38 “唯一無二”になる ―ダンサー・大前光市―」で取り上げられていた大前光市さんの公演&トーク「わたしのブレイクスルー」に行ってきました。

http://taichokouen.blogspot.jp/

以前このブログでもご紹介した通り、大前さんはオーディションを受ける前日、23歳の時に、酔っ払い運転の自動車に轢かれて左脚を失いました。脚を失って絶望の淵にいた大前さんでしたが、4か月後には再び踊ることを目指します。踊ることができるようになるために、初心者に交じってのバレエだけでなく、武術など様々なものを学びます。素晴らしい師匠との出会い、仲間たちの出会いもあって、大前さんは再び前を向いて、自分にしかできないダンスを求めて精進を続けています。

会場は練馬区桜台にある小さ目の多目的スペースで、客席はぎっしり、熱気がこもっています。客席に段差がないので、足元が見づらかったことだけがちょっと残念でした。

まずは「Gift」というソロでスタート。種から芽が出て花を咲かせるようすを見せた作品とのことで、大前さんの腕の柔らかい動きに目が引きつけられました。

司会は、番組にも登場したアーティスト集団Alphactのメンバー金刺わたるさん。このようなことは初めてとのことでしたが、親しい仲間ならではのスムーズな進行で、非常にいい雰囲気を作り上げていました。

番組でも紹介されてきた大前さんの足跡をたどりながら、番組には出てこなかった裏話も披露されます。Alphactのメンバーたちに出会った時には、武術のワークショップだったのですが大前さんは当時会社員だったのでスーツを着ていたそうです。番組の中でも印象的だった、フライパンから生のブロッコリーを食べる場面。ここでも、大前さんは生のブロッコリーを食べるところを見せてくれました。

今までダンスを続けていられたのは、支えてくれる人たちがいたから。大前さんがダンサーになることを反対しながら、亡くなる前には、信じた道を進んで行けと励ましてくれた父。NHKで大前さんの番組が放送されるときには、町中に知らせて回り、町内放送でも番組放映のお知らせが流れて有名人になったという母。骨肉腫で23歳で亡くなった、踊ることが大好きだった娘さんの姿を重ねながら、彼を指導し、「カナリア」という脚を失ったカナリアを描いた作品を振付けた師匠の佐藤典子さん。大前さんが脚を失ったのも、奇しくも23歳の時のことでした。

金刺わたるさんとはデュオ作品も披露されます。男性同士のパ・ド・ドゥということで、官能的な雰囲気も漂っていて非常に美しいです。

第4回 Dance Creation Award 2014で審査員特別賞を受賞した『目覚めよと叫ぶ声が聞える』も披露してくれました。明るくポジティブなエネルギーを与えてくれる作品で、ヒップホップの要素なども含まれています。ひざ下から失った左脚を、そのままの長さで使っており、両脚の長さが違う中でのバランスのとり方も凄いですし、540を入れたりの回転技、身体能力の高さにも驚かされますが、なによりも表現したいという強くい気持ちが胸に痛いほど伝わってきます。ここまで踊れるようになるのに、どれほどの努力をされてきたのでしょうか。

http://www.kk-video.co.jp/concours/akita/032/akitakomachi.shtml

質疑応答タイムもありました。このような大変な逆境の中でどうやって力を振り絞っていったのですか、と質問されて大前さんは、バーベルが重いほど、それを持ち上げようとする力が出てくるものだと答えていました。義足は、今は20種類も持っていて、足がついているものだとバレエの動きのようにつま先を伸ばして使えないので、足のついていないものを踊るときには使っています。実際使っている義足をいくつか持ってきてくれました。番組の中でも出てきましたが、ピエロの役を演じる時には、実際の自分の脚よりも長い義足を使い、義足の脚を軸にして踊るなんてこともしていました。とにかく、片脚がないことを生かして、彼にしかできない独特の表現を見せてくれているのです。

最後に、番組でリハーサルシーンが流れた、新国立劇場バレエ団のマイレン・トレウバエフ振付の「SWAN」が踊られました。音楽は「瀕死の白鳥」やチャイコフスキーの「白鳥の湖」を使っているわけではないのですが、男性版スワンソロのある意味決定版かもしれません。苦悩したり暗黒面に落ちようとしながらも力強く飛び立とうとする白鳥でした。大前さんの持ち前の非常に柔らかく美しい腕の動き、強いバランス感覚と軸が感じられて素晴らしかったです。この作品はぜひ、大きな会場でも見てみたいと思いました。

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Koichi_oomae

とても暖かい雰囲気の中で行われたトークとダンス。熱いハートが伝わってきて、美しい踊りからは希望を与えてもらった気がします。脚が一本でこんなに素敵なパフォーマンスを見せられるなんて。大前さんは非常に気さくでチャーミングな方でした。来場者にはチロルチョコレートのプレゼントもありました。関西が活動の拠点ではありますが、東京でもバレエのワークショップを開いているとのことです。(ワークショップの情報はブログにて)

大前さんのブログ
http://ameblo.jp/shinka0927/


エトワール・ガラ2016 2016年8月に開催

2005年に第1回を開催し、2014年まで4回開催されている「エトワール・ガラ」、2016年8月にも5回目が開催されることが発表されました。

http://www.bunkamura.co.jp/s/topics/orchard/2015/11/2016_1.html

パリ・オペラ座バレエの中でも最も注目を集めるエトワール・ダンサーたちを中心にして、彼らの魅力を最大限に引き出すゴージャスなガラ公演。円熟期のダンサーから期待の新星まで、11人のダンサーたちが集結します。日本だけでしか観られない、全世界のバレエファン垂涎の公演です。

出演予定者

エレオノラ・アバニャート (パリ・オペラ座エトワール)
アマンディーヌ・アルビッソン (パリ・オペラ座エトワール)
ドロテ・ジルベール (パリ・オペラ座エトワール)
ローラ・エケ (パリ・オペラ座エトワール)

バンジャマン・ペッシュ (パリ・オペラ座エトワール)
マチュー・ガニオ (パリ・オペラ座エトワール)
エルヴェ・モロー (パリ・オペラ座エトワール)
オドリック・ベザール (パリ・オペラ座プルミエ)
ユーゴ・マルシャン  (パリ・オペラ座プルミエ)

シルヴィア・アッツオーニ (ハンブルグ・バレエ プリンシパル)
アレクサンドル・リアブコ (ハンブルグ・バレエ プリンシパル)

公演日程
2016年8月3日(水)~7(日) ※全5回公演

会場
Bunkamuraオーチャードホール
(大阪フェスティバルホール、愛知芸術劇場でも開催)


この中で注目すべきは、11月6日の昇進コンクールで、見事プルミエに昇進したユーゴ・マルシャン。オペラ座の公演で来日はしているものの、日本の舞台での本格的なお目見えとなります。いち早く彼をメンバーに入れるのは素晴らしいですね。

なお、芸術監督のバンジャマン・ペッシュは、2016年2月20日のロビンス「イン・ザ・ナイト」で定年を迎え、オペラ座を引退することが決定しています。引退後は、オペラ座のアシスタント・メートル・ド・バレエに就任する予定です。

11年間もこの素晴らしい公演を続けることができたのは、本当にすごいこと。ペッシュには深い感謝の気持ちを感じます。来年の夏も待ちきれませんね。

【主催】 フジテレビジョン/Bunkamura

【お問合せ】 Bunkamura 03-3477-3244 <10:00~19:00>

※出演メンバーは2015年11月12日現在の予定です。
 出演者の怪我や病気などにより変更となる場合がございます。
※演目、チケット情報などの詳細は決定次第、Bunkamuraホームページなどで発表いたします。
※愛知県芸術劇場、大阪・フェスティバルホールにて公演を予定しております。
 詳細は決定次第各劇場HPにて発表いたします。

舞台美術家のヨランダ・ソナベンド逝去

英国ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」(ダウエル版)美術デザイン、「ラ・バヤデール」(マカロワ版)の衣装、ケネス・マクミラン振付「レクイエム」(シュツットガルト・バレエのために振付)など数々のマクミラン作品のデザイン、そして最近ではK-Balletのほとんどのプロダクションのデザインを手がけてきた舞台美術家のヨランダ・ソナベンドが亡くなりました。享年80歳。

http://www.roh.org.uk/people/yolanda-sonnabend

1935年にジンバブエで生まれたソナベントは、1963年に初めてロイヤル・バレエでの仕事、マクミランの「シンフォニー」の衣装と舞台装置のデザインに携わります。マクミランとのコラボレーションは30年以上にも及びました。また、最近までロイヤルで使われていたダウエル版「白鳥の湖」など、アンソニー・ダウエルの振付作品のデザインもしています。

日本では、K-Ballet Companyとの仕事がとても有名で、「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」、「海賊」、「シンデレラ」など熊川哲也さんの主要な作品の大部分が、彼女のデザインによるものでした。K-Balletの贅沢でゴージャスな舞台美術は、作品のクオリティを押し上げるのに大きく貢献していました。

ソナベントのデザインは、非常に凝っていて華麗な中にも、どこかアヴァンギャルドなひねりがあるものが多く見られました。ダウエル版「白鳥の湖」の3幕の衣装にそれは顕著で、まるでパンクロッカーのようなロットバルトは強烈な印象を残しています。(残念ながら、ロイヤル・バレエはダウエル版「白鳥の湖」の上演は先シーズンで終了して、「白鳥の湖」は新制作されるため、このデザインもお蔵入りをしてしまいます)

肖像画家としても著名だった彼女。マクミラン、スティーヴン・ホーキング、スティーヴン・バーコフを描いた肖像画は、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーに所蔵されています。
http://www.npg.org.uk/collections/search/person/mp07818/yolanda-sonnabend?role=art

大変美しくクリエイティブな舞台美術を生み出す彼女を失ったのは、舞台美術界にとっては大きな損失です。ご冥福をお祈りいたします。

ロイヤル・オペラハウスのサイトで、彼女の詳しい業績を振り返った文章がアップされています。
http://www.roh.org.uk/news/yolanda-sonnabend-a-look-back-at-her-work-with-the-royal-ballet

マクミランの未亡人デボラ・マクミランはこのようにコメントしました。「ヨランダは、20世紀の本当に偉大な舞台美術家の一人でした。彼女が振付家と行う仕事は、発明的で、特別な空気を作り上げ、そしてインスピレーションを与えるものでした。ケネス・マクミランが自分の作品の多くについて、彼女にデザインを依頼したのは、彼女の才能に対する彼の信頼の表れです。彼女は、彼のクリエイティブなプロセスにおいて、特別な部分を担っていました」

アンソニー・ダウエルは、ソナベントとの仕事についてこのように語りました。「私の『白鳥の湖』のプロダクションにおけるヨランダのデザインは、伝統的な形を壊し、バレエを視覚的に新しい高みへと到達させました。私は、彼女のデザインがこのプロダクションを非常にユニークなものにしたと思っています。彼女との仕事は信じられないほど素晴らしく楽しい経験でした。彼女の家を訪ねてデザインが形となっていくのを見るたびに、彼女の自由奔放な想像力がそれを進化させていくところを楽しみにしていました。彼女がいなくなって非常に寂しい」

ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」映画館上映

映画館で上映された、ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」を観に行きました。TOHOシネマズ日本橋は、平日の昼間ですが7割くらいは入っていたでしょうか。

http://roh2015jp.wix.com/cinemaseason

Juliet Sarah Lamb ジュリエット サラ・ラム

Romeo Steven McRae  ロミオ スティーヴン・マックレー

Mercutio Alexander Campbell  マキューシオ アレクサンダー・キャンベル

Tybalt Gary Avis  ティボルト ギャリー・エイヴィス

Benvolio Tristan Dyer ベンヴォーリオ トリスタン・ダイヤー

Paris Ryoichi Hirano  パリス 平野亮一

Lord Capulet Christopher Saunders  キャピュレット公 クリストファー・サウンダース

Lady Capulet Elizabeth McGorian  キャピュレット夫人 エリザベス・マクゴリアン

Escalus (Prince of Verona) Bennet Gartside  ヴェローナ大公 ベネット・ガートサイド

Rosaline Lara Turk ロザライン ララ・ターク

Nurse Genesia Rosato 乳母 ジェネシア・ロサート

Friar Laurence Alastair Marriott ローレンス神父 アラステア・マリオット

Lord Montague Alastair Marriott モンタギュー公 アラステア・マリオット

Lady Montague Sian Murphy モンタギュー夫人 シアン・マーフィー

Juliet’s Friends Elizabeth Harrod, Meaghan Grace Hinkis, Fumi Kaneko, Emma Maguire, Yasmine Naghdi, Romany Pajdak 
ジュリエットの友人 エリザベス・ハロッド、ミーガン・グレース・ヒンキス、金子扶生、エマ・マグワイア、ヤスミン・ナグディ、ロマニー・パジャック

Three Harlots Itziar Mendizabal, Olivia Cowley, Helen Crawford 
3人の娼婦 イツィアール・メンディザバル、オリヴィア・カウリー、ヘレン・クローフォード

Mandolin Dance James Hay, Luca Acri, Kevin Emerton, Paul Kay, Fernando Montaño, Marcelino Sambé 
マンドリン・ダンス ジェームズ・ヘイ、アクリ瑠嘉、ケヴィン・エマートン、ポール・ケイ、フェルナンド・モンナーニョ、マルセリーノ・サンベ

Ballroom Guests and Townspeople Artists of The Royal Ballet

本編上映前に流れるメイキング映像。その中で、サラ・ラムが語った言葉「シェイクスピアは、ジュリエットを最初のフェミニストとして描いたのかもしれない。彼女は、父親に従わないばかりか、社会のしきたり、社会を作り上げているルールやコンセンサスももすべて拒絶しているのだから」が非常に印象的だった。

サラ・ラムの知的なジュリエットが圧倒的に素晴らしかった。とても聡明で時には頑固、自分の運命を自分で選ぶ強さを持っていたジュリエット。取ってつけた演技ではなくて、自分なりのジュリエット像をそのまま生きているような感じで非常に自然。その自然な中で、恋する瞳、燃え上がる情熱、ひたむきさ、自分が選ぼうとしている運命に対する慄きながらの決意が感じられた。あっという間に人生を駆け抜けたジュリエットさながらに、ものすごい速さで大人の階段を駆け上がっていったジュリエット。まるで、封建的な社会に戦いを挑んでいるような、マララ・ユスフザイのような女の子。輝く金髪と、きらきらと光る瞳は、暗い時代に差し込むような一条の綺麗な光に見えた。キャピュレット家とモンタギュー家の対立だけでなくて、世界のあらゆる対立、憎しみ、そういった連鎖を断ち切りたいような強い意志が見えた。

でも、ジュリエットは14歳の少女。パリスとの結婚を強いられそうになって、強く拒絶しながらもおびえている彼女の姿に、おもわず落涙した。「泣いているだけの子じゃないの」と映像でサラが語っていたように、ジュリエットは泣いた後もしっかりと行動をするのだけど。ロミオが死んでいることに気が付いた時の声なき叫び、躊躇なく死を選ぶ決意。感情豊かで、本当に強くて賢くて美しい彼女が死ぬしかなかったという悲劇に胸をふさがれる。

マクミランの「ロミオとジュリエット」のジュリエットの演技では、何が何でもロミオと一緒になりたいという強い想いを持ったジュリエットが、ベッドの上で正面を見据え、微動だにしないでいるシーンが最も印象的。前を見ているだけなのに、その中で決意を固めて行って行動を起こすまでの感情の揺らぎが、大げさな表情を見せるわけでもないのに繊細に表現されていた。

マックレーのロミオは、やはり映像で「少年少女の恋愛」と言っているように、非常に若々しい。彼のロミオはちょっとやんちゃで、2幕のソードファイトの前でも、何回もティボルトを挑発していたり、喧嘩っ早い印象。そういう意味で、聡明なジュリエットとは少しバランスが悪いのかもしれない。吉田都さんと日本公演で共演した時よりは成熟しているけど、疾走感のある動き、竜巻のような回転、目にも止まらないような高速シェネ、恋の高揚感は十分見せてくれている。ただ、このペアは、お互いソロを踊っている時の方が良いかもしれない。お互いの感情はもちろん行き来していて情感豊かなのだけど、1+1が3になるようなケミストリーまではなかった。相手を目立たさせて自分はサポートに入るような受けの演技はマックレー、上手いのだが。バルコニーシーンでの、ロミオが膝立ちになってジュリエットを持ち上げるリフトは、両腕だけでリフトしてくれたら嬉しいのだけど、それはやはり難しかったか。

非常に足捌きがクリアでテクニックのあるアレクサンダー・キャンベルのマキューシオ、ジュッテの時の伸びた脚が美しいトリスタン・ダイヤーのベンヴォーリオ。マックレーと身長も同じくらいで、3人が踊る「3バカトリオダンス」の時にも息が合っており、仲良し3人組なのが感じられてとても良かった。ひょうきんなキャンベル演じるマキューシオが愛嬌あるだけに、その死はロミオにとってはショックだっただろう。

そして「ロミオとジュリエット」に欠かせないのが、ギャリー・エイヴィスのティボルト。単なる卑怯者ではなく、たまらなく魅力的なセクシーな男で、キャピュレット夫人が想いを寄せるのも無理はない。ロミオに挑発されてもあまり手を出さない大人の部分もある。ソードファイトではあくまでも激しく、ロミオにとびかかるし、目を開けたままの堂々の死にっぷりもカッコいい。彼は死ぬつもりではなかったのだろう。

パリスを演じたのは平野さん。端正な貴公子ぶりで好男子なだけに、ジュリエットに拒絶されてしまうのが気の毒。少し鈍感に見えるところがあって、激しく彼女に拒絶されたところで気が付いて傷ついている様子を見るのはつらかった。

ロイヤル・バレエは、素晴らしいキャラクターアーティストに恵まれているので、このような演劇的な作品はとても見ごたえがある。さらに、ダンサーたちも一人一人のキャラクターとして存在して、それぞれの人生を生きているように見える。カメラがたまに脇役の姿を捉えるけれど、彼らも皆役に入り込んでいるのだ。

脇役の中でも、ジュリエットの友達の一人だった金子扶生さんの美しさは目を引いた。2幕の結婚式のシーンに出てくる花婿は注目のジュリアン・マッケイ、花嫁はカツラチサトさん、二人とも今年入団したばかりだ。

マクミラン版の「ロミオとジュリエット」を上演しているカンパニーの多くは、より簡素なピーター・ファーマーによる装置を使っているところが多いが、重厚なニコラス・ジョージアディスの装置や衣装を観ると、やはりここが本家だということを実感する。

休憩時間に流れた映像では、ダーシー・バッセルが、「ロミオとジュリエット」の初演でヌレエフらと役を分け合ったドナルド・マクリアリーと対談した。マクミランの「ロミオとジュリエット」は、初演されてから50年という記念の年だ。引退後もロイヤル・バレエでバレエ・マスターをつ解けていたというマクリアリ―は、非常に上品な老紳士。バルコニーシーンのロミオのヴァリエーションは非常にハード。あるダンサーが、どうしても途中で止まってしまうので、止まらないように、と指示したところ、彼は踊り終えた後ピアノの後ろに行って吐いた、というエピソードを披露した。
また、作曲をしたセルゲイ・プロコフィエフの孫も登場して、エピソードを披露した。プロコフィエフは、ボリショイでラヴロフスキーが振付けたロミオとジュリエットのために作曲したのだが、当初は、プーシキンの物語に曲をつける予定だったとのこと。

このように、インタビュー映像も非常に充実しているロイヤル・バレエの映画館上映は、大変よくできていて、世界中で上映されていて、ロイヤル・バレエの名前を高めている。

キャスト表、作品紹介、映像などたくさんの資料が収められているデジタルプログラムも、無料でアクセスできる。(プロモコードがあるのでそれを入力してアクセス)
http://www.roh.org.uk/about/bp-big-screens/free-digital-programmes

来年の来日公演も「ロミオとジュリエット」「ジゼル」が予定されているので、非常に楽しみ。

マリインスキー・バレエ2015 来日記者会見

マリインスキー・バレエの来日記者会見が11月25日に、文京シビックホールにて行われました。

http://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1661

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参加したのは、舞踊監督ユーリー・ファテーエフ、 ウリヤーナ・ロパートキナ、エカテリーナ・コンダウーロワ、クリスティーナ・シャプラン、マリーヤ・シリンキナ、ウラジミール・シクリャローフ、ティムール・アスケロフ、キミン・キム、ザンダー・パリッシュです。(リハーサルのためにロパートキナは途中退出し、入れ替わりにコンダウーロワが入りました)

朝のクラスレッスンに続き、リハーサルが行われており、リハーサルが終わった人たちから順番に入ってきたという感じです。リハーサル後なだけに、皆さん比較的ラフな服装。

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ファテーエフ
「今回は日本で愛されている『白鳥の湖』や『ロミオとジュリエット』に加えて、バランシンの『ジュエルズ』、そしてマリインスキー・バレエとしては初めて日本で上演する『愛の伝説』の公演を行います。地方公演には出演できなかったテリョーシキナも、遅れてですが今日来日し、予定された公演を以降はすべて踊ります。また、コンダウーロワも怪我をしていたのが治り、当初予定されていた演目を踊ることになりました」
「ナタリア・マカロワが11月21日に75歳の誕生日を迎えました。記念すべきお祝いを日本で行ってほしい、とわざわざ来日することになりました。12月2日の『ロミオとジュリエット』公演で祝います」

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ウリヤーナ・ロパートキナ
「日本で踊ることをとても嬉しく思います。日本では伸び伸び踊ることができます。特に今回初めて持ってくる『愛の伝説は最も好きな作品で、情熱的な女性を演じます。主人公が3人いる作品なので、3人で作っていきます。一人ではなくて、3人でやり取りできることもうれしいです。日本の皆さんの心に届くことを心から願っています」

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クリスティーナ・シャプラン
「ワガノワアカデミーの『くるみ割り人形』で来日をしたことはありますが小さかったのであまり覚えていません。今回は初来日ではないものの、フレッシュな気持ちです。日本の文化は、いろんな色が見えて、とても惹かれます」

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マリーヤ・シリンキナ
「来日は3回目ですが、『ロミオとジュリエット』『愛の伝説』と大きな演目の主役を演じることができるのは初めてです。日本の観客はバレエを愛しているし目も肥えています。観客の愛情を感じるので踊りがいがあります」

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エカテリーナ・コンダウーロワ
「怪我から復帰して、今回がカムバック公演になります。大切な復帰の舞台が日本というのが嬉しいです。周りの人たちのサポートを強く感じ、嬉しいプレッシャーを日々感じています」

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ウラジーミル・シクリャーロフ
「ツアー演目の中に『愛の伝説』が入っているのが嬉しいです。さらに、これが東京文化会館で上演されて、自分がその公演でフェルハド役を踊ることができるのが嬉しいです。マリインスキー・バレエでは13年間踊っていますが、『愛の伝説』が外に出たのは今回が初めてなのです。私が主役の日でも、そうではない日でも、大好きな演目なのでぜひ観てくださいね」

(『愛の伝説』は37年前にボリショイ・バレエが来日公演で上演していますが、マリインスキー・バレエでの日本公演は初めて。グリゴローヴィッチが、マリインスキー・バレエのために振付けた作品)

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キミン・キム
ロシア語であいさつ。「3年前にマリンスキーに入団して、ツアーで初めて訪れた国が日本でした。『ロミオとジュリエット』のマキューシオ、『白鳥の湖』のジークフリート、そして『ジュエルズ』のルビーと好きな役を踊ることができるのはうれしいです」

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ティムール・アスケロフ
「来日は5度目です。日本食が大好きで文化も大好きですし、観客も大好きです。コンダウーロワ、シャプランという素晴らしいバレリーナと踊るのでぜひお越しください。今回も心をこめて、全員が力を出してハイクラスのステージにします」

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ザンダー・パリッシュ
(ロシア語であいさつするようにと言われロシア語で)「日本に最後に来たのは7年前、ロイヤル・バレエ時代のおことです。日本人はとてもバレエを愛してくれています。。今回はマリインスキー・バレエのメンバーとして来日し、『白鳥の湖』『ロミオとジュリエット』を踊ることができ、感激しています」

ここで質疑応答となりました。

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Q 「ここ10年くらいで他のバレエ団に移籍してしまうダンサーや、ワガノワアカデミーを卒業しても他のバレエ団には行ってしまう人が増えていますが、マリインスキー劇場には何か問題があると思われていますか?」

ファテーエフ
「バレエ芸術はロシアに限らずちょっとした危機を迎えていて、それは世界中に蔓延しています。世界中のバレエ団において、今はロシアや旧ソ連出身の人が多くなっています。過去も今も、私たちは芸術のレベルを高く保ち続けたいと思っています。マリインスキーではコール・ド・バレエを踊っていたダンサーがヨーロッパに行けば主役級になっていますが、彼らがマリインスキー劇場に残っていたらそうはいかなかったでしょう。

ワガノワの卒業生については、確かにマリインスキーに入団しない人は増えています。まだ若くて方向性が見えていないということもあります。シャプランも、数年かけてマリンスキーに戻ってきました。彼女にとってもやはり行きつくところはマリインスキー劇場、自分が成長できるところなのが年齢を重ねるとわかってきたと思います

マリインスキーは、出来あがったダンサーを買い取るということはしません。スターを自分たちで作っていくバレエ団です。パヴロワ、ヌレエフ、ニジンスキー、バリシニコフ、ウラノワなど歴史を見ていただければ、いかに素晴らしいスターを生み出してきたか、わかります。パリッシュはロイヤル・バレエではコール・ド・バレエでしたが、今や主役を踊るほど成長しました。キムは、すくすくと順調に育っていて素晴らしいです。マリインスキーでは、今日踊っている主役のさらに上を踊れなければ、主役にはなれないのです。マリインスキーの誇りとは、ここにいる全員が誇りなのです」

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Q「愛の伝説」が海外で今まで上演されなかった理由、そして今回日本で上演されることになった理由を教えてください。

「『愛の伝説』は規模の大きなバレエで、『白鳥の湖』や『ロミオとジュリエット』よりも出演者が多いのです。それだけでなく、主役が4人もいます。その4人のほかに、コール・ド・バレエの果たす役割が男女とも大きい。グリゴローヴィッチの盛り込んだ主役を飾るのが重要なのです。マリインスキー・バレエは、女性のコール・ド・バレエの質の高さで知られていますが、男性のコール・ド・バレエの実力も高いのです。ジャパンアーツと話し合って、敢えて誇りを持って持ってきました」

「マリインスキー・バレエでは、主役を踊る層が厚い。どのキャストを観ても満足できると思います。今回は満を持しての公演です。日本では今回踊られませんが、『ライモンダ』も最近はアメリカやドイツの公演で上演するようになっているのは、踊ることができるダンサーが多いからです。『愛の伝説』も、日本を出発点として世界で上演していこうと思います」


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Q 「今度WOWOWでマリインスキー・バレエ特集を行い、シクリャーロフが主役を務めている作品が多く放映されます。ところが最近、パリッシュが注目されていますが、シクリャーロフさんは焦っていませんか?」

シクリャーロフ
「ライバルがいることはとても大切です。アスケロフもキミンもいることはとても喜ばしいことですし、ザンダーも伸びてきたしもっと上に行くと思います。素晴らしいライバルがいることは、焦りというよりは大きな喜びです」

「マリインスキー・バレエのレパートリーはほとんど踊りました。何を踊るかというより、誰と踊るかということが大切だと思います。2人や3人で作っていくことが嬉しいですし、今回(夫人の)シリンキナと踊ることができるのも幸せです。どう表現していくのか、プロセスがとても面白いです。やってみたい演目は、これから初演される予定の2作品、クリストファー・ウィールドン振付の「不思議の国のアリス」と、「青銅の騎士」です。あと、マクミラン作品に興味があり、「マノン」「ロミオとジュリエット」「マイヤリング」を踊りたいと思っています」

ファテーエフ
「青銅の騎士」は、33年間踊られていなかった、ロスチスラフ・ザハロフ振付の作品で、このたび再上演されることになった作品です。マリインスキーのソリストでもある振付家で今回『愛の伝説』にも出演するユーリ・スメカロフが、オリジナル版に基づいてリニューアルします。デザインや衣装は新しくして、プーシキンの台本に基づき、ザハロフの振付を守りながら、新しいアイディアを入れて面白い作品にしていきます」

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Q。「シャプランさんは、ワガノワアカデミーを卒業した後、モスクワのバレエ団などに所属していましたが、マリインスキー・バレエに戻ってきた感想はいかがですか?」

「今ここで踊ることができる状況にあるのは幸せです。ここはまず先生が素晴らしいし、レパートリーも魅力的です。劇場も素晴らしいです。素晴らしい劇場だと感じています。マリインスキー・バレエに入団するには、アルティナイ・アスィルムラートワ先生の助言を頂くことができました。先生と研さんを積むことができたのも、とても幸せだと思っています」

ダンサーたちは「ジュエルズ」のリハーサルに戻っていきました。今回はかなり若いダンサーが中心となり、ベテランはロパートキナくらいとフレッシュな顔ぶれです。さらに、キミン・キム、ザンダー・パリッシュと外国人の団員の活躍も見られるようになりました。マリインスキーの東京公演、26日の「ジュエルズ」から始まりますが楽しみですね。


来日公演概要
http://www.japanarts.co.jp/mb2015/index.html

「ジュエルズ」
 11月26日(木) 18:30 文京シビックホール大ホール

「愛の伝説」
 11月27日(金) 18:30 東京文化会館
 11月28日(土) 13:00 東京文化会館

「ロミオとジュリエット」
 11月30日(月) 18:30 東京文化会館
 12月1日(火) 18:30 東京文化会館
 12月2日(水) 13:00 東京文化会館(平日マチネ公演)

「白鳥の湖」
 12月4日(金) 18:30 東京文化会館
 12月5日(土) 12:30 東京文化会館
 12月5日(土) 18:30 東京文化会館
 12月6日(日) 13:00 東京文化会館

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マリインスキー・バレエ ラ・バヤデール LA BAYADERE [DVD]
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ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」リハーサル中継

ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」のリハーサル中継がYouTubeで生中継されました。日本から視聴するのは難しい時間でしたが、アーカイブが残っています。

ローレン・カスバートソンとマシュー・ゴールディングの金平糖PDD、そして金子扶生さんとジェームズ・ヘイの1幕人形のPDDのリハーサル全編が視聴できます。ローレンも金子さんも美しい!

「ストラヴィンスキー・トリプル・ビル」 取材会(パート1)

11月28日の愛知公演を皮切りに、東京、熊本でも開催される「ストラヴィンスキー・トリプル・ビル」。

20世紀を代表する作曲家、ストラヴィンスキーに振付けた現代作品を、アレクサンドル・ザイツェフ、酒井はな、小尻健太、高比良洋など、気鋭のダンサーが踊ります。
http://stravinsky3.com/

「悪魔の物語(兵士の物語より)」(ユーリ・ン振付)「春の祭典」(ウヴェ・ショルツ振付)「火の鳥」(マルコ・ゲッケ)の3作品が上演されます。

「春の祭典」「火の鳥」の振付指導を行ったジョヴァンニ・デ・パルマ(「悪魔の物語」には出演)と、「悪魔の物語」振付のユーリ・ンを取材する機会がありました。この時のインタビューの模様をご紹介します。

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ジョヴァンニ・デ・パルマが語る、「火の鳥」と「春の祭典」

マルコ・ゲッケ「火の鳥」について

「ゲッケは、現代ヨーロッパで大変才能のある振付家の一人で、シュツットガルト・バレエの専属振付家としてスタートし、スカピノ・バレエ・ロッテルダム、そして今はNDT(ネーデルランドダンスシアター)の専属振付家として活動しています。私は彼の作品を踊り一緒に働く機会があり、今では世界中で彼の作品の振付指導を行っています」
「ゲッケはミニマリストです。美しいということを身体で表現する振付言語が強いだけでなく、震えるような小さな動きで作品のキャラクターを持って創作しています」

「『火の鳥』は2010年にスカピノ・バレエで初演され、日本でも、(アーキタンツの公演で)酒井はな、ロバート・テューズリーによって踊られました。ストラヴィンスキーの『火の鳥』のララバイとアポテオーズを使った美しい作品でした。」

ショルツの「春の祭典」について

デ・パルマ「この『春の祭典』ソロヴァージョンは私のために2003年に振付けられた作品です。ショルツは2004年に亡くなってしまったので、彼の仕事の遺産、最後の作品と言えると思います。この作品は、2つバージョンがあって、今回踊られるのは2台のピアノにアレンジしたものから作られました。バックグラウンドで、この作品を踊る私の映像が流れ、生身のダンサーとお互いにやり取りをします。2人だけど一人、というのを表現しています」

「ウヴェ自身、新しい経験として振付の世界を開拓した人でした。ピナ・バウシュの作品はタンツテアターと呼ばれていますが、ウヴェの作品は、バレエ・テアターと呼ぶべきものです。クラシック・バレエの言語を用いて、現代のダンスと融合させています」

「ウヴェの『春の祭典』は、男が一人ぼっちで部屋にいるところで、あらゆるドラッグ、セックスと言った強いイメージ、テーマを作品の中に取り入れて表現しています。男性のソロの中で、人生の中で苦悩する中であらゆるものを通して人生を振り返る、人生がたどり着くところを探求しながら苦悩していきます。観客にとっても、ダンサーにとっても限界まで感情を引き出すというところが、難しいところです。特別に強い感情を観客と共有できる作品です。ダンサーも心を揺さぶられながら演じています」

ショルツはどのような振付家でしたか?

「ウヴェ・ショルツの作品を、アーキタンツを通して日本で見せる機会があることに感謝しています。日本で自分の作品を上演したいとウヴェも思っていましたが、生きている間に来る機会がなかったので、今回とても感謝しています。彼の振付はとてもシンフォニックです。ラフマニノフ、ベルリオーズ、ベートーヴェン、モーツァルトといったクラシックの音楽を使っての全幕作品をつくった振付家です」

「ショルツは、ベルリオーズの音楽を作って『赤と黒』という、スタンダールの小説に基づいた全幕作品を創りました(以前、『グラン・ガラ』で上演され、アレクサンドル・ザイツェフが踊った)。豊かな音楽性があり、ダンサーをよく使いこなした作品です。この作品はチューリッヒ・バレエのために振付けられましたが、ここで2時間ものの全幕作品が上演されたのは、ジョン・クランコの作品以来のことでした」

「ショルツは、人間的であって感情を豊かに表現した振付家でした。ステップを重ねていくだけでなく、感情の意味をつけて行って、それはユーリの振付にも似ています」

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『春の祭典』のダブルキャストの二人のダンサーについて

『春の祭典」はとても難しいバレエで、35分のソロを踊るというスタミナ、体力的に非常にきついものです。アレクサンドル・ザイツェフというロシア人、そして高比良洋という日本人が踊り、二人とも私とは全然違います。振付指導では、それぞれのダンサーから、何を引き出すかということでやっています。二人とも、テクニックの強い美しいダンサーです。日本人から何かを引き出すのは難しいと思っていたけど、洋さんは、豊かな感情を出してくれて納得させてくれました。サーシャ(ザイツェフ)よりずっと若く、人生の経験というレベルが作品にどう反映するか、人生とどのように照らし合わせるか。若いからと言って経験が乏しいわけではなく、振付指導をしながら感動しています」

初演と今回の『春の祭典』上演形態について

「今回は、初演の時に踊った私の映像を、10メートルの大きさの背景に映しています。もともとは、3面に映写していましたが会場の都合でこうなりました。この映し出された映像とインタラクティブに踊るわけですが、初演では自分の映像をバックに私が踊りました。今回は、ウヴェの遺志を尊重して初演の映像を使います。今までは、ソロバージョンは私しか踊ってきませんでした。群舞が入るバージョンについては、音楽はオーケストラによる演奏で、木村規予香さんが選ばれし乙女役を初演で踊っています。こちらは、よりシンフォニックな作品で、同じく2003年に初演されています。映像は、ウヴェが自分で製作、編集して作りました。この映像はとても暴力的です」

「ショルツの『春の祭典』初演は同じストラヴィンスキーの音楽を使った、ソロバージョン(ピアノ2台演奏)とオーケストラヴァージョンを続けて上演しました。まるで違うスコアのように聞こえました。オーケストラは、ライプチヒのゲヴァントハウスオーケストラが演奏しました。今回は、ショルツが選んだ録音音源を使用します」

(ユーリ・ンのインタビューに続く)


『ストラヴィンスキー・トリプル・ビル』
現代バレエで見る、ストラヴィンスキーの音楽

プログラム:
マルコ・ゲッケ振付『火の鳥』のパ・ド・ドゥ
ウヴェ・ショルツ振付『春の祭典』
ユーリ・ン振付『悪魔の物語』(『兵士の物語』より)

出演:
アレクサンダー・ザイツェフ
ジョヴァンニ・ディ・パルマ
酒井はな
小尻健太
津村禮次郎
高比良洋

愛知公演
日時:2015年11月28日(土)15:00・19:00、29日(日)15:00
会場:愛知県芸術劇場小ホール
問合せ:愛知県芸術劇場
052-971-5609(10:00~18:00)

東京公演
日時:2015年12月8日(火)19:00、9日(水)19:00
会場:草月ホール
問合せ:スタジオ アーキタンツ
03-5730-2732(平日10:30~20:30/土日10:30~19:00)

熊本公演
日時:2015年12月12日(土)19:00
会場:熊本・市民会館崇城大学ホール
問合せ:熊本市文化事業協会
096-355-5235(8:30~19:00)

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「ストラヴィンスキー・トリプル・ビル」 取材会(パート2)

「ストラヴィンスキー・トリプル・ビル」取材の報告、次は「悪魔の物語」を振付けたユーリ・ンの話を中心にお届けします。

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ユーリ・ンのインタビュー

江上悠さんとのリ・クリエーション
「ストラヴィンスキーの『兵士の物語』を悪魔の視点に読み替えた『悪魔の物語』として振付けました。この作品は、2004年に愛知芸術文化センターのダンスオペラシリーズ第一弾として愛知で初演されました。振付については私からはあまり説明するつもりはありません。今回は、香港バレエ団に所属していた江上悠を振付パートナーに迎えてのリ・クリエーションとなりました」

「いつも私は、これが最後の振付作品になるかもしれないと思っていたので、自分一人で創りつづけるというより、新しい振付家と仕事をすることで、どのような影響があるのかということで、江上さんをパートナーに迎えてやってみました。ウヴェ・ショルツは亡くなってしまいましたが、彼の死後彼の作品が継承されていることはとてもうらやましく思います。自分が死んだ後も、自分の作品を見ていてくれる人がいればいいなと思うし、あの世から自分も修正も加えたいなと思います。私の遺志を継承してくれる人がいてくれたらいいなという思いです」

「江上さんとは、芸術的な感性が似ています。今回の改訂版では、基本的に江上さんが新しい振付や新しいステップをつくっています。なぜその振付にしたのか、なぜそのステップにしたのか、江上さんが創る新しい動きの意味をすぐ理解することができるほど、私は彼を信頼しています。また、江上さんは音楽性が優れており、興味深いところでアクセントを取りますが、音の意味あいなども、自分の感覚と違っていて勉強になります」

「2004年の初演の時には、『兵士の物語』の物語を説明するためにはテキストをナレーターが読む形をとりました。今回は、ナレーションはなくして、テキストをビデオで投影します。それも単なる字幕ではなくて、ダンサーが踊っている場面に合わせて流れるような形のものです」

スタイルを変えて上演し続けられる作品
「テキストについては、兵士から悪魔の視点へとリライトしました。もとのテキストは、フランス語のテキストを日本語に訳した、活弁士の沢登翠さんによるもので、これをさらに編集しています。また、香港シンフォニーオーケストラと共演する香港バージョンが来年2月に上演される予定です。ダンスオペラバージョン、コンサートバージョン、そして今回のダンスバージョンと、ひとつの作品をスタイルを変えて上演し続けています。」

キャスティングについて
「ジョヴァンニを悪魔役に抜擢したのは、江上さんのアイディアです。2日前に初めてジョヴァンニに会ったのですが、彼には悪魔的な素質がありますね。小㞍健太さんが若い兵士、津村禮次郎さんが年老いた兵士、酒井はなさんがプリンセスというのが当初のキャスティングでした。これを変えてみてもいいかもしれないと江上さんと話しています。江上さんは自分の発想と違っているので、彼と仕事をすることで次世代のことを学べた気がします。」


<リハーサル見学>
今回、「火の鳥」「春の祭典」の通しリハーサル、そして「悪魔の物語」は少しだけ振付指導を観ることができました。「火の鳥」はすでに完成度が高く、酒井はなさんの磨き抜かれ、研ぎ澄まされた動きが実に美しかったです。奇妙な動きが多いマルコ・ゲッケの作品ですが、はなさんが踊ると、これもまた非常に凛としていて、何とも言えない少し切ない余韻を残してくれます。アレクサンドル・ザイツェフとのパートナーシップも素敵。

「春の祭典」は35分間、ノンストップで踊られるソロ作品です。この日のスタジオが狭くて、ザイツェフは思うように大きく動けなかったようですが、それでも、ボリショイ、シュツットガルトで活躍した彼の見事なテクニック、柔らかくて大きな跳躍、スピード感と音楽性を堪能できました。そして先のインタビューでジョヴァンニが言っているように、この作品はコンテンポラリーのソロではありますが、一人の男の内面をさらけ出す作品なので、ドラマティックな表現力が必要となっています。苦悩や情熱を迸らせていたザイツェフの熱演は凄まじくて、この35分間の間に精魂も尽き果ててしまいそうですが、彼のスタミナもものすごいのです。30代後半とは思えないパワーと正確なクラシックテクニックの中に、感情も強く見せていくのは、ドラマティックバレエにも定評があったザイツェフならでは。きっと舞台で観たら、観る者に強烈な感動を伝えてくれることでしょう。

ストラヴィンスキーの世界を再生した、トリプルビル、絶対に見逃せません。この週末での愛知公演は、3回公演がほぼソールドアウト(日曜日の公演は完売)で、観客の反響も非常に大きかったようです。

http://stravinsky3.com/

『ストラヴィンスキー・トリプル・ビル』
現代バレエで見る、ストラヴィンスキーの音楽

プログラム:
マルコ・ゲッケ振付『火の鳥』のパ・ド・ドゥ
ウヴェ・ショルツ振付『春の祭典』
ユーリ・ン振付『悪魔の物語』(『兵士の物語』より)

出演:
アレクサンダー・ザイツェフ
ジョヴァンニ・ディ・パルマ
酒井はな
小㞍健太
津村禮次郎
高比良洋

東京公演
日時:2015年12月8日(火)19:00、9日(水)19:00
会場:草月ホール
問合せ:スタジオ アーキタンツ
03-5730-2732(平日10:30~20:30/土日10:30~19:00)

熊本公演
日時:2015年12月12日(土)19:00
会場:熊本・市民会館崇城大学ホール
問合せ:熊本市文化事業協会
096-355-5235(8:30~19:00)


ロベルタ・マルケスがロイヤル・バレエを退団

ロイヤル・バレエのプリンシパル、ロベルタ・マルケス。K-BALLET COMPANYの公演にもよくゲスト出演していたので、日本の観客にもおなじみの、愛らしいダンサーです。

最近ロイヤル・バレエでの出番がめっきり減ってしまって多くのファンが心配していましたが、その心配が現実となってしまいました。12月2日の「ロミオとジュリエット」最終日が、彼女のロイヤルでの最後の公演となってしまうことが発表されています。

http://www.roh.org.uk/news/roberta-marquez-to-leave-the-royal-ballet

ブラジルのリオ・デ・ジャネイロに生まれたマルケスは、ブラジルのMunicipal Theatre Balletに1994年に入団。2002年にはプリンシパルに昇進し、2003年にはABTの「ラ・バヤデール」にニキヤ役でゲスト出演しています。2001年に、同じくロイヤル・バレエにのちに移籍したティアゴ・ソアレスとモスクワ国際コンクールに出場し、銀メダルを受賞しました。

2004年にロイヤル・バレエにプリンシパルとして移籍。オデット/オディール、ジュリエット、ニキヤ、「コッペリア」のスワニルダ、ジゼル、マノン、「オネーギン」のタチヤーナなど古典やアシュトン、マクミラン作品を中心に演じました。K-BALLET COMPANYには、「ロミオとジュリエット」や「カルメン」などで最近でもゲスト出演しています。

特に「ラ・フィーユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)」のリーズ役は、彼女のコメディエンヌとしての魅力が生きる当たり役で、彼女がスティーヴン・マックレーと共演した映像は映画館中継されています。

マルケスは、2016~17シーズンに一演目ロイヤル・バレエにゲスト出演して、正式なさよなら公演とする予定と、ロイヤルの芸術監督のケヴィン・オヘアは語っています。

引退するわけではないようなので、また舞台で観られる可能性はありますが、残念ですね。

NHK-BSプレミアムで、マリインスキー・バレエ「アンナ・カレーニナ」放映/WOWOWのマリインスキー・バレエ特集

NHKの番組表が更新されていて、早くも来年1月の番組放送予定が出ていました。一年が早かったですね…

その中で、BSプレミアムのプレミアムシアターで、マリインスキー・バレエの「アンナ・カレーニナ」が放映される予定になっています。
http://www.nhk.or.jp/bs/lineup/pdf/bsp_nextmonth.pdf

アレクセイ・ラトマンスキー振付、ウリヤーナ・ロパートキナとアンドレイ・エルマコフ主演の作品で、前回のマリインスキーの来日公演で上演されましたね。

同時に放映されるサンクトペテルブルク白夜祭は、バレエ・リュス三作品です。指揮はゲルギエフで、コンダウーロワ主演の「火の鳥」、ニジンスキー版「春の祭典」と、ニジンスカの傑作「結婚」。DVD化されてますが、なぜかDVDには「結婚」は収録されていないので、見逃せません。楽しみですね。

放送日:2016/1/31(日)24:20~28:20

NHK-BSプレミアム プレミアムシアター
マリインスキー・バレエ
 「アンナ・カレーニナ」
サンクトペテルブルク白夜祭2008
(「火の鳥」「春の祭典」(ニジンスキー振付、ホドソン復元版)「結婚」)

※予告無く放送内容・時間が変更されることがあります


なお、WOWOWでも、2016年1月と3月に「ロシア名門マリインスキー・バレエの世界」と銘打って、マリインスキー・バレエの特集を放映します。
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/107891/index.php

「ラ・バヤデール」
1/9(土)午後3:00
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/107891/index.php

2014年7月
ロシア・サンクトペテルブルク マリインスキー劇場

出演
ヴィクトリア・テリョーシキナ (ニキヤ)
アナスタシア・マトヴィエンコ (ガムザッティ)
ウラジーミル・シクリャローフ (ソロル)
ウラジーミル・ポノマリョフ (大僧正)

「ロミオとジュリエット」
1/9(土)午後5:15
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/107891/index.php

2013年2月28日、3月1日
ロシア・サンクトペテルブルク マリインスキー劇場

出演
ディアナ・ヴィシニョーワ (ジュリエット)
ウラジーミル・シクリャローフ (ロミオ)
イリヤ・クズネツォフ (ティボルト)
アレクサンドル・セルゲーエフ (マキューシオ)

さらに、以下の番組が予定されています。

「イワンと仔馬」   2016年3月放送予定
「眠れる森の美女」   2016年3月放送予定


そして注目の番組がこちら

ノンフィクションW ワガノワ 名門バレエ学校の秘密
~くるみ割り人形への110日~

1/30(土)午後1:00

長い歴史と伝統を持つアカデミーに密着取材を敢行。世界に羽ばたくトップダンサーたちを育てるアカデミーの内部に迫る。
2016年1月にクリスマス公演と同じ演目「くるみ割り人形」を携えて日本ツアーを行なうワガノワ・バレエ・アカデミー。その裏側を垣間見ることのできるチャンス。番組では約110日間、ロシア・サンクトペテルブルクにあるワガノワ・バレエ・アカデミーに密着する。卒業生の証言などを交えてその歴史を紐解きながら、次のスターを目指す少年少女たちの様子を紹介。彼らの教師で、将来の“スター性”を見極めるニコライ・ツィスカリーゼ校長の熱くも冷静な指導ぶりも必見。

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Google Cultural Instituteで世界の舞台を体験しよう

世界中の美術館やアーカイブから展示やコレクションを検索することができるGoogle Cultural Instituteに多くのコンテンツが追加されました。

https://www.google.com/culturalinstitute/

その中のPerforming Artsセクションでは、世界中の劇場の中を探検したり、貴重な所蔵物の画像を見たりすることができます。

https://www.google.com/culturalinstitute/project/performing-arts

パリ・オペラ座、カーネギーホール、ベルリン・フィル、シャンゼリゼ劇場、ボリショイ劇場、リンカーンセンター、サドラーズ・ウェルズ、フランス国立衣装センター、モネ劇場、ウィーン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ケネディセンター、サンパウロのTheatro Municipal…舞台裏など劇場の中の様子や舞台写真、映像、衣装などなど、いくら時間があっても足りないほどたっぷりのコンテンツが用意されています。ABT、ナショナル・バレエ・オブ・カナダなどのバレエ団や、エクサン・ブロヴァンス演劇祭、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなどのコレクションも。

Google Cultural Institute Puts Us All Onstage
http://www.nytimes.com/2015/12/02/arts/music/google-cultural-institute-puts-us-all-onstage.html

中でも注目されるのは体験型のコンテンツ。カーネギーホールでは、フィラデルフィア管弦楽団がグリーグの「ペール・ギュント」を演奏している最中に紛れ込む体験ができます。また、パリ・オペラ座のコンテンツでは、ガルニエの屋上に上る体験もできるし、バンジャマン・ミルピエの「Clear, Loud, Bright, Forward」を踊っているダンサーたちの間に立って至近距離でダンスを観るという体験もできます。視点を360度動かすこともできます。

Clear, Loud, Bright, Forward 360°
https://www.google.com/culturalinstitute/asset-viewer/clear-loud-bright-forward-360%C2%B0/wwHRJ0fcYowo8w?projectId=performing-arts

これはGoogle Mapsのストリートビューに装備されているズーム機能を応用した技術だそうです。このように舞台映像だけでなく、たとえばウフィツィ美術館のバーチャルツアーのように、美術館の中をバーチャルで歩き回る体験も可能となっています。劇場においては、特定の座席から舞台がどのように見えるかというようなことも見せることができます。

パフォーミングアーツの客層を広めるためには、このような技術をどんどん取り入れていくことも大切な時代になっていきました。バーチャルで体験して、次は劇場で実際に体験する、そういう流れになっていけばいいなと思います。

パリ・オペラ座の入場時の注意について(テロ対策)

11月13日に起きたパリ同時多発テロは、世界中に大きな衝撃を与えました。特に、ロックバンドによるコンサートが上演中だった劇場「ルバタクラン」で100人以上と大勢の死者が出たことは、エンターテインメントを愛する人たちにとって大きなショックを与える出来事でした。

首謀者の死亡が確認されたりしているものの、フランス軍が「イスラム国」拠点を空爆したりしているため、フランスはテロ直後に出した非常事態宣言を3か月延長しているなど、警戒態勢を続けています。

そんな中、テロ翌日のパリ・オペラ座でのオペラの上演は中止されましたが、11月17日に無事に「ラ・バヤデール」はバスティーユで初日を迎え、さらに12月3日に「ウィールドン、マクレガー、バウシュ」がガルニエで開幕しました。

12月は例年、パリに多くの観光客が訪れる時期で、人気の高い古典全幕も上演されています。オペラ座のバレエを観に日本からパリに渡航する予定の方も多いことでしょう。このような事態なので、渡航をキャンセル、延期する方も多いかと思います。が、もし、パリでオペラ座で観劇される場合には、観客への注意事項を、オペラ座が発表しています。こちらの注意事項を留意されると良いかと思います。

Message to spectators of the Paris Opera
https://www.operadeparis.fr/en/message-to-spectators-2

オペラ座のアーティストたちは、技術スタッフや管理部門のスタッフと共に、11月13日のテロ攻撃の犠牲者の方々に哀悼の意を捧げ、犠牲者のご家族や関係者の悲しみを分かち合います。

芸術、文化、音楽とダンスは、野蛮さに対する私たちの価値を守るものであるため、追悼のための週末を終え、公演は11月17日より再開しました。

安全のための手段は補強されています。劇場に入場する前には、チケットの確認やカバンの中身の確認などのスクリーニングが行われ、金属探知機を持った警備員がすべての入り口に配置されています。観客の皆様は、公演開始の30分前には到着してチケットもしくは引換証を検査員に提示いただけますよう、お願いします。

館内、クロークに荷物や旅行鞄を持ち込むことはできません。

劇場の扉は、公演開始15分後には閉じられます。

ご協力に感謝します。

11/19, 21 ナショナル・バレエ・オブ・カナダ「冬物語」

11月19日よりトロントに行って、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの「冬物語」を観に行きました。

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ロイヤル・バレエで2014年に初演されたクリストファー・ウィールドン振付作品だが、これはナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作で50%ずつ出資されており、北米での上演権はナショナル・バレエ・オブ・カナダは持っている。(日本での上演権は、ロイヤル・バレエが持っているようだ)

https://national.ballet.ca/Productions/On-Tour/Winters-Tale-Washington-2016

Choreographer: Christopher Wheeldon
Staged by: Jacquelin Barrett Anna Délicia Trévien
Music: Joby Talbot
Designs: Bob Crowley
Lighting Design: Natasha Katz
Projection Design: Daniel Brodie
Silk Effects Design: Basil Twist

Leontes Evan McKie エヴァン・マッキー 
Hermione Jurgita Dronina ユルギータ・ドロニナ
Perdita Rui Huang ルイ・フアン
Florizel Skylar Campbell  スカイラー・キャンベル
Polixenes Brendan Saye ブレンダン・セイ 
Paulina Svetlana Lunkina スヴェトラーナ・ルンキナ
Antigonos Jonathan Renna  ジョナサン・レンナ
The Shephard Donald Thom  ドナルド・トム
Brother Clown Kota Sato 佐藤航太

エドワード・ワトソン、ローレン・カスバートソンが主演したロイヤル・バレエの「冬物語」は、映画館上映でも観ているし、NHKで放映されたりDVDにもなっているので、記憶に新しい方も多いだろう。映画館で観たときは、キャストはとても豪華だし、ドラマティックで息詰まる展開の1幕はとても面白いと感じたものの、主人公が変わり踊りがたくさん盛り込まれた2幕が単調で退屈だし、音楽も今一つアピールするものがないし、3幕はあっという間に終わってしまうし、という不満があった。

でも、この作品、生で観ると非常に面白い。クリストファー・ウィールドンは、一つ一つの動きで、この複雑な物語を饒舌に語っていく振付の手腕を見事に発揮している。シンプルでスタイリッシュな舞台装置と効果的なプロジェクションマッピングによっても、さらに物語は伝わりやすくなった(熊によって侍従長のアンティゴノスが食い殺されるシーンだけは、何度見ても不思議だが)。ナショナル・バレエ・オブ・カナダは、1月にワシントンDCへのツアーでもこの作品を上演するので、ツアー向きのプロダクションだし、いつかロイヤルでもカナダでも、ツアーで日本に持ってきてほしいものだと感じた。音楽も、ミュージシャンたちは衣装を着けて舞台上に上がって演奏するので、音がダイレクトに伝わってくるし、民族音楽的というかエキゾチックでライブ映えする音楽だった。


シェイクスピアが原作。仲の良い二人、シチリア王のレオンテスと、ボヘミア王ポリクセネス。シチリア王妃のハーマイオニーはレオンテスとの間に王子がいて、彼女は二人目の子供を身ごもっているが、レオンテスは彼女とポリクセネスの仲を怪しみ、王妃を投獄。子供が生まれると家臣に捨てるように命じる。ハーマイオニーの悲しみを見て病気になった王子が死んでしまい、さらにハーマイオニーもショックで死んでしまう。捨てられた王女パーディタは羊飼いに育てられ、16年が経つ。パーディタは平民の姿をしたポリクセネスの息子フロリゼルと恋におちる。羊飼いの少女との結婚を父ポリクセネスに反対されたフロリゼル。そしてパーディタは、自分を捨てた父親に再会する。そして一つの奇跡が起きる。

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ロイヤル・バレエの映像ではエドワード・ワトソンが演じたシチリア王レオンテスは、エヴァン・マッキーが演じた。立派な王であり、妻と息子を深く愛していたのに、ふとしたことからハーマイオニーを疑い、嫉妬心に囚われ、やがて狂気に陥って妻子を死なせてしまい、生まれた子供までも捨ててしまう男。ハーマイオニーがお腹の赤ちゃんをポリクセネスに触らせたことがきっかけで、彼の精神が徐々に猜疑心にむしばまれて崩壊していく様子が、一つ一つの身体の動きや視線で細やかに表現されていく。やがて彼女とポリクセネスが愛し合っているという妄想まで抱くようになった彼は、エロティックな姿態の彫刻越しにその妄想を、嫉妬に燃えながら覗き見る。天に突き刺さるような高いアラベスク、切り裂くような跳躍で激しい怒りをさく裂させる。しかし、レオンテスはただの怪物ではない。王の威厳ある仮面の下に人間としての弱さを抱え、深く妻を愛していたがゆえに、そして彼女を信じていたがゆえに、さらに疑惑の相手が親友であったポリクセネスであったがゆえに、その現実を直視できずにあまりにも激しい感情の嵐の中に自分を置いてすべてを破壊してしまったのだった。彼を狂わせたのは嫉妬心だけではない。友達に裏切られた悲しみ、王としての重圧。その重層的なキャラクターの心の襞を、マッキーは細密に、そして長い肢体でエキセントリックに表現した。ウィールドンがこの役に与えた身体表現の言語は非常に的確で、マッキーは自身の肉体を楽器としてそれを自分自身の感情として、果敢に発露させたのである。そして、愛する者すべてを失って初めて、彼は自分の犯した罪の深さに気づき、深い後悔の中に沈むのだった。侍女ポーリーナの腕の中で、無力な赤ん坊のように横たわるレオンテス。

ハーマイオニー役は、オランダ国立バレエより今シーズン移籍したユルギータ・ドロニナ。テクニックの強さで知られているが、若いながらも演技力にも優れたバレリーナだ。ハーマイオニーは、ただの無実の罪を着せられて死んでしまう悲しい犠牲者ではない。母としての強さ、女性としての強さを持っている誇り高い王妃である。潔白なのに疑われてしまった悲しみ、子供を奪われた悲しみ、その中でも夫を信じようとする気持ち。白いドレスに身を包んで凛と立つその姿に、抑えた中での強い想いが伝わってきて胸を引き裂かれそうになる。そして、その彼女の強さがあったからこそ、16年後に奇跡が起きたのだった。これだけの罪深いことをした夫を彼女は許せるのか?この問いに対して彼女が出した答え、これは演じる人の解釈によってもそれぞれ異なっているものだと思われる。ドロニナ演じるハーマイオニーの出した答えは、「赦す、でも、彼のしたことは決して忘れない」

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そしてこの作品のカギを握る重要な存在が、侍女であるポーリーナ。正気を失ったレオンテスをたしなめ、すべてを失った彼を責めながらも、受け入れる。赤ん坊を捨てに行った夫アンティゴノスを殺されながらも、彼女はずっとレオンテスを支え、大きな愛ですべてを包み込んで奇跡を呼び込む。ある意味、この作品の主役は、ポーリーナと言っても良い。そしてポーリーナを演じたのは、スヴェトラーナ・ルンキナ。忠実な家臣としての厳しさ、女性としてレオンテスに対して怒りを向けながらも、彼女は16年間もの間彼に仕え、多くのものを与え、そして同時にハーマイオニーを隠し通して守り抜く。守護天使のような大いなる存在を、ルンキナは内に秘めた優しさ、包容力があって繊細で美しいポール・ド・ブラで体現した。

この主役三人が有機的に連動し、一つの小宇宙を作り上げていて、見事なパートナーシップを見せたからこそ、非常に見ごたえのある舞台になったと言える。世界トップクラスの3人が集結した、非常に贅沢で息詰まるように濃厚な舞台劇を見せてもらえた。

(逆に言えば、このトリオがなぜファーストキャストではないのか、非常に疑問を感じてしまう。ファーストキャストも観たが、正直レベルがかけ離れていて、素晴らしい2幕の主演ペアを除けば同じチケット代を払う価値がなかった)

一方、ロイヤル・バレエの映像ではフェデリコ・ボネッリが演じたボヘミア王ポリクセネス役は、セカンド・ソリストのブレンダン・セイが踊った。非常に長身で脚も長く、エヴァン・マッキーと並んでも見劣りしないのだが、若いダンサーで舞台上の存在感は薄い。ポリクセネスは、レオンテスと比較すると出番は少ないのだが、やはりレオンテス同様の存在感を持つべきであり、プリンシパルのボネッリを起用したロイヤルは流石に層が厚いと思った次第。

2幕は、一転として光あふれるボヘミアにて、16年後。大きく成長したポリクセネスの息子フロリゼルと、羊飼いに育てられたパーディタのシーンで、主にダンスによって展開する。大きな木の下で、祝祭的なダンスが次から次へと繰り広げられる。民族音楽のミュージシャンたちも舞台に上がって非常に賑やかだ。

フロリゼル役には、金髪の巻き毛が美しいスカイラー・キャンベル、パーディタには、コール・ド・バレエから抜擢された中国人のルイ・フアン。ロイヤルでは、スティーヴン・マックレーとサラ・ラムというスターが踊っているパートなので、残念ながらこのペアはかなり見劣りした。もちろん下手ではないし、ルイ・ファンはコール・ドからの抜擢なのでテクニックは素晴らしいのだが。やはり小柄な黒髪の東洋人だと、どうしてもユルギータ・ドロニナとエヴァン・マッキーの娘には見えないという難点がある。別キャストも観て、こちらは、日本人プリンシパルの江部直哉さんと、やはりプリンシパルのジリアン・ヴァンストーンが演じていた。見比べると、プリンシパルの踊りというのはテクニックもそうだけど、踊っている時の表現力で抜きんでているのが改めてわかる。江部さんは踊りがとてもダイナミックかつシャープでつま先も美しく華があるし、ジリアンは可愛らしくて闊達としていて音楽性が素晴らしく魅力的だった。

パーディタを拾って育てた羊飼いの親子。羊飼い父は、ロイヤル・バレエで期待されながらも先日退団したばかりのドナルド・トムがゲストとして出演していた。ドナルド・トムは、ロイヤルでは「オネーギン」のレンスキーなども踊っていた良いダンサーだったので、カナダにそのまま入団してくれると良いと思う。そして息子役には、こちらもコール・ド・バレエから抜擢された佐藤航太さん。派手なソロやパ・ド・ドゥもあり、最後にはカーテン前のカーテンコールまで用意されている大きな役だが、佐藤さん、大きな跳躍と生き生きとした存在感、ユーモアのセンス、踊る歓びを感じさせる素晴らしいパフォーマンスだった。聞けば当初は踊る予定ではなかったのに当日急に踊るように言い渡されたとのことだが、お見事だった。

踊りが非常に多いこの2幕、映像で観ると長くて途中で飽きてしまうのだったが、生の舞台で観ると、様々なフォーメーションが繰り広げられており、演奏もあってとても楽しい。群舞も闊達でパワーがあり、男女ともレベルも高くてダンスを観る楽しみを味わえた。コール・ド・バレエの組み立てについても、ウィールドンの力はどんどん上がっているように感じられた。音楽も、ダンスミュージックというべきか、劇伴音楽的ではあるものの、エキゾチックな中に生命感があって、ライブで聴くと非常に魅力的である。


パーディタが16年ぶりに父レオンテスと再会する3幕。短い幕ではあるが、この短い中に親子の再会の喜び、そして死んでいたと思っていたハーマイオニーが生きていたという奇跡、しかし失われたものは戻らないという悲しみ、そのような感情がシンプルだけど繊細に綴られていて、心に染み入るような終幕である。16年間の苦悩が刻まれたレオンテス、寄り添うように彼に仕えてきたポーリーナ。どこまでも凛としていて清らかな姿のハーマイオニー。この三角形が再び形を成した時に、静かな感動と人生の厳しさが厳かに伝わってくる。最後に作品の幕を閉じるのは、生き返らなかった少年王子の彫像のまえに跪くポーリーナ。彼女がいなければ、この物語は完全な悲劇で終わったことだろう。やはりポーリーナがこの作品の主役であり、ルンキナという、様々な嵐を乗り越えてきた、演技力に優れたバレリーナだからこそその存在感を出せたと感じた。重苦しい冬の曇り空を思わせる舞台照明も、美しい余韻を与える。

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