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ボリショイ・バレエの芸術監督代行にガリーナ・ステパネンコ

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セルゲイ・フィーリン襲撃事件の続報です。

ロシアのイズベチヤ紙によれば、ロシアの文化大臣ウラジーミル・メディーナとボリショイ劇場総裁アナトーリー・イクサーノフらは、ボリショイ・バレエの暫定芸術監督に、同劇場プリマ・バレリーナ、ガリーナ・ステパネンコを選んだと発表しました。

http://izvestia.ru/news/543401#ixzz2IhgS4mV8(ロシア語)

ただし、労働法や、劇場との契約などでは定められていない役職なので、全面的な権限を委託されるわけではないようです。配役などは引き続きフィーリンが決めるそうで。

1966年生まれのガリーナ・ステパネンコは、46歳の今も現役のプリンシパルであり(訂正:1月1日に公式に現役を退いたそうです)、フィーリンも最近のDance Magazineのインタビューで、長年舞台で共演してきた彼女のことを賞賛していました。最近日本ではご無沙汰ではありますが、最近も「ジゼル」などに主演しているとのことです。彼女の素晴らしさは、日本のファンにもおなじみですよね。


また、フィーリンの最新のインタビューが記事になっていました。

http://themoscownews.com/local/20130122/191163104.html(英語)

彼は時々は、自分の手の指が全部目で認識できるくらいには回復しているそうで、そのことにより、前向きな気持ちになれるそうです。以前書いた記事と矛盾する記述ですが、右側から襲撃されたために、右目の方が大きな被害を受けたそうです。左目は確実に治ると約束されたそう。激しい動きはできないため、海外での治療は当分受けないとのことです。
彼は病院からもしっかりと劇場の様子を把握して指示を出しているとのこと。自分の外見がどうなるかは二の次で、とにかく視力を回復し、職務に復帰して、3人の子供たちの成長する様子を見られるようになりたいと願っているとのことです。「医者が全力を尽くして、残った組織を助けてくれている。ハンサムな姿で復帰できるかは約束できないけど、力強さを持って復帰できると約束する」とのことです。


追記:こちらのロシアの新聞の記事によれば、今年1月1日にステパネンコは指導に専念するために、現役を引退していたそうです。

http://www.kommersant.ru/doc-y/2110553

ボリショイ劇場のオフィシャルサイトにプレスリリースも載っています。
http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/2013/2431/(ロシア語)

ステパネンコの就任の件は英語の記事もワシントン・ポストに出ました。
Bolshoi Ballet names interim director while Sergei Filin recovers http://www.washingtonpost.com/world/europe/bolshoi-ballet-appoints-interim-director/2013/01/22/80d1997a-64a1-11e2-85f5-a8a9228e55e7_story.html


いずれにしても、暫定とは言え、ボリショイの歴史上初めての女性芸術監督となります。

New York Timesにはアップデートも載っていますが、「以前、足を骨折した状態で「白鳥の湖」を踊った時の方が今回より痛かった。その時は母親が最前列で見ていたので彼女をがっかりさせたくなかった。もし始まる前に降板していたらママは許してくれなかっただろうから、最初の休憩までは踊ったよ。」とフィーリンは語っています。また、脅迫を受けていたことを受けて劇場に、身の安全の確保を要請したものの、却下されたとも。いずれにしても、彼は脅迫や暴力にも屈してないことがよくわかります。


イリーナ・ドヴォロヴェンコ、ABTを引退 Irina Dvorovenko, Principal Dancer, to Retire From American Ballet Theater

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ABTのプリンシパル、イリーナ・ドヴォロヴェンコが今年5月18日のMETでの「オネーギン」を最後に引退することが発表されました。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=426

最近出演回数が減っていた彼女。その上、去年1度しか踊っていない、夫君であるマキシム・ベロツェルコフスキーは今年からABTのプリンシパルの欄からプロフィールが消えていました。

http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2013/01/22/irina-dvorovenko-principal-dancer-to-retire-from-american-ballet-theater/

女優のような華やかな美貌で演技力とテクニックを合わせ持っていた彼女は、2009年の世界バレエフェスティバルに出演するなど、ABTを代表するスターのひとりでした。90年にキエフ・バレエに入団した後、96年に移籍。キエフではプリンシパルだった彼女が、ABTではコール・ドから叩き上げで登っていったのは有名な話です。

ABTでの最後の公演は、5月18日の「オネーギン」公演でタチヤーナ役を演じ、コリー・スターンズと共演の予定。今後もダンサーとしての活動は続けるそうです。

イリーナの舞台といえば、ブラック・スワンが艶やかな「白鳥の湖」はもちろんのこと、「ジゼル」「ロミオとジュリエット」などもとても印象に残っています。ジュリエットの可愛らしさは忘れられません。最近は「椿姫」のマルグリットや、タチヤーナなどよりドラマティックな役中心となっていたようです。

ABTの昔からのスターダンサーがどんどん去っていき、すでにスターであった他のカンパニーからのプシンシパルが主流となってきたのは、たいへん寂しく悲しいことです。イリーナは大好きなバレリーナのひとりだっただけに、ますます寂しいです。

パリ・オペラ座バレエ団新芸術監督にバンジャマン・ミルピエが決定

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追記:公式サイトでもアナウンスがありました。
http://www.operadeparis.fr/actualites/Benjamin-Millepied-nouveau-Directeur-de-la-Danse

現在のブリジット・ルフェーブルが2013-14シーズン末に退任した後、誰が就任するか大変注目されていたパリ・オペラ座バレエ団の新芸術監督が決定しました。フランス時間朝11時半(日本時間7時半)に発表される予定でしたが、その前にNew York Timesにリークされました。

Millepied Will Be New Director of Paris Opera Ballet
http://www.nytimes.com/2013/01/24/arts/dance/benjamin-millepied-to-be-paris-opera-ballet-director.html

NYCBの元プリンシパル(2011年に引退)で、現在は振付家として活躍するとともに、LA Dance Projectという自らのカンパニーを率いているミルピエ。映画「ブラック・スワン」で共演したナタリー・ポートマンの夫であることでも知られています。ボルドー生まれのフランス人ですが、パリ・オペラ座学校ではなく、リヨンのコンセルヴァトゥールを経てスクール・オブ・アメリカン・バレエ出身。パリ・オペラ座バレエにも「Amoveo」「Triad」と過去2作品、小品を振りつけてきました(3作品目を来シーズン振り付ける予定)。1977年生まれで現在35歳という若さです。


今まで、現メートル・ド・バレエのローラン・イレール、2014年に現役を引退するニコラ・ル=リッシュ、現ボルドー・バレエの芸術監督シャルル・ジュド、ウィーン国立バレエ芸術監督で成功しているマニュエル・ルグリ、シルヴィ・ギエム、ミラノ・スカラ座芸術監督のワジーエフ、元ボリショイ・バレエの芸術監督アレクセイ・ラトマンスキー、さらにアンジェラン・プレルジョカージュ、ウィリアム・フォーサイスらの名前が有力候補として取り沙汰されてきました。その中で、昨日突然バンジャマン・ミルピエの名前が俎上にあがり、そして最終決定したというもので、世界中がこのニュースに驚いています。

(以下随時更新します)


水曜日に、ミルピエがNY Timesのインタビューに答えました。昨年11月にミルピエは、現在のパリ・オペラ座のニコラ・ジョエル総裁の後継者であるステファン・リスナー(現ミラノ・スカラ座総裁、2015年に着任予定)から接触を受けました。パリ・オペラ座では、バレエ団芸術監督のポリシーは総裁の同意を得なければならないのですが、過去数十年にわたって、総裁が口を挟んだり実際に関わったことはなかったそうです。声をかけられたときミルピエは大変驚き、また他にバレエ団内から候補者がいることも分かっていたそうですが、アーティスティックな会話はとてもワクワクするものだと感じ、そしてしばらくして、この地位を得られる感触を感じたそうで、頭がクラクラしたそうです。


ミルピエは、150人のダンサーで構成される世界最高のクラシックバレエカンパニーを率いることになります。ルイ14世の宮廷でのバレエという、バレエの歴史の始まりからの伝統を持つ。ほとんどのダンサーはパリ・オペラ座学校の出身者であり、カンパニーに入団してから離れる人はほとんどいません。団員は42歳の引退年齢まで契約が続く公務員でもあります。ルフェーブルという例外を除けば、過去の芸術監督で長続きした人はほとんどおらず、ヌレエフが6年間、ヴィオレット・ヴェルディは数シーズン率いていただけでした。

ミルピエは長いことツアーグループを作って公演を行ってきており、ダンサーとしての全盛期においてもミュージシャンやダンサーたちと共に小さな振付プロジェクトやフェスティバルを組織してきました。ABTやNYCB、パリ・オペラ座バレエで彼が振りつけた作品は上演されてきました。また、映画「ブラックスワン」やナタリー・ポートマンとの結婚で一般的にも知名度は高いです。

しかしながら、彼のカンパニー「L.A.ダンスプロジェクト」は9月に旗揚げ公演を終えたばかりで小さく実験的なものです。ミルピエは、オペラ座の芸術監督に就任するまではこのカンパニーの運営を続ける予定であると言っており、オペラ座に就任するにあたってポートマンと彼らの息子と共にパリに引っ越すとのこと。LAダンスプロジェクトは3年間の予算が保証されており、今後も存続することを願っているそうです。

ミルピエは、彼のプログラミングの中に、自身の振付作品を優先的に上演するとは考えていないとのことです(ちなみに、振付家だったパリ・オペラ座の芸術監督はセルジュ・リファール以来(もちろん、ヌレエフは古典作品の再振付を行っているわけですが)。そして、ヴィジョンとしては、コンテンポラリー・バレエのレパートリーを中心にするとのこと。「ブリジット・ルフェーヴルがジェローム・ベルやピナ・バウシュといった振付家をレパートリー入りさせたことには大きな敬意を持っている」「しかし自分が興味を持っているのは、とても豊かで興味深いバレエの芸術と技術を発達させること。新しいアイデンティティを発達させ、ダンサーたちに真の意味で挑戦させ、古典だけではないバレエを踊って欲しいと思う」

どの振付家を招くかという具体的な名前を挙げるのは避けていましたが、NYCBでの経験が自身の振付や音楽の嗜好に強く影響を与え、自身のプログラミングに、コミッションされた音楽を作って使いたいという意図があるとミルピエは語っていました。もうひとつの優先事項は、バレエ団内の振付家の才能を伸ばしたいということだそうです。「長いこと、ここでは大きく育った振付家はいなかったけど、ここには間違いなく才能はあるし、パリでは、創造的な人間にとっての豊かな環境を作るための全てがある」

さて、11時半から行われた記者会見に出席した、ジャーナリストのローラ・カペルさん(ファイナンシャルタイムズのダンス記事を執筆)のTwitter @bellafiguralで、会見の速報が流れていました。

要旨

2014-15年のシーズンのプログラムは、引き継ぎをスムーズにするために、ルフェーヴルがプログラミングを担当する。(すでに、「椿姫」「オネーギン」「ノートルダム・ド・パリ」「眠れる森の美女」が上演されるとされています)

ミルピエの芸術監督としての契約期間は無期限のものとなる。

ミルピエは、ヌレエフ作品はパリ・オペラ座バレエの歴史の一部と言っているが、数年後には変えていくかもしれない。バレエの新しい見方を提供したいと。

新しいスタッフ(バレエ・マスター等)を連れて行くということはない。(現在のメートル・ド・バレエはそのまま残留するそうです)

次期総裁のステファン・リスナーによれば、彼は9人の候補者と面談したそうで、フランス、そして海外の候補者とも会ったとのこと。また、ミルピエには、ぜひオペラとバレエのコラボレーションをして欲しいと思っている。

ミルピエは、オペラ座バレエはもっとツアーを行い、彼の世代のクラシックの振付家に開かれた存在としたい。そして自身のパリ・オペラ座での新作は「ダフニスとクロエ」となる予定。

また、ミルピエは、フランス国内のツアーも行い、そしてダンサーのための定期的な振付ワークショップを、振付の訓練とともに行いたい。

米国での彼のカンパニーで行っているように、公演前に観客に向けて作品の解説を自身が行いたい。


*********
ミルピエのインタビューからは、今後のパリ・オペラ座がさらに現代作品寄りのレパートリーとなることが予想され、一部では反発が出てくるものと思われます。自身が設立したアメリカのカンパニーがすでに3年分の資金を確保していることからも、彼はスポンサー集めの手腕に関しては大変優れているという認識があり、そのことが、今回の仕事を手に入れることのできた大きな理由では、と思われています。さらに、イヴサンローランの香水"L'Homme Libre"の広告や、エールフランスのキャンペーン、もちろんナタリー・ポートマンの夫であるということなど、セレブとして有名だということも勘定に入っていることでしょう。

NHKバレエの饗宴2013、ロバート・テューズリー出演

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3月16日に開催されるNHKバレエの饗宴2013ですが、吉田都さんのパートナー、一時ロベルト・ボッレだとアナウンスされていましたが、その後出演者未定となっていました。

昨日、ロバート・テューズリーが自身のFacebookとオフィシャルサイトで、「バレエの饗宴」に吉田都さんと出演してアシュトンの「ラプソディ」を踊ると発表していました。
http://roberttewsley.com/news.html

「バレエの饗宴2013」のオフィシャルサイトでは、まだ吉田都さんのパートナーは未定となっています。

新国立劇場ビントレー舞踊芸術監督がNHKドキュメンタリー 『NHK TOMORROW beyond 3.11』に登場

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日本を愛する外国人が震災後の日本を旅して、明日の復興に向けて歩み始めた日本の姿を伝えるドキュメンタリー&紀行番組 『NHK TOMORROW beyond 3.11』にビントレー監督が登場します。

ビントレー監督は先日、バレエ団の小野絢子とともに福島のバレエ学校を訪ね、コンクールを目指す少女たちと交流しました。

また、先日新国立劇場で行われた「ダイナミック ダンス!」公開リハーサル(※)の模様も取材されました。

放送予定日:
NHK BS1<日本>/3月12日(火)
午後2時00分~2時30分
(再)毎週月曜(日曜深夜)午前3時00分~3時30分

NHKワールド<海外>/ 3月11日(月)
毎週月曜 午前11時30分~午後0時00分(日本時間)

番組概要はこちらから
http://www.nhk.or.jp/ashita/tomorrow/

デヴィッド・ビントレーによる、新国立劇場バレエ団2013/14シーズンラインアップ説明会

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26日の昼、夜と新国立劇場バレエ団の「ダイナミック・ダンス」公演を見てきたのですが、とても楽しく、バレエ団の充実ぶりを感じられた公演でした。

さて、この昼と夜の公演の間に、デヴィッド・ビントレー芸術監督による2013/14シーズンラインアップ説明会がありました。

(2013/14シーズンラインアップはこちら

今回新シーズンをみなさんに紹介するのは、少し悲しい。今回が最後の発表会になるから、と始めたビントレーさんは感傷的になっていました。

「来シーズン上演するプログラムはとてもエキサイティングで、それぞれが上演するのに大きな意味がある作品です。私たちは、19世紀と21世紀を行き来する毎日となります。私個人としては21世紀志向が高いけどここのお客様は19世紀志向が高いようで(苦笑)。その中でも全幕ではないプログラムを三つ入れることはできましたが、『白鳥の湖』からは逃れることができませんでした。白鳥の湖やくるみ割り人形について私から敢えて話すことはありません」

ストラヴィンスキー・バレエ・リュスプログラム
「12、3歳の時にディアギレフのバレエ・リュスに完全に魅せられました。ピカソ、ストラヴィンスキー、シュトラウス、ドビュッシー、マティスといったアーティスト、パヴロワやニジンスキーのようなダンサー、バランシン、フォーキン、ニジンスキー、ニジンスカといった振付家たち。バレエ・リュスは20年間しか存続しなかったけど、バレエ、アートの世界のすべてを変えました。19世紀と20世紀をつないで発展させたバレエ・リュスは21世紀の私たちにとっても重要なものです。
今回はストラヴィンスキーの夕べです。バレエ・リュスからストラヴィンスキーを抜いてしまうと大きな穴が空いてしまう。バレエ・リュスの作品の中でもそれぞれ個性が違う三作品を上演します。『火の鳥』はロシアのエキゾチシズム。『アポロ』は新古典主義を彷彿させる傑作です。そして私の一番好きな『結婚』。『結婚』が上演できる劇場は滅多にない。音楽、合唱、オーケストラ、ピアノを提供できる新国立劇場だから実現可能となったプログラムです。
アポロ』を振り付けた時バランシンは24歳だったが、すでに自分のスタイルをここで確立していた。彼のすべての作品に『アポロ』の要素がある。今日『コンチェルト・バロッコ』を観ていて、『アポロ』の要素を見ることができた。『シンフォニー・イン・スリームーヴメンツ』にもその要素はあります。かくも若い振付家がこのようなスタイルを持っていたことは驚くべきことです。
NYCBからの振付指導者ダーラ・フーヴァーは、新国立劇場バレエ団を観て、素晴らしい音楽性と正確性にバランシンの真髄を見たと言ってました。今のNYCBはちょっとだめなので…。」

「『大フーガ』のハンス・ファンマーネンも、若い時にスタイルを確立した振付家です。私は13歳の時に、両親がお金を貯めてマーゴ・フォンテーンの出演する公演のチケットを買ってくれて、30マイル旅して観に行きました。残念ながらマーゴはお年を召していてイマイチでしたが、ファンマーネンの『大フーガ』を観てぶっ飛ぶような感動を得たのです。

ジェシカ・ラングはアメリカでは引っ張りだこの振付家です。二年前にDVDで彼女の作品を観て、バーミンガム・ロイヤル・バレエのために作品を作ってもらって成功しました。お客様も喜んでくれました。彼女に新国立劇場バレエ団に作品を作って欲しいとお願いしたところ、私の過去の作品にも美しいものがたくさんあるわと言われたのですが、説得して、新作を新国立劇場バレエ団のために作ってくれることになりました。皆様も絶対に喜んでいただける作品になるはずです」

「最後に紹介する二つのプログラムについては、自己陶酔させてください。

2005年に初めてこのカンパニーで仕事をしたのが、『カルミナ・ブラーナ』で、この時のダンサーたちにも大きな思い入れがあります。今回はロンドンオリンピックを記念した作品『Faster』と組み合わせて上演します。『Faster」は今回上演されている『イン・ジ・アッパー・ルーム』よりも速い作品です。

私のさよなら公演となるのが『パゴダの王子』です。この作品で私の長年の二つの夢を実現することができました。日本をテーマにした作品を作りたかったという夢です。うまくいくか心配だったのですが、結果はなかなかのものだったでしょう?また、ベンジャミン・ブリテンの曲を復活させたかったのです。この曲に日の光を当てたかった。2つの要素を組み合わせて日本風のバレエを作りたかった。その結果には満足しています」


以下は司会者との質疑応答となります。

「オープニング作品に何を持ってこようかと考えられて、ストラヴィンスキー作品を持ってきた理由は?」
「一年のプログラミングを組み合わせるにあたって、『ジゼル』『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』だけにさせたくなかったのです。特に私の最後のとしという大事な一年なので、今後カンパニーが行くべき道筋、どんなルーツを持つべきであるかということを明確にしたかったのです。特にディアギレフは重要です。19世紀と21世紀を組み合わせたモノになるからです。ディアギレフの唯一の19世紀作品は「眠れる森の美女」でしたが、これは成功しませんでした。芸術は常に革新を求めるものであり、カンパニーはこういった姿勢を失ってはいけません」

「『Faster』はロンドンオリンピックにインスピレーションを得た新作です。バレエ・リュスがバレエに残した影響はあまりにも大きい。多くの作品の委嘱振り付けが行われました。クラシックバレエの中に、新しい音楽、デザイン、ステップを求めていく勇気が必要です。スキル、そして勇気を持つ振付家も必要です。作曲家と仕事をすることもとても大切なことで、CDを買ってそこに入っている音楽に合わせて振付をするのではなく、新しい音楽を委嘱して作品を作って行くのはエキサイティングなことだし、スリリングだけどリスキーな経験で、このリスクを取ることは必要なことです。

「今シーズンでは『First Steps』という企画でバレエ団ダンサーによる振付作品を紹介しましたね」
「来シーズンは、『Second Steps』という第2弾を開催します。また、ダンスでは中村恩恵さんの新作も上演します。バレエでは常に前に向かって進むことが必要です。ダンサーに振付作品を作ってもらうのは必要なことです。作品を作ってみてどう思うかということを感じること。ダンサーはクリエイティブなアーティストです。与えられた解釈を再現するだけではなく、体験をして、より幅広いセンス、視野を持って欲しいと思います。バレエの中で作る苦しみを感じる、新作を踊ってみるのは大きな意味を持ちます。」

「ジェシカ・ラングと新作を振りつけてもらうために話しました。彼女は大変忙しい人で、過去に自分が振り付けした作品を上演するのはいかがでしょうかと言われましたが、『アラジン』『パゴダの王子』のように、このバレエ団のための作品を作って欲しいと、説得して新作を作ってもらうことにしました」

「今回の『ダイナミック・ダンス』のプログラムを楽しんでくれたら、来シーズンのプログラムも楽しんでもらえると思います。『白鳥の湖』を観に来てくれる人たちが、私たちの給料を払ってくれているわけですが、敢えて今回のプログラムを観ようする人たちが、私たち新国立劇場を支えてくれているのです」

「来シーズンの公演のキャストについて、ヒントを教えていただければ。ゲストは呼ばれるのでしょうか」
「キャストは私自身でもまだ想像できません。私はこのバレエ団のダンサーたちが好きなのです。『アポロ』のアポロ役については、NYCBと話し合ってゲストを招待することになると思います」


来シーズン、2013-14年シーズンがビントレーにとって最後のシーズンとなることもあり、ビントレー氏は時々胸に熱いものがこみ上げていたようでした。ユーモアのある語り口でしたが、その中で、彼が愛情を持ってこのバレエ団と接してきたのが伝わってきました。彼が芸術監督を離れたあとも、ぜひとも、今後の新国立劇場バレエ団のよきサポーターとして、指導をしたり、彼の振付作品が上演されることを祈っています。彼の先進性のあるスピリットが今後も引き継がれますように。

第13回英国ナショナルダンスアワード発表

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英国バレエ界の最高の賞である、第13回ナショナルダンスアワード2013が発表されました。

http://dancetabs.com/2013/01/2012-uk-national-dance-awards-winners-announced/

対象となるのは、2011年9月1日から2012年8月31日のあいだに英国内で上演された作品とダンサーです。

The 2013 Winners

DANCING TIMES AWARD FOR BEST MALE DANCER 最優秀男性ダンサー
Akram KHAN (Akram Khan Company)
アクラム・カーン

GRISHKO AWARD FOR BEST FEMALE DANCER 最優秀女性ダンサー
Marianela NUÑEZ (Royal Ballet)
マリアネラ・ヌニェス(ロイヤル・バレエ)

STEF STEFANOU AWARD FOR OUTSTANDING COMPANY 最優秀カンパニー
Royal Ballet Flanders
ロイヤル・バレエ・オブ・フランダース

BEST CLASSICAL CHOREOGRAPHY
Annabelle LOPEZ OCHOA (‘A Streetcar Named Desire’ for Scottish Ballet)
クラシックバレエ振付賞
アナベル・ロペス=オチョア(「欲望という名の電車」スコティッシュ・バレエ)

BEST MODERN CHOREOGRAPHY
Arthur PITA (‘The Metamorphosis’)
モダン振付賞
アーサー・ピタ(「変身」ロイヤル・オペラ・ハウス)

OUTSTANDING FEMALE PERFORMANCE (CLASSICAL)
Ksenia OVSYANICK (English National Ballet)
クラシックバレエ女性ダンサー賞
クセニャ・オフシャニク(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

OUTSTANDING MALE PERFORMANCE (CLASSICAL)
Zdenek KONVALINA (English National Ballet)
クラシックバレエ男性ダンサー賞
ズデネク・コンヴァリーナ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

DANCERS PRO AWARDS FOR OUTSTANDING MODERN PERFORMANCE (FEMALE)
Teneisha BONNER (Zoonation)

DANCERS PRO AWARDS FOR OUTSTANDING MODERN PERFORMANCE (MALE)
Tommy FRANZÉN (Zoonation & Russell Maliphant Company)

BEST INDEPENDENT COMPANY 
Ballet Black
ベスト・インディペンデント・カンパニー
バレエ・ブラック

DE VALOIS AWARD FOR OUTSTANDING ACHIEVEMENT
ROBERT COHAN

DANCE UK INDUSTRY AWARD
JEANETTE SIDDALL


ノミネート者の一覧はこちらのオフィシャルサイトで見ることができます。
http://www.criticscircle.org.uk/

フィーリン襲撃事件続報、ボリショイ・バレエ関連情報

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今日、朝「スッキリ」という情報番組を見ていたら、ボリショイ・バレエでのセルゲイ・フィーリン襲撃事件についてかなり時間を割いて取り上げていました。テレビをつけたのが途中だったので、もっと取り上げていたのかもしれません。岩田守弘さんの電話インタビュー、ニコライ・ツィスカリーゼが取り調べを受けた件で彼のコメントを放映、などです。岩田さんは、フィーリンとツィスカリーゼの確執については知らなかったと話していました。ツィスカリーゼは”保守派”とされていて、彼のバックには強力なファン組織がついていることなどなど。

そのフィーリンですが、ロシアのテレビ番組に、中継で生出演をしていました。

こちらでその番組映像を見ることができます。
http://www.ntv.ru/novosti/453119/

頭は剃られていて包帯で巻かれ、首の周りにも包帯が巻かれていますが、顔そのものには包帯などは巻かれていません。中継映像なのではっきりとはわかりませんが、顔はあまりダメージを受けていないように見受けられます。目は閉じられているので見えているかどうかはわかりません。何回も手術を受けているとのことですが、しっかりとした口調で話しています。でも、こんな大変な目に遭った直後にテレビに出演しなくてはならないのは、なんとも気の毒に思えます。

このテレビ出演の様子はGuardianの記事にも載っています。
http://www.guardian.co.uk/stage/2013/jan/28/bolshoi-acid-attack-director-forgives

すでに目の手術を3回受けたフィーリン。病室の彼の元に司祭がやってきたところ、彼はその司祭に「私は今回の事件に関わった全ての人を許すし、裁きを下すのは神になるだろう。人々は弱いものだから」と言ったとのこと。誰がこの襲撃事件の背後にいるのかはわからないけれども、彼のボリショイでの仕事に関わっている誰かだろうと考えているそうです。「約束する、ボリショイの舞台に戻ってくることを」

New York Timesでも詳しい記事が載っています。
http://www.nytimes.com/2013/01/29/arts/dance/bolshoi-ballet-carries-on-amid-acid-attack-scandal.html

事件の捜査は続いていますが、ボリショイでの舞台は続けられ、テレビの報道では事件後最初の舞台「ラ・バヤデール」のカーテンコールで、主演したザハロワがフィーリンへの支援を訴えるスピーチを行った様子が流れました。「ラ・バヤデール」のプログラムノートにフィーリンは文章を寄せ、渦中の人であるツィスカリーゼは日曜日の「白鳥の湖」の公演のリハーサルに励んでいました。メディア向けにバックステージツアーが行われましたが、ダンサーたちは黙々と日々の鍛錬に明け暮れていました。舞台スタッフのひとりは、「この劇場では数千人もの人々が働いていて巨大な組織となっている。フィーリンのような重要な人物が倒れたとしても、劇場での舞台は続けられなければならない、それがここの務めだから」実際、ボリショイの長い歴史の中で、劇場は3度焼け落ちています。

「ラ・バヤデール」の初日の前に、フィーリンはスカイプを使い、舞台の中央に置かれたiPadに向けてダンサーたちへのメッセージを送りました。彼らダンサーたちを深く愛しており、全てを忘れて「踊り続けるように」と指示したそうです。

ニコライ・ツィスカリーゼが取り調べを受けたことは大きく報道されており、本人はそのことについてメディアに登場することで、疑いを晴らそうとしています。彼のコメントによれば、彼は事件当日、フィーリンも出席したモスクワ音楽劇場でのガラ公演に出席しており、夜の12時半まで劇場に残っておりその映像もはっきり映っていることからしっかりしたアリバイがあるとのことです。(先に帰宅したフィーリンが襲撃されたのは11時頃)

ツィスカリーゼとフィーリンは長いこと口をきいていない間柄ではありますが、ツィスカリーゼによればフィーリンの襲撃が彼の地位を狙う者によるものではないかという推測は疑わしいと語っています。「色々な仮説が考えられるけれども、プロの仕業であるとは考えにくい」と。警察のスポークスマンは、目撃者に嘘発見器でのテストを受けさせると語っていますが、誰が受けさせられるかは発表していません。ボリショイ劇場のイクサーノフ総裁も、ツィスカリーゼが事件の背景にいるとは思えないと語っています。


この記事にもあるように、ボリショイでの舞台は通常通り続いており、「ラ・バヤデール」の公演はボリショイ劇場のオフィシャルYouTube(こちらはロシア国内でのみ視聴可能)と、世界中の映画館で中継されました。出演はスヴェトラーナ・ザハロワ、ウラディスラフ・ラントーラトフ、マリーヤ・アレクサンドロワです。


そして事件の前に発表はされていたのですが、ボリショイ劇場のオフィシャルサイトで、昇進の発表が28日に行われました。

http://www.bolshoi.ru/en/about/press/articles/


アルチョム・オフチャレンコがプリンシパルに昇進
クリスティーナ・クレトワがリーディング・ソリストに昇進
アナスタシア・メスコワとヴィタリー・ビクティミロフがファーストソリストに昇進
クリスティナ・カラショーヴァ、ユリア・ルンキナ、カリム・アブドゥーリン、イーゴリ・ツヴィルコがソリストに昇進。

ユリア・ルンキナはスヴェトラーナ・ルンキナの妹です。


ところで、このスヴェトラーナ・ルンキナが今シーズン、ボリショイの舞台に立っていないという事態が発生しています。そして最近、ロシアの新聞で報道されていることによれば、彼女と夫のVladislav Moskalev氏が脅迫されていて、Facebookやメールなどもハッキングされ、身の危険を感じたことから家族共々カナダのトロントに逃げているとのことです。イズベチヤ紙には、彼女のインタビューが掲載されています。

http://izvestia.ru/news/543784

実は私は、12月にナショナル・バレエ・オブ・カナダの「ジゼル」を観に行ったとき、ルンキナが客席にいるのを見かけ、そして関係者から彼女が今トロントに住んでいてナショナル・バレエ・オブ・カナダのクラスレッスンにも参加しているらしいという話を聞いていたのです。

詳しい顛末はこちでも報道されています。(ロシア語)
http://www.mn.ru/friday/20130124/336129037.html

ルンキナの夫君は、「21世紀のエトワール」ガラを主催しているプロモーターなのですが、このブログでも回想録を紹介したバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤの生涯を映画化する企画にVladimir Vinokur氏と取り組んでいました。ところが、なにかの行き違いがあってVinokur氏がルンキナの夫を訴え、彼から世界中の劇場宛にふたりを中傷する手紙が送られ、そして脅迫が来るようになったとのことです。実際、ジョン・ノイマイヤーの元にもこの手紙が届いたとのことで、彼からルンキナはその手紙を見せられたそうです。

ルンキナはボリショイ劇場、そしてフィーリンに助けを求めたものの、ボリショイ側からは手は差し伸べられなかったとのこと。彼女は、ウェイン・マクレガーの「クローマ」に出演して大変高い評価を得て、今シーズン予定されているマクレガーのボリショイ劇場での新作「春の祭典」、そしてマッツ・エックの作品への出演も予定され、長年待ち望んでいたプロジェクトで大変楽しみにしていたそうで、これらの作品に出演できないことをとても残念に思っているとのこと。今シーズン末までの休暇を劇場に申請しているそうです。

フィーリンの襲撃事件については、ルンキナはもちろん大変な恐怖と悲しみを感じているそう。ボリショイ劇場の関係者がこんなことをするということは考えられない。犯人は劇場の人ではないけれど、劇場やバレエに対して利害関係がある人なのかもしれないと考えているとのことです。しかし、最近になって、フィーリンが「ルンキナはボリショイには復帰しない」と聞いているのを知って、自分は彼には必要とされていないと思ったそうです。それでも、彼女はボリショイへの復帰を望んでいるとのこと。

1997年にボリショイ・バレエに入団してから、輝かしいキャリアを築いてきたルンキナ。「ジゼル」(ボリショイの歴史上最年少のジゼル役)、「白鳥の湖」などの古典ばかりではなく、前述のように最近ではマクレガー作品など現代作品でも実力を発揮してきました。事態が解決してボリショイに復帰できることを祈るばかりです。

こちらの記事とほぼ同じ内容が、フランスのニュースでも報道されています。
http://www.france24.com/en/20130129-top-bolshoi-ballerina-flees-russia-after-threats

また、カナダの新聞にもこの件は報じられました。
http://www.theglobeandmail.com/news/world/bolshoi-ballerina-flees-to-canada-after-threats-practices-with-national-ballet/article7937024/

ロシアのバレエ界をめぐる闇は深いようです。

追記:ルンキナの件は、日本語のニュースにも登場しました。
ボリショイ・バレエのトップバレリーナ、脅迫受けて出国
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2924451/10187311

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マラーホフ、ベルリン国立バレエ芸術監督を2014年夏で退任

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ウラジーミル・マラーホフがベルリン国立バレエの芸術監督を、2013/14シーズンを最後に退任すると、バレエ団のオフィシャルサイトにて発表されていました。

http://www.staatsballett-berlin.de/en_EN/press/detail/1471/20071

また、今後のマラーホフの予定は、現在未定となっていますが、ダンサーとしての活動にはほぼ終止符を打つとのことです。
http://www.welt.de/kultur/buehne-konzert/article113299539/Vladimir-Malakhov-kuendigt-seinen-Ruecktritt-an.html#disqus_thread

2004年、旧来の3カンパニーが合併して新たに誕生したベルリン国立バレエの初代芸術監督に就任したマラーホフ。「マノン」「オネーギン」「ロミオとジュリエット」など人気のある全幕ドラマティック・バレエを上演するとともに、バランシン、ベジャール、ロビンスなどの20世紀作品、さらには「シルヴィア」「エスメラルダ」のような復刻上演もレパートリーに取り入れ、プレルジョカージュの「白雪姫」や、「オズの魔法使い」などの新作、さらに現代バレエのミックスプログラム「Shut Up and Dance」なども取り入れて新風を吹き込みました。自身が振り付けた「ラ・バヤデール」「ラ・ペリ」なども上演されています。

上記Welt紙の記事によれば、最近マラーホフは、良い新作をレパートリーに入れることに成功しておらず、また芸術監督としての活動の傍らダンサーとして主要な役で舞台に立ち続けていることに対して、批判も出ていました。2012/13シーズンについては、予算不足のためにひとつも新作が上演されませんでした。ベルリンの観客は保守的で、ロシアの古典作品が好まれており、その好みに沿ってマラーホフは古典と、それほど革新的ではない現代作品中心というプログラミングを行い、ベルリンの観客はそれを受け入れていました。

一方で、マラーホフが3つのバレエ団の統合に成功してカンパニーを蘇らせ、ポリーナ・セミオノワを発掘して育てたことは評価されています。しかしながらセミオノワは国際的な名声とゲスト出演をより多く行うことを求めて昨年カンパニーを強引に辞めてアメリカへと旅立ってしまいました。

マラーホフは2002年に、ベルリン国立歌劇場バレエ団の芸術監督に就任し、2004年には3つのバレエ団を統合させて以来、古典演目を中心に、彼自身が振りつけた作品も導入していましたが、それらの評価はまちまちでした。しかし監督としての契約にもあったように、彼は文字通りカンパニーの顔として、舞台にも立ち続ける必要もありました。数年間その方針はうまくいっていましたが、2007年に膝の怪我をして以来衰えが現れ始め、それでも王子役として長いこと主役を張っていたことに対して批判が出てきていました。踊り盛りのソリストたちが充分主役の機会を与えられず、育っていかなかったのです。また、カンパニーとして新作や若手振付家の情報を十分収集できなかったこともあり、レパートリーの魅力が薄れてしまい先見性のないバレエ団として、停滞してしまいました。

ベルリンの文化大臣アンドレ・シュミッツはすでにマラーホフの後任探しに着手していましたが、有力候補だった現ドイツ・ラインオペラバレエの芸術監督Martin Schlaepferには断られてしまいました。現在、名前が囁かれているのは、現ミハイロフスキー・バレエの芸術監督、ナチョ・ドゥアトです。ミハイロフスキ-・バレエは、オーナーであるケフマン氏が破産してしまったことから、危機説も浮上しているからです。

******
世界中を股にかけて大活躍し、特に日本では愛されたマラーホフがダンサーとしての活動にほぼ終止符を打ち、また10年間(前身のベルリン国立歌劇場バレエ団を含めると12年間)バレエ団の顔として活躍してきたベルリン国立バレエを去るということは、たいへん寂しく、また一つの時代の終わりを感じるものです。とにかく5月の「マラーホフの贈り物ファイナル」の舞台は必見であることは言うまでもありません。


なお、マラーホフを始め、ベルリン国立バレエのダンサーたちをモデルにした写真集「Metamorphose - Das Leben im Wandel」が1月に発売されました。同バレエ団のオフィシャル写真をよく撮っているカメラマン、Enrico Nawrathによるもので、売上はHIVのチャリティに寄付されるそうです。鎖でダンサーが繋がれていたりと、かなりセクシャルなイメージの強い写真となっています。

http://www.amazon.de/Metamorphose-Das-Leben-im-Wandel/dp/3000403337/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1359737744&sr=8-1

こちらで、プレビューを14ページ分見ることができます。
http://www.update-your-life.com/fileadmin/bildband/files/assets/basic-html/toc.html

NHKプレミアムシアター3月のバレエ放映予定

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いつもテレビ放映情報が早い「ちょこっと劇場へ行ってきます」miyaさんに教えていただきました。

3月のNHKBSプレミアムの「プレミアムシアター」で、大変充実したバレエ放映があります。すべてDVD未発売のものです。

新国立劇場バレエ団のビントレー振付「シルヴィア」は、11月の公演を収録したものですし、またジャン・クリストフ・マイヨーの新作「白鳥の湖」が観られるのも嬉しいです。パリ・オペラ座のサシャ・ヴァルツ振付「ロミオとジュリエット」はオーレリー・デュポンとエルヴェ・モロー出演、そしてアシュトンセレブレーションは、2月のロイヤル・バレエ公演をこれから収録するのが早速上演と、本当に素晴らしい企画ですね。


3月10日(日)24:15~28:30 NHKBSプレミアム

●新国立劇場バレエ公演
 ビントレーの「シルヴィア」

●パリ・オペラ座バレエ公演
 「ロメオとジュリエット」(ベルリオーズ)

新国立劇場バレエ公演
 ビントレーの「シルヴィア」
指揮 ポール・マフィー
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
音楽 レオ・ドリーブ
振付 デヴィッド・ビントレー
出演 小野絢子、福岡雄大、吉本泰久、湯川麻美子ほか

パリ・オペラ座バレエ公演
「ロメオとジュリエット」(ベルリオーズ)
振付 サシャ・ヴァルツ
出演 オーレリ・デュポン、エルヴェ・モロー、ニコラ・ポール ほか


3月17日(日)24:15~28:15 NHKBSプレミアム

●英国ロイヤル・バレエ公演
 「アシュトン・セレブレーション」

●モンテカルロ・バレエ公演
ジャン・クリストフ・マイヨーの
「LAC(白鳥の湖)」

英国ロイヤル・バレエ公演
 「アシュトン・セレブレーション」
1.ラ・ヴァルス(ラヴェル)
2.タイスの瞑想曲(マスネ)
3.春の声(ヨハン・シュトラウス)
4.モノトーンズⅠ&Ⅱ  (サティ)
5.マルグリットとアルマン (リスト)
指揮 エマニュエル・プラッソン
管弦楽 ロイヤル歌劇場管弦楽団
振付 フレデシック・アシュトン
出演 アリーナ・コジョカル ほか

モンテカルロ・バレエ公演
ジャン・クリストフ・マイヨーの
「LAC(白鳥の湖)」
指揮 ニコラ・ブロショ
管弦楽 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団


*****
なお、吉田都さんとスティーヴン・マックレー主演のロイヤル・バレエ2010年来日公演「ロミオとジュリエット」がNHKで再放送されます。長年にわたり名門英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルとして活躍した吉田都さんが、同バレエ団とともに踊った最後の舞台です。

「Eテレアーカイブス」
2013年2月16日(土)午前0:00-2:21(Eテレ)

英国ロイヤルバレエ団公演
バレエ「ロメオとジュリエット」(全3幕)
ジュリエット:吉田都
ロメオ:スティーヴィン・マックレー 
ほか

振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
収録:2010年6月29日 東京文化会館

http://www.nhk.or.jp/classic-blog/100/145167.html

ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリスト発表

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第41回ローザンヌ国際バレエコンクールの準決勝が2月1日に行われ、ファイナリストが発表されました。

http://www.prixdelausanne.org/pdf/2013/Resultats%202013.pdf

 104 Martignago Alysha (オーストラリア)
 109 Fogarty Miko (スイス)
 113 Yanagisawa Kaho 栁澤 郁帆 (日本)
 114 Domingues Leticia (ブラジル)
 203 Silva Adhonay (ブラジル)
 210 Acri Simon アクリ士門 (日本)
 212 Corrales Cesar (カナダ)
 214 Oberlin Matias (アルゼンチン)
 318 Kallanvaara Ida Anneli (スウェーデン)
 320 Yoshida Neneka 吉田合々香 (日本)
 407 Zhang Jinhao (中国)
 408 Sebastião Francisco (ポルトガル)
 410 Coelho Tiago (ポルトガル)
 412 Li Wentao (中国) 
 414 Gong Zunyuan (中国) 
 415 Erni Lucas (アルゼンチン)
 418 Rogers Zachary (カナダ)
 419 Yamamoto Masaya 山本雅也 (日本)
 423 Woellner Joel (オーストラリア)
 424 Edwards Thomas (英国)

ビデオブログにも登場していたアクリ士門くん始め、栁澤 郁帆さん、吉田合々香さん、山本雅也さんの4人の日本からの出場者が2日のファイナルに進みます。また、映画「ファースト・ポジション」に出演していた、日英ハーフのミコ・フォーガティさん(出場国はスイス)も。

山本雅也さんは、この読売新聞の記事で紹介されています。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20130126-OYT8T00948.htm

今回審査員として参加している熊川哲也さんのインタビューが、swissinfoにアップされています。
http://www.swissinfo.ch/jpn/i.html?cid=34881358&sb=twi

ダンソマニのフランスのフォーラムでは、写真などのレポートが充実しています。
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=6051&start=7


決勝戦の模様は、ローザンヌコンクールのオフィシャルサイトから視聴することができます。時間は2月2日現地時間の15時。日本だと8時間の時差があるので、23時からですね。

オフィシャルサイト
http://www.prixdelausanne.org/v4/#

視聴サイトはこちら
http://lausanne.streamakaci.com/

追記:AFPに素敵なスライドショーが掲載されていました。
ローザンヌ国際バレエコンクールが開催中
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2925060/10203637?ctm_campaign=txt_topics

第41回ローザンヌ国際バレエコンクールの結果

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第41回ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナルが開催されました。インターネット中継を見ていたのですが、回線が途切れがちで、クラシックの方はあまりきちんと見ることができませんでした。後日アーカイブが公開されるので、後でゆっくり見ようと思います。全体的なレベルは高く、特にコンテンポラリーでのびのび踊っている出場者が多かったと感じました。

結果です。
http://www.prixdelausanne.org/pdf/2013/Press%20Release%20-%20Prize%20Winners%202013.pdf

1位と観客賞 Adhonay Silva (ブラジル)Balé Jovem do Centro Cultural Gustav Ritter, Goiania
2位 Li Wentao  (中国)The Secondary Dance School Attached to Beijing Dance Academy
3位 Masaya Yamamoto 山本雅也 (日本)Yokokura Akiko Ballet School, Nomi; Australian Ballet School
4位 Leticia Domingues (ブラジル)Petite Danse School of Dance, Rio
5位 Cesar Corrales (カナダ)Private lessons; National Ballet School of Canada
6位とコンテンポラリー賞  Joel Woellner (オーストラリア)Houston Ballet Ben Stevenson Academy; Ettingshausens Dyn. Arts; Ac. Ballet/ V.Attard
7位 Jinhao Zhang (中国)College of Design and Art Tong Ji University, Shanghai; Liaoning ballet School
8位 Sebastiao Francisco (ポルトガル)National Conservatory Dance School of Portugal, Lisbon
ベスト・スイス賞 Miko Fogarty (スイス)Westlake School for the Performing Arts, Daly City, CA Diablo Ballet App. Program

今年は男子が圧倒的で、8位までのスカラシップ獲得者8人のうち実に7人が男子でした。

3位に入賞した山本雅也さんは、石川県の小松市立高2年、横倉明子バレエ教室所属とのことです。おめでとうございます!彼のソロル(ラ・バヤデール)とても素敵でした。

惜しくもスカラシップ獲得はならなかったものの、ファイナリストとなった3人の日本人出場者とも、とても素晴らしい演技を見せてくれました。出場者のみなさんの今後の飛躍を楽しみにしています。

朝日新聞に記事と写真が掲載されています。
http://www.asahi.com/culture/update/0203/TKY201302020715.html

NHKニュースの映像、山本雅也さんの踊りを少し、そして山本さんと熊川哲也さんのコメント映像を見ることができます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130203/k10015256561000.html

Swissinfoで、ファイナリスト4人の紹介記事が掲載されています。
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=34892500#topheader

また、ファイナルの詳細と結果もSwissinfoで書いてあります。
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=34896256

*****
2009年に1位に入賞したハナ・オニールさん(日本とニュージーランドのハーフ)の最新インタビューが、Pointeのサイトに掲載されています。オーストラリア・バレエスクールを卒業した後、パリ・オペラ座の外部入団試験を受験し、正式団員契約は取れなかったものの、現在パリ・オペラ座バレエの短期契約団員として2シーズン目を踊り、昨年9月の「セレナーデ」では特に際立った美しさを見せたそうです。
http://pointemagazine.com/issues/februarymarch-2013/dancer-spotlight-underdog

オニールさんは、ローザンヌ国際コンクールの本番でポワントの紐が解けるというアクシデントに見舞われたものの、見事に踊り切って1位入賞したという逸話の持ち主。次の入団試験では正式入団できることを祈っています。

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マラーホフのベルリン国立バレエ退任続報

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ウラジーミル・マラーホフが2013/14シーズンの終了をもって退任するというニュースは、その後様々なアップデートがあります。後任の有力候補としてナチョ・ドゥアトの名前が挙がっていますが、これはあくまでも有力候補の一人ということで、後任として決まっているわけではありません。

たとえば、こちらの記事では、後任としてふさわしいのは振付家のサシャ・ヴァルツではないかとしており、実際、ベルリンの文化大臣と彼女の面談が近日中に予定されているようです。
http://www.tagesspiegel.de/kultur/malakhov-nachfolge-warum-sasha-waltz-das-staatsballett-neu-beleben-koennte/7726012.html

ほかのいくつかの記事を読んでも、ベルリンの文化大臣アンドレ・シュミッツは、ベルリン国立バレエをコンテンポラリーダンスのカンパニーに作り変えたいと考えているようです。現在のクラシック中心のベルリン国立バレエは、平均入場率85%と健闘しているのですが、このレパートリーに対してシュミッツは明らかに不満に思っているとのことです。今回のマラーホフの退任は、マラーホフ自身が申し出たものであり、マラーホフがカンパニーのダンサーを集めて発表したのですが、実質的には、マラーホフは退任を迫られたのが真相に近いようです。後任の第一候補に上がっていたのが、やはり振付家である、ライン・ドイツオペラバレエの芸術監督Martin Schlaepferであるということからも、もっとレパートリーを現代的なものに作り変えようという意図があったようです。

そしてマラーホフは、シュミッツの方針を批判しています。(Welt紙のマラーホフへのインタビュー)

http://www.welt.de/kultur/buehne-konzert/article113326987/Ich-verlasse-Berlin-mit-unzerstoertem-Gesicht.html

今までの芸術監督としての契約の中で、マラーホフ自身が踊ることが条件の一つとなっていました。ところが、最近になってシュミッツは、彼が踊らなくても芸術監督を続けていいよといい、さらにもっと最近になって、君はもう不要だと言ってきたそうです。「彼はベルリン国立バレエをコンテンポラリーのカンパニーにしたいと言っている、でもそれは突然のことで、そうしたいならもっと早く伝えるべきだった。そして以前から、Martin Schlaepferに後任になって欲しいと交渉してきて、しかもそれは失敗に終わっている」

彼は、「カンパニーを去ることになって、ダンサーや観客に申し訳ないと思っている。退任を発表したとき、ダンサーたちはみんな泣いていた。彼らは自分の子供みたいなものだ。この話をシュミッツからされてショックを受けた。シュミッツはコンテンポラリーのカンパニーにしたいと言っているけど、今のダンサーたちはどうすればいいのだろう。観客はコンテンポラリーも観たいけど、古典も観たいはずで、そのことを観客動員のデータが示している。今までの作品の選択がすべて成功したとは思っていない、うまくいったものもあれば失敗した作品もあった。カンパニーにとっての危機はあったけど、観客はついてきてくれていた」と語っています。

彼自身の今後については、マラーホフはこのように語っています。「バレエの芸術監督を続けることも考えたい、いくつかの話は来ている。バレエの指導にも携わりたい。舞台に立つことについては、少しは続けたい、ミハイル・バリシニコフのように、いくつか特定のプロジェクトには関わりたい。でも、その全てがバレエということにはならないだろう。いずれにしても、2014年は私にとって二重の意味で転換点となる」

「ベルリンの中心部にあるアパートは間違いなく所有し続ける、とても気に入っているし、ベルリンの街はまだ私にインスピレーションを与えてくれる。ベルリンについては多くを見てきたけど、私にとっては第二のニューヨークのようなものだ」

こちらの記事では、マラーホフのスライドショーと、彼の現状について詳しく書いてあります。
http://www.morgenpost.de/kultur/berlin-kultur/article113317916/Vladimir-Malakhov-verabschiedet-sich-als-Intendant.html

2012年は、マラーホフにとって苦難の一年だったようです。まず、突然ポリーナ・セミオノワが彼に無断でFacebookで退団の意思を発表したこと。ベルリン国立バレエの88人のダンサーと22人のスタッフは家族のように仲良くしており、公演が終わった後もマラーホフと食事に行ったり、また料理の得意が彼が腕を振るうこともあったとのこと。しかしながら、ポリーナの突然の一方的な退団は、その家族的な雰囲気を壊してしまいました。彼女がバレエ団を去るにあたって、ダンサーたちははなむけの言葉を一冊の本に記しましたが、マラーホフはサインすることを拒否したのです。この一件は彼を深く傷つけたようです。

またバレエ団の副芸術監督であり、マラーホフの右腕にして大親友のChristiane Theobaldがガンと診断されて仕事から退いたことも大きな打撃でした。ベルリン文化庁のバックアップが得られなくなり、批評家たちが手のひらを返したように一斉に彼を批判し始めたのもこの頃です。

ベルリン国立歌劇場のオーケストラが、オペラのツアーに伴って出演できないことも多く、録音テープによる上演を強いられることもあったのも不利な点でした。そのことについて、マラーホフ自身も不満を口に出して改善しようとしましたが、うまくいきませんでした。さらに国立歌劇場の建物が改装工事に入っており開場できるのが2015年の予定で、それまでシラー劇場で公演を行わなければなりません。そして禁煙した結果、体重が8キロ増えてしまって明らかに太ってしまったこともありました。

しかし、悪いことばかりではありませんでした。マラーホフは増えてしまった8キロの体重の減量に成功し、4月の「ゲッケ、フォーサイス、ドゥアト」のトリプルビルでの彼の踊りは大好評でした。ベルリン国立バレエの2012年最後の新作であり、またポリーナ・セミオノワのベルリンでの最後の舞台でした。マラーホフは舞台上で彼女に花束を贈り、和解が実現したように見えたのです。

6月のオデッサでの「マラーホフ&フレンズ」公演で踊った「瀕死の白鳥」は素晴らしいものだったそうです。観客席には、彼の母親、そして彼の師のひとりであるウラジーミル・ワシーリエフがいました。ワシーリエフは72歳となった今も、舞台に立ち続けています。「踊る人ならば、ダンサーである」と彼は言い、ダンサーにとって正しい引退の時期というのはないと語りました。2011年に再び膝の手術を行ったマラーホフは、2012年には美しいアラベスクで観客を魅了し、彼は一生観客からスタンディングオベーションを送られ続けるに違いないと誰もに確信させました。そして新シーズンでの「ペール・ギュント」への喝采も、観客が彼を愛していることを感じさせるものでした。

*******
稀代のダンサーとして、その美しくしなやかな肢体、柔らかな跳躍、そしてドラマティックな表現力で世界中で活躍してきたマラーホフが第一線を退くのは、一つの時代の終わりを感じさせるものです。しかしながら、輝かしい彼の軌跡はこれからも映像を通してバレエファンを魅了し続けることでしょう。また、完全に引退するわけではなく、舞台活動も続けていきたいとのことなので、彼の今後の活躍も注目して行きたいと思います。

1/27 アクラム・カーン「DESH」

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演出・振付・出演:アクラム・カーン
舞台美術・衣裳・映像:ティム・イップ
音楽:ジョスリン・プーク

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2013/d0126.html

第13回英国ナショナルダンスアワードの最優秀男性ダンサーに選ばれ、ロンドン・オリンピックの開会式でも踊ったアクラム・カーン。本作は、ロンドンのサドラーズウェルズ劇場で2011年に初演されて高い評価を得て早速翌年には同劇場で再演された他、昨年12月にはパリのシアター・デ・ラ・ヴィルでも上演されて、絶賛を浴びた。

「DESH」とは、ベンガル語で母国(homeland)を意味する言葉。バングラデッシュ人の血を引きながら英国で生まれ育ったアクラム・カーンは、この80分間のソロダンスで自らのルーツをたどる旅に出る。父の墓と思しき場所で対話していたかと思ったら(実際の彼の父は健在であるそうだが)、その墓に向けてハンマーを振り下ろす。そしてスキンヘッドの頭頂部に描かれた(おそらくは彼の父の)顔を転がすように動かし、ユーモラスで哀愁漂う踊りを見せる。メイクで描かれた顔が、汗で流れて泣いているような表情へと変わっていくのも面白い。大きな古いエンジンが置かれた舞台で、訛りの強い、バングラデッシュのコールセンターの12歳の女の子と会話する。カタック(インド古典舞踊)独特の素早い足の動き、サイクロンのような超高速の移動、なめらかで美しい腕の動きで見せる圧倒的なテクニックの踊り。自分の姪に、父から伝え聞いた逆さの森と蜂のフェアリーテールを語り伝えると、魔術的なまでに美しく幻想的な白いアニメーションが映し出され、彼はその中へと溶け込んでいく。靴紐がレース模様へ、それが森となり、ロープとなり、水や船となり、蜂となって、彼のムーブメントと一体となり、絵本のような語り口で舞台を覆い尽くす。

エンジンとアクラムの対話は、やがて彼の父の、1971年のバングラデッシュの独立戦争の記憶へとつながって行く。コックだった父が戦争に駆り出され、小柄だったゆえ戦闘機のエンジンの中に隠れていたという逸話。その痛ましい体験の数々。バングラデッシュという国から英国へと移民してきた父の物語、バングラデッシュの歴史、英国で生まれ育った自分自身、幼い姪、そして今バングラデッシュで英語圏の携帯電話ユーザーのために電話サポートをする女の子。語り継がれる民族としてのアイデンティティと血の記憶が織り成す、それは大河ドラマのようだ。一つ一つのエピソード、軸が有機的に重なり、時空を超えて絡み合う巧みなストーリーテリングはお見事の一言。

幾重もの細長い帯状の白布が舞台を埋め尽くすように大量に降ってくると、その中で迷子になったかのようなアクラムは姿を消す。と思ったら彼は逆さに天井から吊り下げられ、白布と戯れながら、その状態でも驚くべき動きを見せてくれる。父から聞いた「逆さの森」の物語と、バングラデッシュの人々にとって大切な水を、こんなふうに舞台装置と自分の肉体で表現して痛切に観客の心へと響かせてくれるとは。

たったひとりの出演者で踊られた作品が、このように豊かでイマジネーション溢れて、魔法のような多様な表現とドラマ性を持つものとなるとは、誰が想像しただろう。民族の歴史と自身のアイデンティティを探る旅を、彼と一緒にたどっていく80分間はあっという間のものだった。連綿と続く人々の記憶と未来への想いが、ずしーんと胸にしみわたる。ジョスリン・プークによる美しい音楽、ティム・イップによるシンプルだが力強い美術デザインと、イースト・カルチャーによる繊細なアニメーションというプロダクションの高いクオリティもさることながら、ダンサー、アクラム・カーンの凄まじい表現力、そしてドラマティックで濃厚な舞台を作り上げる構成力には圧倒された。再演を強く望む。

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ベルリン国立バレエの新芸術監督、ナチョ・ドゥアトに決定

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ウラジーミル・マラーホフが2013/14シーズン終了後にベルリン国立バレエの芸術監督を退任する件について。次期芸術監督に、現ミハイロフスキー・バレエの芸術監督、ナチョ・ドゥアトが就任することになったと、ドイツおよびスペインのメディアが一斉に報じています。(ソースはロイターの模様)

http://www.nmz.de/kiz/nachrichten/choreograf-nacho-duato-soll-intendant-des-staatsballetts-werden (ドイツ語)

http://www.welt.de/newsticker/news3/article113403637/Choreograf-Nacho-Duato-soll-Intendant-des-Staatsballetts-werden.html
 (ドイツ語)

http://www.elconfidencial.com/ultima-hora-en-vivo/2013/02/nacho-duato-podria-suceder-malakhov-frente-20130206-92547.html(スペイン語)

http://entretenimiento.terra.es/cultura/nacho-duato-podria-suceder-a-malakhov-al-frente-del-saatsballet-de-berlin,d36c01f5f5bac310VgnCLD2000000dc6eb0aRCRD.html(スペイン語)

ベルリンの文化大臣シュミッツ氏が、振付家で自らのカンパニー「サシャ・ヴァルツ&ゲスツ」をベルリンで率いているサシャ・ヴァルツに、マラーホフの後任となることを打診したものの、彼女には断られてしまいました。また、十分な資金が得られないとのことで、ヴァルツ自身が20年間活動したベルリンを出て、他の都市での活動を探ることになることになったそうです。

サシャ・ヴァルツがベルリンを去ることについての記事(ドイツ語)
http://www.zeit.de/kultur/2013-02/sasha-waltz-berlin


さて、気になるのが、ナチョ・ドゥアトが現在芸術監督を務めているミハイロフスキー・バレエの行方。特に、ドゥアトの元で踊りたいとミハイロフスキー・バレエに移籍したレオニード・サラファーノフらは今後どうするのでしょうか。まだまだ波乱が続きそうです


ナショナル・バレエ・オブ・カナダの2013/14シーズン

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他バレエ団の先陣を切って、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの2013/14シーズンが発表されました。

http://national.ballet.ca/performances/season1314/

Four Seasons Centre for the Performing Arts, Toronto

Fall Season
Swan Lake「白鳥の湖」
November 9 – 17, 2013
ジェームズ・クデルカ振付

Innovation* 
November 22 – 28, 2013
Robert Binet、José Navas、ジェームズ・クデルカの世界初演新作

Holiday Season
The Nutcracker「くるみ割り人形」
December 14, 2013 – January 4, 2014
ジェームズ・クデルカ振付

Winter Season
Watch her & A Month in the Country 「Watch Her」「田園の出来事」
February 26 – March 2, 2014
アズール・バートンの「Watch Her」(音楽:レーラ・アウエルバッハ)と、アシュトンの「田園の出来事」のダブルビル

Swan Lake「白鳥の湖」
March 8 – 16, 2014
ジェームズ・クデルカ振付

Onegin 「オネーギン」
March 19 – 23, 2014
ジョン・クランコ振付

Summer Season
Spectre de la Rose+ & Opus 19/The Dreamer & the second detail
May 28 – June 1, 2014
マルコ・ゲッケの「薔薇の精」、ジェローム・ロビンスの「Opus 19/The Dreamer」、ウィリアム・フォーサイスの「the second detail」

Cinderella「シンデレラ」
June 4 – 15, 2014
ジェームズ・クデルカ振付

Gala ガラ
June 12, 2014

Touring ツアー公演

Giselle, The Four Seasons & Emergence 「ジゼル」「四季」「エマージェンス」
July 16 – 18, 2013, Saratoga Performing Arts Center, Saratoga Springs, New York
NY州サラトガ・スプリングスでの公演

Swan Lake「白鳥の湖」
January 30 – February 1, 2014, National Arts Centre, Ottawa
オタワ公演

* World Premiere + Company Premiere


新作のトリプルビルInnovationというちょっと冒険したプログラムがあるのが注目されます。3人とも、カナダをベースに活躍する振付家。Robert Binetは、ロイヤル・バレエの振付家見習いプログラムに参加しており、ウェイン・、マクレガーのランダム・ダンス、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、ハンブルク・バレエのジュニアカンパニーであるナショナル・ユース・バレエ、NYCBの振付機関、エストニア国立バレエなどに作品を提供している若手振付家とのことです。José Navasはベネズエラ出身でモントリオールをベースに活躍し、自身のカンパニーCompagnie Flakを設立しました。現在までに30ほどの作品を振付けているとのことです。

また、マルコ・ゲッケの「薔薇の精」を上演するのも興味深いところです。ゲッケは病気のため、12月にシュツットガルト・バレエでの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を完成させることができず、若手ダンサーが作品を仕上げました。まだ病気から完全に回復していないとのことですが、そろそろ活動開始といったところでしょうか。

ナショナル・バレエ・オブ・カナダは3月にノイマイヤー振付の「ニジンスキー」とラトマンスキー振付の「ロミオとジュリエット」を上演します。4月にはロンドンで「ロミオとジュリエット」の公演を行います。今シーズンほどの華やかなプログラムではないのですが、「白鳥の湖」「ジゼル」「オネーギン」と手堅い作品で固める一方、Innovationのような新作トリプルビルも上演していて意欲的です。また、ナショナル・バレエ・オブ・カナダは先シーズンは大幅な黒字を達成したとのことで、経営が非常にうまくいっているカンパニーだとのことです。

なお、3月の「ニジンスキー」公演では、ハンブルク・バレエのアレクサンドル・リアブコが客演します。ニジンスキー役を演じるのは、ギョーム・コテの他、コール・ドの若手ダンサー、スカイラー・キャンベル。

第16回文化庁メディア芸術祭受賞作品展(まだ途中)

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アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル、メディア芸術祭。国立新美術館での内覧会にご招待いただいたので行ってきました。

http://j-mediaarts.jp/

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会期:2013年2月13日(水)~2月24日(日)
入場無料(全イベント参加無料)
メイン会場:国立新美術館
サテライト会場・シネマート六本木
 ・東京ミッドタウン
 ・スーパー・デラックス

主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会


メディア芸術祭に行くのは初めてだったので、大変面白く見ることができました。メディア芸術というものの括り、アートというのは本当に幅広いものだなと感じました。いくつか興味深いと感じた作品を取り上げてみます。


アート部門大賞「Pendulum Choir」
Cod.Act (Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)(スイス)
http://j-mediaarts.jp/awards/gland_prize?locale=ja&section_id=1

9人のアカペラと18の油圧ジャッキからなるオリジナル合唱作品。アカペラ歌手たちが、角度可変の台座の上に立ち、生きた音響要素となっている。歌手たちは様々な角度で上下左右斜めに動き、お互いぶつからないように気をつけながら、様々な音、抽象的な音や詩的な音まで発声する。それが重なり合う響きは荘厳で、まるで秘密めいた儀式のようで、とても美しい。でも、彼らは直立不動の状態で機械に縛り付けられているのだ。

ちなみに、この実演を目にすることができる。映像に出演した9人の声楽家と、装置付きで!もちろん無料。映像で見てもとても面白かったけど、生で観られるのはすごい。

2月14日(木)13:30~14:20/19:00~19:50
会場:東京ミッドタウン[ガレリア 地下1階 アトリウム]


アート部門 優秀賞 「Bye Buy」
Neil BRYANT(イギリス)

『Bye Buy』は、絶頂期にあった1950年代の消費主義、および消費者の表象をミックスし、現代のイメージや記号、コードと合成した映像作品。50年代のCM映像の登場人物の目を異常に大きくしたり、バーコードを挿入することによって、欲望の大きさを強調している。目を大きくするのは、最近のプリクラでも使われている技術だけど、実際目にすると結構怖いです。

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アート部門 推薦作品 『skinslides』
大脇 理智

ダンスに興味がある人にとっては面白いと感じられるだろう作品。床に並べられた3枚のスクリーンは「ダンサーを永久保存するためのインターフェイス」として考案された新しいダンス映像インスタレーション。ダンサー/振付家のアレッシオ・シルヴェストリンのパフォーマンスが映像化されている。、部屋内の観客をセンサーが感知し、次のシーンへと移行します。映像は55のショット用意されており、展開時に毎回異なる映像と音が選択され、自動的にダンスの振付けを生成するというもの。映像撮影はt15mmx1.8mx0.9m(畳サイズ)の透明アクリル下からダンサーの影をハイビジョンで撮影され、いわゆる劇場の舞台では観る事ができないダンサーの細かい筋肉の動きや息づかいを観ることができる。

http://newclear.jp/?p=90

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エンターテインメント部門 優秀賞 「勝手に入るゴミ箱」
倉田 稔(日本)
http://j-mediaarts.jp/awards/excellence_award?locale=ja&section_id=2#item2

ゴミを投げるとゴミ箱自ら動いてキャッチしてくれる『勝手に入るゴミ箱』。壁に備え付けられたセンサーが投げられたゴミを検知して落下位置を予測。ゴミ箱はその情報を無線で受け取り、本体の底に設けられた車輪を回転させ、自ら移動してゴミをキャッチする。ゴミの検知にはゲームのモーションキャプチャなどに用いられるセンサーを応用し、ゴミの位置情報から運動軌跡を計算することによって落下位置を予測している。

本当に見た感じはただのゴミ箱なのに、ちゃんとゴミの軌跡を把握して移動するのは面白い!

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まだまだ面白いものがあったので、また明日追加します。

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3/16放映 “エトワール”をめざして ~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち~

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NHKの「地球ドラマティック」の放送予定にこんな番組がありました。

http://www.nhk.or.jp/dramatic/

3月16日(土) 午後7時00分~7時44分 Eテレ
“エトワール”をめざして(前編) ~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち~


おそらくは、こちらのARTEのドキュメンタリーなのではないかと思われます。(Dansomanieフランス版より)

Graines d'étoile
http://sales.arte.tv/detailFiche.action?programId=2720&request_locale=fr

番組については、こちらで写真や映像もあります。
http://www.schuchprod.com/graines-detoiles/

楽しみですね!

K-BALLET COMPANY 「シンデレラ」イベント (2/15 開催)

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K-BALLET COMPANYは3月6日~10日、Bunkamuraオーチャード・ホールにて、熊川哲也演出:振付の「シンデレラ」を上演します。

http://www.k-ballet.co.jp/performances/2013-cinderella

公演に先駆けて、今回3公演で主演する松岡梨絵さん、宮尾俊太郎さん、そして衣装製作を手がけられた工房いーちの林なつ子さんを招いてのイベントに招待していただきました。ここでしか聞けないような、たいへん興味深いお話を伺えた他、ダンサーさんたちの素顔も垣間見えて楽しいイベントでした。特に衣装にまつわるエピソードにはワクワクしました。バレエの衣装の仕事って、ものすごい職人芸の世界なのですね。

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先日再放送された、「シンデレラ」の特別番組「熊川哲也の死ぬまでに一度はバレエを」の録画を見て予習してきました。熊川さんの徹底的なこだわり、バレエに対する思い入れを改めて確認。ハイアートはわざわざ観客のために下りてくる必要はない、という熊川さんの考え方には、とても共感します。

まずは「シンデレラ」の30分ほどのダイジェスト映像を見せていただきました。前回上演の際には生の舞台は観られなかったのですが、ダイジェストで観てもとても面白い作品に仕上がっていました。ロイヤル育ちの熊川さんらしく、演劇性がたっぷりあって、脇役のキャストまでしっかりと演技しているのがわかります。なんといっても衣装と舞台装置が豪華。日本で制作されたとは思えないほど重厚で華麗かつスタイリッシュです。それでいてちょっとだけアヴァンギャルドさ、新鮮さがあります。12時のシーンがとても凝っていて、時計の針を模したダンサーたちが登場したり、不気味な雰囲気で覆われたりしていて、とてもドラマティックな演出です。男性ダンサーたちの見せ場もたっぷりあります。松岡さんのシンデレラは、少しだけ大人っぽくてとっても美しい。

さて、イベントはTBSの安東弘樹アナの軽妙な司会進行で和やかに行われました。

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「演出、舞踊、技術のレベルの高さはまさに”熊川ワールド”」

まずは、公演のイメージビジュアルにも登場している松岡梨絵さんが、彼女自身から見たシンデレラ像について語ってくれました。赤いワンピースに身を包み、スラリとしていてスタイル抜群、とても美しい方です。話し出すと、とても可愛らしく一生懸命なイメージで好感度大です。
「シンデレラは、温かくて健気で、それを前面には出さないけど芯の強い女性です。だれかの真似ではなく、自分ならではのシンデレラとして演じました。2幕で美しい衣装に変身した時に、お客さんがジーンとするように、1幕ではかわいそうな女の子として見えるように、演技を頑張っています。最初に踊った時に、ディレクターに、『綺麗な衣装に変身したのに当たり前のように見えてしまっている』と言われてしまったので、そうならないように気をつけています」

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(暗いスタジオで、携帯でフラッシュなしで撮っていますが、松岡さんは超美人です)

長身でハンサムな宮尾さんは、いかにも王子様という容姿です。「王子の役作りですが、シンデレラの王子は一番シンプルな王子で、王子のストーリーがないので、誰が観ても理想の王子として演じなければならず、それが難しいので頭を悩ませています。初演の映像を自分で観たら、ひどいものでした。もっとうまく演じられるよう努力したい」と謙虚で向上心あふれるようす。テレビドラマや映画俳優としても活躍する宮尾さん。最近ではボクサーの役を演じました。「ダンサーも結局いろんな役を演じるので、取り組み方はドラマもバレエも同じです。役のバックグラウンドや日常の研究から入って役作りしていく工程は変わりません。撮影現場とバレエと違うのは、ドラマだと撮り直しができることで、緊張感が違います。また、自分を第三者目線で見ることができたり、人の演技に対して受ける芝居、応える芝居の勉強にもなります」

K-BALLETの「シンデレラ」ではどこを見て欲しいですか?

松岡さん:「カーテンが開いてからすべてが見所です。プロコフィエフの音楽は難しく、一番難しいのは演技をしながらの音の取り方です。ちょっとでも動きと音が違ってしまうと、すぐにディレクター(熊川さん)から『違う!』って言われてしまいます。音はなかなかつかめませんでした」「コメディ要素もけっこう多いのです。義理の姉たちや母とのやり取り、ダンス教師とK-BALLETならではのエンターテインメント性があり、うまく笑いを誘うようにできています。ユーモラスなシーンがあって客席から笑いがあると嬉しいし、ホッとします」

宮尾さん:「本音を言えば僕だけを見て欲しい(笑)。『シンデレラ』はものすごく世界観が完成されています。セットが段のところが上がっていて不思議な世界です。演出、舞踊、技術のレベルの高さはまさに”熊川ワールド”」
「この作品は、緩急がついていて、いろんな感情が込められます。シリアスなシーンが続くとお客さんも疲れちゃうので」

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「一枚一枚手で染められている衣装!」

ここで、K-BALLETのカンパニー衣装の制作を、カンパニー旗揚げから担当している林なつ子さんが登場します。林さんは、K-BALLETの他、新国立劇場バレエ団、新国立劇場のオペラの衣装なども制作されている方です。とても話が上手な方で、思わず引き込まれてしまいました。ダンサーの二人とも話の息がぴったり。

熊川哲也さんの作品の衣装は、ロイヤル・バレエなどのデザインも担当されているヨランダ・ソナベントがデザインしています。

林さん:「舞台の衣装デザイナーは、舞台の人、ファッションデザイナー出身など色々なキャリアの方がいますが、ヨランダは本当は絵描きさんです。彼女の絵は写実的な絵ではなく、どこから出てきたのか、という、なかなかないデザイン、発想のものが多いのです。熊川さんも大変気に入っています。私は『シンデレラ』で5作目で、苦労してきましたが、衣装ができた時には面白いです。彼女は、普通の生地をそのまま使わなくて、全部ムラ染めをします。一色ではなくて、ちょっと赤、黒などが入っていたりして、業者さんはできなないので、普通のガスコンロにかけて手作業で染めています」

「形も、これは一体どうなっているのか、というのを絵から見て衣装にするのが、次に大変です。とにかくバレエの衣装というのはダンサーをきれいに見せなければなりません。シンデレラ役の衣装は、1幕では「なんてかわいそうなの、こんなのを着せられて」そして2幕で変身した時にはお客さんをあーって思わせないといけません。『シンデレラ』の衣装の枚数はおよそ150着ですが、『白鳥の湖』よりは少ないです。一つ一つ、ダンサーそれぞれの寸法に合わせて違っていて1着1着オートクチュールのように作っています。シンデレラ役は4人いて、K-BALLETは昼夜公演もあるので過酷だし、汗でびしょびしょになってしまうので使い回しではなく一人一人に合わせて製作しています」

「ライティングも考えて衣装の色を決めています。材料を選んで色はこれ、と決めても照明で全然衣装の色が出してもらえないこともあるので、照明の人との掛け合いをします」

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(すごく和やかで息の合った会話が弾む宮尾さんと、林さん。安東アナに「付き合っているんじゃないの?」って言われるほど!)

松岡さん:「衣装は、その役そのものにしてくます。なつ子さんの衣装はキレイに見せてくれるし、一点ものに近いし、デザインも素敵だし、うまく踊れる気がします」

宮尾さん:「衣装は本番前のスイッチの役割を果たしています。物語の人物になれます」

林さん:「表に立つ人の精神状態がとても大切なので、衣装作りではそれを気をつけています」

「四季の精の代わりにロウソクやティーカップの精」

「K-BALLETならではの衣装の『シンデレラ』の特徴としては、熊川さんと打ち合わせをしている時に、通常の『シンデレラ』の四季の精でなくてもいいんじゃないかな、という話から、そこにあるロウソクが踊ったら面白いのでは、という発想になり、どんどん話が大きくなって、花が飾ってあったのが踊る、ロウソク、ティーカップ、それぞれの妖精になったら面白いのではとなりました」(ここで、安東さんから「団長は思いつきの人だから、というツッコミが入り、慌てて「ひらめきの人」と言い直していました(笑))

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ティーカップの精

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ロウソクの精

松岡さん:「四季の妖精が、シンデレラの家の中にあるもの、普段シンデレラことを見ていた生きていないモノたちが彼女の守護神になってパーティに連れて行ってくれるというのはすごく好きな演出ですね」

宮尾さん:「踊りに関しては大変なこともあります。公演の最中に振りが変わることもあるのは大変だけど、ディレクターはお客さんのことを考えて変えて行って、お客さんの反応もいいので、団長はすごいセンスがあると思います」

公演中にダンサーの体型が変わることもあるのでは?と安東さんが聞くと

林さん:「ハードな稽古で汗をかくし、生地も生きているので、できたばかりだと結構硬くてつらいのですけど、馴染んできます。でも馴染みすぎると今度はゆるくなります。女性の場合はこういうことが多いですね。男性は女性をリフトするので力が入り、腕がきついこともあります」

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ここで質問タイムとなりました。

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「スモークから輝くシンデレラが出てくるシーンはぜひ舞台で観てください」

林さんが、今の衣装制作の仕事を始められた経緯を語ってくださいました。

「日本で衣装制作を勉強する場所はなく、すべて独学で身につけました。今になってやっとデザイン学校などで学べるところは出てきましたが。服飾などほかのデザインの経験はなく、舞台の衣装制作一筋でやってきました。困難なことも多いけど、刺激を受けてきて、いつの間にか、という感じです。物真似をする機会が幸いにもあって、いい仕事をさせてもらいました。舞台衣装は、何十人もの人たちがフルに何ヶ月も働いて完成するものです。『シンデレラ』は熊川さんがオーチャードホールの芸術監督になって初めての作品なので、スタッフはみな緊張してやっていました。だけど、舞台稽古を見ているうちに、スタッフがみんな感動してきちゃって、そんなの初めてでした。そして熊川さんが、『本当にありがとう』とスタッフひとりひとりに頭を下げてくださいました。そういう喜びが直に見られるおもしろさ、嬉しさがこの仕事にはあり、今まで続けてきたという感じです。

「ぜひ皆さんに、ここは観てきて欲しいのですが、スモークの中から輝くシンデレラが出てくるところは、鳥肌が立ちました。まさにシンデレラ・ストーリー、非現実に移行していく見せ場ではないかと」

質問「衣装は重いのでは?着やすさと見栄えのバランスは?」

林さん:「衣装はある程度は重くなってしまいます。でも熊川さんが見て、良ければそれで踊ります。衣装はタイトな方がかっこいいですよね。彼の持っている感覚は素晴らしいので、ごまかすとすぐに彼にバレてしまいます。やり直しになります。レースなどは、費用との兼ね合いもあるのでまったくのオリジナルではなかなかなく、既製品も使いますが、遠くから見ていかにもそれらしく見えることが舞台衣装であり、いかにもその時代のモノに遠くから見たときに見えることが重要です。そばから見たら「何これ」と思えるものでも。近くで見られるとドキドキしてしまいます」

松岡さん:「私はきつくて踊りにくい衣装はイヤです(きっぱり)。動きづらいとラインも崩れるし、自分の気持ちも落ちてしまいますから。緩めの方が好きです」

宮尾さん:「僕も衣装はぴっちりしていない方がいいです。熊川さんは自分でもぴっちりしている方が好きですが。リフトをすると1.5倍くらい衣装がきつくなります。『シンデレラ』の衣装は、今までの中でも一番動きやすいです」

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ヨランダ・ソナベントによる衣装のスケッチ

質問「熊川さんが主演しない新作は、『シンデレラ』が初めてですが、熊川さんが踊るところを見ないで、主役を踊ることに対してはどう感じられましたか」

宮尾さん:「今までは熊川さんが踊るところを見て勉強して研究してきました。『シンデレラ』では熊川さんはよりじっくりダンサーを観ているので、自分も勉強することになり、ハードな感じでした。その分、達成感、完成感がありました。そしてプレッシャーから解放されました。今回の再演は、体に動き(振付)が入っているので、スタート地点も前回より楽で、より深み、幅を出すことができました。去年の上演からある程度の変化を見せられたと思います」

松岡さん:「私は男性ダンサーほど熊川さんを意識することはありません。前例がないものに打ち込むのは試行錯誤があり大変です。でも熊川さんから押し付けられることはなく、任せてくれました。音楽との兼ね合いが難しく、先程もお話したように、美しい衣装に変身した時に『当たり前に見える』とディレクターに言われていたので、より気をつけました」

宮尾さん:「熊川さんはダンサーのパートは実演してくれるのでわかりやすいです。自分からも、『こういう雰囲気はどうですか?』と提案することもあります」


「バレエはとにかくライブが美しい」

最後に、『シンデレラ』を上演するにあたってのメッセージがありました。

林さん:「汚れたシンデレラから、綺麗なシンデレラへと変身する様子を見てください。本当にキレイです。熊川さんがこれほど褒めてくださった衣装はないくらいです。フィッティングの時にも『いやあ~』って言われました。これから何が起きるのだろう、という気持ちで観ていただければ」

宮尾さん:「豪華なセットや衣装は、時間もお金もかかっています。一時一時の儚い芸術を感じて欲しいです」

松岡さん:「DVDも出ていますが、バレエはとにかくライブが美しいです」

主催
TBS/Bunkamura
会場
Bunkamura オーチャードホール
日程
2013年3月6日(水)~3月10日(日)

問合せ先
チケットスペース
03-3234-9999
Bunkamura
03-3477-3244

[チケット取り扱い]
チケットスペース03-3234-9999(オペレーター対応)
TBSオンラインチケット
http://www.tbs.co.jp/kumakawa/

Bunkamuraチケットセンター
03-3477-9999

Bunkamuraオンラインチケット
http://www.bunkamura.co.jp/online/
※事前登録が必要 〈PC&携帯〉

チケットぴあ
0570-02-9999( 音声自動応答予約・Pコード:424-310)
http://pia.jp/t/k-ballet/〈PC&携帯〉

ローソンチケット
0570-084-003(音声自動予約・Lコード:39293)
0570-000-407( オペレーター対応)
http://l-tike.com/k-ballet/ 〈PC&携帯〉

イープラス
http://eplus.jp/kumakawa〈PC&携帯〉
 

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間近で見ると、衣装は実に手が込んでいて、一つ一つが芸術品なのだと感じました。これだけのものを作るのにどれほど時間と手間をかけたのでしょうか。一からプロダクションを作り上げる熊川さん、そして林さん始めスタッフの才能は凄いと感じました。

K-BALLETが素晴らしいのは、デザイン、衣装、装置は徹底的にこだわって豪華でセンスが良く美しいものを作っていることで、観客を非日常の、夢の世界に連れて行ってくれることです。最近は発表会なども衣装がが豪華なことが多いですが、せっかくダンサーが良くても、みすぼらしい衣装や装置では作品の魅力が半減しますからね。

今回の「シンデレラ」の、四季の精の代わりにシンデレラの日常を囲んでいたモノたちが妖精になるという発想もユニークだし、アリを主役に据えた「海賊」など、単純に古典作品をそのまま上演するのではなく、少しひねりを加えているところもいいと思います。圧倒的な人気を誇る熊川哲也さん、まだまだ素晴らしいテクニックを維持していますが、いつまでも踊れるわけではなく、「シンデレラ」のように彼が主演しない作品を創っていくことで世代交代を進めて新しいスターを生み出そうとすることも正しい選択です。カンパニー自体のクオリティも非常に高く魅力的なダンサーたちが揃ってきました。後は、より観客層を広げつつ、熊川さん抜きでも熱心にサポートしてくれるファンをつけていくための、バラエティあふれるレパートリーがもっとあれば、というところです。もっと大胆な読み替え作品、ドラマティックな作品なども見てもたいですね。

『シンデレラ』の次に上演される『ベートーヴェン第九』で同時上演される作品の一つに、リアム・スカーレットの世界初演作品があります。まだ26歳と若いにもかかわらず、振付家として高く評価され、去年11月よりロイヤル・バレエのアーティスト・イン・レジデンスとなった彼に、新作を委嘱するというのは素晴らしい試みです。アブストラクトな小品においても、英国バレエの伝統を感じさせるドラマティックさを込められる彼に白羽の矢を立てたというセンスが良いですね。古典の再振付だけでなく、小品やよりコンテンポラリーな作品などもレパートリーに加えていくことで、カンパニーの幅を広げて行くとさらに良いのではないかと思いました。

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追記:ローザンヌ国際バレエコンクールの審査員をこのたびつとめた熊川さん。彼の「ローザンヌ徒然日記」がKーBALLETスクールのサイトで始まりましたが、とても面白いです。
http://k-balletschool.com/topics/view/123

パリ・オペラ座バレエ 2013/14シーズン 2013-2014 season: the Ballet de lOpéra de Paris

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ブログの更新をしばらくサボってしまってすみません。先週末、ミュンヘンとシュツットガルトに行って、ミュンヘン・バレエでイリ・キリアン振付の「Zugvogel」(渡り鳥)、シュツットガルト・バレエでクランコ振付の「ロミオとジュリエット」を観てきました。両方共とても面白い舞台だったのでそれはまた改めて。

パリ・オペラ座バレエの2013/14シーズンは、まだ一般には発表されていませんが、2月25日にAROP会員向けに発表が行われ、フィガロ紙でその内容が明かされています。オペラ座のオフィシャルサイトに載ったら、また情報を追加します。ほとんどの演目は、事前に予想されていたとおりとなりました。

追記:オフィシャルサイトにも掲載されました。
http://www.operadeparis.fr/saison_2013_2014/

また、2013/14シーズンは、アニエス・ルテステュ、イザベル・シアラヴォラ、ニコラ・ル=リッシュと、エトワールが3人引退するので、彼らのアデュー公演の日程も発表されています。

フィガロの記事
http://www.lefigaro.fr/culture/2013/02/25/03004-20130225ARTFIG00610-opera-vers-une-nouvelle-saison-eclatante.php

これを見やすくまとめた記事。
http://www.impressionsdanse.com/2013/02/opera-paris-saison-2013-2014-romantique.html

http://www.dansesaveclaplume.com/actualites/saison-2013-2014-le-ballet-de-lopera-de-paris/

http://www.leschroniquesdunpetitratparisien.com/saison-2013-2014-a-lopera-de-paris-ballets/

2013年9月21日~10月10日 「椿姫」(ノイマイヤー振付) LA DAME AUX CAMÉLIAS JOHN NEUMEIER 10月10日にアニエス・ルテステュのアデュー。

10月23日~11月14日 ミックスプロ 「優しい嘘」(キリアン振付)/「Glacial Decoy」 (トリシャ・ブラウン振付)/「Darkness is hiding black horses」勅使川原三郎振付の新作 TESHIGAWARA / BROWN / KYLIÁN 

12月7日~31日 「ル・パルク」(プレルジョカージュ振付) LE PARC ANGELIN PRELJOCAJ

12月4日~2014年1月4日 「眠れる森の美女」(ヌレエフ振付) LA BELLE AU BOIS DORMANT RUDOLF NOUREEV 

1月4日~10日 ゲストカンパニー ボリショイ・バレエ 「Lost Illusions」(ラトマンスキー振付) BALLET DU THÉÂTRE BOLCHOÏ

2月4日~3月5日 「オネーギン」(クランコ振付) ONÉGUINE JOHN CRANKO 3月5日にイザベル・シアラヴォラのアデュー。

2月21日~3月12日 ミックスプロ 「令嬢ジュリー」(クルベリ振付)、「フォール・リバー伝説」(デ・ミル振付) CULLBERG / DE MILLE 

3月9日~23日 日本公演 「ドン・キホーテ」「椿姫」

4月5日~10日 パリ・オペラ座バレエ学校公演 「シンフォニー・インD」(クロード・ベッシー振付)、「スカラムーシュ」(マルティネス振付)、「ヨンダリング」(ノイマイヤー振付)

4月18日~22日 若手ダンサーの夕べ JEUNES DANSEURS 

5月3日~21日 「オルフェオとエウリディーチェ」(バウシュ振付) ORPHÉE ET EURYDICE CHRISTOPH W. GLUCK / OPÉRA DANSÉ DE PINA BAUSCH 

5月10日~6月8日 ミックスプロ 「ダフニスとクロエ」(ミルピエ振付)/「水晶宮」(バランシン振付) BALANCHINE / MILLEPIED 

6月20日~7月16日 「ノートルダム・ド・パリ」(プティ振付) NOTRE-DAME DE PARIS ROLAND PETIT 7月9日にニコラ・ル=リッシュのアデュー 

6月19日~7月7日 ミックスプロ 「プシュケ」(ラトマンスキー振付)、「ダンシス・アット・ザ・ギャサリング」(ロビンス振付) 6月19日、21日はデフィレつき。ROBBINS / RATMANSKY

7月9日 ニコラ・ル=リッシュ特別公演 NICOLAS LE RICHE SOIRÉE EXCEPTIONNELLE


「椿姫」「オネーギン」、それにミックスプロの「令嬢ジュリー」など、物語バレエの色彩が強い一方で、古典が「眠れる森の美女」のみということで現地では不満に思っているファンもいるようです。12月の公演ですし、「眠れる森の美女」はきっとチケット争奪戦が熾烈となることでしょう。

3人もの人気エトワールが引退するというのは、とても寂しいことです。彼らの引退で一つの時代が終わったことを感じさせます。

ちょっと面白いと思ったのが、ビルギット・クルベリの「令嬢ジュリー」と、アグネス・デ・ミルの「フォール・リバー伝説」という女性振付家二人のミックスプログラム。「令嬢ジュリー」は谷桃子バレエ団で上演していますし、「フォール・リバー伝説」はABTの来日公演で上演されています。「フォール・リバー伝説」は、両親を斧で殺した有名な女性殺人犯リジー・ボーデンの物語です。二人共、パリで作品が上演されたことは滅多になかったのではないかと思われます。(「フォール・リバー伝説」は96年に一度パリ・オペラ座のレパートリーだったことはあったようです)

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