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オランダ国立バレエの2013/14シーズン

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オランダ国立バレエの2013/14シーズンも発表されていました。

http://www.het-ballet.nl/en/performances/2013-2014/

9月7日 ガラ

9月11日 - 29日 Corps
「レ・シルフィード」(フォーキン) Corps(ハンス・ファン=マーネン) Le Corps DU BALLET ( Emio Greco & Pieter C. Scholten)

10月12日 - 11月3日 「ドン・キホーテ」(ラトマンスキー)

12月12日ー1月1日 「眠れる森の美女」(ライト)

2月7日/8日 「new moves 2014」新作

3月1日~16日 「Fairytales」 
「火の鳥」(ラトマンスキー)、「真夏の夜の夢」(アシュトン)

4月16日~5月7日 「Dutch Doubles」 
ハンス・ファン=マーネン、ヨルマ・エロ、Ton Simons、 Juanjo Arquésの新作

5月14日~20日 「Ballerina
「パキータ」、プティパ、バランシン(「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」)、ハンス・ファン=マーネン(「三つのグノシェンヌ」「Without Words」)、クリストファー・ウィールダン(「Duets」)他のパ・ド・ドゥ集

5月21日~31日 「Dreams

6月18日~29日 「テンペスト」 クリストフ・パストールの世界初演新作

予告編はYouTubeオフィシャルチャンネルにアップされています。


ヨルマ・エロの新作は、衣装デザインがヴィクター&ロルフなのだそうです。初演作品たくさん、そして全幕の「テンペスト」の新作初演と、たいへん面白そうなシーズンです。

オランダ国立バレエ 「ドン・キホーテ」(ラトマンスキー版 プロローグ付全3幕) [DVD]オランダ国立バレエ 「ドン・キホーテ」(ラトマンスキー版 プロローグ付全3幕) [DVD]

日本コロムビア 2011-12-21
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2/22 ミュンヘン・バレエ Zugvögel (Migrant Birds)(キリアン作品)

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氷点下10度と極寒のミュンヘンにて、ミュンヘン・バレエのイリ・キリアン振付"Zugvögel (Migrant Birds)"(渡り鳥)を観てきました。

http://www.bayerische.staatsoper.de/922-ZG9tPWRvbTImaWQ9MTU2MyZsPWVuJnRlcm1pbj02NzQ3-~spielplan~ballett~veranstaltungen~vorstellung.html

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Jiří Kylián

Music by Dirk Haubrich, Han Otten a.o.

Set and Lighting Michael Simon
Costumes Yoshiki Hishinuma (菱沼良樹)
Film Jiří Kylián
Boris Paval Conen
Choreographic assistance Ken Ossola
Music (Film) Han Otten
Costumes (Film) Joke Visser
Music Dirk Haubrich
Artistic direction and choreography Jiří Kylián
Installations, Choreography and Costumes backstage Karine Guizzo
Assistance Yvan Dubreuil

Gast Caroline Geiger

Soloists and corps de ballet of the Bavarian State Ballet

初演のキャスト表
http://www.bayerische.staatsoper.de/upload/media/200907/06/10/rsys_28216_4a51b57745b22.pdf

2009年初演のこの作品は、ミュンヘン・バレエ20周年を記念し、キリアンに委嘱した新作。ミュンヘン・バレエの芸術監督イヴァン・リスカはキリアンと年齢が近く、同じチェコ出身であることから友人関係にあり、その縁でこの作品が振りつけられた。2000年以降、キリアンがNDT以外のカンパニーに新作を振りつけることは少なく、中でも全幕作品は非常に珍しい。

ダンサーを渡り鳥になぞらえ、このバイエルン州立劇場に住み着いた鳥であると設定したこの作品は、劇場そのものにオマージュを捧げたものである。ユニークなところは、舞台上の公演の前に、劇場を案内するツアーがついていること。係員の案内により、観客はいくつかのグループに分かれ、普段は入れない劇場の地下に潜り、機械室や縦横無尽に張り巡らされた通路を歩く。床や壁にダンサーが這いつくばっている。鳥の巨大な卵。撒き散らされた羽根。鳥をかたどったオブジェ。頭や全身を羽根で覆われ鳥に扮したダンサー。カラスの鳴き真似をするダンサー。手を伸ばせば届くようなところで、ダンサーが動く生きた彫刻のように配置されパフォーマンスを行っている。鳥かごの中で踊るダンサー。羽根の壁から頭と腕だけ突き出したダンサー。ダンサーのシルエット。床下から見上げているダンサー。二人のダンサーのやり取り。まさに劇場に住み着いた鳥たちのようだ。主にジュニアカンパニー所属のダンサーたちが、あっと驚くような場所でパフォーマンスを繰り広げている様子はとてもユニークである。最後に階段を上っていくと、そこは劇場の舞台の上。暗い場内の中、渡り鳥のシルエットが映し出されている様子はとても幻想的で美しい。がらんとしたオーケストラ・ピットへと降りていくこともできる。バイエルン州立劇場の舞台の上に立つという珍しい体験もできて、とても楽しかった。

さて、本編は、舞台上のパフォーマンスと、スクリーンに映し出される映像を織り交ぜて展開される。この作品の主演ペアは、初老のダンサー二人ということになっており、初演時は男性はイヴァン・リスカが踊った。女性ダンサーは、キリアンのミューズであるサビーヌ・クッペルベルグが演じる予定だったけど、彼女は怪我をしてしまったため、実際にはミュンヘン・バレエを経てクルベリ・バレエで踊っていた(既に引退)カロリーヌ・ギーガーが踊った。サビーヌ・クッペルベルグは、映像の方で、元バレリーナとして出演している。

かつてこのバイエルン州立劇場でバレリーナだった初老の女性が、少女だった頃の自分を思い出し、劇場内を彷徨うという設定。少女役の女の子が海辺で戯れていると、なんと砂の中にこの劇場の小さな模型が出現して波と砂に洗われるというから面白い。実際の劇場にも砂が運び込まれて劇場は砂まみれ、また白いドレス姿のサビーヌが廊下や衣裳室で衣装のあいだを歩き回ったり、少女が舞台の上で歌っている様子を客席から見守ったり。映像の方も古い映画のようであってちょっと奇妙で、よくできている。

実際のパフォーマンスは、初老のペアと、もっと若いペアの2組のパ・ド・ドゥを中心として展開する。2組が同じ振り付けを踊っても、まったく違った印象を受ける。初老の女性(カロリーヌ・ギーガー)は片方に翼をつけて踊るが、彼女の踊りは人生の哀歓を感じさせて美しい。高い天井からは、ビラビラのような背幕が下がっており、その中から男性ダンサーたちが登場して激しく、時にはヒップホップのような振り付けで旋回し、空のオーケストラ・ピットへと降りて捌けていく。サングラスを着用して黒いスタイリッシュなドレスに身を包んだ女性二人による、最高にクールな踊り。男女3人によるパ・ド・トロワ、スピーディでスリリングなパ・ド・ドゥ。頭にランプをつけた男性ダンサーたち。ディアゴナルに駆け抜けるダンサーたち。エネルギッシュに、変幻自在に展開する作品だが、中でもインパクトが大きいのが、菱沼良樹による衣装。主人公の初老の女性のドレスを始め、モノトーンで統一され非常にファッショナブルなのだが、同時に斬新さをある。(上半身裸にサスペンダーというのも)黒くて長い裾をマントのようにはためかせてダンサーが駆けていくというのはよくある演出だが、この裾、単なるマントではなく、ヨットの帆のように、風船のように驚く程大きく膨らんでいるのである。おそらくはヘリウムガスで膨らまされているため、踊る方はきっと大変だろう。さらにびっくりするのは、今度は男性ダンサーふたりが、いくつもの連なった、四角くて大きく黒い提灯のような風船を頭から生やしていながら踊るのだ。風船の中に入っているヘリウムと、重力が拮抗していて不思議な印象を与える。これも、空を飛ぶ鳥の象徴の一つなのであろう。

クライマックスとなると、ほぼ全員のダンサーたちがビラビラ幕から飛び出してきて、混沌を感じさせながらも圧倒的な高揚感をもたらす群舞をを繰り広げる。舞台上には、映像にも登場した劇場のミニチュア模型が登場し、天井がパカッと外れたけと思うと、初老カップルがこの中から登場する。しまいには、この劇場模型は火を噴いて爆発し、中から真っ赤な羽が飛び散るのだ。実際の舞台上でのパフォーマンス時間は1時間程度ではあるが、変幻自在で、緊張感があって、多彩な振付、あいだに挟み込まれた映像と片時も飽きることがない。”キリアン風”の振付は今では世界中で見られるが、イリ・キリアンという人の才能は、これらのフォロワーとは一線を画す斬新さが今なおあって、心臓が高鳴るワクワクする時間を過ごすことができた。

昨年亡くなった高名なバレエ評論家 Horst Koegler氏による初演時の批評(英語)も併せて。
http://tanznetz.de/blog/14750/in-the-wake-of-dante%25e2%2580%2599s-divina-commedia-and-kafka%25e2%2580%2599s-%25e2%2580%259cmetamorphosis%25e2%2580%259d

マリインスキー・バレエ「ロミオとジュリエット」インターネット中継

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本日現地時間19時(日本時間3月2日午前1時午前0時)から、マリインスキー・バレエの「ロミオとジュリエット」がインターネット中継されます。この公演は収録されてDVDにもなる予定です。

指揮はヴァレリー・ゲルギエフ、キャストはジュリエットにディアナ・ヴィシニョーワ、ロミオにウラジーミル・シクリャーロフ、ティボルトにイリヤ・クズネツォフ、マキューシオにアレクサンドル・セルゲイエフ。ラヴロフスキー版です。

http://mariinsky.tv/n/


この「ロミオとジュリエット」はマリインスキー国際フェスティバルのオープニングを飾るものです。
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/

3月3日にはフォーサイスの「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」「精密の不安定なスリル」フォーサイス・カンパニーによる「N.N.N.N.」の上演

3月4日 スヴェトラーナ・ザハロワとウラディスラフ・ラントラートフ(ボリショイ・バレエ)のゲスト出演による「ジゼル」

3月5日 エカテリーナ・コンダウーロワ・ガラ「ジュエルズ」

3月6日 ウリヤーナ・ロパートキナ「真夏の夜の夢」(バランシン)

3月7日 ワディム・ムンタギロフ(ENB)のゲスト出演「ラ・バヤデール」

3月9日 オルガ・エシナ(ウィーン国立バレエ)ゲスト出演、ダニーラ・コルスンツッェフ「白鳥の湖」

3月10日 ガラ 「アポロ」、パ・ド・ドゥ集、「エチュード」、ゲスト NYCBのチェイス・フィンレー(アポロ)、オルガ・エシナ、ワディム・ムンタギロフ、ウラジーミル・シショフ(ウィーン国立バレエ)がゲスト出演


今年はちょっとゲストが地味です。

2/23 シュツットガルト・バレエ「ロミオとジュリエット」Stuttgart Ballet Romeo Und Julia

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シュツットガルト・バレエのロミオとジュリエットを観るのは、2年半ぶり。この傑作を、スージン・カンという稀代の女優バレリーナで観られた幸せを今も噛み締めている。

http://www.stuttgarter-ballett.de/spielplan/2013-03-08/romeo-und-julia/

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(劇場前の池は凍り、雪がちらつく氷点下の寒い気候だった)

この作品、2012年12月には初演50周年を迎え、初演キャストを含むオールスターキャストで特別公演が行われた(乳母役にマリシア・ハイデ、キャピュレット夫人にビルギット・カイル、ロレンツォにエゴン・マドセン、ヴェローナ大公にレイ・バラなど)。そのため、プログラムも50周年仕様で、過去の名演の写真をたくさん収めた大変豪華なものが販売されていた。

シュツットガルト・バレエでも「ロミオとジュリエット」は、「オネーギン」よりもチケットの売れ行きがよく、最もチケット入手困難な演目の一つ。キャストが発表された公演1ヶ月前には一枚もチケットが残っていなくて、大変な苦労をして入手した。当日券を求める長い列もできていたが、買えなかった人も多かったようだ。

振付:ジョン・クランコ John Cranko
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ Sergej Prokofjev
装置・衣装:ユルゲン・ローゼ Jürgen Rose
初演:1962年12月2日 Uraufführung: 2. Dezember 1962, Stuttgarter Ballett

キャスト
ジュリエット:スージン・カン Sue Jin Kang
ティボルト:マッテオ・クロッカード=ヴィラ Matteo Crockard-Villa
パリス:ニコライ・ゴドノフ Nikolay Godunov
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム Melinda Witham
乳母:リュドミラ・ボガート Ludmilla Bogart

ロミオ:エヴァン・マッキー Evan McKie
マキューシオ:フィリップ・バランキエヴィッチ Filip Barankiewicz
ベンヴォーリオ:ダニエル・カマルゴ Daniel Camargo

3人の娼婦:エリサ・バデネス、ラケーレ・ブリアッシ、マグダレーナ・ズィエゲルスカ Elisa Badenes, Rachele Buriassi, Magdalena Dziegielewska
ロザリンド:ミリアム・カチェロヴァ Miriam Kacerova
カーニバルの踊り:ローランド・ハヴリカ、マリーヤ・バットマン、ヘザー・マックアイザック、ルイス・スティエンス、パブロ・フォン・ステーネンフェルズ Roland Havlica Mariya Batman Heather MacIsaac Louis Stiens Pablo von Sternenfels

指揮:ジェームズ・タグル James Tuggle

シュツットガルト・バレエの至宝スージン・カンとエヴァン・マッキーが主役で共演するのは初めてのこと。1967年生まれでもうすぐ46歳のスージンの主役を観る機会も、もしかしたら減ってしまうのかもしれないと思って観に行くことにしたのだけど、彼女の全く衰えを知らないテクニックと表現力には恐れ入った。スージン、来年にはオーストラリアのバレエ団で全幕新作に主演するそうで、まだまだ当分踊る姿を観られそうだ。

華奢なスージンは、これが「椿姫」のマルグリットや「オネーギン」のタチヤーナを演じたのと同じ人とは思えない、とても愛らしい少女ジュリエットとして登場。どちらかといえば大人っぽい容姿なのに、一挙一動がピュアでイノセントで、14歳と言い張ってもいけるくらいなのがすごい。とても情感豊かなのに、表現は自然でさらっとしている。何より柳のようにしなやかな肢体が美しく、キープされている時のポジションもきれいに決まっている。スージンはジュリエットとして等身大で舞台の上で生きて、恋をして、大人の階段を駆け上がり、あっという間に駆け抜けていく。その心模様が手に取るように伝わってきて、観客も一緒に微笑み、胸を痛め、そして泣くことができるのだ。パリスとの結婚を強制され、両親に冷たく拒絶された時の傷ついた様子の痛ましさは、特に心に響いて胸がつぶれる思いがした。

エヴァンがロミオを踊るのはまだ3回目。正直ロミオ役は彼の得意な演目ではない。エヴァンはエレガントで知的な雰囲気の持ち主であるため、若くて未熟なロミオのイメージはあまりない。そこをなんとか外見からでもイメージを近づけるため、エヴァンは髪を短く切って若く見せようとし、マキューシオ、ベンヴォーリオの三馬鹿トリオで戯れる時にはとっても元気よく踊っていた。マキューシオにフィリップ・バランキエヴィッチ、ベンヴォーリオ役はまだ20歳だけどすでにドン・キホーテのバジル役で成功を収め、確実にプリンシパルに近いうちに昇進するだろうダニエル・カマルゴ。3人で繰り広げられるパ・ド・トロワで、このバレエ団の男性ダンサーの充実ぶりを実感。クランコ版のこのシーンは、トゥールザンレールの連続であり、リズミカルな音楽にぴったり合わせて跳ばなければならないので、テクニックが試される。3人とも素晴らしかったのだが、その中でもエヴァンの着地の美しさ、柔らかいプリエはひときわ際立つ。ジュリエットとの出会いのシーンでは、彼は持ち前のノーブルさを発揮させながらも、同時にとても熱い視線をジュリエットに送っていて二人の気持ちが早くも燃え上がっているのが見え、パリスがものすごく彼に嫉妬しているのを感じた。

クランコ版ロミオとジュリエットのバルコニーシーンは、バルコニーから一段、一段とロミオがジュリエットを抱き上げて優しく下ろしていくところがとてもロマンティック。ここでのスージンは実に初々しくて可愛らしい。エヴァンのロミオは、やはり落ち着いていて気品があって王子様のようだし、ほかのロミオ役ダンサーの方がきっと甘い雰囲気は出せると思う。でも、彼らしい美しいロミオになっていた。なんといっても、あの長い手脚が描くアラベスクやポールドブラの軌跡が目に鮮やかな上に、きれいに5番に入るトゥールザンレールの着地、止めるべきところでピタッと止まる技術。特にクランコ版独特のトゥール・ザン・レールの後に前にカンブレして、そこからラッベルセをする時の腕の優雅さと柔らかい背中、伸びやかなアラベスクの美しさにはうっとり。2幕のヴァリエーションで見せたいつまでも続くピルエット、綺麗に高く上がるシソンヌもそうなのだけど、彼のテクニックは確実に磨かれている。あの並外れた長身をコントロールするテクニック、かつては不安定さもあったのが、今ではそんなところは微塵もなく、クラシックバレエの美しさをすみずみまで堪能させてくれるのだ。何より、スージンとは初めて組むとは思えないくらいパートナーリングが良かった。マクミラン版とは似ているようで違うクランコ版ロミジュリは、ジュリエットを逆さまにリフトしたり、中途半端な高さで回転させたり、フィッシュダイブさせたり大変難しいのだけど、びっくりするほどスムーズだった。同じくラインが美しくたおやかなスージンの踊りとエヴァンの動きが見事にシンクロしていて、音楽への乗せ方も流麗で、それはそれは美しいパ・ド・ドゥに仕上がっていた。懸垂キスを交わしたあと、走り去っていくロミオと手を離し、甘美な余韻に浸るスージンの満ち足りた姿を見ていると、じんわりと胸にこみ上げてくるものがあり、幕が下りてからの観客の熱狂ぶりもいつになく熱いものだった。

でも、スージンにしてもエヴァンにしても、彼ら本来の持ち味が発揮されていくのは、2幕以降、物語が暗転するところから。特にエヴァンは、本来の持ち味がダークな人なのだと思う。親友マキューシオを殺されて怒りを炸裂させ、激しくティボルトを追い詰めて息を止めるまでの暗い情熱。3幕のジュリエットとの寝室のパ・ド・ドゥの、お互い愛する人と引き裂かれる悲しみ。こういうところのシリアスな演技はさすがにお手のものだ。3幕は、このパ・ド・ドゥくらいしかロミオの見せ場はなくてジュリエットの独壇場。どんなことをしてもロミオと一緒になると決意し、死の恐怖に震えながら薬を飲み、そして目を覚まして事切れているロミオを見つけたときの慟哭。ジュリエットの心の揺らぎ、迷いを経ての決心が細やかにナチュラルに伝わってきて、思わずのめり込んでしまう。クランコ版「ロミオとジュリエット」のラストは、ジュリエットがロミオを背後から抱きしめながら死んでいくのだけど、ベッドの上を這いつくばるマクミラン版よりずっと美しい幕切れ。(参考写真) 恋を知り、悲しみを知ったことでわずか数日で急に大人の女性へと変貌していくジュリエットだけど、それでもロミオへの思いを死によって遂げようとした彼女は、最後まで14歳の女の子のままのイノセンスと透明感を持ち続け、その痛ましさが胸に強く響いた。

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「ロミオとジュリエット」というと、多くのカンパニーで上演されているマクミラン版が最もメジャーだが、友人であるジョン・クランコの「ロミオとジュリエット」を観てインスピレーションを得たケネス・マクミランが自身の振り付け版を発表したのは有名な逸話だ。この二つはよく似ているように思われるが、基本的に大きな違いがある。マクミランは、作品の意図として、惨めに死ぬ愚かな若者たちを描きたかったと語っている。仮死状態というかほとんど死体のジュリエットを大きく振り回す終幕のパ・ド・ドゥ、両家の戦いでうずたかく積み上げられた死体。マクミラン版では”死”の匂いが色濃いし、パリスに至っては、ロリコンで、無理やり力づくでジュリエットをモノにしようとする卑劣さを感じさせる。

一方、カーニバルの熱気の中で繰り広げられるクランコ版では、両家の争いにおいても舞台は市場で、野菜が飛び交う陽気なものだし、2幕のマンドリン・ダンスでは道化師たちがユーモラスに踊る。娼婦たちも、マクミラン版のように「マノン」から抜け出たような退廃的な存在ではなく、ジプシーのようで、底抜けに明るい。ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオの3人がお互いの体をぶつけ合って戯れる様子は無邪気で元気いっぱいだし、足踏みが多用される振り付けには、若さと力強さがみなぎっている。ロミオのキャラクター自体も、馴染みの娼婦と遊んでみたりロザラインに迫ったりして、かなり積極的。直情的で、生命力に溢れていて、”陽”のイメージだ。群舞にもそのイメージは貫かれており、2幕のフォーメーションにも、祝祭性の高さが感じ取れる。

この生き生きした感じを出すためには、コール・ドに至るまで高度なダンステクニックが必要だし、3人の娼婦役は特にキャラクター色の強さが求められる。さすがシュツットガルト・バレエはクランコ作品を踊るためのバレエ団だけあって、このあたりは全くぬかりがない。3人の娼婦の中では、まだ20歳にして「ドン・キホーテ」のキトリ役の初日を飾り、プリンシパル昇格がほぼ決定しているエリサ・バデネスの身体能力の高さが目を引いた。小柄な彼女は可愛らしく、奔放に踊る姿が印象的。ベンヴォーリオ役のダニエル・カマルゴはエリサとペアを組むことが多い期待の若手で、彼のテクニックもシャープな跳躍などが素晴らしく、2幕のソロでは540を鮮やかに決めていた。マキューシオには、日本でもお馴染みのフィリップ・バランキエヴィッチ。クランコ版のマキューシオは長いソロがあったり、これでもか、と思うくらいトゥールザンレールやドゥーブル・アッサンブレ、ピルエットなどテクニックが詰め込まれているのだが、さすがに彼はその辺り達者で、実に鮮やかに決めてくれた。ティボルトに刺されて死に至るまでのマキューシオの演技がまた、泣かせるのだ。お調子者のマキューシオが、痛みに耐えながらも精一杯虚勢を張ってひょうきんに振る舞い、ロミオとベンヴォーリオに両脇を抱きかかえられ、寂しく微笑みながらがくっと首を傾け死んでいくさまには胸を痛めずにはいられない。バランキエヴィチのもつちょっと皮肉で斜に構えた感じが、この役にいいスパイスを加えている。

回廊を使うことでドラマ性をさらに強くさせているユルゲン・ローゼの美術も印象深い。3幕の寝室に使われるブルーのドレープはドラマティックだし、回廊の上でのジュリエットの葬列、そこから彼女の遺体(仮死状態だが)が墓所へと下ろされていく舞台効果には目を奪われる。キャピュレット家の宴で正体を暴かれるロミオの周りを、黒い旗が取り囲む演出は恐怖感を喚起させる。舞台美術の持つ力を実感させる見事なプロダクションだ。

シュツットガルト・バレエで「ロミオとジュリエット」が最も人気のある演目の一つである意味を改めて実感した。そして、スージン・カンとエヴァン・マッキーがパートナーシップを深め合って、ほかの演目でもそれを見せて欲しいと願った。特にスージンとエヴァンの「オネーギン」は絶対に見てみたい組み合わせの一つである。スージン、いくら今でも全盛期に近いテクニックを誇っていても、今45歳の彼女がいつまでも踊れるわけではないので、彼女の主演映像をぜひ収録して欲しいと思うのである。そして彼女の類まれな演劇性を、エヴァンが吸収して彼の芸術をさらに高めて欲しいと強く感じたのであった。

マシュー・ボーンの「ドリアン・グレイ」7月にオーチャードホールで上演

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マシュー・ボーンが2008年にサドラーズ・ウェルズで初演した、オスカー・ワイルド原作「ドリアン・グレイ」が、7月に日本でのプロダクションとしてBunkamuraオーチャードホールで上演されます。

http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=209

2013年7月11日~2013年7月15日

Bunkamura オーチャードホール

S席: 10,000円
A席: 8,000円
B席: 6,000円

4月13日(土)一般発売
(全8回公演)

主催 TBS/Bunkamura/ホリプロ


今までのマシュー・ボーン作品の日本での上演は、すべて彼のカンパニー、ニュー・アドベンチャーズ(旧アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ)が行ってきましたが、今回は日本人キャスト中心。ただし、ドリアン・グレイ役のオリジナル・キャストであるリチャード・ウィンザーと、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」来日公演でザ・スワン/ザ・ストレンジャーを踊ったジョナサン・オリヴィエ(今回はバジル役)もダブルキャストで出演します。ドッペルゲンガー役も、UKプロダクションからアダム・マスケルが出演。

ドリアン・グレイ(Wキャスト):
大貫勇輔 (JP)
リチャード・ウィンザー (UK)

バジル・ホールワード(Wキャスト):
ジョナサン・オリヴィエ (UK)
※JPキャスト後日発表

レディH:
皆川まゆむ

シリル・ヴェイン:
大野幸人

ドッペルゲンガー:
丘山晴己 (JP)
アダム・マスケル (UK)

森川次朗
鈴木陽平
木原浩太
原田みのる
矢島みなみ
谷古宇千尋
安村圭太
鎌田真梨

日本の商業的なダンスシーンについてよく知らなので、ほとんどのダンサーの名前が初耳なのです。大貫勇輔さんは、平山素子さん振付「兵士の物語」、ミュージカル「キャバレー」で藤原紀香さんの相手役を務めた方ですね。ドリアン役は、スーパーモデルという設定なので、強烈なカリスマ性が求められますが、マシューのおめがねにかなったということで、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待されます。谷古宇千尋さんは、以前のニューアドベンチャーズの日本公演にも出演されていたのは観ています。今までは、ニューアドベンチャーズの日本公演ではキャストは当日発表でしたが、今回は、チケット発売前に、UKキャストとJPキャストを事前に発表してくれているので、親切ですね。

私はサドラーズウェルズでの初演キャストを観に行きました。とても官能的でクールでスタイリッシュなプロダクションで、いつもながらのレズ・ブラザーストーンの舞台装置のセンスの良さにも舌を巻きました。日本ではどんな舞台になるか、楽しみですね。

初演を観た時の感想はこちらです。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2008/09/matthew-bournes.html

フィーリン襲撃事件、容疑者を拘束

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ボリショイ・バレエの芸術監督のセルゲイ・フィーリンが今年1月17日、顔面に硫酸を浴びせられて大けがを負った事件で、捜査当局は5日、同バレエ団のリーディング・ソリスト、パーヴェル・ドミトリチェンコ容疑者ら3人を逮捕したというニュースが流れました。

ボリショイ監督襲撃、ソリストら3人逮捕(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0305/TKY201303050203.html


インタファクス通信によると、ほかに逮捕されたのは、実際に硫酸をかけた実行犯とみられる男と、この男を犯行現場まで運んだとされる運転手の男。ドミトリチェンコ容疑者が犯行を依頼したとみられている。

New York Timesにも速報が載っています。

Russia Detains Dancer in Bolshoi Acid Attack
http://www.nytimes.com/2013/03/06/world/europe/russia-detains-suspect-in-bolshoi-ballet-acid-attack.html?_r=0

捜査線上に浮上したのは5日のことで、家宅捜査を経て拘束となったとのことです。今まで、ドミトリチェンコがフィーリンと対立しているという認識を劇場側は持っていなかったと、報道官のカテリーナ・ノーヴィコワはコメントしています。ただし、ドミトリチェンコ自身は、グリゴローヴィチ一派であり、グリゴローヴィチを批判した批評家に対抗するために、彼を擁護する記事を新聞に投稿したことでも知られています。ニコライ・ツィスカリーゼは、二人のあいだでは給与に関する見解の相違があったとコメントしています。

ロシアのニュースチャンネルVestiでは、警察は襲撃事件があったエリアでの携帯電話の通話記録を確認することで、容疑者を確定したと報道しています。

しかしながら、この逮捕に至った容疑については、簡単に納得できるものではないし、本当に彼を逮捕できるだけの裏付けがあったのか、非常に疑わしいと個人的には思います。事件があってからボリショイ劇場の様々な暗部が明らかになり、また劇場総裁によるあからさまなツィスカリーゼへの中傷などもあり、捜査は暗礁に乗り上げたように感じられました。ロシアの当局の発表も新聞報道についても、どうしても疑いの目を向けてしまいます。これもまた、権力闘争の一部であり、またさらに大きな陰謀の一部であるように感じられてなりません。

昨年のボリショイ・バレエの来日公演で、ドミトリチェンコの「スパルタクス」の素晴らしいパフォーマンスに感動しました。また最近では彼は「イワン雷帝」などに主演しているなど活躍しています。今回の件、冤罪であることを祈ります。真犯人が捕まりますように。


K-BALLET COMPANY 「シンデレラ」公開ゲネプロ

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3月6日に、K-BALLET COMPANYの「シンデレラ」がBunkamuraオーチャードホールにて開幕しました。

http://www.k-ballet.co.jp/performances/2013-cinderella

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昨日行われた公開ゲネプロにお邪魔させていただきました。1幕のみだったのですが、圧倒的にきらびやかで美しい美術とプロダクションのクオリティの高さ、素晴らしいダンサーたちの踊りに圧倒されました。キャストはシンデレラ役に日向智子さん。

とにかく、トークショーで衣装制作の林なつ子さんがおっしゃっていた通り、幕が開いてまずは舞台美術の美しさに圧倒されます。1幕はシンデレラの家なので、それほど華美ではないのですが、アール・ヌーボーっぽいデザインがとても洗練されていて、ちょっと個性があって素敵です。日本で制作した西洋のバレエの装置でこんなにセンスが良いものをつくれるんだ、って驚くほどです。絵本を広げたような、想像力を駆り立てる感じでわくわくします。

熊川さんの振付らしいな、と思うのは、男性ダンサーの見せ場がたくさんあること。1幕は王子が登場しないのですが、その代わり、まずは洋服屋と帽子屋が跳ぶわ、回るわ。もちろん、ダンス教師も踊りまくります。さらに、シンデレラのかぼちゃの馬車を引くトナカイまでもが踊りを見せてくれます。義理の姉妹役の女性ダンサー二人の演技がとてもコミカルで、かつ決して大げさではなくて上手いし、がっつり踊ってくれます。急に代役で抜擢された日向智子さんですが、テクニックもしっかりしており、シンデレラの健気さ、ちょっとかわいそうな感じも出ていて可愛らしかったです。熊川さんの振付は、ちょっとアシュトンの影響を感じさせるもので、かなり難しい振りもありますが、プロコフィエフの音楽によく調和し、易易と軽やかに踊ってくれていました。

1幕の大きな見せ場は、もちろんシンデレラが灰かぶり姫から光り輝くお姫様に変身するところ。ここは、変身するんだ、ということが事前に分かっていても、目を奪われるほど華やかでキラキラしていてものすーく綺麗です。シンデレラの衣装の豪華さは本当に凄い。この間のトークショーで実際のチュチュも見せていただきましたが、「客席から見ていて美しいことが大事」という話の通り、2階席から見ても圧倒されます。馬車も、新国立劇場のアシュトン版も豪華ですがそれを上回るゴージャスさ。夢の世界そのものです。1幕でこんなにも美しいのですから、お城で繰り広げられる舞踏会の2幕はどれだけ素晴らしいことでしょうか。

そして、四季の精の代わりに、シンデレラを見守っていた周りのものたちが変身したローズの精、キャンドルの精、トンボの精、そしてティーカップの精が踊ります。4人、こんなにも見事に踊れるソリストを揃えているのが素晴らしい。衣装もとても凝っています。特に、いかにもティーポットらしいボーンチャイナの感じが出ているティーカップの精の衣装は可愛い。その後、あの印象的なテーマ曲に乗せて踊る群舞は、衣装も美しいけど踊りもとても揃っていて、きらびやかでした。全体的に踊りの量が多いので、満足度が高いのです

1幕観ただけでも、すごくいいものを観せていただいたと感じたので、続きを観るために明日観に行きます。楽しみです!


なお、松岡梨絵さんの体調不良、秋元康臣さんの退団によってキャストが変更されました。当日券も発売されるそうです。

Bunkamura オーチャードホール
3月6日(水)15:00 シンデレラ:日向智子 王子:宮尾俊太郎
3月7日(木)14:00 シンデレラ:荒井祐子 王子:遅沢佑介
3月7日(水)18:30 シンデレラ:日向智子 王子:宮尾俊太郎
3月8日(金)14:00 シンデレラ:佐々部佳代 王子:橋本直樹
3月8日(金)18:30 シンデレラ:神戸里奈 王子:西野隼人
3月9日(土)13:00 シンデレラ:荒井祐子 王子:遅沢佑介
3月9日(土)17:30 シンデレラ:神戸里奈 王子:井澤諒
3月10日(日)14:00 シンデレラ:日向智子 王子:宮尾俊太郎


金曜日には、熊川さんのテレビ番組が放映されます。
http://k-ballet.co.jp/news/view/693

【3月8日(金)・16日(土)】 特別番組「日本が誇る天才ダンサー熊川哲也 世界を駆け巡る!スイス&イタリア」
3月8日(金) 10:05~ (TBSテレビ)
3月16日(土)14:00~ (BS-TBS)

特別番組「日本が誇る天才ダンサー熊川哲也 世界を駆け巡る!スイス&イタリア」

熊川哲也
フェニーチェ歌劇場、ローザンヌ国際バレエコンクールと
世界を駆け巡る熊川哲也に密着。

また、K-BALLET COMPANYの6月公演「ジゼル」が発表されました。
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2013-giselle
熊川さんがアルブレヒトを踊ります。これは必見ですね。

ロイヤル・バレエの2013/14シーズン

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ロイヤル・オペラハウスの2013/14シーズンが発表されました。(オペラについては割愛)

太字が、ロイヤル・バレエによるもの。(一部リンバリースタジオの公演にも、ロイヤル・バレエのダンサーは出演します)

http://www.roh.org.uk/news/201314-ballet-and-dance-season-announced

カルロス・アコスタ再振付による「ドン・キホーテ」
初日9月30日(初日は特別ガラ)、映画館中継10月16日

「ロミオとジュリエット」(ケネス・マクミラン振付)
初日10月19日

「クローマ」(マクレガー振付)、デヴィッド・ドーソンの新作「春の祭典」(ケネス・マクミラン振付)
初日11月9日

Stephen Petronioの新作、「結婚」(プレルジョカージュ)、Virtual Descent(Eleesha Drennan振付) (National Dance Company of Wales, Linbury Studio Theatre)
10月31日、11月1日、2日。
リンバリースタジオでのNational Dance Company of Wales公演

「マクベス」Eddie Ladd振付、 (De Oscuro, Linbury Studio Theatre)
11月12日,13日 リンバリースタジオでのDe Oscuro公演

Eden (Gemma Nixon and Jonathan Goddard振付) / Pictures We Make (Anthony Missen and Kevin Edward Turner振付) (Company Chameleon, Linbury Studio Theatre)
11月15日,16日 
リンバリースタジオでのCompany Chameleon公演

Repetition of Change (Sharon Watson振付)/ Tender Crazy Love (Douglas Thorpe振付) / Ki (Jose Agudo振付) / All Alight (Richard Alston振付) (Phoenix Dance Theatre, Linbury Studio Theatre)
11月19日~23日 
リンバリースタジオでのPhoenix Dance Theatre公演

「くるみ割り人形」(ピーター・ライト振付)
初日12月4日、映画館中継12月12日 1月16日まで

「ジュエルズ」(バランシン振付)
12月17日初日

「ヘンゼルとグレーテル」(リアム・スカーレット振付)
リンバリースタジオ
1月

「ジゼル」{ライト振付)
1月18日初日、映画館中継1月27日

「ラプソディ」(アシュトン振付)、マクレガー新作、「グロリア」(マクミラン振付)
2月7日初日

バレエ・ブラック公演
2月26日~
リンバリースタジオ

Young British Dancer of the Year Final 2014 (Linbury Studio Theatre)
リンバリースタジオ

「眠れる森の美女」プティパ振付
2月22日初日、映画館中継3月19日

「冬物語」(クリストファー・ウィールダン振付、ジョビー・タルボット音楽、新作)
4月10日初日、映画館中継4月26日

Headspace Dance (Headspace Dance, Linbury Studio Theatre)
Christopher Akrill and Charlotte Broomによるリンバリースタジオでの公演
4月

Spectrum (bgroup, Linbury Studio Theatre)
ベン・ライト振付によるリンバリースタジオでの公演
5月

Mayuri Boonham / Alexander Whitley (Royal Ballet Choreographic Affiliates, Linbury Studio Theatre)
ロイヤル・バレエ振付機関の二人の振付家によるリンバリースタジオでの公演
4月/5月

「セレナーデ」(バランシン振付)、「スイート・ヴァイオレット」(スカーレット振付)「Danse à Grande Vitesse(DGV)」(ウィールダン振付)
5月14日初日

「真夏の夜の夢」(アシュトン振付)、アレイスター・マリオット振付の新作、「コンサート」(ロビンス振付)
5月31日初日

「ドラフト・ワークス」
ロイヤル・バレエのダンサーによる振付作品の上演。リンバリースタジオ

ロイヤル・バレエスクール公演
リンバリースタジオ(7月)とロイヤルオペラハウス(7月12日)

Springboard (Linbury Studio Theatre)
Verve, ランベールスクール、バレエ・セントラルの若手アーティストによる公演(リンバリースタジオ)
6月,7月

Wendy Whelan: Restless Creature (Linbury Studio Theatre)
NYCBのプリンシパル、ウェンディ・ウェーランが若手振付家Kyle Abraham/Joshua Beamish/Brian Brooks/Alejandro Cerrudoとコラボレーション。リンバリースタジオ



カルロス・アコスタが再振付した「ドン・キホーテ」と、クリストファー・ウィールダンの新作「冬物語」(シェイクスピア原作)が全幕の新作です。「ドン・キホーテ」はロイヤルでは久しぶりの上演。「冬物語」の音楽は、「不思議の国のアリス」も手がけたジョビー・タルボット。トリプルビルの新作も、マクレガー、アレイスター・マリオット、デヴィッド・ドーソンとあります。

今シーズンからアーティスト・イン・レジデンスとなったリアム・スカーレットの新作があるかな、と思ったら、旧作2本の上演でした(「ヘンゼルとグレーテル」は今年の5月初演です。チケットが上級フレンズだけで売り切れてしまったそうです)。

今年はリンバリースタジオでの小規模な公演にも力を入れているようで、特に注目されるのが、ウェンディ・ウェーランと若手振付家たちのコラボレーション。新作には意欲的な様子です。

反面、全幕作品の選択が非常に保守的で観客動員を狙ったもので、今シーズン映画館中継された「くるみ割り人形」「ジゼル」「ロミオとジュリエット」「眠れる森の美女」が上演されるのはちょっと既視感ありすぎです。それから、アシュトン(「真夏の夜の夢」「ラプソディ」)、マクミラン(「ロミオとジュリエット」「春の祭典」「グロリア」)が少ないように感じられます。もっとロイヤルらしさをレパートリーで出して欲しいと個人的には思います。

映画館中継の話が出たところで、「くるみ割り人形」「ジゼル」「眠れる森の美女」に加え、新作の「ドン・キホーテ」「冬物語」も中継されます。現在日本で行われているシアタス・カルチャーでまた映画館上演されるといいなと思います。

Don Quixote October 16, 2013
Nutcracker December 12,2013
Giselle January 27, 2014
The Sleeping Beauty March 19, 2014
The Winter's Tale April 28, 2014

なお、ロイヤル・オペラの方では、ヴェルディのオペラ「シチリアの晩鐘Les Vepres Sicilennes」の振付をヨハン・コボーが行うとのことです。ロイヤル・バレエアッパースクールの生徒たちが踊るそうです。

*****
来シーズン上演されるマクミランの「ロミオとジュリエット」、先日映画館でも公開された映像がDVD/Blu-ray化されました。日本のアマゾンでも予約受付中です。映画館で観ましたが、とにかくローレン・カスバートソンのジュリエットが可憐です。フェデリコ・ボネッリはイタリア人なのでいかにもロミオに見えてとても素敵。

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ベルリン国立バレエ2013/14シーズン(マラーホフのフェアウェル)/北京、台北公演

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ベルリン国立バレエの2013/14シーズンが発表されました。現監督、ウラジーミル・マラーホフの最後のシーズンとなります。また、3つのバレエ団が合併してベルリン国立バレエが誕生して10周年という記念すべき年となっています。

http://www.staatsballett-berlin.de/en_EN/press/detail/1471/20296

併せてマラーホフの、ベルリン国立バレエにおけるフェアウェルパフォーマンスも発表されていました。
2014年6月13日の「カラヴァッジオ」と、6月14日の「チャイコフスキー」です。

また、いくつかのカンパニー初演作品が予定されています。ワシリー・メドジェーエフとユーリ・ブルラーカ(ブルラーカはボリショイ・バレエの前芸術監督で、復刻上演のスペシャリスト)の台本による「くるみ割り人形」新振付が上演されます。1892年の初演に基づいたものでありながら、現代的な要素も含んだ作品となるそうです。

1月には、「マラーホフ&フレンズ」の公演があります。そして、アンジェラン・プレルジョカージュ振付の、千夜一夜物語に振り付けられた全幕作品「The Nights」のドイツ初演があります。衣装デザインは、一世を風靡したファッションデザイナーのアズディン・アライア、音楽はNatacha Atlas, Samy Bishai と79Dによるもの。

ラトマンスキー振付の「Namouna」(ラロ作曲の「ナムーナ」、2010年にNYCBで初演)と、スタントン・ウェルチの「クリア」(ABTなど様々なバレエ団で上演されてきた美しい作品、衣装デザインはマイケル・コーズ)の2作品のドイツ初演が行われます。

また、さらに全幕作品「ドンファン」(Giorgio Madia振付、コーミッシュオーパーでの上演)の世界初演も予定されています。


*****
プレスリリースによれば、ベルリン国立バレエは2004年には観客動員率が61.5%に過ぎなかったのが、現在は81.5%と大幅に増加しているとのこと。また、2006年に始まった、2年に一回のベルリンダンスサミット(外部カンパニーの招待公演およびダンス関係者によるディスカッション)、そして2001年よりはベルリン自由大学のダンスインスティチュートと提携してのバレエ大学で市民にバレエについて学んでもらう機会を設ける、子供や若い人にダンスに対する理解を広める教育活動dance club is GREAT! (Tanz ist KLASSE!)など、様々な試みを行ってきたそうです。


なお、ベルリン国立バレエは今年6月に北京と台北へのツアーを行います。
6月5、6日 北京 国家大劇院にてガラ
6月8、9日 北京 国家大劇院にて「ラ・ペリ」
6月13日、14日 台北 国家戯劇院にて「カラヴァッジオ」
6月15日(昼夜) 台北 国家戯劇院にてガラ。

マラーホフが出演する全幕作品をアジアで観る最後のチャンスの一つかもしれません。台北公演の興行元のFacebookページに演目の紹介などがあります。

ダンサーの宝箱 - 海外で働く若きダンサーたちの今を知りたい! -

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今は世界中のメジャーなバレエカンパニーで活躍している日本人ダンサーも増えてきましたが、ごく一部の人を除いて、彼らがどのような日常を送り、どのような経緯を経て現在の仕事をしているのかはなかなか知ることができません。

ドイツのフランクフルトとベルリンでバレエ教室を開いている湯浅美華さんが、海外で活躍しているダンサーをリレー形式でインタビューしていくサイト「ダンサーの宝箱 - 海外で働く若きダンサーたちの今を知りたい」が開設されました。

http://odoritai.exblog.jp/

現在のところ、二人のダンサーのインタビューが載っているのですが、聞き手が元ダンサーならではの視点で質問がされており、一日をどのように過ごされているのか、どうやってカンパニーに入団したのか、といった話が大変興味深いです。これからダンサーを目指す若い人には参考になりますし、ダンス/バレエについて興味を持っている一般の人にとっても、読み応えがあって面白いです。

カッセル州立劇場坂野真麻さんシュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州立フレンスブルグ歌劇場田村ゆりさんのインタビューが掲載されています。小さなカンパニーでも、一年に800人!もオーディションを受けに来るそうで、プロのダンサーになるのは本当に狭き門なのですね。

次回は、レーゲンスブルグ劇場で働く竹内春美さんのインタビューが掲載されるそうです。レーゲンスブルグ劇場のバレエ芸術監督は、振付家として活躍する森優貴さんということもあり、たいへん楽しみです。

SWAN MAGAZINE 2013 春号 Vol.31

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SWAN MAGAZINE 2013 春号 Vol.31が発売されました。いつの間にか31号を数えていたのですね!

http://www.heibonsha.co.jp/swanmagazine/

[連載] パリ・オペラ座 エトワールに夢中!
Vol.15 リュドミラ・パリエロ
文・加納雪乃 写真・村松史郎

[特集]森の都からやってきた!
キエフ・バレエ
文・桜井多佳子 写真・瀬戸秀美

[Review]
「眠りの森の美女」「ジゼル」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」

芸術監督インタビュー デニス・マトヴィエンコ

[ダンサーインタビュー6]
エレーナ・フィリピエワ/セルギイ・シドルスキー
カテリーナ・カザチェンコ/オリガ・ゴリッツァ
カテリーナ・チェブィキナ/エリザヴェータ・チェプラソワ

[インタビュー] キエフ国立バレエ学校芸術監督 寺田宜弘

パリ・オペラ座バレエ団 昇進試験ルポ2012 土屋裕子

[Review] マリインスキー・バレエ日本公演
文・池野惠 写真・瀬戸秀美

パリ・オペラ座へ、ようこそ!
パリ発 舞台ルポ「ドン・キホーテ」/日本でパリ・オペラ座 最前線を体感しよう!

パリ・オペラ座バレエ学校の四季[冬-春] 文・土屋裕子

[Review]
貞松・浜田バレエ団「くるみ割り人形」ほか
バットシェバ舞踊団「SADEH21」/アクラム・カーン「DESH」
ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ ~カノン~

[連載] SHOKO's story いままで、そしてこれから。{9}

[新連載] 劇場法時代のバレエ vol.1 文・菘あつこ

[インタビュー] メアリー・ヘレン・バウアーズ(元NYCB)
文・上野房子

世界の劇場から、こんにちは! ステート・ストリート・バレエ 山本庸督

[連載 バレエ漫画 第14話]
SWAN モスクワ編 有吉京子

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巻頭の「エトワールに夢中」第15回は、去年エトワールに昇進したリュドミラ・パリエロ。外国人女性では初めてのエトワールです。彼女が注目されるきっかけは、同じく外国人エトワールのジョゼ・マルティネスで、「天井桟敷の人々」で彼女をガランス役に抜擢したのでした。オペラ座独特のフレンチエレガンスを習得するのに人一倍努力した彼女は、フロランス・クレールとオーレリー・デュポンから多くを学んだそうです。昨年11~12月の「ドン・キホーテ」ではキトリ役を10回も踊り大活躍。私も初日を観ましたが、美しい脚と磐石のテクニックが圧倒できでした。

パリ・オペラ座関連では、ピアニスト土屋裕子さんによる、昇進試験とパリ・オペラ座学校についてのレポート記事も読めます。

特集は、デニス・マトヴィエンコが芸術監督に就任したキエフ・バレエ。昨年12月~1月にかけて来日公演を行い、今年の夏も「華麗なるクラシックバレエハイライト」の公演を行う予定です。1月のフィリピエワとマトヴィエンコの「ジゼル」を観ましたが、とてもドラマティックで美しく、正しいロシアバレエの伝統を感じさせて素晴らしかったです。そのマトヴィエンコ、フィリピエワ始め、このバレエ団の素晴らしいダンサーたちのインタビューがたっぷり読めます。さらには、このバレエ団でソリストとして長年活躍し、現在は名門キエフ・バレエ学校の芸術監督を務める寺田宣弘さんのインタビューも。キエフ・バレエ学校は、スヴェトラーナ・ザハロワ、アリーナ・コジョカル、アレクサンドル・リアブコらを輩出したことで有名ですが、外国人が芸術監督を務めるのは初めて。寺田さんは、日本とウクライナとの交流にも力を入れています。

マリインスキー・バレエの11月~12月来日公演が、瀬戸秀美さんの美しい写真でレポートされています。特にウリヤーナ・ロパートキナの舞台写真が満載で、ファンにとっては嬉しい限り。

また、1月に新国立劇場で行われた貞松・浜田バレエ団の素晴らしい公演、ブベニチェク・ニューイヤーガラのレポートにも分量が割かれています。

海外で活躍する日本人ダンサーを追った世界の劇場から、こんにちは!では、 アメリカ、サンタバーバラのステート・ストリート・バレエ所属し、現在は日本とアメリカの両方で活躍する山本庸督さんが取り上げられています。大学でバレエを学んだという経験が生きているとのこと。

そして「SWAN モスクワ編」は、「アグリー・ダック」でラリサが成功を収めたことから始まり、真澄とレオンの関係について(レオンのサービスカット付き!)、そしてシュツットガルトでのガラ公演の準備、と物語が進展していきます。まだ結婚は考えられないというレオン、そして最後にルシィの名前が登場し、次回はどんな展開になるのか、目が離せなくなりました。

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なお、「SWAN モスクワ編」の3巻も発売中です。巻末には、有吉京子さんがシュツットガルトを訪れた時のイラストレポもあってなかなか楽しいです。スージン・カン、エヴァン・マッキー、フリーデマン・フォーゲルらが登場。

SWAN 白鳥 モスクワ編 3巻SWAN 白鳥 モスクワ編 3巻
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ミュンヘン・バレエの2013/14シーズン

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ミュンヘン・バレエ(バイエルン州立バレエ)の2013/14シーズンが発表されていました。

http://www.bayerische.staatsoper.de/867-ZG9tPWRvbTImZmxhZz0xJmw9ZW4-~staatsballett~staatsballett_aktuell~aktuelles_ballett.html

カンパニー初演作品

ノイマイヤー振付「真夏の夜の夢」

Michael Simon振付「The Yellow Sound」ワシリー・カンディンスキーの作品にインスピレーションを得た作品
ラッセル・マリファントの新作
アズーレ・バートン振付の「トリアディック・バレエ」 オスカー・シュレンマーの有名なバウハウス作品の再振付の新作
マリー・ヴィグマンの「春の祭典」

Ballet Festival Week 2013
Terence Kohler.「Heroes」全幕新作作品、音楽はレーラ・アウエルバッハ

11月17日~ Forever Young
レオニード・マシーン振付「k」1933年初演作品
ホセ・リモン振付「ムーア人のパヴァーヌ」
ラッセル・マリファント振付「ブロークン・フォール」


4月23日、24日 ゲストカンパニー ミハイロフスキー・バレエ
ナチョ・ドゥアト振付「眠れる森の美女」

5月 第11回テレプシコーラ・ガラ

6月25日
マース・カニンガム振付「Biped」
Richard Siegal振付の世界初演作品「UNITXT」

リバイバル

バレエ・リュスプログラム
ニジンスキー振付「牧神の午後」、フォーキン振付「シェヘラザード」、ニジンスカ振付「牝鹿」

クランコ振付「ロミオとジュリエット」


レパートリー

9月21日~
パトリス・バール振付「ラ・バヤデール」

2月15日~
イリ・キリアン振付「Migratory Birds」

Steps & Times
アシュトン振付「バレエの情景」「イザドラ・ダンカン風の5つのブラームスの踊り」「春の声」マクミラン振付「大地の歌」

ジェローム・ロビンス振付「Goldberg Varations」 / イリ・キリアン振付「Gods & Dogs」

ノイマイヤー振付「幻想 白鳥の湖のように」 Illusions – Like Swan Lake

アシュトン振付「ラ・フィユ・マル・ガルデ」La Fille mal gardée

ノイマイヤー振付「くるみ割り人形」The Nutcracker.


なんとも素晴らしいラインアップなのではないかと思います。特に興味深いのが、モダンダンスの歴史では必ず出てくるオスカー・シュレンマーの「トリアディック・バレエ」と、マリー・ヴィグマンの作品を上演するということ。ドイツのカンパニーでこれをやるということは大きな意味があります。全幕作品、20世紀の作品、現代作品のバランスもよく取れていて、大変魅力的です。

トリアディック・バレエ(この衣装は、シュツットガルト州立美術館に展示されているので、機会があれば是非ご覧になってください。とても面白いです)

なお、この次の2014/15シーズンとなりますが、アレクセイ・ラトマンスキーがこのバレエ団のために「パキータ」を新たに振り付けるとのことです。2014年12月13日初演予定。

シュツットガルト・バレエの世界新作「クラバート」

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シュツットガルト・バレエの新作「クラバート」が3月22日に世界初演されました。

シュツットガルト・バレエのコール・ドのダンサーであり振付家のデミス・ヴォルピが初めて手がけた全幕作品で、オトフリート・プロイスラーのベストセラー小説が原作。少年と魔法使いの物語です。

シュツットガルト・バレエのオフィシャルサイトで、作品ができあがるまでのプロセスを写真でレポートした特設コンテンツがあります。初日のカーテンコールの様子なども見られます。

http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/krabat-diary/

公演は大成功し、まだ27歳でコール・ド・バレエ所属のダンサーでもあるデミス・ヴォルピは、専任振付家に就任し、クラバート役を演じたデミ・ソリストのデヴィッド・ムーアがソリストに昇進しました。チケットも4月分までソールドアウトになっています。

この作品の舞台の様子などもレポートしたテレビ番組を見ることができます。
http://www.3sat.de/mediathek/index.php?display=1&mode=play&obj=35568

こちらの記事でもリハーサル写真のスライドショーを見られます。
http://www.schwarzwaelder-bote.de/inhalt.stuttgarter-ballett-proben-zu-krabat-die-macht-hat-ihren-preis.740258bd-f6f7-4535-ab3b-6f4ebe1fdcb6.html

CHOREOGRAPHY Demis Volpi
MUSIC Peteris Vasks, Philip Glass, Krzysztof Penderecki, Mühlenmusik
MUSICAL DIRECTOR |James Tuggle
LIBRETTO AND DRAMATURGY Vivien Arnold
WORLD PREMIERE 22. März 2013

ファーストキャスト
HERR GEVATTER Sue Jin Kang
THE MASTER Marijn Rademaker
KRABAT David Moore
THE KANTORKA Elisa Badenes
TONDA Alexander Jones
WORSCHULA Alicia Amatriain
PUMPHUTT Angelina Zuccarini
JURO Arman Zazyan
MERTEN Matteo Crockard-Villa

セカンドキャスト
HERR GEVATTER Alessandra Tognoloni
THE MASTER Jason Reilly
KRABAT Robert Robinson
THE KANTORKA Myriam Simon
TONDA Matteo Crockard-Villa
WORSCHULA Oihane Herrero
PUMPHUTT Rachele Buriassi
JURO Roland Havlica
MERTEN Brent Parolin

クラバートクラバート
オトフリート=プロイスラー ヘルベルト=ホルツィング

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ロイヤル・バレエの写真集「Dancers:Behind the Scenes With The Royal Ballet」

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ワガノワ・バレエ学校を経て、現在はロイヤル・バレエのダンサー(ファースト・アーティスト)であるアンドレイ・ウスペンスキーは、子供時代から父親の写真スタジオに出入りし、写真家としても多くの舞台写真、および舞台裏の写真を撮影しています。

そのアンドレイによる写真集「Dancers:Behind the Scenes With The Royal Ballet」が4月1日に発売されます。200枚もの写真を収めた144ページの本です。

素晴らしい舞台裏写真の一部が、イギリスの大衆紙「Daily Mail」のサイトに掲載されているので、ぜひご覧下さい。吉田都さんを指導するアンソニー・ダウエルの写真など、貴重なショットをたくさん見ることができます。緊張の中に見せる、ふとした表情がとても素敵だったり、跳躍している姿が美しいマリアネラ・ヌニエス、アリーナ・コジョカルの愛らしい笑顔など。

http://www.mailonsunday.co.uk/home/you/article-2296304/Behind-scenes-Royal-Ballet-graft-grace.html

また彼の写真を、このFacebookページで見ることもできます。
https://www.facebook.com/Dancersdiary

Dancers: Behind the Scenes at the Royal BalletDancers: Behind the Scenes at the Royal Ballet
Andrej Uspenski

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毎年恒例のロイヤル・バレエイヤーブックも予約受付中です。

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エレオノラ・アッバニャートがパリ・オペラ座バレエのエトワールに

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3月27日のパリ・オペラ座バレエ、ローラン・プティの夕べの「カルメン」に主演したエレオノラ・アッバニャートが、パリ・オペラ座バレエのエトワールに任命されました。

おめでとうございます。(続報は後ほど)


3/20 東日本大震災復興祈念チャリティ・バレエ“グラン・ガラ・コンサート” 〜私たちはひとつ!!〜

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東日本大震災復興祈念チャリティ・バレエ“グラン・ガラ・コンサート” 〜私たちはひとつ!!〜
2013年3月20日(水・祝) Bunkamura オーチャードホール

http://ints.co.jp/grand-gala/index.htm

[舞台監督・演出]アラ・ラゴダ [プロデューサー]田北志のぶ

田北 志のぶ (キエフ・バレエ 第一舞踊手/ウクライナ功労芸術家)Shinobu Takita
アレクサンドル・ヴォロチコフ (ボリショイ劇場 プリンシパル・ダンサー)Alexander Volchkov
アレクサンドル・ザイツェフ (シュツットガルト・バレエ プリンシパル・ダンサー)Alexander Zaitsev
イーゴリ・コルプ (マリインスキー劇場 プリンシパル・ダンサー)Igor Kolb
ブルックリン・マック (ワシントン・バレエ プリンシパル・ダンサー)Brooklyn Mack
ヤン・ワーニャ (キエフ・バレエ ソリスト) Jan Vanya
エカテリーナ・ハニュコーワ (キエフ・バレエ ソリスト)Katerina Hanyukova
エカテリーナ・マルコフスカヤ (バイエルン国立劇場 ソリスト、フリーゲストダンサー)Katherina Markowskaja
エレーナ・エフセエワ (マリインスキー劇場 セカンドソリスト)Elena Yevseyeva
マリア・アラシュ (ボリショイ劇場 プリンシパル・ダンサー)Maria Allash

東日本大震災が起こった2ヶ月後、キエフでいち早くチャリティガラを開いてくれたのが、キエフ・バレエの第一ソリストである田北志のぶさんだった。 バレエを通して、感動や癒やしを届け、子供たちに笑顔を戻す手伝いをしたい」という田北さんの呼びかけに応え、ボリショイやマリインスキーをはじめ各国の一流バレエ団から、ダンサーが集結した。とても心がこもっていて温かみがある素敵なガラで、出演者のレベルも粒ぞろい、すべての演目を楽しむことができた。舞台監督・演出のアラ・ラゴダはキエフ・バレエのバレエ・ミストレスを長年務め、アリーナ・コジョカル、デニス・マトヴィエンコらを指導。田北志のぶさん、カテリーナ・ハニュコーワらも彼女の教え子だという。


【第1部】
『コッペリア 第三幕』より スワニルダとフランツのパ・ド・ドゥ
カテリーナ・マルコフスカヤ、アレクサンドル・ザイツェフ

マルコフスカヤは、今年一月のブベニチェク・ニューイヤーガラにも出演していたダンサー。(ところで、エカテリーナとなっていたけど、正しくはカテリーナKatherina Markowskajaのようです)
とても可愛らしいペアで、微笑ましくラブラブな雰囲気はぴったり。今年の6月にシュツットガルト・バレエを退団してしまうザイツェフ(グレン・テトリーの「春の祭典」がサヨナラ公演となるとのこと)も、30代半ば過ぎなのにこんなにも初々しくキュートな笑顔を見せてくれるとは。サーシャは少し重かったけど、綺麗に5番に入る着地は柔らかくて良かった。マルコフスカヤは、技術的にも優れていてフェッテもしっかりと安定して回っていた。


『ジゼル 第二幕』より ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ
田北志のぶ、ヤン・ワーニャ

田北さんは、腕が長くてプロポーションに恵まれており、とても繊細な表現をする。透明感がありながらも気持ちのこもったジゼルで、リフトされるとふわりふわりと舞う。ヤン・ワーニャは、1月にフィリピエワとマトヴィエンコ主演のキエフ・バレエの「ジゼル」を観た時には、ヒラリオン役だった。大変な長身の割にはヴァリエーションでもしっかりと高く跳び、足先まで美しい。二人のあいだのドラマ性は少し弱く、アピール力がもう少しあるともっといいと思う。


『海賊』より メドーラとアリのパ・ド・ドゥ
エカテリーナ・ハニュコーワ、ブルックリン・マック

ブルックリン・マックは昨年のヴァルナ・コンクールで金賞を受賞した。とにかく跳躍が非常に高くて驚く程であり、最後にはしっかり540を決め、そしてヴァリエーションのフィニッシュで反らした背中の柔らかさにも驚かされた。かといって身体能力一辺倒ではなくてロシアバレエベースのエレガントさも持ち合わせており、まだまだ成長の余地はありそうだけど大変な逸材だ。ハニュコーワは美しい容姿のバレリーナで、テクニック、音楽性に優れている。特にグランフェッテでは、少しずつ角度を変えていくテクニックを盛り込んで魅せた。


『ライモンダ』より ライモンダとジャン・ド・ブリエンヌのパ・ド・ドゥ
マリア・アラシュ、アレクサンドル・ヴォロチコフ

ヴォロチコフは長いマントは身につけていなかったけれども、二人とも、ボリショイのプリンシパルらしいスターの輝きと美しさ、堂々とした気品があって圧倒された。ヴォロチコフは以前、パリ・オペラ座の「ライモンダ」にアレクサンドロワとゲスト出演したのを観て、その時は全く精彩を欠いていたのに、今回はそんな印象を完璧に払拭する、ダイナミックで力強くかつノーブルさもある踊り。着地も大変美しくて、まさにナイト(騎士)という感じ。アラシュは上手い人なのはわかっていたけど、今までは地味な印象があった。ところが、今回は非の打ち所のない優雅なお姫様で、洗練されていて実に美しい。難しいサポートもきれいに決まった。


『タリスマン』より パ・ド・ドゥ
エレーナ・エフセエワ、イーゴリ・コルプ

3月8、9日の牧阿佐美バレエ団の「眠れる森の美女」に続いてコールプを観られるのは嬉しい限り。それも、彼にしては珍しい勇壮な踊りである。水色のヒラヒラの衣装を身につけて跳ぶ、回る。全盛期は少し過ぎてしまったようだが、それでも高く上がるアントルラッセの後ろ脚、猫のように柔らかい着地とクラシックバレエの美しさを見せてくれた。溌剌としたエフセーエワは、音にきっちりと合わせてテクニックの正確さを見せ、明るい笑顔も眩しい。

【第2部】
『エスメラルダ』より パ・ド・ドゥ
田北志のぶ、ヤン・ワーニャ

「エスメラルダ」と言っても、ガラなどでよく観られるタンバリンを鳴らすヴァリエーションのものではない(タンバリンは基本的には男性ダンサーが持っている)。プログラムに誰の振付作品なのか書いていないけど、ボリショイ・バレエで上演されているユ-リ・ブルラーカと ワシリー・メドベージェフが復刻したジュール・ペロー振付作品に似ているような気がする。真っ赤な衣装がよく映える田北さんは、表現力もとても豊かで、エスメラルダの絶望と悲しみがよく伝わってきた。


『On the way』
ブルックリン・マック

この演目は、ブルックリン・マックがヴァルナ国際コンクールで金賞を受賞した際に踊った作品のひとつのようだ。Dai Jianという中国出身の振付家の作品で、ボストン国際バレエコンクールでも、男性の課題作品として選ばれているとのこと。上半身裸に白い袴、ブルックリンの黒い肌に白がひときわ映える。東洋的な歌声に合わせ、静謐さの中にも力強くしなやかな動きがよどみなく続き、彼がコンテンポラリー作品でも表現力が高いことを証明していた。

ヴァルナ国際コンクールでの映像


『ラ・シルフィード 第二幕』より シルフィードとジェームスのパ・ド・ドゥ
エカテリーナ・マルコフスカヤ、アレクサンドル・ザイツェフ

昨年シュツットガルト・バレエで「ラ・シルフィード」(ブルノンヴィル版)が上演された時に、サーシャ(ザイツェフ)もジェームズ役を踊っていたので見てみたかった。「コッペリア」では少し重そうだった彼だけど、こちらの演目では、ブルノンヴィル的な足さばき、飛距離の長い跳躍、アッサンブレ、そしてアントルシャまできれいに決めて、着地もばっちり。マルコフスカヤのシルフィードはとてもコケティッシュで愛らしく軽やか。小悪魔的なところは少なかったけど、いたずらっ子のようでキュートだった。


『グラン・パ ・クラシック』より パ・ド・ドゥ
エレーナ・エフセエワ、イーゴリ・コルプ

ブルーの鮮やかなチュチュに身を包んだエフセーエワは、調子が良さそうで、この演目の見せ場であるバロネも鮮やかに決まった。この前の演目「タリスマン」が長かったこともあり、コールプは少しお疲れ気味のようであったが、サポートが大変うまくてジェントルマンぶりを発揮。そして連続アントルシャ・シスのつま先がとっても美しくて惚れ惚れした。


『スパルタクス』より エギナとクラッススのパ・ド・ドゥ
マリア・アラシュ、アレクサンドル・ヴォロチコフ

去年のボリショイの全幕「スパルタクス」でも素晴らしいクラッススを見せてくれたヴォロチコフ、1幕冒頭の印象的なえびぞりジャンプのソロをまずは堪能し、力強く堂々としたクラッススの演じ方、ダイナミックな跳躍に見入った。来日公演では見逃してしまったアラシュのエギナも、狡猾で色っぽくパワフルで、ガラでこんなにドラマティックで濃厚な世界を見せてくれるとは、と嬉しい驚き。アクロバティックで複雑なリフトも見事なもので血沸き肉踊った。この日のハイライトと言ってもいい。「スパルタクス」また全幕で観たい。


『瀕死の白鳥』
[演奏]早川りさこ(hrp)、渡部玄一(vc)
田北志のぶ

舞台の上のハープとチェロの生演奏で演じられたのは嬉しい。田北さんは、素晴らしく長い腕の動きがなめらかで非常に繊細で、人間が演じているとは思えないほどだった。さざなみのような、震えるような細かいパドブレによる、舞台を滑るような動きと相まって、静謐な空間が舞台の上に現れて引き込まれた。死に瀕していながらも、生きようとする強い意志を感じさせる彼女の白鳥は、震災で亡くなった人や被災した人たちへと捧げられた祈りのように感じられて、深い感動を呼んだ。


『ドン・キホーテ』より キトリとバジルのパ・ド・ドゥ
エカテリーナ・ハニュコーワ、ブルックリン・マック

ブルックリン・マックは「海賊」よりこっちのほうがさらに良かったと思う。より踊り慣れている感じで、軸がしっかりしていて減速しきれいに止まるピルエット、高い高い跳躍、しっかりしたサポートとほとんど完璧で、観客も大いに沸いた。ハニュコーワのグランフェッテは、「海賊」同様、角度を変えていくものだったけど、その中でダブルも入れていて高度な技術を見せてくれた。若い二人だったけど、トリにふさわしく盛り上がった「ドン・キホーテ」だった。


【フィナーレ】

「花は咲く」という歌に乗せて各々のペアが登場して、自分たちが踊った演目の中から少しだけ踊ってくれた。整列した出演者たちに花が渡されたと思ったら、彼らは舞台を降りて、通路際の席にいる観客に花を手渡していった。たまたま通路近くに座っていたので、花はもらえなかったけど、何人かのダンサーは近くで見ることができてちょっと嬉しかった。とても心温まる素敵なガラだった。この素晴らしいガラ、また今後もぜひ開催して欲しいと思った。


河北新報に掲載された、仙台公演の記事。(マルコフスカヤ、ザイツェフの写真あり)
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/03/20130320t15013.htm

マリインスキー・バレエ「ロミオとジュリエット」ヴィシニョーワ主演ネット視聴

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以前、マリインスキー・バレエ「ロミオとジュリエット」のインターネット中継のご案内記事を書きましたが、ロシア国外では視聴できませんでした。しかし、今、この中継のアーカイヴをArteのサイトで視聴することができます。あと169日視聴可能のようです。

振付:レオニード・ラヴロフスキー
ジュリエット:ディアナ・ヴィシニョーワ
ロミオ:ウラジーミル・シクリャーロフ
マキューシオ:アレクサンドル・セルゲイエフ
ティボルト:イリヤ・クズネツォフ
指揮:ワレリー・ゲルギエフ

この映像は後にDVD化される予定だそうです。

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Romeo_Juliette_Theatre_Mariinsky_St_Petersbourg_Leonid_Lavrovski/






「二十世紀の10大バレエダンサー」村山久美子 著

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舞踊評論家、舞踊史・ロシア舞台芸術史家、ロシア語通訳・翻訳として知られる村山久美子さんの著作。

ウリヤーナ・ロパートキナ
ウラジーミル・マラーホフ
シルヴィ・ギエム
ファルフ・ルジマートフ
ミハイル・バリシニコフ
ジョルジュ・ドン
ルドルフ・ヌレエフ
マイヤ・プリセツカヤ
ガリーナ・ウラーノワ
ワツラフ・ニジンスキー

これら10人のダンサーと、別枠として日本人ダンサー3人、森下洋子、吉田都、熊川哲也を取り上げている。

選んだ基準としては、長年毎日のように舞台を観て、公演評や舞踊評論を書かれてきた村山さんの目を通して選択したダンサーについて書いたとのこと。筆者が生まれる前に活躍したダンサーや、年齢が高くなってからの舞台した見ていないダンサーについては、名演が伝えられ、かつ、世界のバレエ界への影響力が大きかったダンサーを選んで、映像や書籍の資料で、その力を確認しながら執筆を進められたそう。結果的に大部分がワガノワメソッドで育ち、ロシアの内外で活動した人々が中心となった。時代的には、一番最初のロパートキナが現時点で最盛期を迎えているダンサーであり、章が進むにつれて過去に遡るため、最終章のニジンスキーから逆に読み進めていくと、時代の移り変わりとバレエの世界の変化も見えてくる。

ダンサーの魅力について語る、となると独りよがりになりがちであるが、この本の優れている点として、そのダンサーがなぜ傑出した存在であるかということを、極めて平易に、客観的に書き、しかも時代背景やどのような足跡をたどってそのような存在となったのかということを事実の積み重ねで語っていることである。特に興味深いのは、ほとんどのダンサーは、振付家、もしくは作品との出会いによって大きく成長したり、変容を遂げているということがわかることだ。(もちろん、教師の存在も大きく、名教師たちについても言及されている)その振付家についての解説も加えているため、ダンサーのみならず、バレエ界の動向や進化について幅広い知識を得ることができることである。いくら素晴らしい技術や表現力を持ったダンサーでも、その人の魅力を伝える優れた作品に出会わなければ、歴史に残るような存在にはならない。振付というもののの重要性を改めて認識した。

また、ダンサーの魅力を語るときに、難しい用語や表現を使わず(バレエ用語については必ず解説を加えている)、誰にでもわかりやすくその人の魅力を伝えられているところが素晴らしいと感じた。客観的な事実や第三者の視点を織り交ぜているのだが、同時に、そのダンサーに向ける熱い想いも同時に伝わってくる。特に力が入っているのはロパートキナの項目であり、なぜ、彼女の踊りが多くの人の心を揺り動かすのかということについて、読む側も大いに考えさせられ、彼女の「白鳥の湖」「瀕死の白鳥」「ダイヤモンド」の名演を思わず反芻してみるのであった。

日本人ダンサー3人については、世界的に活躍する彼らと世界との接点についても語られているため、今後世界を目指す若い人にもぜひ読んで欲しいと感じた。

一つ一つの章は短いため、もっとひとりひとりについて深く知りたければ、別途各々の評伝を読むと良いと思うが、バレエダンサーがなぜ人々を惹きつけるのかと、その理由を知り、バレエについてのベーシックな知識を得るためには欠かせない一冊である。

ひとつだけ間違いを指摘しておくと、ギエムの項目で、アクラム・カーンのことをモロッコ系ベルギー人と記述しているが、カーンはバングラデッシュ系イギリス人であり、モロッコ系ベルギー人とはシディ・ラルビ・シェルカウイのことだと思われる。

二十世紀の10大バレエダンサー二十世紀の10大バレエダンサー
村山 久美子

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サンフランシスコ・バレエの2014シーズン

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サンフランシスコ・バレエの2014年シーズンが発表されました。

http://images.skem1.com/client_id_11312/2014_Season_Overview_Final.pdf

Program 1:
Giselle ヘルギ・トマソン版「ジゼル」

Program 2:
Caniparoli: world premiere 世界初演作品
Ratmansky: From Foreign Lands ラトマンスキーの2013年サンフランシスコ・バレエ初演作品の再演
McGregor: Borderlands 2013年サンフランシスコ・バレエ初演作品の再演

Program 3:
Possokhov: Firebird ポソホフ振付「火の鳥」
Wheeldon: Ghosts 
Makarova staging: La Bayadere, Act III (Kingdom of the Shades) 「ラ・バヤデール」影の王国(マカロワ版)

Program 4:
Wheeldon: Cinderella (U.S. premiere) オランダ国立バレエで2013年に初演されたウィールダンの「シンデレラ」

Program 5:
Ratmansky: Shostakovich evening length (West Coast premiere) 「ショスタコーヴィチ交響曲9番」ほか、ABTとの共同制作によるラトマンスキーのショスタコーヴィチ3部作
Co-production with American Ballet Theatre

Program 6:
Tomasson: World premiere ヘルギ・トマソンの世界初演作品
Morris: Maelstrom マーク・モリス「渦」
Possokhov: The Rite of Spring ユーリ・ポソホフ「春の祭典」

Program 7:
Scarlett: World premiere リアム・スカーレットの世界初演作品
Tomasson: The Fifth Season ヘルギ・トマソン作品
Lifar: Suite en blanc セルジュ・リファール「白の組曲」

Program 8:
Balanchine: Agon バランシン「アゴン」
Balanchine: Brahms-Schoenberg Quartet バランシン 「ブラームス・シューンベルグ・カルテット」
Robbins: Glass Pieces ジェローム・ロビンス「グラス・ピーセズ」

ウィールダン、ラトマンスキー、マクレガー、スカーレットと最近の人気振付家の新作を揃え、芸術監督トマソンや専属振付家ポソホフの作品も加えて、オリジナリティと興行面の両方のバランスが取れたプログラムとなっています。

オランダ国立バレエとの共同制作、ウィールダンの「シンデレラ」や、ABTとの共同制作のラトマンスキーのショスタコーヴィチ3部作など、人気振付家の新作は他バレエ団との共同制作を行う方式が定着してきました。なお、ロイヤル・バレエのウィールダン新作「冬物語」も、「アリス」に続き、ナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作です。

オランダ国立バレエで上演されたウィールダン版「シンデレラ」 これはネット中継も行われました。

ロイヤル・バレエのリアン・ベンジャミンが引退

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ロイヤル・バレエの最年長プリンシパル、現在49歳のリアン・ベンジャミンが21年間のロイヤル・バレエでの活躍に終止符を打ち、現役を引退することを発表しました。

最後の公演は、6月15日の「マイヤリング」マリー・ヴェツェラ役、そして7月10日の東京でのロイヤル・バレエ来日公演のガラとなります。

http://www.roh.org.uk/news/leanne-benjamin-to-retire

オーストラリア出身で1981年にローザンヌコンクールでスカラシップを得たリアンは、ロイヤルバレエスクールを経て84年にサドラーズウェルズ・ロイヤル・バレエに入団して87年にプリンシパルに。その後、ロンドン・フェスティバル・バレエ、ベルリン・ドイツオペラ劇場を経てケネス・マクミランに見出され、92年にロイヤル・バレエにファースト・ソリストとして入団、93年にプリンシパルに昇進し、輝かしいキャリアを積み重ねてきました。マクミランの他、フレデリック・アシュトン、ニネット・ド・ヴァロワとも働き、彼らを知る最後のダンサーの一人でもありました。2005年にはOBE(大英帝国勲章)を受勲しました。

現在49歳と現役バレリーナの中でも最年長の部類に属するリアンですが、強靭なテクニックとマクミランに直接薫陶を受けた演技力には定評があり、一昨年には新国立劇場バレエ団の「ロミオとジュリエット」公演のジュリエット役でゲスト出演もしていて、その年齢とは思えない若々しさを見せてくれました。古典や演劇的なバレエのみならず、マクレガー、スカーレット、ラトマンスキーら現代作品の振付家とも多くの作品で取り組んで来ました。

アシュトン、ド・ヴァロワ、マクミランを知る彼女の引退は、一つの時代の終焉を物語るものです。


なお、ロイヤル・バレエでは、同じくベテラン・プリンシパルのマーラ・ガレアッツィも今シーズン引退します。

http://dancetabs.com/2013/02/changes-within-the-royal-ballet-company-mara-galeazzi-and-jonathan-watkins/

ガレアッツイのロイヤル・オペラハウスでの最後の公演は、6月13日の「マイヤリング」公演、ロイヤル・バレエでの最後の公演は6月29日のモナコでの「マノン」公演となります。


二人の実力派女性プリンシパルが引退するロイヤル・バレエでは、次世代のスターを育てることが急務となっています。

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