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パシフィック・ノースウエスト・バレエスクール サマーコースオーディションワークショップ 12月9日/10日に開催

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米国、シアトルのトップカンパニーパシィフィック ノースウエスト バレエスクールの講師でPNBの元プリンシパル ダンサーの中村かおりさんが12月に日本に一時帰国し、昨年に続きマスタークラスとパシィフィック ノースウエスト バレエスクールの2018年度サマーコースのオーディションを開催します。

https://www.pnb.org/japanaudition/

12月9日(土)には、マスタークラスが行われ、12月10日(日)はオーディションとなっています。マスタークラスのみ、オーディションのみ又は両方受講することも可能です。

今年のサマーコースには、9名の日本人の生徒が参加し、そのうち2名は、プロフェッショナルディビジョンとして年間契約をしました。


2017年12月9日土曜日 マスタークラス
 (対象 12-25歳)

5:30 – 5:50 登録申込
5:50 – 7:20 クラス
料金: 8,000円


2017年12月10日 サマーコース オーディション (対象12-18歳)

12:30 – 1:15  12–14才の登録申込
1:15 – 2:45  12–14才のクラス
2:45 – 3:30  15–18才の登録申込
3:30 – 5:00  15–18才のクラス
料金: 7,500円

ピアノ演奏 後藤幸子さん

新宿村スタジオ セントラルB-103にて

お問合せはこちらまで pnbschool@pnb.org

中村かおりさんは日本の群馬県出身。山本禮子バレエ団とスクール オブ アメリカン バレエでトレーニングを受ける。1986年にはスイス、ローザンヌでの第14回ローザンヌ国際バレエコンクールにて1位に輝き、1988年には、ブルガリア、ヴァルナ国際コンクールで銅賞受賞。1990年ロイヤルウィニペグバレエ団に入団し、プリンシパルダンサーに昇格。1997年にはソリストとして、パシフィック ノースウエスト バレエ団に入団し、1998年には、プリンシパルに昇格。2014年にPNBSの教師陣に加わりました。同年10月には、「オーチャードホール25周年ガラ〜伝説の一夜〜」に出演しています。

中村かおりさんを紹介するシアトルの現地紙(日本語)
http://www.soysource.net/feature/2017/11/nakamura-kaori-pnb/

サマーコースの紹介映像

《クラス》
サマーコースのカリキュラムは、真剣に取り組むバレエ学生のために、現代のダンス・カンパニーが求める条件を満たすための、集中的な最高レベルのクラシックトレーニングを提供します。それは多様性に富んだダンスフォームによって強化されています。
学生は月曜から金曜の午前8時半から午後5時まで、土曜日は午前8時30分から午後4時まで授業に参加します。

PNBSサマーコースでは、栄養、怪我の防止、音楽、筋力とコンディショニング、脚の健康、ポワントのケアなど若いダンサーに関連する幅広いトピックについて、医師やダンスの専門家によるセミナーを提供しています。

《レベルウィークリースケジュール》
●IV&V
テクニック、ポワント、メンズクラス、ジャズ、キャラクター、モダン、ミュージック、ピラティスマットクラス、セミナー*
●VI
テクニック、ポワント、メンズクラス、ジャズ、キャラクター、フラメンコ、モダン、ヴァリエーション、パ・ド・ドゥ(許可が得られた場合)、、ピラティスマットクラスとセミナー *
●VII&VIII
テクニック、ポワント、メンズクラス、ジャズ、キャラクター、フラメンコ、モダン、ヴァリエーション、パ・ド・ドゥ、ピラティスマットクラスとセミナー*
________________________________________
•*セミナーには、栄養学、怪我予防、音楽、体力強化とコンディショニング、脚の健康、その他のダンス関連のトピックが含まれます。
•学生は月曜から金曜の午前8時30分から午後5時まで、土曜日は午前8時30分から午後4時まで授業に参加します。クラスの人数は限られており、すべてのバレエクラスにはプロのピアニストが伴奏します。
•生徒の配置は、クラスの最初の週に変更されることがあります。
•クラスは変更される可能性があり、週ごとに異なる場合があります。

サマーコースは2017年には7月10日~8月11日までの1か月間開催されました。短期間希望の方はオーディション時に応相談とのことです。

パシフィック ノースウエスト バレエスクール

1974年設立。全米トップ3のバレエ研修機関として知られている。シアトル校(301 Mercer St., Seattle, WA 98109)とベルビュー校(1611 136th Pl. NE., Bellevue, WA 98005)を合わせ、1,000人以上の生徒が所属する。オーディションなしで受けられる7歳までのChildren’s Division、8つのレベルに分かれたStudent Division、プロダンサーを目指すProfessional Divisionの3つのコースがある

中村かおりさんが踊るイリ・キリアン「小さな死」


NHK-BS プレミアムシアターで12月25日マリインスキーのくるみ、ベジャール第九放映

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NHK-BS プレミアムシアターで、12月25日(月)-24日(日)深夜に、マリインスキー・バレエの「くるみ割り人形」、ベジャールの「ベートーヴェン第九交響曲」が放映されます。

http://www4.nhk.or.jp/premium/

「くるみ割り人形」は今年の6月に収録されたばかりの新しい映像です。主演は若手、レナータ・シャキロワとダヴィッド・サレーエフです。指揮はワレリー・ゲルギエフ。


12月25日(月)【12月24日深夜(日)深夜】午前0時00分~


◇マリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」

<演 目>
「くるみ割り人形」(全3幕)
チャイコフスキー 作曲
振付:ワシリー・ワイノーネン

<出 演>
マーシャ:レナータ・シャキロワ
王子:ダヴィド・ザレーエフ
ドロッセルマイヤー:アンドレイ・ヤコブレフ ほか
マリインスキー劇場バレエ団

<管弦楽>:マリインスキー劇場管弦楽団
<指 揮>:ワレリー・ゲルギエフ

収録:2017年6月7・9日 マリインスキー劇場(サンクトペテルブルク)


◇モーリス・ベジャール振付 ベートーベン「第九交響曲」

音 楽:交響曲 第9番 二短調 作品125 ベートーベン 作曲
振 付:モーリス・ベジャール
振付指導:ピョートル・ナルデリ
総合演出:ジル・ロマン

<出 演>
東京バレエ団
モーリス・ベジャール・バレエ団
ソプラノ:クリスティン・ルイス
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:福井 敬
バス:アレクサンダー・ヴィノグラードフ

<合 唱>:栗友会合唱団
<管弦楽>:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>:ズービン・メータ

収録:2014年11月9日 NHKホール


なお、明日11月20日(月)、19日(日)の深夜には、ハンブルグ・バレエの「ニジンスキー」が放映されますので、こちらもお見逃しなく。

11月23日開催 IWAKI BALLET COMPANY GALA 2017 リハーサルレポート

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元東京バレエ団プリンシパルの井脇幸江さん率いるIWAKI BALLET COMPANY。11月23日に、新宿文化センターにてガラ公演を行います。

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演目:
『D/CARMEN』 高橋竜太振付、井脇幸江、菅野英男、高岸直樹、芳賀望、梅澤紘貴、浜崎恵二朗、井上良太ほか

『互イニ素』青木尚哉振付
大森弥子 岡﨑弓佳 奥響子 片桐りこ 亀田晴美 工藤加奈子 小林らら 多田紗衣子 垂水紫織
高瀬瑶子 高橋奈津子 中林香波 中村優希 堀川千夏 松尾詩織 三田真央 宮川絵理 鷲頭正子
青木尚哉

『Omni-Bus』 遠藤康行振付 井脇幸江、遠藤康行

『ダイアナとアクティオン』 米沢唯、芳賀望

『La Lune~わがままな月』 名倉加代子振付/出演 鳥居かほり、高岸直樹

『海賊 グラン・パ・ド・ドゥ』
 正木萌、梅澤紘貴、浜崎恵二朗

2016年初演の『D/CARMEN』(元東京バレエ団の高橋竜太さん振付)、遠藤康行さんがこのガラのために振付けた新作『Omni-Bus』、オーディションで選抜されたメンバーによる青木尚哉さんの『互イニ素』 、そしてジャズダンス界のレジェンド名倉加代子さんによる『La Lune~わがままな月』など、新作もありオリジナル作品の再演もあります。豪華な出演者による、多彩な作品を観ることができます。

そして、ガラ公演ではありますが、『D/CARMEN』、『互イニ素』 、『Omni-Bus』は音楽が生演奏であるというのもポイントです。


さて、先日、このガラのためのリハーサルにお邪魔しました。

まずは、青木尚哉さん振付による『互イニ素』 です。2015年にバレエ・クレアシオンで初演されていますが、今回の再演のためにかなり手を入れた部分もあったとのこと。

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(これは初演の時の映像なので違う部分もかなりあります)

基本的にはコンテンポラリー作品ですが、選ばれた18人のダンサーはバレエのテクニックをしっかりと持っているので動きがきれいです。最初はバラバラであるかのように見えて、一人一人が細胞となって大きなものを作り上げているようなイメージがあり、躍動感があってとても力強い作品です。そして、振付家としてだけでなく、ダンサーとしてのカリスマ性と求心力が強烈な青木さん。しなやかで強靭、雄弁な青木さんの動きからは目を離せません。

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『D/CARMEN』は、高橋竜太さんが2016年に開催された井脇さんのリサイタルのために、「カルメン」をリハーサルしているバレエカンパニーを舞台にして、愛憎、裏切り、駆け引きなどの人間模様を(バレエマンガ的に)描いて劇中劇にした作品です。プリンシパルのペアが井脇さん(カルメン)と高岸直樹さん(エスカミリオ)、に対して、新人ダンサーの菅野英男さん(ホセ)が割って入るという三角関係が描かれています。井脇さんと高岸さんは、それぞれカルメン役、エスカミリオ役がこれ以上似合う人は日本にはいないというほどはまっている大人のペアで、東京バレエ団時代の二人を知る人にとっては、この並びには思わず胸が熱くなることでしょう。井脇さんがバレエ団時代に感じていたプリンシパルとしての孤独感や葛藤、喜びや苦しみもこの作品の中で表現し見せたいとのことです。井脇さん、高岸さんだけでなく、振付の高橋竜太さん、そして梅澤紘貴さんや井上良太さんと元東京バレエ団メンバーが集結しているのも嬉しい。

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この日のリハーサルにはいませんでしたが、菅野英男さんが持ち前の演技力を発揮し、嫉妬の炎を燃やし錯乱する若いダンサーを熱演するということで、とても楽しみです。井脇さんが、「私と似た部分を持っている」菅野さんにこの役をぜひ演じて、舞台の上で不幸にさせてみたいということで起用されたそうです。


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『Omni-Bus』は、アヴェ・マリアを使った美しいパ・ド・ドゥ。具体的な物語はないものの、一組の男女の関係を描いています。それも必ずしも愛情というわけではなく、人生を通して二人が交錯し、様々なパートナーリングの中で時を重ねて友情やパートナーシップを築き、そしてそれぞれの道を歩いて人生は続いていくというドラマ性を感じさせます。作品の中に、井脇さんと遠藤さんの生き方や人生までもが透けて見えるような深みがあり、さらに井脇さんが東京バレエ団時代に踊った代表的な役柄のモチーフまでもが現れるという趣向。振付/出演の遠藤さんは、井脇さんと踊るのは初めてとのことですが、長年彼女の踊りを見続けたところから、その人生を作品にしたいと考えたことで、ここでは「時」を、そして同志愛を表現したいと語っていました。バレエダンサー生活が30年を越えた井脇さんが、相変わらずの美しいプロポーションと研ぎ澄まされたラインを保っているのも、勇気づけられることです。

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『La Lune~わがままな月』は、高岸さんと、女優としても有名な鳥居かほりさんの共演によるセクシーでスタイリッシュなジャズ作品。高岸さんの日本人離れした華と成熟した色気、そして鳥居さんも美しいプロポーションとキレのいいダンスでとにかくかっこいい作品でした。


リハーサルは観ていませんが、『ディアナとアクティオン』を踊るのは米沢唯さんと芳賀望さん。米沢さんは今回初めてディアナを踊るそうです。そして、この米沢さんのスーパーテクニック!楽しみですね。


新作やオリジナル作品、コンテンポラリー作品、そしてジャズや古典のパ・ド・ドゥとバランスの良い構成。バレエが派手なテクニックを競うものではなく、成熟した大人の表現力や長年にわたって醸成されてきた芸術性、そして新しいものに挑戦していく意欲、音楽も生演奏を取り入れていて、とても志の高いガラです。井脇さんが、バレエを通して伝えたいメッセージがきっちりと伝わってきました。どの作品も観ていて楽しく、バレエを初めて見る人にとってもとても楽しめます。お勧めの公演です。


〈公演日時〉

11月23日(祝・木) 15:00開場 15:30開演

〈場所〉

新宿文化センター大ホール


〈出演〉

井脇幸江(IBC総監督・井脇幸江バレエスタジオ主宰・元東京バレエ団プリンシパル)
菅野英男(新国立劇場バレエ団 プリンシパル)
高岸直樹(東京バレエ団特別団員・元東京バレエ団プリンシパル)
鳥居かほり
芳賀望
米沢唯(新国立劇場バレエ団 プリンシパル)
青木尚哉(振付家・ダンサー)
遠藤康行(元フランス国立マルセイユバレエ団ソリスト・振付家・ダンサー)
梅澤紘貴(元東京バレエ団プリンシパル)
浜崎恵二朗(新国立劇場バレエ団)
会田桃子(ヴァイオリニスト)
熊地勇太(「互イニ素」作曲・演奏)
菅田典幸(「互イニ素」ドラム演奏)
佐脇由佳里(「互イニ素」ピアノ演奏)
IBCメンバー他

全席指定(税込)

S席:¥9,000- A席:¥7,000- B席:¥4.000- C席:¥2,000-

チケット申し込みフォーム
https://pro.form-mailer.jp/fms/bcf56de6126202

カンフェティ:0120-240-540
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=40622&


ボリショイ・バレエ inシネマ Season2017-2018

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ボリショイ・バレエ のステージ 「ボリショイ・バレエ inシネマ Season2017-2018」を、 12月6日(水)を皮切りに全8作品、全国の映画館にそれぞれ1日限定上映されることが発表されました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000740.000003481.html


今シーズンは現在最も評価が高いコレオグラファーと世界最高峰のダンサーたちにより再演される最高の古典作品を映画館へお届けいたします。現代バレエ界をリードするアレクセイ・ラトマンスキーが手がけるヒストリカル・バレエ3作品、「海賊」「ロミオとジュリエット」「パリの炎」が遂に大スクリーンに登場!加えて、ジョン・ノイマイヤーの「椿姫」、ジャン・クリストフ=マイヨーの胸躍らせる「じゃじゃ馬ならし」とともに、時代を超越した古典バレエの人気3作品「ジゼル」「くるみ割り人形」「コッペリア」も上映。

2017年12月6日(水)19:15~ 海賊  ※新作  2017年10月22日公演
 エカテリーナ・クリサノワ(メド―ラ)
 イーゴリ・ツヴィルコ(コンラッド)
 デニス・ロヂキン(グラン・パ/扇の踊り、ソロ)
2017年12月19日(火)19:15~ くるみ割り人形 2014年12月21日公演
 デニス・ロヂキン(くるみ割り人形、王子)
 アンナ・ニクーリナ(マリー)
 アンドレイ・メルクリエフ(ドロッセル・マイヤー)
2018年1月10日(水)19:15~ じゃじゃ馬ならし 2016年1月24日公演
 エカテリーナ・クリサノワ(カタリーナ)
 ウラディスラフ・ラントラ―トフ(ペトルーチオ)
 オルガ・スミルノワ(ビアンカ)
 セミョーン・チュージン(ル-センショー)
2018年1月24日(水)19:15~ 椿姫
 スヴェトラーナ・ザハーロワ(マルグリット・ゴーティエ)
 エドウィン・レヴァツォフ(アルマン・デュヴァル)
 アンナ・チホミロフ(マノン・レスコー)
 セミョーン・チュージン(デ・グリュー)
2018年2月28日(水)19:15~ ロミオとジュリエット ※新作 2018年1月21日
 キャスト未定
2018月3月14日(水)19:15~ ジゼル 2015年10月11日公演
 スヴェトラーナ・ザハーロワ(ジゼル)
 セルゲイ・ポルーニン(アルブレヒト)
 エカテリーナ・シプリーナ(ミルタ)
 デニス・サーヴィン(ハンス)
2018月4月18日(水)19:15~ パリの炎  ※新作 2018年3月4日
 キャスト未定
2018年6月27日(水)19:15~ コッペリア ※新作  2018年6月10日
 キャスト未定

◆会場◆ 
北海道 | ユナイテッド・シネマ札幌
宮城県 | TOHOシネマズ 仙台
東京都 | TOHOシネマズ 日本橋、TOHOシネマズ 新宿、T・ジョイ PRINCE 品川、109シネマズ二子玉川、
TOHOシネマズ 府中
神奈川県 | 横浜ブルク13、TOHOシネマズ 川崎
千葉県 | シネマイクスピアリ
埼玉県 | ユナイテッド・シネマ浦和
愛知県 | ミッドランドスクエアシネマ
大阪府 | 大阪ステーションシティシネマ
京都府 | MOVIX京都
兵庫県 | 神戸国際松竹
岡山県 | TOHOシネマズ 岡南
福岡県 | T・ジョイ博多
熊本県 | ユナイテッド・シネマ熊本

※開場時間は映画館によって異なります。
※大阪府の映画館では、条例により終映が22時を過ぎる場合、 18歳未満の方は保護者同伴でもご入場いただけません。予めご了承下さい。

◆料金◆ 全席指定 大人3,600円(税込)、学生2,500円(税込)
※学生の方は、劇場にて学生証のご提示をいただく場合がございます。

◆チケット一般発売◆
『海賊』 2017年11月24日(金)15:00 ~ 2017年 12月5日(火) 12:00
『くるみ割り人形』2017年11月24日(金)15:00  ~ 2017年 12月18日(月)12:00
◎チケットぴあ:http://w.pia.jp/a/bolshoi-cinema/
※お座席をご自身でお選びいただくことが可能です。
◎全国のセブン-イレブン店内の端末「マルチコピー機」
◎全国のサークルK・サンクス店内の端末「Kステーション」
◎全国のチケットぴあ店舗

★以降の演目チケット情報は、「ボリショイ・バレエ in シネマ 日本公式サイト」 をご覧ください。
⇒http://bolshoi-cinema.jp/  
チケットぴあインフォメーション 0570-02-9111
音声認識受付:24時間対応、オペレーター対応:10:00~18:00 
※毎週(火)・(水)2:30~5:30はシステムメンテナンスのため受付休止。※1/1(日・祝)はオペレーター受付休止。

◆The Bolshoi Ballet Season 2017-18 公式サイト◆ http://www.pathelive.com/international

7作品のうち4本は新収録のものとなります。その中で「ロミオとジュリエット」と「パリの炎」は新プロダクション。「ロミオとジュリエット」については、従来のグリゴローヴィチ振付作品ではなくて、ラトマンスキー振付の作品であることは注目されます。
ラトマンスキー版「ロミオとジュリエット」は、ナショナル・バレエ・オブ・カナダで上演されてものと同じ作品のようです。また、「コッペリア」は急逝したセルゲイ・ヴィハレフが振付けた作品であり、注目されます。

第18回英国ナショナル・ダンス・アワードのノミネート

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第18回英国ナショナル・ダンス・アワードのノミネートが発表されていました。2016年9月1日から2017年8月31日までの間に英国で行われた公演が対象で、500もの対象から絞り込まれたものです。Dance Section of the Critics’ Circleという60人の批評家からなる団体が選びました。

DANCING TIMES AWARD FOR BEST MALE DANCER 最優秀男性ダンサー
Miguel Altunaga (Rambert)
Isaac Hernández (English National Ballet) イザック・エルナンデス
Xander Parish (Mariinsky Ballet) ザンダー・パリッシュ
Liam Riddick (Richard Alston Dance Company)
Marcelino Sambé (The Royal Ballet) マルセリーノ・サンベ


GRISHKO AWARD FOR BEST FEMALE DANCER 最優秀女性ダンサー

Francesca Hayward (The Royal Ballet) フランチェスカ・ヘイワード
Sophie Martin (Scottish Ballet) ソフィー・マーティン
Yasmine Naghdi (The Royal Ballet) ヤスミン・ナグディ
Zenaida Yanowsky (The Royal Ballet) ゼナイダ・ヤノウスキー
Eva Yerbabuena (Cĩa Eva Yerbabuena) エヴァ・ジェルバブエナ

STEF STEFANOU AWARD FOR OUTSTANDING COMPANY 傑出したカンパニー
42ND Street
Alvin Ailey American Dance Theater
English National Ballet
Northern Ballet
Scottish Ballet

BEST INDEPENDENT COMPANY 最優秀インディペンデント・カンパニー 
Avant Garde Dance
Ballet Cymru
HeadSpaceDance
Rosie Kay Dance Company
Vincent Dance Theatre


BEST CLASSICAL CHOREOGRAPHY 最優秀古典振付賞

[Sponsored by The Ballet Association]
Akram Khan for ‘Akram Khan’s Giselle’ (English National Ballet) アクラム・カーン「ジゼル」(ENB)
Crystal Pite for ‘Emergence’ (Scottish Ballet) クリスタル・パイト「エマ―ジェンス」(スコティッシュ・バレエ)
Crystal Pite for ‘Flight Pattern’ (The Royal Ballet) クリスタル・パイト「フライト・パターン」(ロイヤル・バレエ)
Liam Scarlett for ‘Symphonic Dances’ (The Royal Ballet) リアム・スカーレット「シンフォニック・ダンス」(ロイヤル・バレエ)
Kenneth Tindall for ‘Casanova’ (Northern Ballet)

BEST MODERN CHOREOGRAPHY 最優秀現代振付賞
[Sponsored by Northern Ballet]
Michael Asante & Kenrick Sandy for ‘Blak Whyte Gray’ (Boy Blue Entertainment)
Matthew Bourne for ‘The Red Shoes’ (New Adventures) マシュー・ボーン「赤い靴」(ニューアドベンチャーズ)
Michael Clark for ‘To a simple, rock ‘n’ roll…song.’ (Michael Clark Company)
Michael Keegan-Dolan for ‘Swan Lake/Loch na hEala’ (Teaċ Damsa)
Arthur Pita for ‘Stepmother/Stepfather’ (HeadSpaceDance) アーサー・ピタ

EMERGING ARTIST AWARD  新人アーティスト賞
[Sponsored by The L&M Trust]
Harry Alexander (Dancer, Michael Clark Company/ Julie Cunningham & Company)
Vincenzo Lamagna (Composer, ‘Akram Khan’s Giselle’ – English National Ballet)
Dickson Mbi (Dancer, Boy Blue Entertainment/ Russell Maliphant Company)
Botis Seva (Choreography for Far From the Norm and Scottish Dance Theatre)
Francesca Velicu (First Artist, English National Ballet) フランチェスカ・ヴェリク(ENB)

OUTSTANDING FEMALE PERFORMANCE (MODERN) 傑出した女性モダン・ダンサー
[Sponsored by DWFM Beckman]
Antonia Grove in ‘Virgin Territory’ (Vincent Dance Theatre)
Shelley Eva Haden in ‘MK Ultra’ (Rosie Kay Dance Theatre)
Ashley Shaw as Vicky Page in ‘The Red Shoes’ (New Adventures) アシュリー・ショー 「赤い靴」(ニュー・アドベンチャーズ)
Clemmie Sveaas in ‘Stepmother/Stepfather’ (HeadSpaceDance)
Francesca Velicu in ‘The Rite of Spring’ (English National Ballet) フランチェスカ・ヴェリク「春の祭典」(ENB)

OUTSTANDING MALE PERFORMANCE (MODERN) 傑出した男性モダン・ダンサー
Mithkal Alzghair in ‘Displacement’ (Mithkal Alzghair)
Christopher Akrill in ‘Stepmother/Stepfather’ (HeadSpaceDance)
Karl Fagerlund Brekke in ‘Stepmother/Stepfather’ (HeadSpaceDance)
Robert Fairchild as Jerry Mulligan in ‘An American in Paris’ロビー・フェアチャイルド「パリのアメリカ人」
Dickson Mbi in ‘Blak Whyte Gray’ (Boy Blue Entertainment)

OUTSTANDING FEMALE PERFORMANCE (CLASSICAL)
[Sponsored by Lee McLernon]
Alina Cojocaru as Giselle in ‘Akram Khan’s Giselle’ (English National Ballet) アリーナ・コジョカル「ジゼル」(アクラム・カーン)
Bethany Kingsley-Garner in ‘Emergence’ (Scottish Ballet)
Kristen McNally in ‘Flight Pattern’ (The Royal Ballet) クリステン・マクナリー「フライト・パターン」(ロイヤル・バレエ)
Aditi Mangaldas in ‘Inter_rupted’ (Aditi Mangaldas Dance Company)
Eva Yerbabuena in ‘Aperiencias’ (Cĩa Eva Yerbabuena) エヴァ・ジェルバブエナ

DANCE EUROPE AWARD FOR OUTSTANDING MALE PERFORMANCE (CLASSICAL)
Israel Galván in ‘FLA.CO.MEN’ (Cĩa Israel Galván) イスラエル・ガルヴァン「FLA.CO.MEN」
Christopher Harrison in ‘MC 14/22 (Ceci est mon corps)’ (Scottish Ballet) クリストファー・ハリソン「MC 14/22(これが私の体)」 スコティッシュ・バレエ
Brandon Lawrence in ‘Wink’ (Birmingham Royal Ballet) ブランドン・ローレンス『ウィンク」(バーミンガムロイヤル・バレエ)
Marcelino Sambé as Colas in ‘La Fille mal gardée’’ (The Royal Ballet) マルセリーノ・サンベ「ラ・フィユ・マル・ガルデ」
James Streeter as Albrecht in ‘Akram Khan’s Giselle’ (English National Ballet) ジェームズ・ストリーター 「ジゼル」(アクラム・カーン) ENB


受賞者は2018年2月19日に発表されます。

傑出した男性モダン・ダンサーにノミネートされたMithkal Alzghairは、シリア難民だそうです。

この年は、ロイヤル・バレエとイングリッシュ・ナショナル・バレエが8件、スコティッシュ・バレエとHeadSpace Danceが5件というノミネート件数となりました。

最近特に高い注目を集めている女性振付家クリスタル・パイトは、‘Emergence’と‘Flight Pattern’の2作品がノミネートされています。最新のダンスマガジン誌でのシルヴィ・ギエムのインタビューでも、彼女が一番注目しているのがクリスタル・パイトで、いつか一緒に仕事もしてみたいと語っていました。

プロダクションとして一番ノミネートされたのは、アクラム・カーンの「ジゼル」で4部門です。第17回英国ナショナルダンス・アワードでも、アクラム・カーンの「Until The Lions」が最もノミネート件数が多いプロダクションでした。

43人のアーティストがノミネートされていますが、21か国の出身者であり、英国のダンスの多様性を証明しています。

NBAバレエ団の新作「海賊」、新垣隆作曲 2018年3月

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NBAバレエ団は、2018年3月に新作「海賊」を上演します。

http://www.nbaballet.org/performance/2017/kaizoku/

2017年3月17日(土)・18日(日) 東京文化会館

芸術監督の久保綋一さんが振付、そして新垣隆さんが作曲ということで、今までの「海賊」とはまた違った作品になりそうです。新垣さんは、NBAバレエ団では「死と乙女」を作曲しており、その才人ぶりを見せてくれました。

リンク先にあるあらすじも、従来の「海賊」とは違ったドラマティックなラブストーリーになっています。

また、キャストも豪華。初日のアリ役は、オーストラリア・バレエのプリンシパル、チェンウ・グォがゲスト出演。横浜バレエフェスティバルなどで来日し、映画「小さな村の小さなダンサー」に出演していたことでも知られる、スーパーテクニックの持ち主です。

パシャ・ザイード役には、新国立劇場バレエ団を退団したばかりの宝満直也さん。NBAバレエ団に入団したのかどうかはまだわかりませんが、新境地を開くことでしょう。
 
 役名    17日      18日
コンラッド     宮内博之     高橋真之
メドーラ     峰岸千晶  菊池結子
ギュルナーラ 佐藤圭     竹内碧
パシャ・ザイード 宝満直也   土橋冬夢
アリ         チェンウ・グォ 新井悠汰
ビルバンド     大森康正  安西健塁

※キャストは変更になる可能性があります。

公 演 名: 『海賊』
日  時: 2018年3月17日(土)
        開場13:15・開演14:00
       2018年3月18日(日)
        開場13:15・開演14:00
会  場: 東京文化会館

チケット料金:
SS席 12,000円
S席 10,000円
A席 8,000円
B席 6,000円
学生席 2,000円
Z席(自由席)1,500円
ペアSS席19,200円
ペアS席16,000円

※学生席はB席。小学生から大学生までがご利用可。
※Z席はバレエの雰囲気を楽しみたい方におすすめ。
 舞台から遠いお席となります。予めご了承の上お求めください。
※3歳未満の入場はご遠慮ください。
※別途送料を頂戴いたします。(送料190円)

音楽監修・指揮: 冨田実里
演奏:ロイヤルチェンバーオーケストラ

「海賊」のファンクラブ先行発売は11月24日12:00~一般発売は12月1日12:00~を予定しているとのことです。

近年、意欲的な新作を多く送り出して魅力的なレパートリーを作り上げ、またカンパニーのレベルもどんどんあがっていて上り調子にあるNBAバレエ団。まったく新しい「海賊」ということで必見だと思われます。


なお、NBAバレエ団は、11月23日(木)には所沢市民文化センターミューズで、そして12月9日(土)12月10日(日)には東京芸術劇場で「くるみ割り人形」を上演します。
NBAバレエ団の久保綋一版「くるみ割り人形」は、プロジェクションマッピングをうまく活用し、またラタトゥイユというネズミのキャラクターが登場する、とてもコミカルで楽しいプロダクションです。
http://www.nbaballet.org/performance/2017/nutcracker_dec/

また、NBAバレエ団6月公演
「NBA GALA」(仮称)本邦初演
 芸術監督によるベストコレクション&わが国初演作品 さいたま芸術劇場

9月29.30日(土・日)
NBAバレエ団公演
「リトルマーメイド 」本邦初演
  リン・テイラー・コーベット振付 新国立劇場


http://www.nbaballet.org/performance/schedule.html#2018

というこれまた楽しみな公演もあります。

映画「新世紀、パリ・オペラ座」

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パリ・オペラ座を支える人々を追ったドキュメンタリー映画新世紀、パリ・オペラ座が12月9日より劇場公開されます。

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http://gaga.ne.jp/parisopera/

フランスが誇る芸術の殿堂パリ・オペラ座は迷っていた。ルイ14世の時代から350年以上にわたる伝統を守ってきた彼らにも、時代の波は容赦なく押し寄せる。選ぶべき道は、歴史の継承か、新時代の表現か。

さらに史上最年少でバレエ団芸術監督に大抜擢され、"ナタリー・ポートマンの夫"としても注目を集めていたバンジャマン・ミルピエの1年半での電撃退任と、カリスマ・エトワール:オレリー・デュポン就任というマスコミをも巻き込んだ大騒動。

そして2015年11月、パリの劇場が襲撃された同時多発テロ。混迷を極めた今の時代に、彼らは自問し続ける。「今、オペラ座に求められるものは何なのか──?」

今までパリ・オペラ座を扱ったドキュメンタリー映画はたくさんありましたが、この作品はオペラを中心に描いています。でも、バレエファンであっても、劇場を愛する人にとっては面白いことこの上ないドラマが描かれています。

2015年1月から1年半ほどの期間で撮影されたこの作品。歌手育成プログラム、パリ・オペラ座アカデミーで学ぶ若いバス・バリトン歌手ミハイル・ティモシェンコ。教育プログラム「学校とオペラの10か月」で学ぶ子どもたち。そしてオペラ座総裁ステファン・リスナー。彼らのエピソードを中心に、激動の1年半を乗り切った劇場とそれを取り巻く人々が描かれます。

シーズンはじめのストライキでの公演中止、同時多発テロ、新制作『ニュルンベルクのマイスタージンガー』主演歌手の初日2日前のドタキャン、さらにバンジャマン・ミルピエの退任騒動と、よくもまあこれだけのトラブルが続いたものです。文化相からの圧力、チケット代金を値上げするべきかどうかという、劇場の存亡をかけた議論も登場します。なんとか劇場を走り続けさせようと奔走し、懸命に働く人々。そこには劇場と芸術への深い愛が感じられます。主演歌手が降板した場合にはこうやって代役を探すのか、というプロセスもとても興味深いです。

中でも印象的だったのが、ロシアの田舎から出てきたバス・バリトン歌手ミハイル・ティモシェンコの純朴さと真摯さ。大スター、ブリン・ターフェルのリハーサルを食い入るようにキラキラとした瞳で見入って素敵な会話を交わしたり、衣装合わせをしている時のワクワクした様子。誰もが彼を応援せずにはいられないことでしょう。そしてシーズン・オープニングのロメオ・カステルッチ演出『モーゼとアロン』に登場する「イージーライダー」という名前の巨大な雄牛は強烈なインパクトを残します。牛も演技指導をされてしまうとは!『ファウストの劫罰』のリハーサルでは、超人気テノール、ヨナス・カウフマンの姿も見られます。

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強烈といえば、もう一つの大きなドラマは、バンジャマン・ミルピエの退任の件。ダンサーたちから不満の声が上っていたミルピエに辞任を迫るリスナーの電話の様子が記録され、そして退任とオーレリー・デュポン新芸術監督の就任の記者会見の模様も登場します。退任を告げた時に誰もねぎらう様子がなくて、オペラ座の怖さが伝わる一瞬でした。同じくドキュメンタリー『ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男』と併せて観るとより一層味わい深いところです。

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バレエのパートは少ないものの、怪我でなかなか舞台を観ることが難しい人気エトワール、エルヴェ・モローがミルピエの振付作品『La nuit s'achève』をリハーサルする様子が記録されているのは、ファンにとっては嬉しいこと。また、『ラ・バヤデール』ニキヤ役をリハーサルするアマンディーヌ・アルビッソン、そして影の王国のコール・ド・バレエを踊るスジェのファニー・ゴルスの舞台リハーサルも登場します。

華麗なパリ・オペラ座の舞台の裏で、多くの人が困難を乗り越えて劇場を支えていることが伝わる好ドキュメンタリー。それも、驚くほどドラマティックで面白いエピソードばかり。パリ・オペラ座バレエのファンにも、オペラファンにも、舞台芸術ファンにもぜひ観ていただきたい作品です。

Photo


「新世紀、パリ・オペラ座」

2017/12/9(土)よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー
上映劇場リスト
http://gaga.ne.jp/parisopera/theater/index.php


こちらはアメリカ版の予告編

監督ジャン=ステファヌ・ブロン
キャスト
<オペラ座総裁>ステファン・リスナー
<バレエ団芸術監督>オレリー・デュポン、バンジャマン・ミルピエ
<音楽監督>フィリップ・ジョルダン
<オペラ歌手>ブリン・ターフェル、ヨナス・カウフマン、オルガ・ペレチャッコ、ジェラルド・フィンリー、ミヒャエル・クプファー・ラデツキー、ミハイル・ティモシェンコ、ブランドン・ヨヴァノヴィッチ
<バレエダンサー>アマンディーヌ・アルビッソン、エルヴェ・モロー、ファニー・ゴルス

作品情報 2017年/フランス・スイス/111分受賞
ノミネート 2017年モスクワ国際映画祭 ドキュメンタリー映画賞受賞
配給 ギャガ

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ロイヤル・オペラハウスシネマシーズン 「不思議の国のアリス」

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ロイヤル・オペラハウスのオペラとバレエ作品の中継映像を映画館で上映する、ロイヤル・オペラハウスシネマシーズン

2017-18シーズン、バレエ作品上演の1作品目、クリストファー・ウィールドン振付『不思議の国のアリス』が12月1日より上映されます。試写を見せて頂きました。
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/alice.html

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【振付】クリストファー・ウィールドン
【音楽】ジョビー・タルボット
【指揮】クン・ケセルス
【出演】ローレン・カスバートソン(アリス)
フェデリコ・ボネッリ (ハートのジャック)
ジェームズ・ヘイ(ルイス・キャロル/白ウサギ)
* エドワード・ワトソンから変更
ラウラ・モレーラ(ママ/ハートの女王)
* ゼナイダ・ヤノウスキーから変更
スティーヴン・マックレー(マジシャン/マッドハッター)

ある晴れた日の午後、姉たちと一緒にガーデンパーティに参加していた少女アリス。庭師の青年ジャックにタルトをあげたのに、アリスの母は彼が盗んだと誤解して騒動に。そんな中、両親の友人ルイス・キャロルが突然白いウサギに変身!彼を追いかけてウサギの穴に入ったアリスが迷い込んだ不思議な国で出会ったのは、魅力的なハートのジャック。チャーミングな彼に心を奪われるアリスだったが、タルトを盗んだと彼を追うハートの女王、帽子屋のマッドハッター、おかしな侯爵夫人が入り乱れて大混乱!ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」をもとに、人気振付家クリストファー・ウィールドンが、アリスの恋を交えながら楽しくて猥雑で子供から大人まで楽しめるバレエを創り上げた。
ロイヤル・バレエで2011年に初演され、その際にDVD化。来日公演でも上演されてチケットがソールドアウトとなり、追加公演も実施されるほどの人気ぶりだった作品。ナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作ですが、その後ミュンヘン、デンマークなどでも上演され、今年はオーストラリア・バレエで初演、来年秋には日本の新国立劇場バレエ団でも上演される予定となっています。

プロジェクション・マッピングなどハイテクを生かした演出、強烈でポップな色彩感覚、英国流のブラックユーモアも交えてのポップで賑やか作品です。再演を重ねて改訂も加えられており、より楽しめる作品に仕上げられていました。テクノロジーに依存しすぎている感のある1幕はそれほどでもないのですが、マッドハッタ―のタップやキャタピラー(芋虫)のシーン、華やかな群舞と見せ場たっぷりの2幕、クライマックスといえる、ハートの女王大暴れのタルト・アダージョからフィナーレへと向かう3幕は息もつかせないほど楽しく、バレエに興味のない人でも十分楽しめるはずです。キャラクター一人一人が強烈なインパクトを残してくれます。

アリス役はローレン・カスバートソン。好奇心たっぷりで活発な少女であるアリスは、ほとんどの場面で出ずっぱりなうえ、技術的にも難しいステップが多く、闊達で疲れを知らない少女らしさを発揮しなければなりません。が、この役の初演キャストであるカスバートソンは、軽々と踊りこなし、いたずら好きの少女をかわいらしく好演。


もう一人の初演キャストは、マッドハッタ―役のスティーヴン・マックレー。この映画館上映での幕間映像では、マックレーが鮮やかなタップをどのようにバレエとして踊ったかという彼自身による解説と実演が見られてとても興味深いです。そもそも、タップダンスが得意な彼を見て、ウィールダンが、マッドハッタ―にはタップを踊ってもらうという設定にしたとのこと。ここでは単なるタップダンスではなく、バレエならではの上体を高くさせたままの状態で、しかし足音はしっかり鳴らすという相反する要素を取り入れながら踊るという苦労があるとのことです。


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この作品で、主役以上に存在感があるのが、ハートの女王。当初は初演キャストであるゼナイダ・ヤノウスキーが、6月に引退したものの当たり役であるこの作品にゲスト出演する予定でした。しかし残念ながら怪我で降板、代わりにラウラ・モレーラが踊りました。代役とはいえ、初演の年からこの役を演じているモレーラも、非常に演技の上手なダンサー。爆笑せずにはいられない顔芸も使いつつ、強烈なキャラクターを怪演して、ヤノウスキーにも一歩も引けを取りません。この作品の一番おいしいところを持っていきます。「眠れる森の美女」のパロディである、3幕頭の笑激の「タルト・アダージョ」は最大のクライマックスといえるかもしれません。女王の相手をさせられる哀れな家来たちの怯えた演技も最高です。

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同じく初演キャストだったエドワード・ワトソンも降板して、若手のジェームズ・ヘイがルイス・キャロルと白うさぎ役を演じました。ワトソンの柔らかすぎる肢体は持っていませんが、ヘイも技術的に優れているうえに、独特の若さと飄々とした感じが良く似合っています。

アリスが恋する庭師のジャック、初演はセルゲイ・ポルーニンですが今回はフェデリコ・ボネッリ。持ち前の甘く爽やかな好青年ぶりも健在だし、あまり派手な役ではないものの、パ・ド・ドゥでは複雑なパートナーリングの多い難しい振付を見事にこなしており、また定評のあるサポートのうまさも発揮しています。

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このほかにも、個性的なキャラクターがたくさん登場します。セクシーな芋虫にはフェルナンド・モンターニョ、足技が冴える魚役にはトリスタン・ダイヤー、カエル役にはデヴィッド・ジュデス、ブキミな侯爵夫人にはギャリー・エイヴィス。ロイヤル・バレエのダンサーたちの芸達者さが光ります。

原色を多用した衣装もとても凝っていて、マッドハッタ―の衣装には手の込んだ刺繍が、芋虫の群舞のダンサーたちのポワントにはキラキラ光るスワロスキーが埋め込まれています。トランプをイメージした群舞の衣装はとてもキュートです。ルイス・キャロルの絵本から抜け出し、黒子によって操られる巨大なチェシャ猫の造形などは非常にユニークです。

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音楽はジョビー・タルボット。打楽器の種類がとても多くて、オーケストラピットのうちの半分近くが打楽器というのが面白いところです。

詳細なキャスト、メイキングやリハーサルの映像、写真やインタビューを集めたデジタルプログラムが無料で観ることができます。プロモコードはFREEALICE
http://www.roh.org.uk/publications/alices-adventures-in-wonderland-digital-programme

来年の新国立劇場バレエ団での上演の予習にも最適な、「不思議の国のアリス」の映画館上映。これが来年実際に日本の劇場で、日本のバレエ団で上演されるかと思うととてもワクワクします。まずは大画面で楽しみましょう。

北海道 ディノスシネマズ札幌 2018/1/13(土)~2018/1/19(金)
宮城 フォーラム仙台 2017/12/2(土)~2017/12/8(金)
東京 TOHOシネマズ日本橋 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
東京 イオンシネマ シアタス調布 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
愛知 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
京都 イオンシネマ京都桂川 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
大阪 大阪ステーションシティシネマ 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
神戸 TOHOシネマズ西宮OS 2017/12/1(金)~2017/12/7(木)
福岡 中洲大洋映画劇場 2017/12/2(土)~2017/12/8(金)

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12/1 NHK Eテレ らららクラシックで、「くるみ割り人形」特集

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12月1日(金)、NHK Eテレ1 午後9時30分~ 午後10時00分までの「らららクラシック」は、

バレエまるわかりチャイコフスキーの“くるみ割り人形“です。

http://www4.nhk.or.jp/lalala/x/2017-12-01/31/13849/2133244/

宮本亜門も感激の傑作バレエ
(1)ロシアの至宝マリインスキー・バレエが描く少女の夢(2)バレエスタジオ潜入リポート(3)チャイコフスキーが取り入れた当時最新の楽器

クリスマスシーズンに世界各地で演じられるバレエ「くるみ割り人形」。その魅力を「夢」をキーワードに、ロシアのマリインスキー劇場バレエ団の素晴らしい映像でご紹介します。バレエの動きの意味を説き明かすのは、阿佐ヶ谷姉妹。「クラシック珍道中」で、バレエダンサーの技を体を張って徹底取材します。そして、チャイコフスキーが音楽で描いた「夢の世界」を、作曲家の池辺晋一郎が読み解きます。

【ゲスト】宮本亜門(演出家)

楽曲

「くるみ割り人形」
チャイコフスキー:作曲
(振付)ワシーリ・ワイノーネン、
マーシャ…(バレエダンサー)レターナ・シャキロワ、王子…(バレエダンサー)ダヴィド・ザレーエフ、(バレエ)マリインスキー劇場バレエ団、
(管弦楽)マリインスキー劇場管弦楽団、(指揮)ワレリー・ゲルギエフ
(1分50秒)
~マリインスキー劇場~

番組内で流れるマリインスキー・バレエの「くるみ割り人形」は、12月24日のNHK-BS プレミアムシアターで全編放映されます。
http://www4.nhk.or.jp/premium/


また、番組内で、スターダンサーズバレエ団に、阿佐ヶ谷姉妹が訪れてバレエを体験するところも登場します。



スターダンサーズ・バレエ団の「くるみ割り人形」

https://www.sdballet.com/performances/1712_thenutcracker/

12月 9日(土) 開演 14:00 / 開場 13:15 
クララ 渡辺恭子
王子 林田翔平

12月10日(日)① 開演 11:30 / 開場 10:45
クララ 西原友衣菜
王子 池田武志

12月10日(日)② 開演 16:00 / 開場 15:15
クララ 渡辺恭子
王子 林田翔平

(開演20分前より総監督・小山久美によるプレトークを行います)

テアトロ・ジーリオ・ショウワ
(小田急線新百合ヶ丘駅南口より徒歩4分)

演出・振付 鈴木 稔
舞台美術・衣裳 ディック・バード
音楽 P.I. チャイコフスキー
指揮 田中良和
管弦楽 テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
コーラス ゆりがおか児童合唱団

セルリアンタワー能楽堂<伝統と創造シリーズ>「老松」

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渋谷のセルリアンタワー能楽堂で、2008 年より継続して上演している“伝統と創造シリーズ”第 9 弾は、国内外で精力的に活動を行う振付家・ダンサーの黒田育世さんによる、古典能「老松」を元にしたオリジナル作品
『老松 -OIMATSU』です。

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http://www.ceruleantower-noh.com/lineup/2017/20171210.html

古典能「老松」は菅原道真の「飛梅伝説」を題材にした作品。ある春の日、夢のお告げに導かれた都人の前に、長寿の象徴である松の精、春を告げる美しい梅の精や鶯が現れ、この世を寿ぐという祝言性の高い内容となっています。

『老松 -OIMATSU』では、時を経て目覚めた老松たちがこの現代を寿いでいく姿を、世代やジャンルを超えたコラボレーションに挑戦し続ける能楽師・津村禮次郎さんと、今年 4 月に紫綬褒章を受章し、古典からコンテンポラリー作品まで多彩な表現力で観客を魅了するダンサー・酒井はなさん、そして黒田育世さんの 3 人で描きます。今回が初顔合わせとなる濃密なコンビネーションに期待が高まります。

セルリアンタワー能楽堂 伝統と創造シリーズ vol.9 『 老松 -OIMATSU 』
日 時
2017 年 12 月 10 日(日)15:30 開演
      12 月 11 日(月)19:30 開演
      12 月 12 日(火)18:30 開演
※開場時間は、開演の 30 分前となります。

会 場 セルリアンタワー能楽堂
〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町 26-1(東京・渋谷 セルリアンタワー東急ホテル B2F)

演出・振付 黒田育世
出  演  津村禮次郎、酒井はな、黒田育世
使 用 音 源 シューベルト:「死と乙女」/ウィーン弦楽四重奏団(カメラータ・トウキョウ CMCD-15004)


森山開次さん、小尻健太さんなど数々のダンサーとコラボレーションをして来て、その活動を追ったドキュメンタリー映画「躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像」も公開された重要無形文化財保持者の津村禮次郎さん、今年紫綬褒章を受章し、バレエにとどまらず、ますます活躍の幅が広がる酒井はなさん、日本を代表する振付家の一人である黒田育世さんという、とても刺激的なタッグによるこの作品、とても面白そうです。

「老松」についても語っている黒田育世さんのインタビュー記事
http://dancerssupport.com/interview/1780/

伝統と創造シリーズとは
能楽堂という日本の伝統的な様式を持つ空間を、コンテンポラリーの振付家がどのように解釈し、扱っていくかを問う企画。2008年より継続して制作している。

<ミニ情報>
セルリアンタワー能楽堂では、公演などがない日には施設見学も承っておりますので、ダンスファンの方が特に気になるお席から舞台の見え方なども確認していただけます!<ご予約不要ですが、下記にて見学可能な日時を御確認ください>
http://www.ceruleantower-noh.com/calendar/

牧阿佐美バレヱ団「ドン・キホーテ」のゲストにオブラスツォーワとソボレフスキー

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牧阿佐美バレヱ団の「ドン・キホーテ」公演が3月3日、4日に行われます。

ゲストには、ボリショイ・バレエのエフゲーニヤ・オブラスツォ-ワと、モスクワ音楽劇場のドミートリー・ソボレフスキーが出演します。

http://www.ambt.jp/perform2.html

日時:2018年
   3月3日(土)15:00
   3月4日(日)14:30
    <全2回公演>  

会場:文京シビックホール 大ホール

指揮 デヴィッド・ガルフォース
演奏 東京オーケストラMIRAI
演出・振付
アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ
(プティパ、ゴルスキー版に基づく)

チケット料金(税込・全席指定):
S席11,000円、A席8,000円、B席5,000円
フェスティバルシート3,000円(2月3日よりバレヱ団オフィシャルチケットでのみ発売。座席選択不可)
S席ペア20,000円、A席ペア15,000円、B席ペア9,500円
(ペア席は2階席限定)
当日券がある場合のみ学生割引あり A席4,000円 B席3,000円
(要学生証提示、座席選択不可。)

チケット発売日:
一般発売開始:11月29日(水)より 

チケット取り扱い
http://www.ambt.jp/contact.html


エフゲーニヤ・オブラスツォ-ワはご存知、ボリショイ・バレエで活躍中で今年6月の来日公演への出演も記憶に新しいところです。NBAバレエ団の「ドン・キホーテ」にもゲスト出演しています。

ドミートリー・ソボレフスキーは、モスクワ音楽劇場バレエのシニア・プリンシパルで、モスクワ音楽劇場バレエでノイマイヤーの「タチヤーナ」を上演した時に、ゲスト出演したディアナ・ヴィシニョーワの相手役(オネーギン)を務めました。そしてヴィシニョーワのマリインスキー・バレエ20周年記念の「ジゼル」(2015年)では、アルブレヒト役を踊り、その舞台を観ることができました。長身で容姿も踊りも美しいダンサーです。モスクワ音楽劇場バレエの来日公演『白鳥の湖』でも主演しました。2009年のモスクワ国際バレエコンクールで3位入賞しています。

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3月3日、4日には、東京シティ・バレエ団の「白鳥の湖」(3日はミリアム・ウルド=ブラムがゲスト出演)もありますので、要注意です。

ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップ レポート

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10月21日、22日に、S&H留学センター主催のオランダの名門、ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長によるワークショップがありました。このワークショップは、リンケンス校長によるワークショップの他、ハーグ王立音楽院への入学オーディションも兼ねたものです。

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改めてハーグ王立音楽院についてご紹介すると、1825年にオランダ国王ウィレム1世によって設立された、音楽とダンスの高等教育を提供する学校です。世界のバレエ団で通用するダンサーを育成するためのクラシック・バレエやパ・ド・ドゥクラス、ポワントクラスに加えモダンやキャラクターのクラスも取り入れています。ローザンヌ国際バレエコンクールのパートナー校であり、スカラシップ生を受け入れています(元K-Ballet Companyの神戸里奈さんは、ローザンヌ国際コンクールで入賞し、この学校に留学しました)。ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)のダンサーやディレクターによるレッスンも週2回設けられているのが大きな特徴です。

<世界的な巨匠のレパートリーを学ぶ貴重な経験>

今回のワークショップは、13~15歳と、16~20歳の2グループに分かれ、それぞれクラスレッスンと、オランダを代表する巨匠ハンス=ファン・マネン作品のレパートリークラスが行われました。

ファン=マネンの作品「Songs Without Words」を学ぶものです。世界中のバレエ団で踊られているファン=マネン作品は、クラシック・バレエのテクニックを使用しつつも、ターンインやオフバランス、上半身、特に腕の動き、床の上での動きなど独特の舞踊語彙を持つ現代的な要素の強いものです。メンデルスゾーンのピアノ曲を使用しているため、音楽性が非常に大きな意味を持ちます。ストーリーのない抽象的な作品ではありますが、その中にも密やかなドラマ性があります。男女のペアで構成されるグループで踊られる作品なので、お互いのアイコンタクトも必要であり、エポールマンや視線などによる表現力も求められます。

リンケンス校長が、作品の特性、ファン=マネン独特の舞踊語彙、音符に乗ることの重要性、歩くという動き一つをとってもエレガンスを表現することなどについて細やかに伝え、指導していきます。16~20歳のグループは、同じ作品を学びますがその中でパートナーリングといった要素も加わっていきます。

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日本のバレエ教育では、コンテンポラリーダンスの教育は不足している面が高く、このようにファン=マネンのおひざ元であるオランダの最高のダンス教育を東京で受講できるという意味でも、非常に価値のあるワークショップでした。クラシック・バレエのテクニックを中心に学んできた受講生たちにとっては、戸惑う面や不慣れな面もあったようでした。が、若い生徒たちは、2日間のワークショップで振付をほぼ完全に覚えて、自分たちの世界を表現できるようになっていたのが印象的でした。

クラスレッスンにおいても、リンケンス校長は内側からのターンアウト、指で床をつかむ感覚を把握するための独特なフラッペ、内腿の使い方、ピルエットの時のアームスの使い方など、細かくそして実践的な指導をしていき、みるみるそれらのコツを受講生たちがつかんでいく様子が見られました。


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とても濃い内容の二日間のワークショップの結果、13~15歳のAグループからは1名、16~20歳のグループからは3名の受講生が、ハーグ王立音楽院の留学許可を獲得しました。


<ヤン・リンケンス校長からのアドバイス>

最後に受講生に向けたリンケンス校長からのメッセージがありましたが、これからバレエを学んでいく人たちにとっては、非常に有意義なアドバイスが得られました。

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<ハーグ王立音楽院の紹介>

この学校はプロフェッショナルのダンサーを育てるための国立の学校です。16歳以下のカリキュラムでは、オランダ語で授業が行われ、一般的な学校の勉強を行いつつバレエ、音楽、ヴィジュアルアーツについて学びます。シラバスがあり、一年間でここからここまで学ぶ、と決められています。この段階では毎年多くの退学する生徒がいます。

6年間の学校を終えると、2年間のバチェラープログラムに進みます。ここでは9時から18時までダンスだけを学びます。バレエ、パ・ド・ドゥ、モダン、ポワント、ピラティス、ヨガなどを学習し、またバレエの歴史やキャリアプランについても学びます。一度入学したら退学させられることはありません。

最終学年には各バレエ団のオーディションを受け、契約を得られたら卒業となります。インターンシップを獲得した場合には学校に在籍しつつ、インターン先のカンパニーで働き、1年後に職を得られた場合には卒業となり、卒業証書を授与されます。バチェラープログラム在籍中に進路変更することになった場合にも卒業証書を得ることで、一般の大学に進学することができます。

<ヨーロッパでプロのダンサーになるために大切なこと>

<身体のケアと健康管理>

ヨーロッパにおいては多くのカンパニーがあり活動する場所があるので、そういう意味では恵まれた環境ですが、同時に多くの優秀なダンサーがおり、オーディションに500人のダンサーが応募して一人か二人しか合格しないというのが当たり前となっています。情熱も大事ですが、身体のケア、健康管理も非常に大事であり、そのためには正しいトレーニングが特に重要となります。正しいトレーニングを行わないと怪我をしてしまうからです。ダンサーの身体は楽器であり、プロになったら20年間踊り続けることになります。よく食べて寝て、休んでウォームアップをすることが必要です。

<英語力と自立できること>

ヨーロッパでダンサーとして活動するには、英語の能力が必須です。ハーグ王立音楽院のバチェラープログラムは英語で行われています。振付を学び分析するにも、公演を観てレポートを書くにも、英語力が必要です。日本からの留学生で、英語ができないために退学となった生徒もいたとのことです。また留学する場合には、この学校には寮がないために一人暮らしをしなければなりません。生徒数は120人と大きな学校ではないのですが、その分スタッフも大人数ではないため、自分で問題を解決する力が必要となります。この学校には現在4人の日本人留学生がいてお互い助け合っているそうです。

<コンテンポラリーダンスを踊ることができること、そして順応性>

ヨーロッパでプロのダンサーとして活躍するには、クラシックもコンテンポラリーも踊らなければならず、ダンスに対して心を広く開かなければなりません。現在ヨーロッパにおいては、クラシック・バレエだけのレパートリーを持つバレエ団はありません。バランシン、キリアン、ファン=マネンなどの作品を踊ることが必須で、オーディションで「ドン・キホーテ」のヴァリエーションだけ踊れればいいということではありません。またインプロヴィゼーション(即興)で踊ることもできなければなりません。新しいタイプのダンスへの順応性が求められています。

本当にプロのダンサーになりたいのか?ヨーロッパで踊りたいのか?と自ら問いかけることが必須となります。自分の生活を自分で管理し、自立しなければなりません。

多くのヨーロッパのカンパニーでは、1年に100公演ほど行い、またいろんな街を旅してまわるツアー公演も行います。オランダ国内だけでも7,8カンパニーあります。ある時は「白鳥の湖」や「ジゼル」、そしてある時にはコンテンポラリーを踊ります。ディレクターが求めているダンサーとは、どこでも機能する健康なダンサーです。

<日本の学生の長所と短所>

日本の学生の長所としては、規律正しい生徒が多く、それはバレエにおいてはとても大事なことです。どんな芸術監督もしつけのきちんとした人を求めています。先生がやっていることを受け入れられて、いろんな振付家と仕事をしなければなりません。順応するだけでなく、切り替えも上手くできなければならないからです。

日本人には、自分は十分上手ではないと思い込んで自信がない子が多いそうです。自分を信じること、ダンサーになりたいし、必ずなれると思うことが大切です。これが好きなこと、やりたいことであり情熱を持っていることだと信じていけば問題は解決されていきます。完璧なダンサーはいませんが、身体は自分たちの楽器なので問題があれば自分で解決して、次のステップにつなげなければならないのです。

※ヤン・リンケンス校長の貴重なインタビュー記事は、後日拙ブログ、そしてS&H留学センターのサイトでお届けする予定です。

**************

ハーグ王立音楽院は、熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画 オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~に参加するバレエ学校の一つです。2月11日、12日にオーチャード・ホールにて。この公演では、ワークショップでも学んだハンス・ファン=マネン振付「Songs Without Words(無言歌)」と、イリ・キリアンの作品を踊ります。


なお、S&H留学センターでは、多くのバレエワークショップや海外バレエ学校オーディションが予定されています。
http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ

特に本格的なワガノワ・メソッドを採用している、ワガノワ、ボリショイ、ペルミと並びロシアトップのバレエ学校であるノヴォシビルスク・バレエ学校のワークショップは貴重な機会といえます。
約20人の外国人生徒が在籍しており(日本人含む)、少人数制の教育、設備も大変充実している学校です。
ノヴォシビルスクバレエ学校についての日本語の詳しい説明
ノヴォシビルスク・バレエの芸術監督はデニス・マトヴィエンコ、元K-Balletの福田昂平さんが在籍しています。


また、2018年4月1日~3日には、
第1回 パシフィック・インターナショナル・バレエ・コンペティション
を開催します。
http://pibcballet.com/
こちらについては、また別途ご紹介記事を書きますね。

ウラジーミル・マラーホフを審査委員長に、シオマラ・レイエス、(元ABTプリンシパル、ワシントン・スクール・オブ・バレエ校長)、ハンガリー国立アカデミーのジュルジ・サカーイ校長、東京シティ・バレエ芸術監督の安達悦子氏などの高名な審査員を迎えたコンクールで、スカラシップも多数用意されています。

バーミンガムロイヤル・バレエのイアン・マッケイが引退

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バーミンガムロイヤル・バレエを代表するプリンシパルの一人であったイアン・マッケイが引退を発表しました。

https://www.brb.org.uk/post/news-iain-mackay-set-to-retire-in-2018

スコットランドのグラスゴー生まれ。1999年にロイヤル・バレエ・スクールを卒業してバーミンガムロイヤル・バレエに入団。2003年にプリンシパルに昇進。2008年にアンヘル・コレーラが率いたコレーラ・バレエに移籍しましたが、2年後に復帰。バーミンガムロイヤル・バレエには19年間在籍し、うちプリンシパルとしては14年間活躍しました。引退公演は、2018年1月19日と20日のバーミンガム・シンフォニー・ホールとノーザンプトンのRoyal & Derngateの公演An Evening of Music and Danceで、ビントレー振付の新作「スパルタクス」のパ・ド・ドゥを踊る予定です。

マッケイはバーミンガムロイヤル・バレエの来日公演で何回か主演したほか、新国立劇場バレエ団でも、「カルミナ・ブラーナ」「ファスター」と「火の鳥」でゲスト出演しています。2008年の来日公演「コッペリア」では吉田都さんと共演しました。

2011年の来日公演でのインタビュー記事
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/interview-and-report/post-329.html

長身で恵まれたプロポーション、色気もある端正な容姿、サポートと演技のうまさでバレエ団を支えてきたマッケイ。ビントレー作品では、「シラノ」のクリスチャン、「シンデレラ」の王子と「ファスター」の初演キャストも務めています(「シンデレラ」はDVD化されています)。引退後は、子供時代に学んできたYorkshire Ballet Summer Schoolの校長に就任するとのことです。

デヴィッド・ビントレーが、彼の引退に対して贈った言葉が温かく、マッケイとビントレーの人柄の良さが伝わってきます。

「長年にわたり、イアンはこのカンパニーの最も素晴らしいダンサーであることを証明してきました。芸術家としての恐れを知らない才能ばかりだけでなく、忠実で献身的で正直であったことによっても。バレエ団の同僚に対してはとても親切でアドバイスを与え、まさに「ライト・スタッフ」であると称賛されています。Yorkshire Ballet Summer Schoolの芸術監督としての新しい仕事においても、これらの彼の美質は大いに役に立つことででしょう。
イアン、グッド・ラック!いなくなって寂しくなります」

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イル・ヴォーロ来日記者会見

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イタリア出身の若手テノール・トリオ、イル・ヴォーロ(IL VOLO)が初来日し、11月29日、12月1日にコンサートを行いました。2公演ともソールドアウト。公演を前に、紅葉の美しいイタリア大使館で、イタリア大使同席の中記者会見が行われました。

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フィギュアスケーターの羽生結弦選手が、2016~17年シーズンのエキシビションの音楽に、イル・ヴォーロの曲「ノッテ・ステラータ 星降る夜(スワン)」を使用したことで話題になりました。また、エフゲニー・プルシェンコ選手は2016年NHK杯のスペシャルエキシビジョンで彼らの「グランデ・アモーレ」を使用しています。

メンバーはジャンルカ・ジノーブレ(22)、イニャツィオ・ボスケット(23)、ピエロ・バローネ(24)の3人。テレビ局のオーディション番組にそれぞれソロ歌手で出演したのがきっかけでユニットを組み、14~15歳の若さで10年にCDデビュー。デビューアルバムが2011年にビルボード初登場10位で、6位まで上り詰めたそうです。最新盤『グランデ・アモーレ』はビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャートで2位に輝くなど大ヒットを記録しています。2016年にフィレンツェで開催された「三大テノールに捧げる」ライブでは、プラシド・ドミンゴとの共演を果たしました。YouTube再生回数は一億回を超え、ヨーロッパ、北米・南米でスタジアム級の会場を満員にしているそうです。

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この若い年齢とは思えない、芳醇で深みがあり、ドラマティックな歌声の持ち主である3人。ひげを蓄えて少し大人っぽくは見えますが、素顔は20代前半のイタリアの男の子。茶目っ気のある受け答えとイタリア人らしい底抜けの明るさ、その中に歌を愛する心が伝わってくる会見でした。

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ジャンルカ・ジノーブレ

「3人のメンバーとも、祖父の代から音楽好きで、特に3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)のコンサートに影響を受けました。とはいっても、ポップスからロックまで興味は持っており、自分たちならではのオリジナリティを持った、イタリアを代表する歌手グループになりたいです」(ピエロ・バローネ)と思っているとのこと。3人とも同じテノールですが、「声の特徴がそれぞれあり、ジャンルカの声が温かい声質なので、彼の声から始めるようにしていて、曲の配分を割り振っています」(イニャツィオ・ボスケット)

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ピエロ・バローネ

羽生結弦選手については、彼が自分たちの曲を使っていることを知った後で、彼がどれほど素晴らしいフィギュアスケート選手であるかということを知ったそうです。「音楽とダンスが一緒になって素晴らしいものを見せてくれるアーティストであり、早く怪我が治ることを祈っています」(この曲はコーチのタチアナ・タラソワが羽生選手に贈ったとのことです)

スペイン語圏でも非常に人気があってラテンチャートでは2位に輝いた彼ら、次のアルバムはスペイン語のものとなるそうですが、最新アルバム「グランデ・アモーレ」のようなオリジナル曲だけでなく、「オペラの魅力を若い人たちに知ってもらいたい」とともに、イタリアで愛されている歌曲も歌い続けるそうです。

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イニャツィオ・ボスケット

「イタリアの理容師がみな死んでしまったので、ひげが伸び放題になってしまいました」というお茶目な彼ら。お互いを評する言葉もとてもユーモラスです。「ピエロは決心したらその考えは必ずやり抜く。要するに石頭です」「ジャンルカは「まるで日本人のように完全主義者」「イニャツイオは13歳の時から小さなクマでした。明るくしてくれるムードメイカーです」「ジャンルカは美しさを保つために氷風呂に入って年を取らないようにしてください」和気あいあいとして仲良しな様子もうかがえます。

記者会見に出席した記者が居眠りをしていたのに気が付いて、ジャンルカが突然その記者に近づいて美しいアリアを披露するというサプライズも。ラストも、お世話になった日本人女性のために美しいハーモニーを聴かせてくれました。

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20代の若者がこのようなクラシカルクロスオーバーの曲を歌うのが、このトリオの特徴であり、今後もグループとしての活動を大事にしたいと考えているそうです。30代、40代になった時にどうしていたいかと聞かれると「イタリア人なので先のことは考えず、今日が最後の日だと考えて懸命に生きています」と答えました。

プラシド・ドミンゴも絶賛した才能、まだ若い彼らのこれからの活躍が楽しみです。

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フィレンツェのサンタクローチェ広場で、プラシド・ドミンゴ指揮「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」を歌うイル・ヴォーロ

愛聴していますが、ドラマティックでポップで聴きやすく、とてもいいアルバムです。

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ピーター・マーティンス、セクハラ疑惑でNYCBとSABを休職

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英米の映画界や音楽界などで、現在セクシュアル・ハラスメントが大問題となっています。

TIME(タイム)誌は、パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)に「沈黙を破った人たち」が選ばれ、性的嫌がらせや加害行動の被害経験について沈黙を破り、発言した人たちの勇気を称えています。
http://time.com/time-person-of-the-year-2017-silence-breakers-choice/
http://www.bbc.com/japanese/42261257

タイム誌は「今年の人」を発表する最新号の表紙に、様々な立場の女性を登場させ、性的加害行動がいかに社会全般に蔓延(まんえん)しているかを表現しています。


さて、この問題はバレエ界にも飛び火をしました。長年、ニューヨークシティ・バレエ(NYCB)の芸術監督として、そしてスクール・オブ・アメリカン・バレエの校長として、バレエ界に君臨したピーター・マーティンスが、セクシュアル・ハラスメントの疑いのため調査をされています。

New York City Ballet leader to take leave amid sexual, violence allegations
https://www.washingtonpost.com/entertainment/theater_dance/new-york-city-ballet-leader-to-take-leave-amid-sexual-violence-allegations/2017/12/07/9b4e4884-db7a-11e7-b859-fb0995360725_story.html

City Ballet’s Peter Martins Takes Leave of Absence After Misconduct Accusation
https://www.nytimes.com/2017/12/07/arts/dance/city-ballets-peter-martins-takes-leave-of-absence-after-misconduct-accusation.htm

木曜日に、NYCBは、マーティンスがバレエ団およびSABを、調査が完了するまで休職すると発表しています。

ワシントン・ポストは、元NYCBのソリストであるケリー・ボールが、彼が彼女に対して暴力を振るったという訴えに対して、マーティンスのコメントを求めました。ケリー・ボールは、やはり元NYCBのソリストで、現在はパシフィック・ノースウェスト・バレエの芸術監督であるピーター・ボールの夫人でもあります。

マーティンスは、彼女に暴力を振るったことを否認しながらも「現在行われている独立した調査が完了するまで、一時的にNYCBとSABを休職することを、経営会議のメンバーに要望しました」と答えています。

12月4日に、NYCBとSABが、マーティンスのセクシュアルハラスメントについて訴える匿名の書簡が贈られてきた結果、弁護士などで構成された土井栗の調査委員会が結成されたことが報道されています。また、SABが、調査が行われている間マーティンスは休職するとも発表しています。月曜日の時点では、マーティンスの妻ダーシー・キースラー(元NYCBプリンシパル)は、ノーコメントと報道陣に答えています。

「生徒たちの安全と健康が私たちにとって最優先です」とSABは発表し、「NYCBとSABの両方において、具体的ではないセクシュアルハラスメントを訴え出る匿名の書簡を最近受け取りました」「現在のところ、書簡の中に書いてあるセクハラ行為や、生徒の安全に問題を起こすような事態は見つけていません」


https://www.nytimes.com/2017/12/04/arts/dance/peter-martins-new-york-city-ballet.html

バレエ団の広報担当者は、2010年以来、このカンパニーでは、上司と部下の間のロマンティックな関係を禁止するポリシーがあると語っています。これに関連して、昨年、リンカーンセンターのプレジデントであったジェド・バーンスタインは、2回昇進させた部下の女性と恋愛関係にあったという匿名の通報があったのちに、辞職しています。

最近のインタビューでは、2人の元NYCBダンサーとSABの3人の元学生は、マーティンスはダンサーたちと寝ており、そのような関係を持っていることで彼女たちは良い役を得られていると語っていました。

バレエは、振付や指導のためにお互いの身体に常に触らなければならないという性質があります。マーティンスのような芸術監督は、特に若いこれからのダンサーに対しては非常に大きな権力を持っています。どのダンサーがいい役を得るかというキャスティング、そして誰が昇進するかを決める権限を持っているからです。

なお、1992年にマーティンスは当時まだ現役ダンサーだった妻ダーシー・キースラーを殴ってけがをさせたことで逮捕されています。キースラーは腕と脚に切り傷を負い、また青あざを作りました。この訴えは後に取り下げられました。2012年にマーティンスは酒気帯び運転で逮捕されています。さらに今年の8月には、マーティンスとキースラーの21歳の娘がドラッグを使用した上に窃盗をした件で逮捕されました。

マーティンスはデンマーク出身で、1970年にNYCBに移籍する前はデンマーク・ロイヤル・バレエのプリンシパルでした。長身で堂々とした体躯、エレガンスを持ち合わせて人気スターとなります。バランシンの亡くなった1983年にジェローム・ロビンスと共に共同芸術監督となり、1990年に単独の芸術監督に。以降バレエ団をまとめ上げてきました。バランシン、ロビンスを中心としたバレエ団のレパートリーを守りつつ、ウィールドン、ミルピエ、ペックなど若い振付家も育ててきており、バレエ界における貢献は大きなものがあります。

特に、マーティンスはジョージ・バランシン財団の最重要人物でもあるので、大きな権力を持っている存在です。ワシントン・ポスト紙は10人以上のダンサーをインタビューしましたが、彼を公的な場で批判することは恐ろしくてとてもできない、そんなことをしたら仕事を奪われると多くが語っています。特に、バランシン作品の振付指導をする権利を失うことが一番怖いことのようです。

ある元NYCB女性ダンサーが語ったことによれば、マーティンスに、ソリストに昇進をするにはどうすればよいかと尋ねたところ、このカンパニーには100人以上の団員がいるので、一人一人にはとても注意が行かないと。彼の目に留まるということは、性的な関係を持つことだと言われたと彼女は解釈したとのことです。

前述のケリー・ボールは、1989年にマーティンスは彼女の肩をつかんで廊下に引きずり出し、肩をゆすって彼の言うことを聞いていないと激しく非難したそうです。「私の首の周りに手を置き、首を絞めて叫んで、どついて去っていきました」同じ日の早い時間に、マーティンスは彼に口答えをした彼女のパートナー、ピーター・ボールをリハーサルで罵ったそうです。別の女性ダンサーが、マーティンスがケリー・ボールに暴力を振るう様子を目撃したと証言しています。ケリー・ボールは数年後、26歳でバレエ団を退団し、引退しました。

また、ABT、NYCBの両方で活躍したゲルシー・カークランドの著書「わが墓上で踊る」の中で、マーティンスが怒りのあまり、別の女性ダンサー、ヘザー・ワッツをパーティで階段の上から下まで引きずり下ろす様子を見たと書いています。

*****
バレエ界では、すでに71歳で27年間も芸術監督を務めてきた(共同芸術監督時代も含めると34年間)マーティンスの辞任は避けられないという見方があり、彼の後任が誰になるだろうかということも、注目されています。子の世界でのセクシュアルハラスメントは、マーティンスに限った話ではなく、もっと多くのケースが今後出てくることでしょう。


4月7日開催 「NHKバレエの饗宴2018」

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恒例となった「NHKバレエの饗宴2018」が4月7日(土)に開催されます。

https://www.nhk-p.co.jp/ballet/index.html


新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』第2幕から
 振付:ウエイン・イーグリング
 出演:木村優里 井澤駿 他

東京バレエ団 『ラ・バヤデール』から“影の王国”

 振付・演出:ナタリア・マカロワ
 出演:上野水香 柄本弾 他

スターダンサーズ・バレエ団  『Flowers of the Forest』

 振付:デヴィッド・ビントレー
 出演:吉田都 マティアス・ディングマン
 渡辺恭子 池田武志 他

『Chimaira/キマイラ』

 振付:平山素子
 出演:小尻健太 鈴木竜 堀田千晶 平山素子


バレエの饗宴初登場という平山素子さんの新作。そして、昨年8月のスターダンサーズバレエ団のガラ公演で上演され、大好評だったデヴィッド・ビントレー振付「Flowers of the Forest」を再び観ることができるのはとても嬉しいことです。しかも、その時に出演していた吉田都さんが踊るというのですから、必見です。後日テレビ放映があるのも嬉しいこと。

指揮・管弦楽

<指 揮> 井田勝大
<管弦楽> 東京フィルハーモニー交響楽団


日時 2018年4月7日(土)
開場:14時 開演:15時 終演予定:18時
会場 NHKホール

前売開始 2018年1月27日(土) 10時 発売開始
入場料 S席 12,000円 A席 9,000円 B席 6,000円 C席 3,000円
(全席指定・税込)
*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
お問い合わせ 03-5790-6438
(平日10:00~17:00)※NHKプロモーション内

勅使川原三郎 KARAS「イリュミナシオン-ランボーの瞬き- 」

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今年のKARAS APPARATUS開館4周年記念作品 アップデイトダンスNo.48. フランスの詩人アルチュール ランボーの詩集「イルミナシオン」(1874)を基にしたダンス作品が「イリュミナシオン-ランボーの瞬き」。アップデートされてシアターXで再演されました。日曜日まで上演中です。





夏の東京芸術劇場での「月に吠える」では萩原朔太郎、秋のパリ・オペラ座での「Grand MiroIr」ではボードレール。そして今回のランボーと、ここのところ勅使川原さんは、詩をダンスで表現する方法を模索しているようだが、本作こそ、「詩は文章にはできない」と朔太郎が語った言葉を受けての、ムーブメントで詩のエッセンスを伝えることに成功しているように思えた。

シアターXに場所を移した「イリュミナシオン」、APPARATUSでの初演も凄かったけど、再演の今回、本当に何かが降りてきたようだった(勅使川原さんは、途中、本当に舞台から降りていたけど)シアターXに場を移し舞台が広くなった分、ダンスのスケールも大きくなり、舞台装置も入って、空間の切り取り方も面白くなった。ロック、ノイズそしてベートーヴェンをリミックスした音楽、構成も変化してよりダイナミックに。

黒板に憑かれたように詩を書き殴る姿、創作の苦しみ、天啓を得る様子、挫折などを通して芸術を生業とする人間の業と矜持を感じさせるものだった。言葉に、そして音楽にも翻弄される芸術家が生み出すリズムがダンスのリズムへとなっていき、そして時空が歪み移動し、パリに、さらに別の次元へも飛んでいく。魔術師のように空間も時間も操っているかのようだった。

今更ながら勅使川原さんの身体の動きのキレも音楽性もすさまじく、現実にありえないような動きまで見せている。打ちのめされる気迫。現実には60代の彼が、若者の姿に見えてくる。舞台の隅に佇む黒衣の佐東利穂子さんは、さしずめミューズか、見守る守護天使か、はたまた死の天使か。芸術家/詩人/舞踊家としての鮮烈な生きざまが投影された文字通り渾身の踊り。

今観るべきダンス、表現はこれだ、と言い切ることができる。帰り道もこの世界から抜け出すのが難しく、ふわふわとした頭のまま帰途についた。

**************

「イリュミナシオン」-ランボーの瞬き-

構成・振付・照明・美術・衣装・選曲 / 勅使川原三郎

出演 / 勅使川原三郎 佐東利穂子

【日程】
12月 6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
9日(土) 16:00
10日(日) 16:00
*8日(金)は休演日

【劇場】
東京・両国 シアターX

【チケット料金】
一般前売り 4,000円  当日 4,500円
*学生・シニア(65歳以上) 2,500円 *学生・シニア券は各回20枚限定・先着順、取扱はKARASでの前売りのみ。入場時に学生は学生証・シニアは健康保険証等年齢が証明できるものをご提示ください。

・KARAS / メール : ticket@st-karas.com
FAX : 03-5858-8089
     *公演日時・枚数・氏名・住所・電話番号を明記してお送りください。

・シアターX / 電話 : 03-5624-1181

【問い合わせ】KARAS(カラス)
電話 : 03-6276-9136
ホームページ : http://www.st-karas.com

*******************
2018年
アップデイトダンスNo.50

「ビグマリオンー人形愛」
KARAS APPARATUS新春第一弾です。





祝2018年 年初めのアップデートダンス「ピグマリオンー人形愛」

自動筆記=両性具有のダンス 二重に歩く者たち

幻想と実象の世界が錯綜する身体奇譚

我 二重の夢に往く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アップデイトダンスNo.50
「ピグマリオンー人形愛」

出演 佐東利穂子
出演・演出・照明 勅使川原三郎

【日時】2018年
1月5日(金)20:00
1月6日(土)20:00
1月7日(日)16:00
1月8日(月・祝)16:00
1月9日(火)20:00
1月10日(水)20:00
1月11日(木)20:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール

【料金】(全席自由)
一般 予約 3000円 当日3500円 学生2000円(予約,当日共に)

【予約】メール updatedance@st-karas.com 
件名を「アップデイトNo.50」として、本文にご希望の日付・一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。

予約は各回前日の24時まで受け付けています。

【問合せ】TEL. 03-6276-9136





ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長インタビュー(海外でプロを目指す方はぜひご一読を)

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先日のハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップレポートに引き続き、インタビューをさせていただいたので掲載します。ワークショップ主催のS&H留学センターさん、ありがとうございます。

ハーグ王立音楽院 バチェラープログラム

海外で、特にヨーロッパでプロのバレエダンサーを目指す方は、ぜひご一読いただけると、参考になるかと思います。プロのダンサーになる道は厳しいですが、この学校は非常に恵まれた環境で、しっかりとした指導を受けられるところです。また、リンケンス先生の人格者ぶりも伝わってくるかと思います。

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今回のワークショップの指導はいかがでしたか?

今回の生徒たちが私の教えに対して見せた反応はとても素晴らしかったです。彼らが、熱心に稽古し、学び取ろうとしている姿を観ることができたのは嬉しかったです。情報を得ることに対して貪欲であることも見て取れました。
16歳から18歳くらいになった時に、健康的に、しっかりと脚で立てている一方で、同時にクラシックバレエの難しい技術もきちんとこなすことができることが欠けていることが多いです。あなたには無理です、と教師が教え子に言うことも時には必要となりますが、生徒にこんなことを言えるのは、プロを養成するための学校だからこそです。この年代になってくると、身体的に問題が起きて踊れなくなってしまう人も出てきてしまいます。私立のバレエ学校だと、授業料を払ってもらえるのでそのような生徒を辞めさせることはしません。そうすると、身体に問題が起きて踊れないのにプロになれるという期待を抱いたままの生徒ばかりになってしまいます。

日本の生徒さんで心配なのは、皆さん真面目で熱心なので間違ったやり方で無理をした稽古をし過ぎて、身体に問題を起こしてしまう人が多いのです。教師は、バレエの訓練をするのに適した身体を持った生徒を見抜く力を持たなければなりません。

持って生まれた身体は人それぞれであり、生まれつきターンアウトしている人もいれば、残念ながらバレエに向いていない身体に生まれついた人も少なくありません。毎年、300人の子どもたちがこの学校を受験しに来ますが、合格するのは10人だけです。しかもその10人のうちプロのダンサーになれるのは一人しかいないかもしれないのです。バレエに向いた身体の持ち主であるとともに、高いモチベーションを持ち、規律正しく、音楽性も持ち合わせているといった重要な要素を持つ生徒が選ばれます。プロになるための競争は非常に厳しいですから。

この学校では毎年試験を行い、必ず退学になる生徒が出てきます。進歩していない生徒は退学になります。生徒の親にとってもこれはとても失望することです。今までプロのダンサーになれることを期待して子供に投資もしてきたわけですから。生徒たちは守られた恵まれた環境で、好きなダンスに打ち込んで幸せに生活をしているのに、あなたには見込みがありませんから退学してもらいます、と言わなくてはならないのです。

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ここではバレエ以外の学科の授業も行うので、進路変更することもできますね。

私達の学校は、バレエだけでなく一般的な学校の教科も教えています。すべてが一つの建物の中にあります。子供たちは学科の授業を受けた後で着替えてそのままバレエのクラスを受けることができます。外に出かける必要はありません。たとえば作品のリハーサルをするために生徒が必要な時には、学科の教師に、生徒がリハーサルに参加するので授業に出られません、といえば、その授業を別の時間に振り替えてくれます。学科の授業とバレエの授業を同じ組織で行っているからできることです。

公演があるときには、学校は学科の授業を調整してくれます。生徒たちにとってバレエを学びつつ学科も勉強し宿題をこなすことがどれくらい大変であるかを理解しています。単位を取って進級できるように、一対一の授業なども行ってくれます。子供たちがプロのダンサーになりたいからこの学校に来ていることもわかっています。特別なカリキュラムでありシステムです。

この学校では、バレエだけでなく音楽科もありますよね。

バレエ、音楽、そしてヴィジュアルアーツの学科もあって同じ建物の中にあります。バレエの生徒たちにも音楽の授業はありますし、学校公演のほとんどは、音楽科の生徒たちの生演奏で行われています。公演のレパートリーを選ぶ際には、音楽科の生徒たちが演奏できる音楽の作品を上演するようにしています。音楽性も非常に重要なので、生演奏で公演ができることを重視しているのです。今回のワークショップで学んだファン・マネンの作品は、メンデルスゾーンのピアノ曲ですが、音楽科の生徒がピアノを弾きます。またイリ・キリアンの作品は合唱曲なのでやはり音楽科の生徒たちが歌ってくれました。私達は学科間で大きなコラボレーションをしています。「白鳥の湖」を上演するときには、学生たちの大きなオーケストラの演奏で行います。合同での公演なのでリハーサルなどの準備は大変です。

ヴィジュアルアーツの部門とも一緒にやりますが、彼らはまたちょっと違うのでさらに大変です。バレエと音楽の生徒は規律正しいですが、ヴィジュアルアーツの生徒はそうではなくて、クリエイティブでアイディアであふれているからです。だから一緒にやるとなるともっと複雑な準備が必要となります。

NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)との強力なコラボレーションを行うことができるのがこの学校の魅力ですね。

はい、私たちはその点でとても幸運です。今の時代においては、カンパニーと共に協働する学校が増えてきました。なぜならば、学生たちが自分たちの目標とするダンサー、カンパニーを見ることができるからです。ロールモデル、お手本を日常的に見ることができます。生徒たちにとって、プロのダンサーを見て、プロの公演を観ることは非常に重要です。

NDTとコラボレーションもしていますが、これは私たちのカリキュラムの一部にすぎません。というのは、この学校はモダンも学びますが、クラシックバレエも学ぶからです。古典もモダンと同じくらい重要です。NDTのレパートリーはコンテンポラリーですが、ダンサーはすべてバレエを学んできた人です。ハンス・ファン=マネンもイリ・キリアンも、クラシックバレエのアカデミックなラインを使った作品を創っています。彼らは学校にもやってきて生徒を教えてくれるのです。素晴らしいことでしょう。幸運なのは、彼らもデン・ハーグに住んでいるので頻繁に来てくれることです。キリアンなんて学校の角を曲がったところに住んでいますよ。

時々、このことを生徒たちがこの恵まれた環境を理解しているのかな、と思うことがあります。日常的にキリアンが授業にやってくるので、それがどんなに特別なことなのかわかっているのかな、と。なので、それがどんなに素晴らしいことなのかを生徒たちによく説明しています。

残念ながら日本では、コンテンポラリーの作品を学ぶ機会が少なく、このようなワークショップはとても珍しい機会です。

ヨーロッパでプロのダンサーになるには、コンテンポラリー作品を踊ることができるのは必須条件です。クラシックのヴァリエーションだけ踊ることができても、プロのダンサーにはなれません。クラシックのヴァリエーションを踊ることができるのは、カンパニーの中でも最高のダンサーだけです。最初はコール・ド・バレエで出発してずっとコール・ド・バレエを踊り、そしてその中で抜きんでた場合にはヴァリエーションを踊れるようになります。その逆はあり得ません。なので、コンテンポラリー作品のレパートリーを学ぶことはとても重要なのです。そのためにはコンテンポラリーのレパートリーを教えることができる教師が必要となります。

日本の学生は、古典は優れていてもコンテンポラリー作品は得意ではない人が多いわけですが。

学ぶ機会がなければそうなってしまいますよね。でもきちんと学べば身につきます。2年前まで全くコンテンポラリーを踊ったことがない日本人の生徒たちが、今はこの学校でキリアンやファン=マネンを上手に踊っています。信じがたいほどの早さでコンテンポラリーに習熟しました。素晴らしいことです。つまりは慣れることが大事だということです。やらなければ上手くなりようがありません。

コンテンポラリーの経験がなくてこの学校に入っても、遅すぎるということはないのでしょうか?

バチェラープログラムに入学する時にコンテンポラリーの経験がなくても大丈夫です。クラシックのしっかりとした技術を持っていれば、それ以外のことに集中できるので、コンテンポラリーを学ぶことができるからです。朝から晩まで2年間の集中的なプログラムですから。(注:とはいっても、今回のワークショップを兼ねたオーディションを見ても、コンテンポラリーに対するセンスを持ち合わせている子の方が、オーディションで選ばれる確率は上がると感じました)

最大の問題は、コンテンポラリーを学ぶ機会がないということではありません。古典以外のものに心を開くことができなければ、それは大きな問題となってしまいます。古典のヴァリエーションだけをやればいいと洗脳されている人が多いのです。そういう意識を捨て去らなければなりません。この学校に来るほとんどの生徒は、このように洗脳されてしまっているんです。子どものころから古典のヴァリエーションが大事だと叩き込まれていて、これを上手く踊ることができれば最高のダンサーであると思いこまされています。ほかのことは大事ではないと思うようになります。

でも、プロになれたとしても、古典のヴァリエーションを舞台で踊る機会は一生ないかもしれません。「白鳥の湖」や「ジゼル」の2幕のコール・ド・バレエは、ほとんどの女性ダンサーが踊る機会があるでしょうし、それこそが学ばなければならないことなのです。多くのダンサーにとっては、群舞を踊ることが仕事であり、ヴァリエーションを踊ることではないのです。

もちろん、学校でもヴァリエーションは学びますし、試験ではヴァリエーションの試験はあります。また、コンテンポラリーのソロも試験で踊ります。さらに創作も行い、音楽も自分で選ばなければなりません。振付もしなければなりません。クラシックとコンテンポラリーのバランスが取れた学習をします。

日本ではコンクールが非常に盛んです。ハーグ王立音楽院は、ローザンヌ国際バレエコンクールと提携していますが、コンクールについてはどうお考えですか?

ローザンヌ国際バレエコンクールは素晴らしいコンクールです。なぜならば、このコンクールではメダルを取ることは重要なことではないからです。
このコンクールは、1週間の間世界中から学生が集まり、素晴らしい教師に学ぶことが主旨です。学生たちがお互いを良く見て、お互いから学ぶというものです。勝つことではなくて、経験を積むことが目的のコンクールです。ここで賞を得るというのは、メダルをもらって飾るということではなくて、バレエ学校で1年間のスカラシップを獲得できるということで、これは素晴らしいことです。またローザンヌは、学生たちを非常によくサポートしています。審査も、ピルエットの数や脚をどれだけ高く上げるかということではなく、スタイルや音楽性、踊りのクオリティを重視しています。ローザンヌ国際バレエコンクールは、コンクールの良い例です。

経験を得るためにコンクールに参加することは良いことです。メダルを取るためにコンクールに参加するのなら、スポーツをやった方がいいでしょう。芸術性というのは審査できないものです。たくさん回れるから優れているのではなくて、他の人と違ったクオリティを持っているから優れているのです。音楽性に秀でていたり、役に合ったスタイルで踊れるから、優れているのです。このような要素が、ダンサーを特別な存在にしているのです。回転の数といったものはツールにすぎません。

クラシックバレエは、言語なのです。この言語を使って話さなければなりません。そして話すには、どのように話せばいいのかを知らなければなりません。言葉を知っているだけでは十分ではありません。クラシックバレエで難しいことは、この言語を身につけるのに非常に長い時間がかかってしまうことです。言葉をよく知ることができたころには、もう引退する年齢になってしまっています。その頃には身体は衰え始めてしまうのです。これがクラシックバレエダンサーの悲劇です。

バレエは難しいし、習熟するには長い年月が必要です。やらなければならないことがたくさんあります。毎日プリエをしなければなりません。ほかのダンスのジャンルでは、6週間も学べば、もう踊ることができるようになったりします。バレエでは6週間学んだくらいでは何もできません。10年かかります。10年続けてもいいダンサーになれる保証は全くありません。長い道のりですし、本当に好きでなければ続けられません。たくさんの若い生徒たちが、踊ることは大好きだけど、毎日バーレッスンをしなければならず、そのバーレッスンを退屈だと感じてしまって辞めてしまいます。同じことを何回も何回も繰り返さなければなりません。退屈に思えてしまうようなことも好きでなければ続けられません。誰もができることではありません。

この学校の教育で一番重視していることは?

生徒が自分の身体について学ぶことが一番大事だと考えています。様々なダンスのスタイルの中で、身体がどのように機能するのかを理解しなければなりません。そして振付家のパートナーであることを学ばなければなりません。20年~30年前の振付家なら、「これがこの作品のステップなのでその通りに踊ってください」と言っていたでしょう。それは過去のこととなりました。

現代の振付家はダンサーに、「これが私のアイディアです。だからステップはあなたが考えてください」と言います。ダンサーがクリエイションに参加することになりますが、そのためにはダンサー自身がクリエイティブでなければなりません。アイディアをもたらすことを恐れてはいけません。そして振付家のアイディアとは何なのかも理解できなければなりません。振付のプロセスの中でパートナーとして機能しなければならないのです。それは若いダンサーにとってはとても難しいことです。

かつてはダンサーは一つのカンパニーに20年間在籍し、ゆっくりと一つ一つの役柄を学んでいきました。しかし今はものすごい速さで変化しています。2,3年でカンパニーを替わるダンサーも多い。振付家も経験が豊富で素早く呑みこんでくれるダンサーを求めています。そのためには、振付家と一緒に働くことが特に重要となっています。だから、私はこの学校の中でカンパニーを設立しました。このプロセスを学ぶことができるように。

学校内のカンパニーも年間30公演行うんですよね?

はい、だからいろんな準備が必要で大変です。素晴らしい経験を生徒たちは積むことができます。オランダ国内のツアーも行っていますが、2月には日本でも公演をしますよ(オーチャード・バレエ・ガラ~世界名門バレエ学校の饗宴~)。オーチャードホールで開催され、熊川哲也さんがプロデュースしています。8人の生徒を連れて行きます。今回のワークショップで学んだハンス・ファン=マネン振付の「Songs without Words」とイリ・キリアンの作品を踊ります。

去年は私たちは、カナダのナショナルバレエスクールで、21ものバレエ学校が集まっての公演を行いました。生徒たちにとっては信じられないほどのいい経験となりました。芸術監督直々の教えを受け、8つのスタジオで毎日違ったグループでレッスンを受けるのです。

オランダ特有の流派というものはあるのでしょうか?

ダッチ・スクールと呼ばれる流派はあります。ハンス・ファン=マネンの作品に観られるように、とてもベーシックです。身体があり、そして踊りがあって装飾はあまりありません。純粋で直接的です。動きを細かくコントロールすることができます。音楽にピッタリ合っています。なので音楽から外れてしまうと、観客もそれが間違っているのがわかってしまいます。これが典型的なオランダ式のスタイルです。ファン=マネンだけでなく、ニルス・クリスティやイリ・キリアンの作品でもそうなのです。私自身も振付家であるし、このように振付をする振付家は多いのです。

オランダという国には多くの振付家が住んでいます。このような環境にいると多くのインスピレーションを得ることができます。振付家同士が交流したりお互いの作品を観るわけですから。また、政府や公共からの支援も大きいということが、これだけの振付家が活動できる理由の一つです。オランダの人々はダンスが大好きですし、政府も、芸術が発展できて、海外に向けてオランダのアイデンティティを示すことができると考えています。振付家たちは、その芸術を発展させることができる空間を与えられています。こんなに小さな国なのに素晴らしい環境を与えられていますし、ダンス界における強い声を得られています。

第二次世界大戦でオランダはすべてを失いました。一からすべてを作り上げなければならなかったのです。そしてだからこそ、新しいものを作り出すことができたのかもしれません。オランダ国立バレエも、この学校も1961年に創立されました。もちろんオランダ国立バレエには、この学校の卒業生はたくさんいます。ただ、今は本当に優秀な若手ダンサーが世界中にいるので、カンパニーは本当に最高のダンサーだけを入団させています。だから、最高ではないダンサーにとっては職を見つけるのが難しくなっています。バレエ学校を卒業しても全員がダンサーになれるわけではないのです。

そんな厳しい中でも、この学校の卒業生はみなカンパニーに入団できているんですね。

当校は、オランダのカンパニーだけに集中しているわけではありません。ドイツ、スペイン、米国といった国のカンパニーのオーディションを受けて、入団を果たしています。オランダ流は幅広く、そしてキリアン、ファン=マネンの作品は世界中のカンパニーで踊られているからです。

たとえばモンテカルロ・バレエはキリアン作品だけの公演を行っています。先週彼らはオランダにリハーサルしにやってきました。ボリショイ・バレエでもキリアンを踊っていますし、ブダペストのハンガリー国立バレエは、ハンス・ファン=マネン作品の夕べを二日前に上演しました。2月にはノルウェー国立バレエがオール・キリアン・プログラムを上演しています。私たちの生徒はすでにキリアンやファン=マネンの作品を知っているので、強みがあります。

オランダでのダンサーの待遇は良いです。給料も良くて12か月しっかり出ますし、それは政府が支援してくれているからです。オランダではアートに対しては政府だけがお金を出していて民間の資金は入っていません。

学費についてはどうなっていますか?

この学校においては、バレエの授業のみ授業料を払うことになっていて、学科の学費については無料です。バレエのクラスの学費は、ヨーロッパ出身者なら年間2千ユーロ、外国人は年間4800ユーロです。たとえばロイヤル・バレエスクールは年間2万ポンドですから、比較するとかなり安いです。誰もが学費を払えることがとても重要だと考えているからです。才能のある子の家にお金がない場合には、奨学金など学費を援助してくれる特別の機関もあります。最も重要なのはお金ではなく才能だと考えているからです。

外国の方たちは、私たちの学校がこのように才能があればお金は必要ないと考えていることは知らないと思います。学費が高いと思われていますが、実際には全く高くありません。家賃や食費、健康保険はもちろんかかりますし、学費よりも高いと思います。この費用でこれだけの教育を受けられるのは贅沢なことだと思いますよ。オランダの唯一の問題はお天気が悪いことです。でもデン・ハーグにはビーチがあるのでお天気が良ければビーチに行けます。デン・ハーグは大きな街ではありませんので、どこにでもすぐ行けます。

そして校舎も新築されて、アート・コンプレックス(複合施設)になるんですね。

はい、6階建てのコンプレックスとなり、3つの劇場が配置されます。学校は最上階に位置します。バレエ部門、音楽部門、そして学科のための教室もすべて一つの建物の中にあります。そして同じ建物の中にNDTも入居しています。ダンサーと生徒がとても近いところにいられるので、お互いを良く見て、リハーサルなども見て学ぶことができるわけです。まだ建設は始まったばかりで、完成するのに3年はかかりますがとても楽しみにしています。新校舎は、デン・ハーグの中心地に位置しています。

寮はあるのでしょうか?

いいえ。オランダでは、子どもを学生寮に送り込むという伝統がないからです。オランダの親はそのような考え方を好みません。遠いところからやってきた生徒たちは、ホームステイをします。平日はフォスターファミリーと過ごし、週末に家に帰って家族と過ごすわけです。または、電車で長い距離を通学する生徒もいます。朝6時に起きて1時間かけて学校に通い、授業を受け、バレエのクラスやリハーサルを受け、そして夜帰るのです。大変そうですが、みんなそれに慣れていきます。


日本の学生へのアドバイスはありますか?

まず、踊ることを楽しんでほしいと思います。そして教師に依存しすぎないようにしてほしいのです。先生の言いなりになっているだけではなく、自分の人生の決断は自分で下さなければなりません。日本では目上の人は尊敬すべきという文化がありますので、それが難しいのはわかりますし美しい伝統だと思います。日本にいる間は、先生の助けがあるからこそできることも多いのですが、ヨーロッパに留学すれば、自分で決断をしなければなりません。先生の言うとおりに従うのではなく。もちろん、私たちは生徒を助けるためにいます。でも、結局本人が動かなければどうにもなりません。教師や親などに依存しすぎるのは良くないことです。

教師の言うことがすべて正しいと信じてしまう生徒が多いのですが、必ずしもそうとは限りません。教師によって、自分の生徒をどうしたいのかというのが異なっています。良いキャリアを積むために教える教師もいれば、単にコンクールで賞が取れるように教える教師もいます。良いキャリアを与えるためには、教師は生徒をよく見て、どんな可能性を秘めているのかじっくりと探ります。メダルを取るためには、コンクールで勝てる踊りを教えないと、取れません。

私の教え子の中には、プロになってもクラシックのヴァリエーションを踊る機会は得られないだろうという生徒もいます。もちろん、クラシックのヴァリエーションは試験に出るので練習はします。でも試験が終わって卒業したら、クラシックのヴァリエーションを踊る必要のないカンパニーに彼らは入団します。コンテンポラリーは得意な生徒だからです。つまり私たちは生徒をよく見て、彼らの適性に応じたやり方で彼らを教え、キャリアに備えさせます。コンテンポラリーの得意な生徒にクラシックのヴァリエーションばかりを躍らせたら、せっかくの身体も役に立ちません。

私たちのやり方は、生徒たちにコンクールでメダルを取らせるのではなく、その生徒に適したカンパニーに入団できるように訓練することです。別にコンクールそのものや、メダルを獲ることに反対しているわけではありません。でもそのことだけに集中してしまうと、間違った方向に行ってしまいます。メダルを獲った後で、目的を達成したのでやる気を失う子もいます。メダルを獲った教え子が5人います、ではなくて優れたプロのカンパニーに入団して活躍している教え子が5人います、ということの方が誇らしいのです。それがこの学校の目的です。

才能を見抜くこと、その才能が最も発揮される方向に導くことがとても大事だと私は考えています。その才能がクラシック・バレエに向いていなければ、指導者は正直になって、「あなたはクラシック・バレエのダンサーにはなれませんが、思い詰めないでください。違った道を進むべきです」と言わなければなりません。それはつらいことです。でも人生は続いていくのです。

とても優秀だけどコンテンポラリーが苦手な日本人の女子生徒がいました。そのため、どこにも入団できませんでした。1年半就職活動をしたのち、「もうやめて日本に帰ってホテルの専門学校に入ります」と私に言いました。「もう10年も踊りつづけましたよね。日本からはるばるオランダまで来て。今あきらめるべきではありません。入団できるカンパニーを見つけるべきです」つまり、それは数え切れないほどのオーディションを受けなければならないということです。何回も落とされると、心が折れる生徒もいます。「背が低い、太すぎる」などと言われたりします。それでもプロになりたいなら頑張らないといけません。結局この生徒は、ブカレストのバレエ団に入団して活躍しています。でもそこに至るまで私は何回も彼女にアドバイスを与えました。それまでに何回も何回もオーディションに落ち続けたからです。

生徒たちがカンパニーに就職できるようにたくさんのサポートを与えているんですね。

もちろん、生徒たちが自分のことをよく知ることが一番大切ですが、正しい方向に導き、キャリアを得ることができるようにできる限りのサポートをするようにしています。履歴書の書き方を指導したりもしています。生徒たちは履歴書を書くだけでなく、自分たちが何をやりたいのか、どういう方向に進みたいのかを書かなければなりません。今までの学習の自己評価なども書かせます。

英語ができることがとても重要になってきます。作文をたくさん書かなければならないからです。オーディションでも、このソロを踊るに際してのインスピレーションは何ですか?と聞かれるので、しっかりと答えられなければなりません。音楽、と答えるだけではなく、作品についてのストーリーが書けなければなりません。ダンサーになるためには、英語ができることは必須であり、英語を勉強することはダンサーになるための投資ともいえます。ほとんどのカンパニーでの共通言語は英語ですから大事なことです。


いかがでしたか?これからプロを目指す方にとっては、とても有用なアドバイスなのではないかと思います。とても熱く、真摯に語ってくださいました。生徒の将来を真剣に考えている、あたたかいお人柄が感じられました。


S&H留学センターのワークショップとオーディション

http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日 (オリバー・マッツは2018年のローザンヌ国際バレエコンクールの審査員です)
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ



熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画
オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_balletgala.html

2018/2/11(日・祝)13:00開演
2018/2/12(月・休)13:00開演

ロシア:ワガノワ・バレエ・アカデミー (校長:ニコライ・ツィスカリーゼ)
 『フローラの目覚め』より“パ・ド・カトル”
 振付:マリウス・プティパ 音楽:R.ドリゴ
 『人形の精』より“パ・ド・トロワ”
 振付:S.レガート/N.レガート(改訂:ニコライ・ツィスカリーゼ) 音楽:R.ドリゴ

ドイツ:ハンブルク・バレエ学校 (校長:ジョン・ノイマイヤー)
 『バッハ組曲2』より
 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:J.S.バッハ

オーストリア:ウィーン国立歌劇場バレエ学校 (校長:マニュエル・ルグリ)
 『プルチネッラ』
 振付:ベッラ・ラチンスカヤ 音楽:G.ヴェルディ
 『ラ・ダンス・デ・トロワ・フィーユ 3人の少女の踊り』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.パウリ
 『ブルノンヴィルへのオマージュ』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.レーヴェンショルド

オランダ:ハーグ王立コンセルヴァトワール (校長:ヤン・リンケンス)
 『Evening Songs』より
 振付:イリ・キリアン 音楽:A.ドヴォルザーク
 『無言歌集』より
 振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:F.メンデルスゾーン

カナダ:カナダ国立バレエ学校 (校長:メイビス・ステインズ)
 『Three Images of Hope』より
 振付:ロバート・ビネー 音楽:O.パレット
 『ラ・フィユ・マル・ガルデ』より“パ・ド・ドゥ”
 振付:アレクサンドル・ゴールスキー 音楽:P.L.ヘルテル

オーストラリア:オーストラリアン・バレエ・スクール (校長:リサ・パヴァーン)
 『VITAE』
 振付:マーガレット・ウィルソン 音楽:B.デスナー

総合監修:オーチャードホール芸術監督 熊川哲也

マニュエル・ルグリが2020年にウィーン国立バレエ芸術監督を退任

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ウィーン国立バレエの芸術監督を2010年から務めているマニュエル・ルグリは、現在の契約期間が切れる2020年で退任することが発表されました。

https://kurier.at/kultur/staatsballett-manuel-legris-hoert-2020-auf/301.756.139

ルグリは、自身のInstagramでも任期を延長しないことについて、声明を発表しています。

「ここ数か月の間、今後のカンパニーとの関係の将来について多く考えてきました。いずれにしても、関係者にとって必要な準備ができるように十分な時間を与えるために、早急に結論を出す必要だったことが明らかでした。私の人生の新しい章を始めるためには2020年は良い区切りであると信じているし、ウィーン国立歌劇場でのリーダーシップの変更を反映するカンパニーにとっても、新しい出発点となるにはいいタイミングだと思います。」

ルグリは2015年10月に、2020年8月末まで任期を延長する契約を結びました。

「パリ・オペラ座で引退をした直後の2010年に、ウィーン国立バレエで芸術監督の仕事をオファーされたことを深く感謝しています。この仕事に就いた1日目から、完全に新しくて責任のとても重いこの仕事を非常に重要なものととらえ、”私のカンパニー”にすべてのエネルギーと集中力を注いできました。今までの7年間のイベントに満ちて実り多い年月を振り返ると、喜びと幸福さに満たされています。現時点までにおいてこんなにも多くのことを達成し、「今日、ウィーン国立バレエはオーストリア、ウィーンだけでなく、国際的にも高い評価を獲得した」といえると信じています。私のウィーン国立バレエとの旅路はまだまだ終わりません。まだ丸ごと3つのシーズンが残っており、たくさんの素晴らしく意欲的なプロジェクトがあり、私は自分のすべてを与えるつもりです」

「この機会に、現在のウィーン国立歌劇場の総裁であるドミニク・マイヤーに深い感謝の意を伝えたいと思います。彼が私をバレエ監督に任命してくれ、彼がいなければ、このバレエ団との素晴らしい冒険は実現できませんでした。彼の継続的な支援をいつも感じてきました。彼は継続的にカンパニーを、劇場のうちでも外でも支援してくれました。また、次期ウィーン国立歌劇場の総裁Bogdan Roščićが私を信任してくれたことにも感謝します。私は、彼にこのカンパニーがどれほどの意味を持っているかを強調してきて、彼は、私の後任探しと、マネジメントの引継ぎにおいて私の全面の信任を得ています」


ルグリは、ハンブルグ・バレエでのヌレエフ版「ドン・キホーテ」のカンパニー初演の振付指導を行っていました。ファーストキャストは菅井円加さんとアレクサンドル・トルシュです。


2020年はまだ先ではありますが、果たしてルグリは次はどうするのでしょうか、とても気になります。

川井郁子さん「LUNA~千年の恋がたり~」2/23公演に、ファルフ・ルジマトフが出演

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ヴァイオリニストの川井郁子さんは、アルバム「LUNA」のリリース(11月1日発売)に続き、2018年1月13日より、コンサートツアー「LUNA~千年の恋がたり~」を行います。

http://www.ikukokawai.com/tour_2018luna/

コンサートのうち、2月23日にBunkamuraオーチャードホールで開催される公演には、スペシャル・ゲストとしてファルフ・ルジマトフが出演します。記者会見が開催されました。

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川井郁子さんは、2010年にルジマトフと「COLD SLEEP」(新国立劇場中劇場で上演)で初共演しました。これは鈴木勝秀さんの演出、岩田守弘さんでした。川井さんはヴァイオリンを演奏するだけでなく、ルジマトフと組んでのドラマティックで濃厚な演技も見せました。実際にこの舞台を私も観ていて圧倒されました。話題を呼んだこの作品は、映像化されて映画館でも公開、DVDも発売されました。

会見の中で、川井さんはルジマトフとの出会いについて語りました。

「初めて彼を知ったのは『シェヘラザード』。オリエンタルでエキゾチックな彼の金の奴隷には一目でファンになりました。「いつか私は必ずこの人と共演する」と思い続け、10年後に「COLD SLEEP」で初共演が実現しました。また、やはり岩田守弘さんがルジマトフに振付けた『阿修羅』にも感動しました。神々しさと官能の両方を持ち合わせた、阿修羅そのものの彼に圧倒されたので、今回の「LUNA~千年の恋がたり~」のオリエンタルな世界観にも彼はぴったりだと確信しています」

「LUNA~千年の恋がたり~」は3部形式で、そのうちの一つが、「源氏物語」をベースにした、林真理子氏の原作を基にした『源氏がたり』の上演となります。ここでは、川井さんは演奏しつつ、林真理子さんの文章の一説をナレーションしながら弾き語るとのこと。そしてルジマトフは、月の神の存在を表現する象徴的な役として登場し、月と踊るとのこと。今回も振付は岩田守弘さんですが、トータルの演出は川井さんが担当するそうです。

また、フィギュアスケーターの羽生結弦選手が長年使用している川井さん作曲の「ホワイト・レジェンド」でも、ルジマトフは踊る予定です。

今回の公演では、日本の情景を多彩な楽器を使って再現。この世界観をビジュアル的に感じられるように構想したとのこと。和太鼓奏者が4人出演し、ストリングスとコラボレーションします。とりわけ、和太鼓集団の鼓童出身で、シディ・ラルビ・シェルカウイの「Babel –words」や「Pluto」、さらに森山未來、エラホチルド「Judas,Christ with Soy」にも参加している吉井盛悟さんの存在が大きく、多くのアイディアも提供され、なくてはならないパートナーだったとのことです。

このほか、ミシェル・クワンが使用した「恋のアランフェス~レッド・ヴァイオリン」、荒川静香さんが使用している「夕顔~源氏物語より」なども演奏されます。3分の1は川井さん自身の作曲による曲で、彼女の才人ぶりがうかがえます。

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ファルフ・ルジマトフ、岩田守弘、吉井盛悟という一流のアーティストを迎え、川井郁子さんがどのような情熱的で繊細な世界を表現するのか、とても楽しみな公演です。

2018年2月23日(金)
東京 Bunkamura オーチャードホール開場/18:15 開演/19:00
チケット発売日:12月2日(土)
料金:S席 8,500円 A席 6,500円
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799
(平日/11:00〜18:00 土日祝/10:00〜18:00)

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20180223.html

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