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ロイヤル・エレガンスの夕べ2014 インサイト・カンバセーション

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8月8日~10日に開催される「ロイヤル・エレガンスの夕べ2014」。出演するロイヤル・バレエのラウラ・モレーラ、リカルド・セルヴェラ、スティーヴン・マックレーを迎えてのインサイト・カンバセーションに参加してきました。

上演される作品について、英国バレエとは何かということについて、非常に興味深い話を聞かせていただきました。一人一人が、非常にインテリジェントで、バレエに対して深い洞察をしているのが感じられ、今回のこの公演の内容が充実して個性的な理由が良くわかりました。ダンサー達が自ら作り上げる「ロイヤル・エレガンスの夕べ」ならではの企画です。バレエに対する愛情、そして公演に寄せる熱意も伝わってきました。

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司会進行役はラウラ・モレーラが務め、和やかな雰囲気で進められました。

「ロイヤル・エレガンスの夕べ」を主催しているのは、元ロイヤル・バレエのダンサーだったジャスティン・マイズナー率いるダンス・ツアーズ・プロダクションズ。今回の公演のほか、世界各国でバレエを学ぶ若い人向けにワークショップを行っております。

ラウラ・モレーラが語った、このダンス・ツアーズ・プロダクションズの設立目標としては、彼女たちが受けてきたバレエ教育をバレエを学ぶ生徒たちにお返しをしたいということ。特に、日本の生徒たちに対して、テクニックに加えて英国バレエならではの芸術性を伝えたいということでした。その成果あって、彼らの下で学んできた生徒の多くが英国の名だたるバレエ学校のオーディションに合格し、現在12名がそこで学んでいるそうです。

「ロイヤル・エレガンスの夕べ」も、この教育活動の延長線上にあるもので、アシュトンの作品のように、英国的な、芸術性の高い演目や、あまり他で観る機会のない作品を見せたいということがあるそうです。今回のインサイトに参加した3人のダンサーとも、ロイヤル・バレエスクールの出身であり、そこで学んだロイヤルスタイルを伝えたいと。

アシュトン作品については、ロイヤルバレエスクールで3人とも、アシュトンから直接役を伝授されてきた教師たちに学んできています。そのため、オリジナルのアシュトンに一番近い踊りを見せることができていると彼らは自負していました。古典については、このたび、ライブシネマで、スティーヴンと、今回の公演にも参加するサラ・ラムが「眠れる森の美女」を踊り、世界中の映画館に生中継されます。

スティーヴン 「『眠れる森の美女』は、ロイヤルバレエの象徴的な作品です。40年代に、ロイヤル・バレエを世界的なカンパニーに押し上げたのがこの作品でした。カンパニーの歴史そのものとして心の中心になる作品で、自分にとってもサラにとっても大きなチャレンジです。ロイヤルオペラハウスで踊るのと、今回のロイヤル・エレガンスの夕べで小さな会場で踊るのは違った経験になるでしょう。オペラハウスだと舞台は豪華だけど、遠くから眺めているような感覚、でも8月の舞台だと舞台に立っているのは二人だけなので、関係性が際立ってきます。サラは理想的なオーロラであるし、彼女を間近で見るチャンスです」

リカルド 「今回、アシュトンの『エニグマ・ヴァリエーション』の中のトロイトのソロを踊ります。アシュトンを踊るには、音楽性を使うこと、素早いフットワークを使うことの二つが重要であり、それを一番出せる作品です。ここでは、脚の動きが止まることはありません。また、腕と脚が違うスピードで動きます。全く努力しなくて簡単に見えるようにしなければなりません」
「今回3作品を踊りますが、「エニグマ・ヴァリエーション」は、初演をしたアンソニー・ダウエルに指導してもらいました。できるだけオリジナルに近い形で踊りたいと思います。ほかの2作品はもっとコンテンポラリーなもので、ラウラと自分のために作られた作品です。カンパニーに入りたての若い時に作られた作品なので、久しぶりに踊るというのは新鮮な気持ちです。2,3人のために作られた作品であり、ダンサーの間のケミストリーを探り続けるものです。アーティストとして自分が成長していく過程を見せて、自分のために作品も成長させたいと思います」

スティーヴン 「ステージの上に立って踊るのが幸せなのです。今までのキャリアを通じて、たくさんのスタイルを学んで、それぞれのフレイバーを与えてくれる先生がいました。異なった振付家の作品を踊るときに、それらのフレイバーを取り出しています。自分が学んできたこと、楽しく踊ることを見せることができる、経験したことのない違うスタイルをお客さんに見せられるのが誇らしく思います」

「この公演の面白いところは、クラシックでの関係性、コンテンポラリーでの関係性の両方を見せるころができることです。クリストファー・ウィールダンは音楽性の高い振付家です。音楽的に自分を挑戦させる、技術的に挑戦させる振付家で、自分が自然と動く方向とは違った方向に動くこともあります。彼は大きなヴィジョンを描いているので、彼の言うとおりに動いて大丈夫だと思わせてくれます」

ラウラ 「ウィールダンのパ・ド・ドゥ(今回の上演作品は未定)は、素晴らしいものばかりです。スティーヴンのように技術的に素晴らしいダンサーにとって最適なものです。スティーヴンは小柄なため、良いパートナーだと思ってもらえないこともありますが、ロイヤル・バレエの中でも最もパートナーリングが素晴らしいダンサーの一人です。彼の姿を見て、生徒さんたちが、身体条件の問題があったとしてもいろんなことが達成できるということを信じさせてくれます」

「今回『アスフォデルの花畑』の第2楽章のパ・ド・ドゥを私は踊ります。私に振付けられたのは第三楽章なのですが。リアム・スカーレットとは、彼がリンバリースタジオで初めて作った作品の時から、一緒に創作活動をしてきました。彼の才能を確信してきました。リアムが、私を、彼が表現したいことを体現できるダンサーとして信頼してくれているのは光栄です。この作品は、以前も日本で上演されたことがありますが、その時とはまた違った感じになると思います」

リカルド 「今度踊るアシュリー・ペイジの『ルーム・オブ・クックス』を、日本の観客の皆さんは楽しんでくれると思います。前回ラウラと踊ったスカーレットの作品は、物語があるものではないけれども、感情が流れているので、物語性を感じてもらえて、お客さんに大変評判が良かったのです。今度のペイジの作品も、強い物語性が感じられて、日本のお客さんにアピールすると思います。お客さんが自分たちなりの解釈をしてくれます。二人のケミストリーを感じてらえたら嬉しいです」

ラウラ 「これは、緊張感のある暗い作品、ワイルド・カードのようなものですね。持ってくるのが楽しみです」

スティーヴン 「ぼくのタップ作品は、自分で振付けているんだ。タップのソロはドラマーになったような気分だよ。踊る前に何をしたいかという考えは持っているけど、インプロヴィゼーションをする余裕もあるので、同じものを二度と観ることはないね」

「今まで受けてきたトレーニングのすべてがダンサーとしての自分を作ってきている。タップは音楽性を養うのに素晴らしいし、アシュトン作品を踊るのに重要な膝下を鍛えるのにもいい。スパニッシュダンスも学んだけど、「ドン・キホーテ」のバジル役を踊る時に役に立ったよ」

ラウラ 「リカルドは、自分たちの中で生まれたケミストリー、緊張感を引き出すことができるのが素晴らしい。『ルーム・オブ・クックス』でそれを観ることができるわ」

リカルド 「僕たちの間のケミストリーは、仲のいい友人だから生まれると思われるのだけど実は逆で、ステージ上でケミストリーがあったから仲良くなったんだ。お互いの一番いいところを引き出せるんだ。リアムにとって、ラウラはミューズであり、ラウラの中から彼は一番いいところを引き出せていると思うよ」

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ラウラ 「『キサス』を振付けたウィル・タケットはロイヤルのダンサーだったので、仕事上でもプライベートでもお互いのことをよく知っている。彼はユーモアを持ち続けている人で、楽しむこととハードワークの両方ができるので、そちらの面が作品にも反映されています。上演するのが待ちきれないわ。スティーヴンはまだ「ルーム・オブ・クックス」も『キサス』も観ていないんですよ」

リカルド 「ウィルは一つのトーンだけではない、優しいところもあるし、楽しいだけでない深い友情も出せる人なんですよね」

ラウラ 「今回は前回とほぼ同じメンバーだけど、平野亮一さんが加わってくれています。ジャスティンの目的の一つに、日本からどれだけ素晴らしいダンサーが出てきたかということを見せたいというのがあるのです。どれほど、彼らが英国スタイルを吸収し、お客さんに賞賛されてきたかということを知ってほしいのです」

「私は『真夏の夜の夢』でツァオ・チーと踊ります。私たちは別のカンパニーで踊っているけど、同じロイヤルの教育を受けてきて、同じように踊ることができるのです。彼とは学校時代、1995年以来の共演なんですよ」

「ジャスティンと私は、ダンスの旅路を見せたいと思っています。この世にはいない振付家、現在の振付家、そして未来の振付家たちの旅路をね。ダンサーは振付家なしには存在できないのですから。私たち一人一人の芸術性を見ていただきたいと思います」


ここで質疑応答に入ります。

Q 「日本のダンサーは演劇性が弱いように思われますが、どのように演劇性を高めていますか?」


スティーヴン 「若い時から、演劇性の高い役を踊ってきました。演劇性は学ばなければなりません。レスリー・コリア、ジョナサン・コープらからできるだけ本当の表現をするようにと言われてきました。そして、生きた表現ができるようになりました」

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リカルド 「ロイヤルのレパートリー、特にマクミラン作品は、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」と違って、もっと人間的な作品です。そういったレパートリーを踊れるようにロイヤルでは向かっています。自然な演技、自分でいられる方がお客さんも舞台の上で起こっていることを信じられます。自然であることを励ましてくれるカンパニーであることは幸せに思います」

ラウラ 「私は11歳の時にロイヤルバレエスクールに入り、12歳の時にロイヤルバレエの「白鳥の湖」で、子役の小さな白鳥を踊りました。その時に、「白鳥の湖」でさえ、舞台のどこにいても役になりきらなければならないのを感じました」

「私は自分のキャリアを通じて、自分を実現するようにしてきて、一緒に踊る相手や共演者の反応からたくさんのことを学びました。振付家たちはいろいろと引き出してくれました。自分が教えられてきたように、ダンスツアーズでは教えてきています。講習会の中では、マイムや自然な演技も教えるようにしています。自分をさらけ出すことによって、お客さんも受け入れてくれます」

Q 「ウェイン・マクレガーについて教えてください」

リカルド 「マクレガーのアプローチは他の振付家とは全く違います。彼は脳と解剖学に興味があり、感情的な作品は作りません。明確なチャレンジをしたいと思っていて、頭の中にチャレンジしたいところがはっきりしています。彼の作品は美術館のようで、インスタレーションのようなものです。今回上演される『レイヴン・ガール』は、彼の初めての物語作品です。踊られるのはこの作品からのパ・ド・ドゥなので、「クローマ」とはだいぶ違います。どの振付家も、日本に作品を持って行ってくれることについて喜んでくれて、興奮してくれています」

Q 「ご自身で振付を行いたいですか?」

リカルド 「振付家というのも才能であり、誰が才能があるのかはすぐにわかってしまいます。自分で振付をすることはありませんが、一緒に作品を作っていくのは楽しいです」

ラウラ 「ダンスツアーズで、学生たちに振付についても教えています。振付家はダンスの未来だからです。学生たちを立たせてみると、彼らは自分で動き出します。教師をしていると、ここから未来の振付が生まれるということを感じます。たとえば『クローマ』の踊りを見せた後で、この作品の音楽を与えると、14~16歳の彼らは、全く違う振付を考えてきます。見たものと違うものを頭の中で作り出して表現してくれるんですね」

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この3人は、大変仲が良いようで、また非常に気さくでフレンドリーです。3月5日にはチャコット新宿店で、誰もが参加できるトークイベントが実施されるので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

3月5日(水)18:00~、チャコット新宿店
「トーク・ウィズ・ダンサーズ 英国ロイヤルバレエ 人気トップダンサーに聞く」
ラウラ・モレーラ、スティーヴン・マックレー、リカルド・セルヴェラの3人が参加します。


公演のオフィシャルサイト
http://www.royalelegancenight.com/

<本公演>
2014年8月8日(金) 19:00開演
8月9日(土) 13:30開演
8月10日(日) 13:30開演
日本青年館ホール (神宮外苑)

リハーサル見学会 2014年8月8日(金)  14:00~
ファンミーティング 2014年8月10日(日)  17:00~

チケットは、3月29日(土)10:00より発売開始です。 ※3月16日公式HP先行開始!

そして未定だったプログラムが一つ決定しています。

「「ロミオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ」

振付:ケネス・マクミラン
出演:佐久間奈緒/平野亮一

これもとても楽しみですね。異なったカンパニーのダンサーがどのようなパートナーシップを見せてくれるのか、期待します。


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