ボリショイ・バレエの2015-16シーズンが発表されました。発表記者会見は当初予定より3週間延期されたもので、セルゲイ・フィーリン芸術監督は欠席し、ウラジーミル・ウリン総裁が発表したそうです。
フィーリンの任期は2015-16シーズン終わりまでで、更新されないということです。(次期監督は未定)
こちらが新シーズンを紹介するPDFですがロシア語なのであまり読めません。
http://www.bolshoi.ru/r/_content/cc9f1467ac9e145158d16c326b2e512e/240%20season.pdf
Facebookの方に英語もついています。
https://www.facebook.com/bolshoitheatre/posts/595817610560279:0
新作と言ってよいのでしょうか、プレミアとしてはいくつかあります。
アレクセイ・ファジェーチェフによる「ドン・キホーテ」の新しいプロダクションが上演されます。
Valery Leventhalによる新しい舞台デザインだそうです。(この人は今月亡くなったばかり)
「モダン・バレエの夕べ」。
ハンス・ファン=マネンの「フランク・ブリッジ・ヴァリエーション」、ポール・ライトフットとソル・レオン(NDT)振付の「Short Time Together」、そしてイリ・キリアンの「詩篇交響曲」のトリプルビル。
(「詩篇交響曲」は厳密にいえば新制作ではなく、以前にもボリショイで上演されたことがあります)
ヴァスチェスラフ・サモドゥーロフ(ロイヤル・バレエ元プリンシパルで現エカテリンブルグ・バレエの芸術監督。2015年に黄金のマスク賞を受賞)振付の「オンディーヌ」(ヘンツェ作曲)
新作ではないのですが、ラトマンスキー振付の「ロシアン・シーズン」が久しぶりに帰ってきます。
2016年7月25日~8月13日までの3週間、ロイヤル・オペラ・ハウスでロンドン公演を行います。上演演目は、「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」「海賊」「パリの炎」「じゃじゃ馬馴らし」です。
ゲストカンパニーとして、ハンブルグ・バレエがボリショイ劇場で公演を行います。(2016年1月16日~24日)「シンデレラ・ストーリー」と「ロミオとジュリエット」が上演。
今年の11月20日、21日に、マイヤ・プリセツカヤを偲ぶ夕べ公演が行われます。これは、もともとはプリセツカヤの90歳を祝うガラ公演の予定でした。ヴィシニョーワが、マリインスキー・バレエの来日公演に参加しないのは、この公演に出演するからだそうです。
2016年5月24日、25日にスヴェトラーナ・ザハロワのガラ公演があります。ユーリ・ポソホフが振付けた「フランチェスカ・ダ・リミニ」、パトリック・ド・バナが振付けた「Rain…Before It Falls」、Marguerite Donlonが振付けた「Strokes Through the Tails」という演目の予定。
コンテンポラリーのトリプルビルは、名作ばかりですが、あまり目新しいもののないレパートリーと言えそうです。サモドゥーロフは、振付作品で黄金のマスク賞を獲得しており、振付家としての手腕が評価されているのでいい作品を創ってくれるかもしれません。次期ボリショイ・バレエ芸術監督の有力候補の一人でもあります。
ロンドン公演は、毎回チケット争奪戦が繰り広げられます。英国では絶大な人気を誇るオシポワがゲスト出演する可能性もあります。日本からも観に行く方は多そうですね。
新作と言えば、ユーリ・ポソホフ振付、レールモントフ原作の「現代の英雄」(Hero Of Our Time)の初演が7月22日に迫っており、ザハロワなどが登場するリハーサル映像が公開されています。「現代の英雄」はエフゲニー・オネーギンと同様、アンチヒーロー的な男が主人公であり、ロシア文学の金字塔のひとつです。くしくも、レールモントフもプーシキン同様、決闘で若くして命を落としています。
このボリショイのマガジンにもリハーサルの写真と、英語での解説も少し載っています。
http://www.bolshoi.ru/r/3F8CD8A3-683B-4B79-A59F-7C1F52D7CFFC/Bolshoi-6-2015.pdf
ポソホフ、現役時代は素敵だったのにすっかりおっさんになってしまいました。
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