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パリ・オペラ座バレエの芸術監督にオーレリー・デュポンが就任決定

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突然浮上したバンジャマン・ミルピエのパリ・オペラ座バレエ芸術監督辞任の件ですが、フランス時間の2月4日15時に記者会見が開かれ、その席上でオーレリー・デュポンが次の芸術監督になることが発表されました。

Benjamin Millepied Out at Paris Opéra, Aurélie Dupont In
http://dancemagazine.com/news/benjamin-millepied-leaves-paris-opera-ballet/

記者会見の模様を、ジャーナリストのLaura Cappelle氏がリアルタイムでツイートしていましたので、それを翻訳したものを載せます。

スティーヴン・リスナー総裁
「数週間にわたり、12月にミルピエと、振付をしながら芸術監督としての活動をすることは可能かどうかについて話し合いました。バレエは進化していますが、このカンパニーは、その伝統と遺産における責任を持っています。辞任は彼が出した結論です。アーティストは創造のための時間が必要です。彼はこのカンパニーに多くのものをもたらしました。新しい組織、新しいヘルスケアのシステム、3rdステージ。そして新しいダンサーを数人育てました」

ミルピエは来週2月10日に、彼が組んだ2016-7年のシーズンを発表します。夏より、オーレリー・デュポンが芸術監督としての仕事を引き継ぎます。リスナーは、ミルピエと彼女の間の継続性について強調しました。

リスナー「彼が就任する前には、芸術上のとあるビジョンを持ったディレクションの時代が20年続きました。監督するということは、ダンサーと共にあるということでもあります。オーレリーは、この劇場のすべてのチーム、技術者なども良く知っています。ここは彼女の家なのです」

ミルピエ「初めてオペラ座に来た時には、私はオーレリーのための作品を創りました」「この機会を得て光栄でした。自分の2シーズンを誇りに思いました。でも私にとって重要なのは創作することです。この仕事の今の形態は、私には合わないものです」 「来シーズン、オペラ座のために振付をします。これが、私のカンパニーに対するお礼となります。オーレリーを選んだのは正しい選択だと思います。未来は明るいと思います」

デュポン「私は今日とても幸せです。そして少し驚いています」(ミルピエに献辞をする)

「私はこのカンパニーのためにあふれるばかりの情熱を持っています。私はここに32年もいたのですから。続けて行きますし、バンジャマンがやったことも続けて行きます。私は最善を尽くすと約束します。ある時点で自分に言い聞かせました。私ならできる。自分のホームなのですから」
「私はパリ・オペラ座のダンサーが好きです。彼らは素晴らしいです。オペラ座はクラシックバレエのカンパニーだけど、コンテンポラリーも踊ります。私にとって、その逆はあり得ません」

ミルピエは記者からの質問には答えずノーコメント

リスナー「ミルピエの決断は、振付家との活動とカンパニーを運営することを両立させるむずかしさから下されました」

デュポン「私には振付家の才能はありませんし、創作はしません」(質問に答えて)

デュポンのパリ・オペラ座との契約の期間は定め無し。(ミルピエの場合もそうでした)

デュポン「これはオペラ座バレエとのラブストーリーです。入団する時に一度魂を失ってしまいます。物事を変えるには時間がかかりますし、私は時間をかけて行こうと思います」「一シーズンに13プロダクションあって、古典作品が2作品しかないのは足りません」(来シーズンは古典作品は2作品の予定)

デュポン、昨年メートル・ド・バレエとしての契約締結を拒んだ件について「この二つのことは全く別のことです」

リスナー「この決定と発表は、取り急ぎ行ったものでは全くありません」「ミルピエを任命したことについては後悔はありません。彼が去るのは早すぎるかもしれませんが、他の人は辞めるのが遅すぎました」他の候補について聞かれて「もちろん、他の人も考えました(でも具体的な名前は差し控えた)。前回と異なり、継続性が最優先課題となりました」

リスナー、ミルピエの始めたデジタルプラットフォーム3rd Stageについて聞かれて。「私の戦略の一つです。継続します。ただし、新しい芸術監督を迎えて、より音楽/オペラに重点を置いたものとなるかもしれません」

オーレリー・デュポンの就任についてはまだ書かれていませんが、ニューヨークタイムズの記事が興味深いのでご紹介します。
Benjamin Millepied to Step Down From Paris Opera Ballet
http://www.nytimes.com/2016/02/05/arts/dance/benjamin-millepied-paris-opera.html?smid=tw-nytimesarts&smtyp=cur

問題となったカナルプリュスの番組とフィガロのインタビューでは、昇進コンクールと厳しいヒエラルキーシステム、またパリ・オペラ座学校での教育も批判し、パリ・オペラ座は人種的に多様であるべきと強く主張し、クラシックの技術が十分でないと言っていたとのことです。

ミルピエの施策の一つとして、ウィリアム・フォーサイスをオペラ座のアソシエイト振付家に任命し、またフォーサイスを新しい振付家、音楽家、演出家や歌手を含む芸術アカデミーにも関わらせるようにしました。今回の辞任劇に対して、フォーサイスは、自分の契約が一年契約であること、そしてミルピエが去った後には自身も去ると語りました。「バレエカンパニーは変化するものです。伝統ある組織は変わりませんが」メールでコメントを書きました。

また、5日に初日を迎える新作を振付けたジェローム・ベルは、ミルピエの委嘱を受けた理由は、この組織を再生させるという考えを信じたからだと、電話インタビューで語りました。「オペラ座のダンサーが肉体や精神によって、質問をし始めることもできないようなアイディアをを統合させることを見るのは、非常に興味深いものでした。ここでは君主制のようなやり方になっていて、問題を提起することができるような民主的なシステムではありません」ベルは、これらの問題について語った、作品のプログラムのための文章は掲載されなかったとも付け加えました。「別にかまいませんが、もし批判が許されないのなら、進歩はないと思います」

この記事にはミルピエのコメントもあります。振付活動に専念し、ロサンゼルスに戻るために辞任すると語ってます。そして結果的にオペラ座での仕事は自分が求めるものではなかったとも。


さて、生粋のオペラ座育ちであるオーレリー・デュポンは、オペラ座をどのように運営していくのでしょうか。今回の件でもわかったように、オペラ座は巨大な組織で、芸術監督一人の力ではどうにもならないところも多々あるようです。

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第44回ローザンヌ国際コンクールの決勝進出者決定

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2月5日に準決勝が行われて、ローザンヌ国際コンクールの決勝進出者20人が決定しました。

http://www.prixdelausanne.org/2016-prix-de-lausanne-finalists/

103 Carolyne De Freitas Galvao ブラジル Basileu França
105 Kanon Kimura 木村楓音 服部彩子バレエクラス (2016年NHKバレエの饗宴に出演予定)
106 Makensie Henson オーストラリア Prudence Bowen Atelier
107 Kim Danbi 韓国 LeeWon-A Dance Academy
110 Riley Lapham オーストラリア The Australian Ballet Schoo
113 Erina Yoshie 吉江絵璃奈 服部彩子バレエクラス
123 Fu Yiyang 中国 Shanghai Dance School
126 Yu Hang 中国 Shanghai Dance School
205 Junnosuke Nakamura 中村淳之介 アクリ・堀本バレエアカデミー Swiss Infoの紹介記事と映像
206 Leroy Mokagtle 南アフリカ Art of Motion South Africa Guardianの紹介記事
208 Brayden Gallucci オーストラリア Alegria Dance Studios 
211 Bai Dinkai 中国 Shanghai Dance School
307 Madison Young 米国 Houston Ballet Academy
308 An Sehyun 韓国 Seoul Arts Highschool
311 Silvia Simeone イタリア Tanz Akademie Zürich
314 Laura Fernandez スイス TAZ Tanzakademie Zürich and Vaganova Ballet Academy St. Petersburg リハーサル動画
318 Yume Okano 岡野祐女 John Cranko Schule ジョン・クランコスクール
403 Joao Pedro De Mattos Menegussi ブラジル Tanz Akademie Zürich
409 Kim Seu 金世友 韓国 Australian Ballet School 中日新聞の紹介記事
412 Vincenzo Di Primo イタリア Vienna State Opera Ballet Academy

日本からは、

木村楓音さん
吉江絵璃奈さん
岡野祐女さん
中村淳之介さん
金世友さん

決勝は明日の現地時間午後3時、日本時間は午後11時から行われます。もちろんネット中継もあります。ワクワクしてきましたね。

第44回ローザンヌ国際コンクールの結果(後で追記します)

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第44回ローザンヌ国際コンクールの決勝が2月6日に行われ、今結果が出ました。

1位 Yu Hang 中国 Shanghai Dance School 16歳
2位 Madison Young 米国 Houston Ballet Academy 17歳
3位 Vincenzo Di Primo イタリア Vienna State Opera Ballet Academy 18歳
4位 Leroy Mokagtle 南アフリカ Art of Motion South Africa 16歳
5位 Laura Fernandez スイス TAZ Tanzakademie Zürich and Vaganova Ballet Academy St. Petersburg 18歳
6位 中村淳之介 アクリ・堀本バレエアカデミー 16歳
7位 Bai Dinkai 中国 Shanghai Dance School 16歳

エスポワール賞 Kim Danbi 韓国 LeeWon-A Dance Academy

コンテンポラリー賞 Laura Fernandez、Vincenzo Di Primo

ベスト・スイス賞 Laura Fernandez

観客賞 Leroy Mokagtle

日本からは、アクリ・堀本バレエアカデミーの中村淳之介くんが6位に入賞しました。おめでとうございます。「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のフランツのヴァリエーションと、コンテンポラリーは「ソング・フォー・ディエゴ」を踊りました。

決勝を観ていたのですが、観客が最も湧いたのが、このリロイ・モカグトル君でした。柔軟な体、ふわっと浮かぎあがるような跳躍、天性の明るさと華。観客賞に輝いたのも納得です。ガーディアン紙にもインタビュー記事が載りましたが、気温が46度を超える環境の中で、朝6時から練習しているのだそうです。小柄ではあるけれども、非常に目を引きつけられるダンサーなので、将来が楽しみです。

まだ決勝の動画はアップされていませんので、こちらの準決勝の映像へのリンクを貼っておきますね。

http://concert.arte.tv/fr/selections-du-44eme-prix-de-lausanne


ローザンヌ国際コンクールが素晴らしいのは、コンクールの結果だけでなく、ここで素晴らしい教師と出会ったり、素晴らしい仲間と知り合ったり、世界のバレエのレベルを体感できることです。またスカラシップ賞を受賞しなくても、ファイナリストにならなくても、ネットワーキングフォーラムで一流のバレエ学校のスカラシップを獲得できたり、バレエ団のアプレンティス(研修生)として採用される方も多いのです。参加した皆さん一人一人が、ウィナー(勝者)ということになります。輝く未来が待っていますように。

パリ・オペラ座バレエの2016-17シーズン速報

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パリ・オペラ座バレエの2016-17シーズンの発表が2月10日の予定ですが、会員宛てに一足先にラインアップが届いたようでTwitterでアップしている方がいました。


(ゲストカンパニー)アメリカン・バレエ・シアター「眠れる森の美女」 ラトマンスキー振付

シーズン・オープニング・ガラ

Sehgal(新作)、ペック「In Creases」、クリスタル・パイト(新作)、フォーサイス「Blake Works」

バランシン「モーツァルティアーナ」「ヴァイオリン・コンチェルト」「ブラームス・シューンベルグカルテット」

チューダー「葉は色あせて」、ミルピエ(新作)

ヌレエフ「白鳥の湖」

(ゲストカンパニー)ドレスデン・バレエ「インプレッシング・ザ・ツァー」(フォーサイス)

マクレガー「Tree of Codes(新制作)

バランシン「真夏の夜の夢」(新制作)

Dimitri Chamblas とボリス・シャルマッツ「A Bras-le-corps(新制作)

パリ・オペラ座バレエ学校公演

カニンガム「Walkaround Time」、フォーサイス「Trio」、「Workwithinwork」

ロビンス「エン・ソル」、バランシン「ラ・ヴァルス」、シェルカウイ「ボレロ」

ベルトー、ブーシェ、ヴァラストロ、ポール (新作)
 オペラ座ダンサーによる振付作品

ラコット「ラ・シルフィード」

ミルピエ、Philippe Parreno (新作)


こちらのプログラミングは、ミルピエが組んだものです。

予想されていた通り、古典全幕はヌレエフの「白鳥の湖」、あとはラコットの「ラ・シルフィード」のみです。全幕が少なく、あとはバランシンの「真夏の夜の夢」がレパートリー入りするのが大きなところでしょうか。

マクレガーの「Tree of Life」、Dimitri Chamblas とボリス・シャルマッツの「A Bras-le-corps」は、それぞれの振付家が自身のカンパニーに振付けた作品です。

また、振付家養成に力を入れると言っていた通り、セバスチャン・ベルトー、ブルーノ・ブーシェ、シモン・ヴァラストロ、ニコラ・ポールという現役ダンサー4人がそれぞれ作品を発表します。ブルーノ・ブーシェはオペラ座の外ではかなり作品を創ってきました。また、ニコラ・ポールについては今までにもいくつかオペラ座に振付けて来た実績があります。

SehgalはおそらくTino Sehgalのことですが、彼は振付家というよりはアーティストとして著名な人。彼の考えた指示をパフォーマーが実行するということをやっているので、オペラ座でどのような作品を創るのかは非常に興味深いところです。

やはりミルピエカラーが濃厚に出ているレパートリーで、シーズン終わりを飾るミルピエの新作が、彼の最後の贈り物となることでしょう。Philippe Parrenoは振付家ではなくアーティストなので、ミルピエとの共同作業ということになるのではないかと思います。

ヴィオレット・ヴェルディ逝去

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フランスとアメリカの両国で活躍し、パリ・オペラ座バレエの芸術監督も務めた伝説的なバレリーナ、ヴィオレット・ヴェルディが脳梗塞のために2月8日に亡くなりました。82歳でした。

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1933年にフランスに生まれたヴェルディは、パリ・オペラ座のスターだったカルロッタ・ザンベリに師事します。17歳の時に「Dream Ballerina」という映画に出演し、一躍注目されます。ローラン・プティの当時のカンパニー、バレエ・シャンゼリゼで踊り、その後もローラン・プティのカンパニーで踊って「狼」の初演キャストとなりますが、ロンドン・フェスティバル・バレエ、ミラノ・スカラ座バレエなど多くのカンパニーにゲスト出演します。

1957年にノラ・ケイの招きでアメリカに渡り、ABTの前身となったカンパニーに参加し、「テーマとヴァリエーション」「令嬢ジュリー」で素晴らしい踊りを見せますが、一時的にABTが解散状態となった1958年にNYCBに入団。以降、20年間にわたって看板バレリーナの一人として活躍します。主にエドワード・ヴィエラとパートナーシップを結び、バランシンの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」、「エメラルド」、「真夏の夜の夢」、「ソナチネ」などの作品の初演ダンサーとなります。

特に「エメラルド」は、フォーレのロマンティシズムを体現しており、彼女を代表する作品となりました。また、「チャイコフスキーパ・ド・ドゥ」は、非常に人気の高い作品で数えきれないほど多くのバレリーナが踊っていますが、初演のヴェルディほどの音楽性、テクニック、ウィット、恐れを知らない姿勢を見せた人はまれだと言われています。

さらに、ジェローム・ロビンスにも好まれ、「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」のマスタードの女性、そして「イン・ザ・ナイト」にも定評があり、彼女のような踊りをすることが、後に続くバレリーナたちにとっては大きな挑戦となりました。NYCBで活躍している間にも、ロイヤル・バレエ、パリ・オペラ座バレエなど世界中のトップカンパニーにゲスト出演しました。またテレビ出演も多数ありました。

1977年にヴェルディはNYCBを退団して引退し、パリ・オペラ座バレエの芸術監督に就任しました。オペラ座初の女性芸術監督です。フランス政府の文化行政における変革によって、退任を余儀なくされた彼女は、1980年にアメリカに戻り、1984年までボストン・バレエの芸術監督を務めます。84年からは、インディアナ大学の音楽学部のバレエ学科長となりました。

1965年以降、ヴェルディは振付も行い、彼女の作品は多くのバレエ団で踊られていました。教師として大変優れており、ロイヤル・バレエ、パリ・オペラ座バレエ、オーストラリア・バレエ、デンマーク・ロイヤル・バレエ、ミラノ・スカラ座バレエ、シュツットガルト・バレエ、ハンブルグ・バレエ、ミュンヘン・バレエ、ボリショイ・バレエなどでゲスト教師として活躍しました。また、2008年には、スクール・オブ・アメリカン・バレエが、同校初にして唯一の常任ゲスト教師に彼女を任命しました。

偉大なバレリーナ、そして教師として、ヴェルディは数多くの賞や名誉学位も受賞しています。1975年にはフランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエを、そして2008年にはフランスからの最高の栄誉であるレジオンドヌール勲章を受賞しました。

80歳を過ぎても精力的に教師として活躍していた彼女は、的確な教えと人柄の良さで世界中のダンサーたちに愛されており、その死を多くのダンサーたちが悼んで、「エメラルド」の時の彼女の写真をInstagramに掲載しています。

ヴィオレット・ヴェルディの踊りは、最近発売されたDVD「New York City Ballet in Montreal, Vol. 1.」(オルフェウス)「New York City Ballet in Montreal, Vol. 2.」(アゴン)で観ることができます。また、「Violette et Mister B」では、イザベル・ゲランやエリザベット・モーラン、ニコラ・ル=リッシュ、ウラジーミル・マラーホフに教える姿や、彼女の踊りの映像を観ることができます。とても楽しそうに指導する姿を見ているだけで、幸せな気持ちになる映像です。

今頃ヴィオレットは天国でバランシンと再会していることでしょうね。お悔やみ申し上げます。

Violette & Mr. B
https://www.youtube.com/watch?v=RaCpQzkc1ik

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2/10(本日)NHK総合放映 無様(ぶざま)でいい もっと自由に ダンサー 大前光市

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23歳で事故により左足を失ってから、義足をつけ踊ってきたダンサーの大前光市さん。以前にも、NHKの「ブレイクスルー File.38 “唯一無二”になる ―ダンサー・大前光市―」という番組で取り上げられています。
(この番組を見た私の感想はこちら

この番組が大きな反響を呼んだため、第二弾の番組として取り上げられます。

2月11日(実際には10日の深夜)午前0時10分~午前0時40分

NEXT 未来のために▽無様(ぶざま)でいい もっと自由に ダンサー 大前光市
http://www4.nhk.or.jp/next-mirai/x/2016-02-10/21/32175/2075039/

ダンサーの大前光市さん(36)。23歳の時交通事故で左足を失って以来、義足をつけステージに立ち続けた。義足のために納得できる踊りができず失意の日々も過ごした。それでも諦めなかったエネルギーの根源は、建設現場で働き続けた父の姿。無様でもそれを続けることのすごみを教えてもらった。今、大前さんは「義足のダンサー」として評価されたくないと、新たな挑戦をはじめた。自分らしいダンスを模索し続ける姿に密着した。

「ブレイクスルー File.38 “唯一無二”になる ―ダンサー・大前光市―」は本当に感動的な番組でした。その後に開催された大前さんの公演にも足を運びましたが、本当に伝えたいものを持っている人の表現は強い、と感じました。この番組にも登場する、新国立劇場バレエ団のプリンシパル、マイレン・トレウバエフさんの振付けた「SWAN」という作品も非常に美しいです。

なお、「ブレイクスルー File.38 “唯一無二”になる ―ダンサー・大前光市―」も、今月アンコール放送があります。

2016年2月29日(月曜)
再放送2016年3月7日

大前光市「目覚めよと叫ぶ声がきこえる」

1/30 東京シティ・バレエ団「ダブル・ビル」

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先日、「L’heure bleue」の振付を担当したイリ・ブベニチェクと、振付助手および衣装、舞台美術を手掛けたオットー・ブベニチェクのトークショーに参加させていただいた東京シティ・バレエ団のダブル・ビル。日本のバレエ団で、このように作品のクオリティもパフォーマンスも上質なものができるのか、と感動した素晴らしい公演だった。

「L’heure bleue」「ベートーヴェン交響曲第7番」
芸術監督:安達悦子
指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
監督:中島伸欣
舞台監督:橋本洋、淺田光久
照明:足立恒
音響プラン:GESMEC
大道具:(有)ユニ・ワークショップ
制作・主催:一般財団法人東京シティ・バレエ団
後援:一般社団法人日本バレエ連盟

第1部「L’heure bleue」
演出・振付:イリ・ブベニチェク
音楽:J.S.バッハ、L.R.ボッケリーニ ほか
振付助手:オットー・ブベニチェク
バレエミストレス:高木糸子、若林美和
舞台美術・衣裳デザイン・照明プラン:オットー・ブベニチェク
ピアノ独奏:横山和也
衣裳制作:工房いーち
出演:岡博美、沖田貴士、長澤風海
黄凱
清水愛恵、榎本文
三間貴範
土肥靖子、平田沙織
浅井永希

イリ・ブベニチェクが2013年にノースカロライナ・ダンスシアターのために振付けた作品を、今回、東京シティ・バレエ団のために大幅に改定し、振付も追加した。額縁、ハンカチ、薔薇、剣など小道具を粋に使った活人画的作品で、恋の駆け引きが生き生きと描かれて楽しいものに仕上がっていた。

まだ客電が落ち切らない時に幕が上がり、舞台の上には、大きな額縁の中に、バロック風の衣装を着た長澤風海さん。小さな額縁が空中に配置され、一つの額縁の中には剣、もう一つの額縁には薔薇。最初は男性ダンサー3人で始まり、額縁と額縁の間でハンカチがやり取りされるところからして、意味ありげで惹きつけられる。イリ・ブベニチェク独特の、クラシック的な伸びやかさの中に、ちょっとしたひねりを加えた振付。次に舞台奥には、3人の女性ダンサーたちが配置され、ロココ的な衣装を身につけた彼女たちの佇まいが、まさにフラゴナールの絵画のよう。真ん中を踊る岡博美さんはビスチェドレス、清水愛恵さん、榎本文さんの2人は男物の長めのジャケットにショートパンツで脚がむき出しになっていて、倒錯的な官能性が漂う。

バッハのバロック的な音楽に合わせて軽妙に動くダンサーたちには、よくぞここまでのエスプリや表現をここまでものにできた、と感心させられた。一人一人に個性が感じられるのもいい。パ・ド・ドゥ、パ・ド・トロワ、男性や女性たちのトリオなど、様々な組み合わせでのダンスもあってフォーメーションも変幻自在、目くるめく世界を堪能した。絵画の中の登場人物が飛び出て生き生きと動き回り、そして絵画の中へと還っていく。少しキリアンの影響を感じさせるものの、ユーモアのセンス、ほのかな色香、成熟した大人の世界でたいそう魅力的。振付家が長期間振付指導を手掛けてダンサーたちを鍛え上げた成果がしっかり出ていた。

オットー・ブベニチェクが手掛けたシンプルで洗練された舞台美術、ダンサーたちの体型にフィットした、バロックやロココ的な中に現代性も感じられる美しい衣装と、プロダクションデザインも秀逸だった。

日本のバレエ団で、人気のある振付家を招聘して現代物のほぼ新作を長期間振付してもらうというケースはレアだけど、民間のバレエ団でやってこれだけの成果を上げるのは称賛されるべきこと。ぜひ、間を置かないでの再演を期待したいところだ。次はきっともっと表現が深化していることだろう。


第2部「ベートーヴェン交響曲第7番」
演出・振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:L.V.ベートーヴェン
指導:ジョヴァンニ・パルマ,木村規予香
バレエミストレス:山口智子,加藤浩子
美術・照明・衣裳デザイン:ウヴェ・ショルツ
衣裳協賛:チャコット株式会社
出演:
第1楽章 佐合萌香、キム・セジョン
第2楽章 志賀育恵、キム・セジョン
第3楽章 内村和真、沖田貴志 志賀育恵、キム・セジョン
第4楽章 佐合萌香、キム・セジョン

志賀育恵、佐合萌香、中森理恵、名越真夕、平田沙織、松本佳織
飯塚絵莉,薄井友姫、木暮絵梨子、宮崎真衣、河野麻子、大内麻莉
キム・セジョン、春野雅彦、浅井永希、高井将伍、内村和真、石黒善大,沖田貴志
チンゾリグ・バットムンフ、二上史生、左世義寛、福田建太、パク・ヒョンジュン、濱本泰然

「NHKバレエの饗宴2014」で上演されて大好評だった、東京シティ・バレエの十八番ともいえる作品。2013年の初演から数えれば3度目の上演。間を置かずに再演し、どんどん上演のクオリティを上げていくというバレエ団の姿勢が素晴らしい。

オープニングシーンで一斉にダンサーたちがリフトされてポーズをし、女性ダンサーたちがパドブレするところから、もう気持ちは盛り上がる。ノンストップで繰り広げられるダンスの洪水にひたすら溺れる幸せ。ウヴェ・ショルツの音楽性溢れる振付は至福の時間を与えてくれる。殆どのダンサーたちが出ずっぱりで、体力も非常に使う作品だと思うが、特に女性ダンサーたちのプロモーションの美しさ、踊りの精度は見事だった。揃わないところも少しはあったし、途中でやや疲れが見えてしまった人もいたが、最終楽章で持ち直していた。唯一残念だったのが、「NHKバレエの饗宴2014」で素晴らしかった玉浦誠さんが怪我のために出演できなかったこと。第2楽章のメーンを踊った志賀育恵さんは、特に、アラベスクや音楽の表現が見事だった。


新国立劇場の中劇場という会場のサイズ感も、この二つの作品にとってはちょうどよかった。現代作品であるのに、2回公演がソールドアウトとなったのも素晴らしいのだが、2回だけではもったいなかったという気もする。とにかく、ヨーロッパの今を伝える現代作品を、しっかり時間をかけて振付指導を行い、世界に胸を張れる見事なクオリティに仕上げたことに心から敬意を払いたい。このような試みはぜひ今後も続けて行ってほしいと思うし、他のバレエ団もこの姿勢を見習ってほしい。

東京シティ・バレエ団「L'heure bleue」イリ&オットー・ブベニチェク トークイベント
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/01/lheure-bleue-fc.html

パリ・オペラ座バレエの2016-7シーズン正式発表

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パリ・オペラ座バレエの2016-7シーズンが正式に発表されました。

https://www.operadeparis.fr/saison-16-17

新作は8作品です。内訳は、ミルピエ作品が2作品、クリスタル・パイト、ティノ・セーガル、そしてバレエ団のダンサーで振付アカデミーの生徒である4人による2作品です。

全幕の新作は、シーズン終わりのミルピエ作品のみです。ちなみにオペラの方では11の新制作があります。

記者会見での発表を元に、概要をお伝えしていきます。

(ゲストカンパニー)アメリカン・バレエ・シアター「眠れる森の美女」 ラトマンスキー振付
2016年9月2日から10日まで10公演 バスティーユにて


シーズン・オープニング・ガラ 
2016年9月24日
クリスタル・パイト(新作)、フォーサイス「Blake Works」、デフィレ ガルニエ

Sehgal(新作)、ペック「In Creases」、クリスタル・パイト(新作)、フォーサイス「Blake Works」
2016年9月26日から10月9日まで9公演 ガルニエ

今年の英国ダンスアワードを受賞した、カナダ出身の女性振付家クリスタル・パイトの新作は、マックス・リヒターが改作した、ヴィヴァルディの四季に振付けたもの。 ティノ・セーガルの作品は、今シーズンのシャルマッツ作品同様、ガルニエのパブリックスペースでの上演となる。



バランシン「モーツァルティアーナ」「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」「ブラームス・シューンベルグカルテット」

2016年10月22日から11月15日まで17公演 ガルニエ

ミルピエは、バランシン作品の振付指導者は彼が選び、自身もパリで立ち会うとのこと。


チューダー「葉は色あせて」、ミルピエ(新作)
2016年11月29日から12月31日まで23公演 ガルニエ

ミルピエの新作は、バリシニコフの提案により、バルバラの歌に振りつけた作品でアルベール・エルバズが衣装をデザイン。チューダーの「葉は色あせて」(衣装は新制作)とのダブルビル。(なお、オペラ座での「葉は色あせて」の振付指導はアマンダ・マッケローが行うと、昨年ご本人に伺いました)


ヌレエフ「白鳥の湖」

2016年12月7日から31日まで18公演 バスティーユ


(ゲストカンパニー)ドレスデン・バレエ「インプレッシング・ザ・ツァー」(フォーサイス)
2017年1月4日から8日まで6公演 ガルニエ 


マクレガー「Tree of Codes」(新制作)
2017年2月6日から23日まで 15公演

この作品は、すでにニューヨークとマンチェスター国際フェスティバルで、マリ=アニエス・ジロ、ジェレミー・ベランガールをはじめとするオペラ座のダンサーと、マクレガーのカンパニー、ランダムダンスのダンサーたちという混成チームで上演されています。
http://dancetabs.com/2015/09/wayne-mcgregor-random-dance-paris-opera-ballet-tree-of-codes-new-york/


バランシン「真夏の夜の夢」(新制作)
2017年3月9日から29日まで12公演、バスティーユ

新しいプロダクションで、クリスチャン・ラクロワが衣装をデザインするとのこと。


Dimitri Chamblas とボリス・シャルマッツ「A Bras-le-corps」(新制作)
2017年3月16日から4月2日まで7公演 ガルニエ

40分の上演時間の実験的な作品で、ガルニエのグラシエ・ロトゥンダで上演される。


パリ・オペラ座バレエ学校公演
バランシン「Divertimento n°5」、フォーサイス「精密の不安定なスリル」、ヌレエフ「ライモンダ3幕」ほか
2017年4月1日から3日まで3公演 ガルニエ

「フォーサイスの精密の不安定なスリル、ヌレエフのライモンダ三幕を含むというスーパーハードなプログラム」

4月7日には、オペラ座学校のガラ公演も行われます。デンマークロイヤルバレエスクール、ワガノワ・アカデミー、ロイヤルバレエスクール、サンフランシスコバレエスクール、ナショナルバレエオブカナダスクール、ジョン・クランコスクール、そしてハンブルグ・バレエスクールも参加します。


カニンガム「Walkaround Time」、フォーサイス「Trio」、「Workwithinwork」(新制作)
2017年4月15日から5月13日まで18公演 ガルニエ



ロビンス「エン・ソル」、バランシン「ラ・ヴァルス」、シェルカウイ&ジャレ「ボレロ」

2017年5月2日から27日まで17公演 ガルニエ

今シーズンは、ロビンス作品は「エン・ソル」だけ。会見でミルピエはヴィオレット・ヴェルディに弔意を表した。


ベルトー、ブーシェ、ヴァラストロ、ポール (新作) オペラ座ダンサーによる振付作品
2017年6月13日から18日まで4公演 ガルニエ

オペラ座の振付アカデミーで研鑽を積み、フォーサイスとミルピエによって助言を受けた4人のダンサーたちが、それぞれ新作を発表する。


ラコット「ラ・シルフィード」
2017年7月1日から16日まで11公演 ガルニエ


ミルピエ、Philippe Parreno (新作)
2017年7月1日から15日まで9公演 バスティーユ

Philippe Parrenoはビジュアルアーティスト。どのようなコラボレーションが行われることでしょうか。


なお、来日公演については、2017年3月2日〜12日で、演目はラコット『ラ・シルフィード』、およびバランシン『テーマとヴァリエーション』&ミルピエ『ダフニスとクロエ』とのことです。(記者会見では、なぜか『ラ・シルフィード』の名前が出てこなかったのですが)


それと、オペラのカテゴリとなりますが、

「コジ・ファン・トゥッテ」
2017年1月26日から2月19日まで9公演 バスティーユ

演出/振付がアンヌ・テレサ・ド・ケースマイケルで、パリ・オペラ座バレエのダンサー、およびローサスのダンサーも出演するとのことです。

****
上演があると噂されていた、ラトマンスキーやウィールドンによる全幕の新作はなかったようです。リスナーは、ミルピエが退任することを「残念で悲しく思う」が、彼を弁護していたとのことです。一方、ミルピエは、ダンサーたちとの経験に基づき、自分がプログラミングした2シーズン目は、その前のシーズンとは違っていると語りました。最も大きな違いは、自らが設立した振付アカデミーで学んだダンサーたちによる4作品が上演されることです。その成果はいかに。

しかし、このシーズンをプログラミングしたミルピエは、もうシーズンの最初からいないというのが皮肉です。(バランシン作品と、自身の作品の時にはもちろん振付指導などで、彼もいるわけですが)

なお、記者会見には200人ものジャーナリストが参加。ミルピエも同席したのですが、リスナーは、新シーズンについての質問のみ受け付ける、としたため、質問は出ませんでした。

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6/17にトランス=シベリア芸術祭 in Japan 2016 ザハーロワ&レーピン 夢の共演

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スヴェトラーナ・ザハロワが夫君のヴァイオリニスト、ワディム・レーピンと一晩だけ共演する公演が6月17日にあります。チラシをご覧になった方も多いと思いますが、演目もアップされていました。

http://amati-tokyo.com/performance/20111009.html

【日時】 2016年6月17日(金)19:00
【会場】 サントリーホール

【出演】 スヴェトラーナ・ザハーロワ(バレエ)
  ワディム・レーピン(ヴァイオリン)
ミハイル・ロブーヒン(バレエ)
ウラジーミル・ヴァルナヴァ(バレエ)
ドミトリー・ザグレビン(バレエ)
フェスティバル・アンサンブル

【演目】 
アルビノーニ: オーボエ協奏曲 ニ短調 op.9 (ヴァイオリン独奏版)
振付:エドワード・リアン
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

メンデルスゾーン: ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 二短調より 第2、3楽章
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

ペルト: フラトレス
振付:ウラジーミル・ヴァルナヴァ
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ、ウラジーミル・ヴァルナヴァ
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

クライスラー: 中国の太鼓
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

Revelation (ジョン・ウィリアムズ:シンドラーのリストより)
振付:平山素子
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ
※録音演奏

モンティ: チャールダーシュ
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

瀕死の白鳥 (サン=サーンス:白鳥) 
振付:ミハイル・フォーキン
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

バッジーニ: 妖精の踊り op.25
振付:ヨハン・コボー
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ
ドミトリー・ザグレビン、ミハイル・ロブーヒン
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
フェスティバル・アンサンブル

ほか

【入場料】S¥17,000 A¥12,000 B¥7,000   2/28(日)一般発売開始

【後援】 ロシア連邦外務省、ロシア連邦文化省、駐日ロシア連邦大使館、ロシア連邦文化協力庁、
      ロシア文化フェスティバル組織委員会

イープラス http://eplus.jp/ 〈PC&携帯〉
チケットぴあ 0570-02-9999 (音声自動応答 Pコード:449-605)
ローソンチケット 0570-084-003    0570-000-407(オペレーター対応 10:00~20:00) Web申込はこちら
サントリーホールチケットセンター 0570-55-0017 Web申込はこちら
東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650

8演目中、5演目をザハロワが踊ります。

出演者ですが、ミハイル・ロブーヒンはおなじみボリショイ・バレエのプリンシパル。ドミトリー・ザグレビンは、元ボリショイ・バレエで、今はスウェーデン王立バレエのファースト・ソリストです。ウラジーミル・ヴァルナヴァはマリインスキー・バレエの振付家で、ザハロワのために「Plus. Minus. Zero」という作品を振付けており、黄金のマスク賞も受賞したことがあります。

2/6夜&2/11新国立劇場バレエ団「Men Y Men 」&「ラ・シルフィード」

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この週末は、東京バレエ団の「白鳥の湖」、牧阿佐美バレヱ団の「白鳥の湖」と公演が重なって日程のやりくりに一苦労。チケットが発売されるときには脇役のキャストが出ないため、2公演分のチケットを買ったら、両日とも脇役キャストと「Men Y Men」のキャストが同じになってしまった。もう一つのキャストも観たかったので残念。上野から初台への移動も大変だった。バレエ団同士の日程の調整は、現実問題として難しいのは理解できるのだけど、米沢/奥村組、長田/菅野組も観たかった。

◆Men Y Men
音楽: セルゲイ・ラフマニノフ 「幻想小品集」より「エレジー」Op3-1、「コレッリの主題による変奏曲」より「主題~第7変奏」Op42
編曲: ギャヴィン・サザーランド
振付: ウエイン・イーグリング

マイレン・トレウバエフ、貝川鐵夫、福田圭吾、
輪島拓也、小口邦明、小柴富久修、原 健太、
髙橋一輝、渡部義紀

男性ばかりが出演する、ウェイン・イーグリング振付の2009年の作品(初演はENB)。薄暗い照明の中、9人の男性がお互いをリフトしたり、3人のダンサーが一人のダンサーを高々と掲げたり、群舞や一人一人のソロも観られる。オペラパレスの大きな客席では、後ろの方まで届きにくい作品ではあるけれども、特に照明の使い方は美しくて、最後に一人一人のムーヴメントにスポットを当てるところは印象的だった。

アラベスクの姿勢など、基本的に動きはクラシックバレエ的で、躍動感というよりは美しさを優先している。後半の方が動きが出てきて楽しめる。特に福田圭吾さん、そしてその後の小口さんのダイナミックなソロにはインパクトがあったし、いつ観てもマイレンの動きは隅々まで美しい。輪島さんも大人の魅力を見せてくれた。もともと、「ジゼル」との同時上演のために作られた作品なので、百合の花を持ったダンサーが途中で登場するのがアクセント。男性だけによるバレエの美しさを見せてくれる佳作なのだけど、上演時間が約15分と少し短すぎるのが物足りない。6日の公演には、カーテンコールにイーグリングも登場した。


◆ラ・シルフィード
音楽: ヘルマン・ルーヴェンシュキョル
振付: オーギュスト・ブルノンヴィル
演出: 大原永子

2/6夜 
シルフィード: 細田千晶
ジェームス: 井澤 駿
グァーン: 木下嘉人
エフィ: 堀口 純
マッジ: 本島美和
第1シルフ:寺田亜沙子

2/11
シルフィード: 小野絢子
ジェームス: 福岡雄大
グァーン: 木下嘉人
エフィ: 堀口 純
マッジ: 本島美和
第1シルフ:寺田亜沙子

指揮:ギャヴィン・サザーランド
管弦楽:東京交響楽団

新国立劇場バレエ団での「ラ・シルフィード」上演は久しぶりのこと。「Men Y Men」を含めても、2回分の休憩時間込で上演時間が2時間10分というのは非常に短く、あっという間に終わってしまう。1幕は、群舞はバレエシューズを履いた民族舞踊的なもので生き生きとしていて楽しい。この群舞のキャストが、販売されていないプログラムに載っていないのが非常に残念。奥田花純さんなど、主役級のダンサーも入っているのに。

2月6日のシルフィード役は細田さん。「こどものための」シリーズを除けば、初めての主演かもしれない(要確認)。無邪気で、いたずらっぽくどこまでも甘く可憐な妖精だった。ふわふわと軽やかな動きも美しかったけど、人間の女の子としてジェームズに恋していた感じ。足音をさせず、透明感もあるけれども、生身の人間を感じさせるところもあった。いずれにしても、ミスもまったくなく、丁寧な踊りで立派に主役を演じる中に、彼女らしさを見せてくれた。

ジェームズは井澤さん。なんといっても井澤さんはほっそり長身で姿かたちに華があるので、椅子で寝入っている姿も、キルト姿もたいそう絵になる。エフィとの結婚を控えて、魅惑的な妖精につい惹かれてしまうところに罪の意識は微塵もなく、悪いことをしてしまっているようにも見えない、若さと未熟さゆえにただただ美しいものに魅せられてしまったところが自然に表れていた。ブルノンヴィル版ラ・シルフィードは、彼の苦手なリフトもほとんどないし、足先も美しい。バットゥリーはもう少し精度が高い方がいいと思わせるところもあったけれども、跳躍は高いし、初役で大健闘したと言える。

井澤さんのジェームズはマッジの呪いがかかったヴェールをシルフィードにかけてしまい、彼女が絶命する姿から彼は背中を向けてしまった。毒が回ったニキヤから目をそらしてしまったソロルのように。エフィを裏切ってしまったことではなくて、シルフィードの死で初めて罪悪感を感じてしまったようだった。そんな彼の方に視線を向けて、愛を誓いながら死んでいくシルフィードの健気さには、胸を締め付けられた。


一方、小野絢子さんのシルフィードには、人間っぽいところはまったくなくて、人ならざる存在であるところの妖精そのものだった。小野さんは、踊りの形がとにかく完璧だ。柔らかい足首、きちんとドゥミを通るポワントワーク、アカデミックなスタイル、足音を全くさせない、まさに空気の精。1幕で舞台を駆け抜けるところの、まるで一瞬の風のような浮遊感といったら。彼女のシルフィードも、非常に可愛らしくて小悪魔的なのだけど、あくまでも妖精の恋であって、決して人間としてはジェームズに恋をしない。それでも、絶命する時に見せたジェームズへの切ない想いは心に小さな棘を残す。

福岡さんのジェームズは、反面かなり人間的だった。彼は他の若手と違って決してキルト姿が似合うわけではないのだけど、ちょっと不器用で、本当はエフィときちんと結婚をしなければならないのもわかっているのに、ついシルフィードを追いかけてしまう様子に説得力があった。ダメ男ジェームズ。さすがにテクニックは鮮やかで、ブルノンヴィル特有の足捌きも非常に綺麗だし、跳躍もとても高い。ただし、2幕のヴァリエーションでトゥールザンレールを左右へと繰り返すところでは5番に着地できなくて少し手こずっていた。

両日とも、主役二人以外のキャストは同じ。エフィの堀内さんは素直で健気な娘さんなだけに、ジェームズの心変わりに悩む姿がいじらしい。ガーンの木下さんは、ちょっとしつこいくらいエフィにご執心で、シルフィードの姿はなぜか彼だけには見えている。こんなのが飛んでいたんだ!とシルフィードの物まねをするしぐさがとても可笑しいし、1幕のヴァリエーションも鮮やかだった。

しかし何といっても白眉は本島さんのマッジ。美貌の本島さんがどのようなマッジを演じるのかと思っていたのだが、期待以上の凄さだった。腰が曲がり、汚れた姿の老婆なのに、元は美女だったことがしっかりわかる。強い目力、一挙一動に力と邪悪さがあふれている。こんなマッジにかかってしまっては、浅はかなジェームズなど赤子の手をひねるようなもの。シルフィードが死んでしまった後の対決シーン、哀れなジェームズに勝ち目など全くない。しかしジェームズが絶命した横に佇む彼女の姿には、どこか虚しさと哀しみのようなものが感じられて余韻を残す。

このような姿になる前のマッジは何者だったのだろうか?ヨハン・コボーが振付けた「ラ・シルフィード」では、最後にマッジがスカートを持ち上げると、白いチュールが現れた。つまり、マッジはもともとはシルフィードだったというわけだ。この本島マッジも、もしかして、かつては美しい妖精だったのかもしれない。

新国立劇場バレエ団のコール・ド・バレエは毎度ながらの美しさで、特に2幕のシルフィードたちは足音もさせず、幻想譚の世界の存在として、ふわふわと柔らかくありながらもきれいに揃っていた。1幕に登場した日本ジュニアバレエの子役たちも非常に達者だった。


非常にクオリティの高い上演だったけれども、「ラ・シルフィード」は短くてコンパクトな作品なので、カップリングさせるならもう少しボリュームのある作品との上演が良かったかもしれない。前回上演の時は、「パキータ」との同時上演だったが、それくらい華やかな作品との上演の方が、観客動員も良かった可能性はある。

久保田紀子さん(元ナンシー・バレエ団バレエミストレス)逝去

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フランス芸術文化勲章オフィシエを受賞し長年フランスで活躍した、ナンシー・バレエ団バレエミストレスの久保田紀子さんが亡くなられました。

(訃報記事:フランス語

L’EST Nancy誌、2016年2月2日の訃報より

ロレーヌ・バレエ(ナンシー・バレエ)の教師・バレエミストレスであった久保田紀子さんが、1月12 日に70歳で心不全のため亡くなりました。

久保田さんは東京に生まれ、8歳で服部・島田バレエ団のバレエスクールに入学。1964年に東京バレエコンクールで入賞し、フルブライト奨学金を得て海外へ。

パリのJospeh Russiloカンパニーのソリストとして、またナント(Nantes)オペラ座のエトワールとして契約、次いでチューリッヒ、またニューロンドンバレエと契約しました。

1978年、エトワールとして、ジャンアルベール・カルチエの率いるアンジェのバレエ・テアトル・コンテンポランと契約してその後生涯を過ごすナンシーに赴き、バレエ教師・バレエマスターとなりました。

ロレーヌバレエで評価され、カルチエ、パトリック・デュポン、ピエール・ラコット、フランソワーズ・アドレ そしてディディエ・デシャンのもとで仕事をしました。

彼女はダンスシーンにおいても、とりわけバランシン振り付けの2作品「4つの気質(Sanguine des Quatre Tempéraments)」と「夢遊病の女」でのエトワールとして印象を残しました。

2003年、後のロレーヌ・バレエの会長であるアンドレ・ラルキエによりフランス芸術文化勲章オフィシエを、また2009年5月17日には、ローラン・エナールからナンシー市の金メダルが授与されました。

ダンサー、ジャンポール・デ・クレールと1976年、日本で結婚。ジャンポールは、最初ナンシー・バレエ団の舞踊手であり、後にそのカンパニーの副監督となったが(1983-2006年)、毎年、彼女が日本に帰省し、バレエ指導を行なうのに同行しました。

葬儀は親族のみで執り行い、遺灰は南墓地に埋葬しました。神道の伝統に従って火葬された彼女は、日本で両親のかたわらにあった象徴として、ナンシーの大地に埋葬されました。また東京にある家族の墓のそばに記念碑が建てられる予定であるそうです。数多くの友人と過ごしたナンシーで、彼女の、芸術に情熱を燃やした魅力的な人柄が記憶にとどめられることでしょう。
(L’EST Nancy誌、2016年2月2日)

久保田さんは、フランスでの活躍が長かったため、日本ではあまり知られていませんが、バレエ雑誌Danseの表紙を飾ったこともあったそうです。日本バレエ協会の第7回舞踊文化功労賞を平成25年/2013年に受賞されています。また、ナンシー・バレエをパトリック・デュポンが率いて1991年に来日公演を行った時のバレエ・ミストレスでもありました。

昭和音楽大学のバレエ情報データベースによれば、60年代、70年代には日本でも踊っていた記録があります。
http://ballet.tosei-showa-music.ac.jp/home/dancer_detail/104654
昭和52年度(第32回)芸術祭主催公演 「ドン・キホーテ」森下洋子さん主演、では大道の踊り子を踊っていました。

早い時期からこれほどまで海外で活躍された日本人バレリーナも少なかったのではないかと思います。謹んでお悔やみ申し上げます。

ティエリー・マランダン率いるビアリッツ・バレエのFacebookページにも訃報が載っていました。沢山のコメントやシェアがされているので、現地では非常に存在感の高かった方だったようです。

Nous apprenons avec tristesse la disparition de Noriko Kubota survenue le 12 janvier, à l'âge de 70 ans. Après avoir men...

Posted by Malandain Ballet Biarritz (Page Officielle) on 2016年1月26日

2/17(水)ボリショイ・バレエ「じゃじゃ馬馴らし」の映画館上映

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2月17日(水)に、ボリショイ・バレエの「じゃじゃ馬馴らし」の映画館上映が行われます。

http://bolshoi-cinema.jp/lineup.html

音楽:ドミトリ・ショスタコーヴィチ
振付:ジャン・クリストフ・マイヨー
原作:ウィリアム・シェイクスピア

ルーセンシオや、その他多くの求婚者たちは、美しくおとなしいビアンカとの結婚を夢見ていた。しかし乱暴で狡猾な姉、カタリーナが嫁ぐまでは妹を結婚させないと父が誓う。フランスの振付家、ジャン・クリストフ・マイヨーはボリショイのダンサーのために翻案したシェイクスピア劇で大成功を収めた。他に例を見ない息をのむノンストップダンスで、ボリショイ特有の豪放さやみなぎるエネルギーを新たな手法で描きつくし、2時間に及ぶ見事なマジックを成功させた!
2016年1月収録

モンテカルロ・バレエを率いるジャン・クリストフ・マイヨー振付のこの作品、昨年4月にサンクトペテルブルクのダンス・オープン・フェスティバルで観ることができたのですが、これは大傑作です。近年の物語バレエでこれほど面白い作品はなかなかないと言っても過言ではありません。コミカルさとシリアスさ、そして色っぽさが見事な割合で両立しています。ボリショイ・バレエのダンサーたちの優れた身体能力と、センス・オブ・ワンダーに満ちたマイヨーの振付。また、ショスタコーヴィチの音楽の使い方も見事ですし、シンプルでスタイリッシュな舞台装置や衣装もステキ。ぜひ来日公演に持ってきてほしい作品です。

シェイクスピアの「じゃじゃ馬馴らし」は、クランコの作品に観られるように、妻を飢えさせたり寝させなかったりとDVに近い調教する様子がミソジニー(女性嫌悪)的だと批判されてきましたが、この作品ではこの問題点が解決しています。これらのシーンは一切見せず、愛によって夫婦が結ばれていくのを、官能的なパ・ド・ドゥで見せています。上映時間もコンパクトなので見やすいです。

収録日(今年1月24日)のキャストは以下の通り。ほぼ初演キャストで、ご覧の通り豪華です。この作品で、クリサノワ、ラントラートフが黄金のマスク賞に輝き、さらに「じゃじゃ馬馴らし」は作品賞も受賞しています。
http://www.bolshoi.ru/en/performances/714/roles/#20160124180000

カテリーナ: エカテリーナ・クリサノワ
ペトルーチオ: ウラディスラフ・ラントラートフ
ビアンカ: オルガ・スミルノワ
ルーセンショー: セミョーン・チュージン
ホルテンショー: イーゴリ・ツヴィルコ
バプティスタ: アルテミー・ベイリャコフ
女中: アンナ・チホミロワ

ダンス・オープン・フェスティバルで観たときの私の感想はこちらです。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2015/05/424-616f.html

上映映画館のリストはこちら
http://bolshoi-cinema.jp/venuelist.html

東京近郊ですと、
TOHOシネマズ 日本橋、品川プリンスシネマ、 TOHOシネマズ 新宿、109シネマズ二子玉川、TOHOシネマズ 府中、立川シネマシティ、横浜ブルク13、TOHOシネマズ 川崎、シネマイクスピアリ、ユナイテッド・シネマ浦和
これだけの上映があるので、ぜひ足を運びましょう!

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初めて行った森下スタジオ。行きはグーグルマップを見ながら何とかたどり着いたのですが、帰り思いっきり道に迷ってしまいました。

http://www.kaoriseki.info/

振付・演出: 関かおり
演出助手:後藤ゆう、矢吹唯
出演: 北村思綺、後藤ゆう、小山まさし、鈴木清貴、毛利アンナ可奈子、矢吹唯、関かおり

タイトルは、古語の「をこ」(おろかな、ばかげている、こっけいな、おこがましいなどの意)
“warning order” ”wipe out” ”carbon monoxide” 等の略語より。
発音は「オ・コ」。
 
おろかなこ
 
わたしたちは いつでも ここ に もどれる
 
わたしたちは いつも ここに もどる もどされる
 
あたたかくも かなしくも

(プログラムより) 

白い幕で囲まれたかなり広い舞台には砂が敷き詰められており、暗がりの中で塊になっている7人のダンサーたち。少しずつ照明が明るくなる。全員、肌色のレオタードを着用。基本的にはほぼ無音で、ごくまれに、水の流れる音など、少し環境音的な音が聞こえることもあるけれども、音がないので観客も自分の五感を研ぎ澄まし、緊張感を持って舞台に見入る。客席から聞こえる咳や椅子の軋みなど小さな雑音ですら、効果音に聞こえてしまうほど。ダンサーたちの動きは基本的にとてもゆっくり。群れていて不思議な動物っぽく見える時もあれば、それぞれの動きがドラマティックな静止画のようになって、カラヴァッジオの絵画のように見えることもあった。

ダンサーがお互いリフトしたりよじ上ったり、少し組体操っぽく積み上がったりとアクロバティックなこともあれば、芋虫のようにうねうね這うこともある。摩訶不思議なのだけど、時々はっとするような美しい瞬間がある。塊が分裂していくつかの塊に分かれたようにも思えて、アメーバのような有機体が形を変えたり分裂しているのかなと思わせたり。砂の上に残るダンサーの動いた跡、暗転も時々入り、人が消えたり現れたりする。明暗を繊細に操る絶妙な照明効果。ソロも、最後の男性ダンサー(鈴木清貴さん)による奇妙ながらも雄弁で印象的なものがあったけど、ダンサーたちがキャタピラーのように、また別の形でも塊になって動くのが、とにかく不思議な生き物っぽくて妖しくて面白かった。

関さんの作品を観るのは初めてだったけど、コンテンポラリーダンスの中でも、私が観て来たものとはまた全然違った感じのユニークさがあって、刺激的な体験だった。舞台空間の持つ、世界から隔絶されたような魔力が発揮された逸品。

オランダ国立バレエの2016-7シーズン

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オランダ国立バレエの2016-7シーズンが発表されています。

Juanjo Arques と エルンスト・マイズナー、デヴィッド・ドーソンの新作、そしてラトマンスキーの「ショスタコーヴィッチ・トリロジー」、さらにオランダ出身の振付家のトリプルビル、古典全幕と幅広いチョイスのレパートリーで魅力的です。新作中心のミックスプロでも公演回数を打てるのは羨ましいですよね。

http://www.operaballet.nl/en/program#201609

ガラ(9月7日)
デフィレつき

Dutch Masters 9月14日~25日
80歳となるトゥール・ヴァン・シャイク(新国立劇場バレエ団の「眠れる森の美女」の衣装デザインを担当した振付家./デザイナー)を記念し、ヴァン・シャイク振付の「レクイエム」、ルディ・ファン・ダンツィヒの「四つの最後の歌」(ヴァン・シャイクが衣装をデザイン)、ハンス・ファン・マーネンの「アダージョ・ハンマークラヴィーア」を上演。

「ラ・バヤデール」(ナタリア・マカロワ振付) 10月8日~11月13日

コッペリア」(テッド・ブランセン振付) 12月10日~1月1日

Made in Amsterdam 1、2 2月11日~25日、3月2日~4日
「Made in Amsterdam 1」と「Made in Amsterdam 2」の2プログラムが交互に上演。Made in Amsterdam 1では、ハンス・ファン・マーネンの「フランク・ブリッジ変奏曲」と、Ton Simons.の「Romance」、そして新作2つ、Juanjo Arques と エルンスト・マイズナーの二人の若手振付家による作品です。エルンスト・マイズナーの作品は、先日のローザンヌ国際コンクールでも、オランダ国立バレエのジュニア・カンパニーによって踊られました。
Made in Amsterdam 2では、ラトマンスキーの「Souvenir d’un lieu cher(なつかしい土地の思い出)」、ウィールドン「Concerto Concordia」、クリストフ・パストール「Moving Rooms」の3人の人気振付家がカンパニーのために振付けた作品を上演。さらに、デヴィッド・ドーソンの新作「星の王子様」も上演されます。

NDT公演2月15日、16日
ゲストカンパニーとして、ネザーランド・ダンス・シアターが2公演を行います。芸術監督ポール・ライトフットと、パートナーのソル・レオンの作品、そしてクリスタル・パイトの作品をフィーチャーした公演です。

Juniors Go Dutchオランダ国立バレエのジュニアカンパニー公演 2月18日、19日、3月3日~19日、5月1日~14日(3月、5月公演はオランダ国内のツアー)

「オネーギン」(クランコ振付) 3月29日~4月16日

The little big chest(エルンスト・マイズナー振付)4月21日~26日
子供向けのプロダクション

ベスト・オブ・バランシン」  5月2日~20日 オランダ国内のツアー 
「テーマとヴァリエーション」「アポロ」「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」

ショスタコーヴィッチ・トリロジー」(ラトマンスキー振付) 6月17日~
ABT、サンフランシスコ・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダで上演されて大好評の、ラトマンスキー振付によるショスタコーヴィッチ3部作がオランダで初演。「第九交響曲」、「室内交響曲」、「ピアノ・コンチェルト」の3作品。

New Moves 2017 6月26日
ダンサーによる振付作品の上演 


ところで、現在オランダ国立バレエでは、芸術監督のテッド・ブランセンによる新作「マタ・ハリ」が上演中ですが、こちらの作品が大評判のようです。
http://www.operaballet.nl/en/ballet/2015-2016/show/mata-hari

Tarik O’Reganにオリジナル楽曲を委嘱したこの作品は、第一次世界大戦で活躍したダンサーで有名な女スパイのマタ・ハリの生涯を描いたものです。非常に力の入ったプロダクションで、オランダ国立バレエのYouTubeチャンネルでメイキングの動画も7本も公開され、興味をそそります。

オランダ国立バレエ 「ドン・キホーテ」(ラトマンスキー版 プロローグ付全3幕) [DVD]オランダ国立バレエ 「ドン・キホーテ」(ラトマンスキー版 プロローグ付全3幕) [DVD]

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ナショナル・バレエ・オブ・カナダの2016-7シーズン

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ナショナル・バレエ・オブ・カナダ(カナダ国立バレエ)の2016-7シーズンが発表されています。

新作は、ウィル・タケット振付の「ピノキオ」。ノイマイヤーの「欲望という名の電車」と、ウェイン・マクレガー振付の「ジェヌス」が新たにレパートリー入りします。

http://national.ballet.ca/Tickets/Next-Season

Touring
「冬物語」ニューヨーク公演 The Winter’s Tale
July 28 – 31, 2016, David H. Koch Theater, Lincoln Center, New York City
ワシントンDC公演も好評だった、クリストファー・ウィールドン振付作品がニューヨークのリンカーンセンターフェスティバルで上演されます。

The Dreamers Ever Leave You† , AGO Lawren Harris Project
August 31 – September 10, 2016

トロントのオンタリオ美術館との共同プロジェクトで、同美術館で上演されます。フランク・ゲーリーが設計した同美術館で、7月1日より展覧会が行われるカナダの画家ローレン・ハリスの絵画にインスピレーションを得た作品を、バレエ団振付家のロバート・ビネが振付けて、バレエ団ダンサーがギャラリーで生演奏と共に踊ります。


ワールド・バレエ・デー World Ballet Day
October 4, 2016
恒例のワールド・バレエ・デーも3回目を迎えます。


「シンデレラ」Cinderella
November 12 – 20, 2016
ABTのレパートリーにも入っている、ジェームズ・クデルカ振付の「シンデレラ」


第12回エリック・ブルーンプライズ The Twelfth International Competition for The Erik Bruhn Prize
November 15, 2016
偉大なエリック・ブルーンを記念し、ABT、ハンブルグ・バレエ、デンマーク・ロイヤル・バレエ、ロイヤル・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの若手ダンサーが参加するコンクール


「オネーギン」 Onegin
November 23 – 27, 2016
おなじみのジョン・クランコ作品


「くるみ割り人形」The Nutcracker
December 10 – 31, 2016
ジェームズ・クデルカ振付


「オネーギン」 オタワ公演 Onegin
January 19 – 21, 2017, National Arts Centre, Ottawa


「ピノキオ」Pinocchio† 世界初演
March 11 – 24, 2017
ロイヤル・バレエのゲスト・プリンシパル・キャラクター・アーティストで、「兵士の物語」「ピーターと狼」などで知られるウィル・タケットが新作「ピノキオ」を振付ける。


「ジェヌス/ザ・コンサート」Genus* & The Concert
March 29 – April 2, 2017
ウェイン・マクレガーがパリ・オペラ座バレエのために振付けた「ジェヌス」がレパートリー入り。ジェローム・ロビンスのコミカルな「ザ・コンサート」との同時上演


「欲望という名の電車」A Streetcar Named Desire*
A Ballet by John Neumeier
June 3 – 10, 2017
ジョン・ノイマイヤーが1983年にシュツットガルト・バレエのために振付けた「欲望という名の電車」(テネシー・ウィリアムズ原作)がレパートリー入り。

MAD HOT BALLET Gala
June 6, 2017

「白鳥の湖」 Swan Lake
June 15 – 25, 2017
ジェームズ・クデルカ振付の「白鳥の湖」


ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール」第一巻

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週刊ビッグコミック・スピリッツに、バレエ・コミック「ダンス・ダンス・ダンスール」(ジョージ朝倉)が連載中です。そしてコミックの第一巻が発売されました。

http://spi-net.jp/weekly/comic057.html

村尾潤平、6歳。姉の発表会に出演したゲストダンサーの影響でバレエに魅了された彼は、周囲に揶揄されながらも、自らの衝動に付き従う。踊っている時だけ、少年の中で、星が爆ぜる――。 そんな彼を襲った、父の突然の訃報。「男らしくならねば」――悲壮な決意のもと、潤平はその道を諦めることに。そして数年後…中二になった潤平に、転校生の美少女・五代 都が近づく。「一緒にバレエやろうよ!」。彼の中の衝動が今、再び星を散らし爆発する!!

こちらで第一話の試し読みをすることができます。
http://spi.tameshiyo.me/DANCE01SPI

この試し読みが面白かったので、一巻を買ってみました。

映画化された『恋文日和』『ピース オブ ケイク』で知られるジョージ朝倉は、女性コミック中心の漫画家ですが、今回は、王道の少年コミック。普通の男の子が、バレエを習うのは恥ずかしい、男らしくないのでは、と悩みつつも身体の中の「踊りたい」という強い衝動、そして転校生の都(このネーミングが良いですよね)への淡い恋心から、バレエダンサーとしては遅い中学2年で本格的にバレエを始めることになります。謎のひきこもり天才バレエ少年ルオウなど、気になるキャラクターも登場します。

バレエの基本が全くできていないけれども、踊りたいという強い気持ちに突き動かされた潤平のダンスが、ダイナミックで生き生きとした作画で表現されています。本格的にプロを目指すには遅い年齢でのスタートで、果たして彼はどこまで行けるのか。これから先が楽しみです。

ダンス・ダンス・ダンスール 1 (ビッグ コミックス)ダンス・ダンス・ダンスール 1 (ビッグ コミックス)
ジョージ朝倉

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ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の2016-17シーズン、バウシュ「春の祭典」がレパートリーに

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タマラ・ロホ率いるENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の2016-17シーズンが発表されました。

http://blog.ballet.org.uk/201617-season-autumn-spring-announcement/

ビッグニュースは、レパートリーにピナ・バウシュの「春の祭典」が入り、2017年3月に上演されること。バウシュのヴッパタール舞踊団、そしてパリ・オペラ座バレエ以外では初めての上演となります。

バウシュの「春の祭典」は、 ウィリアム・フォーサイスの「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」と、ハンス・ファン・マーネンの「アダージオ・ハンマークラヴィア」とのトリプルビルとして、サドラーズ・ウェルズ劇場で上演されます。W

また、新たにレパートリー入りするのは、既に発表されていますが、アクラム・カーン振付の新作「ジゼル」です。

こちらの作品は、2016年9月27日にマンチェスター国際フェスティバルで初演されたのち、ブリストル、サザンプトンでのツアー公演、そして11月15日より19日までサドラーズ・ウェルズ劇場で上演されます。アクラム・カーンが振付けた初めての全幕バレエ作品となります。

興味深いのは、このシーズン、「ジゼル」の別バージョンも上演されることです。メアリー・スキーピング振付の「ジゼル」がリバイバルされ、2017年1月にロンドン・コロシアムで上演されます。スキーピングの「ジゼル」は、できるだけ初演に近いものとして、1971年に初演され、日本バレエ協会でも上演されている版です。新旧ジゼルを見比べると、また面白いのではないかと思われます。

11月から1月の頭までは、ウェイン・イーグリング振付の「くるみ割り人形」が、ミルトン・キーンズ、リバプール、そしてロンドン・コロシアムまで上演されます。昨シーズンは、この「くるみ割り人形」は、ロンドン・コロシアムで73,000人もの観客を動員したそうです。

夏以降のレパートリーについては、改めて後日発表があります。


ピナ・バウシュの名作「春の祭典」の上演が実現することは快挙といえますし、アクラム・カーンの新しい「ジゼル」、さらに今シーズン上映される3人の女性振付家の新作ミックスビルと合わせ、タマラ・ロホの先進性、辣腕ぶりが見て取れます。日本人ダンサーも多数活躍していますし、ぜひ来日公演で観てみたいカンパニーですよね。

ボストン・バレエの2016-7シーズン

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ボストン・バレエの2016-7シーズンも発表されています。

http://www.bostonballet.org/16-17season/

https://www.bostonglobe.com/arts/theater-art/2016/02/17/corsaire-and-more-boston-ballet-season/wkenwdqo73rXKZs2zIFGsI/story.html


カンパニー初演の「海賊」 (イヴァン・リスカ振付)でシーズンが明けます。(10月27日~11月7日)

「くるみ割り人形」 11月25日~12月31日 (ミコ・ニッシネン振付)

「アーティファクト組曲」 2月23日~3月5日 (ウィリアム・フォーサイス振付、北米初演)

「Wings of Wax (イリ・キリアン振付)」、「ドニセッティ・ヴァリエーション(ジョージ・バランシン振付)」、「カクティ(アレクサンドル・エクマン振付)」 3月23日~4月2日

「眠れる森の美女」(フレデリック・アシュトン振付) 4月28日~5月25日

「ザ・コンサート」(ジェローム・ロビンス振付)、「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」(ジョージ・バランシン振付、カンパニー初演)、「新作(ヨルマ・エロ振付)」 5月5日~27日


ナショナル・バレエ・オブ・カナダ同様、上演作品数は少ないのですが、上演回数はやはり新国立劇場などと比較すると多いし、ミックスプログラム、カンパニー初演作品もあります。

北米のカンパニーは、12月に30回以上「くるみ割り人形」を上演して利益を上げて、その利益を使ってミックスプロや新作など意欲的な作品を上演するというビジネスモデルになっているところが多いようです。フォーサイスの「アーティファクト組曲」北米初演は快挙といえるでしょう。


なお、ボストン・バレエでは、2月25日より「オネーギン」を上演します。
http://www.bostonballet.org/onegin/

倉永美沙さんが、2/27 、3/3 、3/5 (夜)の3公演でタチヤーナ役を踊る予定とのことです。

ジョフリー・バレエの2016-17シーズン

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シカゴのジョフリー・バレエの2016-17シーズンが発表されています。規模があまり大きくないカンパニーなのですが、非常に魅力的なラインアップなのでご紹介します。

http://www.joffrey.org/1617season

http://live-sun-times-entertainment.gotpantheon.com/entertainment/post/joffrey-announces-2016-2017-season/

「ロミオとジュリエット」(クリストフ・パストール振付)10月13日~23日
20世紀のイタリアを舞台にして「赤い旅団事件」を扱うなど政治的な要素もある作品です。本来は、スコティッシュ・バレエが来日公演に持ってくる予定の演目でしたが、残念ながら来日公演が中止となってしまいました。

「インフラ」(ウェイン・マクレガー振付)、「Fool's Paradise」(クリストファー・ウィールドン振付)、「Year of the Rabbit」(ジャスティン・ペック振付) 2月15日~26日
現在最も人気のある振付家3人の作品から構成されたトリプルビル

アレクサンドル・エクマンの世界初演新作、「中国の不思議な役人」(ユーリ・ポソホフ振付、クリーヴランド管弦楽団との共同制作)、「Mammatus」(アナベル・ロペス・オチョア振付) 4月26日~5月7日
こちらも、注目の振付家3人の作品によるトリプルビルです。

そして最大の話題作はこちら

「くるみ割り人形」(クリストファー・ウィールドン振付)世界初演 12月10日~30日
世界で最も忙しい振付家の一人、クリストファー・ウィールドンが、ジョフリー・バレエのために新しい「くるみ割り人形」を振付けます。1893年のシカゴ万国博覧会が舞台となっている作品とのこと。しかも演奏は、かのシカゴ交響楽団という豪華版です。

ガラ公演 4月21日


北米のカンパニーの多分に漏れず、演目数は少ないのですが、ウィールドンの新作「くるみ割り人形」、エクマンの新作など気鋭の振付家の作品をそろえ、どのプログラムも大変魅力的です。


なお、シカゴといえば、来日公演も来月に迫っているハンブルグ・バレエが2月23日からシカゴ公演を行います。演目は「オテロ」と「マーラー交響曲三番」。日程からして、そのままシカゴから日本に飛んでくるものと思われます。

12/12 パリ・オペラ座バレエ「ラ・バヤデール」

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すっかりご報告が遅くなってしまいましたが、昨年12月11日より16日まで、パリに行ってきました。

11月13日にパリで起きたテロの余波もまだあり、パリ行きの飛行機はガラガラ。日本人観光客もほとんど見かけませんでした。ただし、思ったほど街の中は厳戒態勢ではなかったです。迷彩服を着た兵士をガルニエの前でたくさん見かけたり、デパートなどに入るのにも手荷物検査やコートを脱ぐように指示されたりはしていましたが。クリスマス前ということで、デパートなどはたいへん賑わっていましたが、美術館などは比較的空いていました。

ガルニエもバスティーユも、劇場の入り口で荷物検査がありました。バスティーユでは、入り口前に仮設のテントが設けられて、金属探知機をかけられ、荷物検査をされます。そのため入場するのに時間がいつもよりかかり、開演前30分前には行く必要がありました。開演後15分後には劇場には入れないことになっています。


「ラ・バヤデール」La Bayadere
https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet/la-bayadere

Nikiya Heloise Bourdon ニキヤ: エロイーズ・ブルドン
Solor Isaac Hernandez ソロル: イザック・エルナンデス (ENBより客演)
Gamzatti Ida Viikinkoski  ガムザッティ : イダ・ヴィキンコスキ
The Golden Idol Emmanuel Thibault  ブロンズ・アイドル: エマニュエル・ティボー
The Slave Mickaël Lafon  奴隷: ミカエル・ラフォン
Manou Lucie Clement  マヌー: ルシー・クレメント
the Fakir Pablo Legasa  苦行僧 : パブロ・レガサ
the Rajah Guillaume Charlot  ラジャ : ギョーム・シャルロ
The Great Brahmin Yann Saïz  大僧正 : ヤン・サイズ
The Soloist Indian Sabrina Mallem インドの踊り: サブリナ・マレム
The Indian Soloist Yann Chailloux  インドの踊り:ヤン・シャイヨー(と、苦行僧パブロ・レガサ)
1st Variation Aubane Philbert  影の王国 第一ヴァリエーション オーバーヌ・フィルベール
2nd Variation Eleonore Guérineau 第二ヴァリエーション エレオノール・ゲリノー
3rd Variation Fanny Gorse 第三ヴァリエーション ファニー・ゴルス
Pas D'Action パ・ダクシオン
Eleonore Guérineau, Silvia Saint-Martin, Juliane Mathis, Aubane Philbert, Fabien Revillion, Jeremy-Loup Quer,
Marie-Solene Boulet, Hannah O'Neil, Marion Barbeau, Laure-Adelaide Boucaud

Music Ludwig Minkus
book Marius Petipa, Serguei Khoudekov
Choreography Rudolf Nureyev
musical direction Fayçal Karoui
Music performed by John Lanchbery

ルドルフ・ヌレエフ最後の作品で、これぞパリ・オペラ座というべきグランド・バレエ。ヌレエフ版は衣装が目もくらむばかりの豪華さで、ダンサーたちの美しさもあり大変な目の保養となる。ニキヤとガムザッティが取っ組み合いのキャットファイトを繰り広げたり、ドラマ性も十分。また、影の王国は4段もスロープがあって衣装、照明とも深みがあって何とも言えない幽玄な美がある。たっぷりとした見ごたえがある大作で、バスティーユの広い舞台でこれが観られたのは幸せな体験であった。

当初ヤニック・ビットンクールがソロルを演じる予定が、怪我で降板したため、代役にはENBからイザック・エルナンデスが急きょ出演。(この回は彼にとっては2回目)先シーズンまでオランダ国立バレエで活躍していた彼は、戦士らしい勇壮なソロルを演じてくれた。2幕ヴァリエーションの空中姿勢の美しさは特筆もの。ニキヤ役のエロイーズ・ブルドンが、細身ながらも長身なのだが、エルナンデスはサポートも非常にうまくてスムーズだった。何より、影の王国でのコーダのドゥーブル・アッサンブレが、跳躍は高く鋭くて見事だった。

ニキヤ役には、エロイーズ・ブルドン。スジェでありながら、前回の「ラ・バヤデール」でもニキヤ役を踊り、「白鳥の湖」のオデット/オディール、「くるみ割り人形」のクララなどで主演しているエロイーズ・ブルドン。昨年京都バレエの「ロミオとジュリエット」で、美しく繊細なジュリエットを踊ったのも記憶に新しい。主演経験も豊富なのに、なかなかプルミエにも上がれないのが不思議がられている。

ブルドンは、腕が非常に長くてポール・ド・ブラが雄弁かつ情感豊かでデリケートだった。キャラクター付けははっきりしており、神に身を捧げた踊り子でありながら、ソロルとの恋に身を焦がす激情的な部分もあり、若い娘らしくはっきりと感情をを見せていた。ガムザッティに詰め寄られていても毅然とした強さがあった。花籠のソロは悲痛で苦しみの叫びが聞こえてきそうな一方で、花籠をソロルの贈り物として受け取った時の輝く表情も印象的だった。影の王国では、難しいヴェールのヴァリエーションも難なく踊り切り、伸びやかで抒情的な踊りを見せてくれた。脚もとても美しい。技術的にも、表現力にも大変優れているうえ容姿も美しく、堂々の主役ぶりで、本当になぜ彼女が未だスジェなのか理解できなかった。エトワールの品格を備えていると言って良い。ブルドンは、マリインスキー国際フェスティバルでは、「白鳥の湖」で主演する予定。

一方ガムザッティ役には、コリフェ(11月の昇進試験により、1月1日にスジェに昇格)のイダ・ヴィキンコスキ。パリ・オペラ座学校出身(16歳で転入)だけどフィンランド人で、2013年入団の非常に若いダンサー。ミルピエお気に入りの一人とされている。ところが、このヴィキンコスキのガムザッティは、お世辞にも褒められたものではなかった。なんといっても踊りが雑で、姫君ならではの気品もほとんど感じられない。高慢で怖いお姫様なのは伝わってきたけれども、ソロルに恋する気持ちも感じられなかった。特に見せ場の婚約式でのイタリアン・フェッテの乱暴さは目を覆うばかりであった。ヌレエフ版の「ラ・バヤデール」といえば、エリザベット・プラテルが演じた役。エトワールが踊るにふさわしい役であるし、エトワールではなかったとしても、もう少しオペラ座らしく、そして経験を積んだダンサーに躍らせるべきなのではなかっただろうか。ミルピエが推進した、ヒエラルキーを無視した配役というのは、このような弊害を生んできたのだ。

ミルピエは、大きな批判を浴びたインタビューの中で、「ラ・バヤデール」のクオリティが低く、コール・ド・バレエは壁紙のようであったと評していた。ところが、今回、「影の王国」のコール・ド・バレエは非常に良く揃っていて美しく、4段スロープを降りてくるところも見事だった。これがなぜ批判されるのか、正直言って理解に苦しんだ。影の王国のコール・ドは、それこそ個性を主張するような場面ではないわけであるし。この公演では、影の王国のコール・ド・バレエにオニール八菜さんもいるという豪華なものであった。(スジェまでは、コール・ド・バレエを踊ることになっている。1月1日でオニールさんはプルミエに昇進したので、おそらくこの「ラ・バヤデール」が最後のコール・ド・バレエでの出番だったことだろう)

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もう一つ、ミルピエが手を入れたとされている場面は、2幕のブロンズ・アイドルの場面に出てくる子役たちの顔を黒く塗ることをやめたことだ。これは確かに今の時代においては人種差別と受け止められるので、改善といってもいいとは思うのだが。

ブロンズ・アイドルは大ベテランとなったエマニュエル・ティボー。ちょっと体力的に厳しいかも、と感じられたところもあったものの、仏像らしさは良く出ていた。ティボーは、金粉ショーのように本当にキンキラに全身を塗っていた。素晴らしかったのは、苦行僧のパブロ・レガサとインドの踊りのサブリナ・マレム。マレムは表現力が豊かで大きい。彼女は、影の王国のコール・ドの先頭も踊るなど大活躍をしていた。

また、大僧正には、12月31日の「ラ・バヤデール」公演がアデューとなってしまったヤン・サイズ。これほど美貌の大僧正はいないのでは、と思うほどの美しさで、情熱的に迫る姿にはぐっと来た。

影の王国のコール・ドが揃っていてレベルが高かった一方で、1幕、そして2幕のコール・ドやパ・ダクシオンはちょっとレベルが今ひとつだったかもしれない。パ・ダクシオンにもオニールさんが入っていたのだが、やはり彼女はずば抜けて華があり、伸びやかで美しかった。影の王国のヴァリエーションは、第二ヴァリエーションのエレオノール・ゲリノーが頭一つ抜けていかにもフランス的なバレエを見せてくれた。

主役二人の素晴らしいパフォーマンスを始め、影の王国の美しさもあり、全体的に満足度は高かった。12月も終わりに近づくと、ダンサーたちも連日の公演疲れが出て、少しクオリティも下がってしまったのかもしれないが、ガムザッティのヴィキンコスキが良くなかった以外は、批判されるような出来では決してない。

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